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恩師

私には、今の私を作ってくださった、私の人生の道をつけてくださった恩師が何人かあります。

原田茂生先生。
二つめの大学で、専攻のチェンバロより夢中で取り組んだドイツリートを卒業後もずっとご指導いただき、若造の私をステージにもお誘いくださいました。
ヴォルフのスペイン歌曲集、楽しかった…
身に余る共演に緊張して舞台袖までメイク用のヘアクリップ付けっ放しだったのを、笑いながら教えてくださったなぁ…

DAADのドイツ留学試験の際には、たくさんのアドバイスと励ましをいただきました。
無事合格したものの初めての外国行きだった私を
「大丈夫じゃー、あんたは北極でも南極でもやっていけるっ!」と豪快に笑って送り出してくださった先生。
DAAD大先輩でいらした先生が、留学説明会での昼食のテーブルで、ブレートヒェンにナイフを入れながら
「ドイツではこうやって横に切って食べるんじゃ!懐かしいなぁ…」と目を細めていらしたっけ。
先生がいらっしゃらなかったら、私はドイツに行けていなかった…

芸大学部長をされていたときは、全身を黒革のツナギでキメた先生が大きな真っ黒なバイクで、あの煉瓦色の校門を颯爽と飛ばしてこられるお姿も脳裏に焼き付いています。

先生が育ててこられた素晴らしい歌手は数えきれないほどいらっしゃいますが、
声楽科学生でない私のような者にも本当に惜しみなく、音楽への愛とエネルギーを全身全霊で伝えてくださった方でした。

決して焦らず、慌てず、押し付けず、
そして何よりも、本当にいつも
楽しく明るく
ノンビリと。

先生にお会いできて本当に幸せでした。
合掌。

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by saskia1217 | 2017-12-22 01:30 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

笑いにはかなわない

昨日、師走初日。
お誘いいただき、ディケンズの「クリスマスキャロル」を下敷きにした「音楽狂言〜寿来爺」を観た。

東中野の梅若能楽堂は初めて訪ねたが、年輪を感じる古い作りは落ち着きがあっていい。ロビーにたくさん置かれた椅子も、ほぼ「アンティーク」のような佇まい。
ただ昔の建物の常で客席がとても狭く隣の方と肩や腕がくっついてしまうほど。
外国人や男性の方にはかなり辛い…

寿来爺(スクルージ)の善竹十郎さん。
舞台を拝見するたびにいつも感銘を受けること…そこに立っていらっしゃるだけで、見ている方に自然と笑みが浮かぶ。
お顔だけ、仕草だけ、歩くだけで、その手先のちょっとした動きだけで、気がつくとこちらがニヤニヤしている。
もちろんご本人はただ立っているだけであるわけはなく、熟練の末のお姿なのだろう。
同じ体型、体勢の同一人物なのに、冒頭は守銭奴の憎たらしさや醜さ意地悪さ、物語が進むに従って時には可愛そうに、またかわいく、いじらしく見えてくる。
少しずつ改心してゆく心の動きが見える。

前半は楽器だけのコンサートで、この編成にアレンジされたグリーク、ショスタコーヴィッチ、ストラヴィンスキーが演奏された。
能舞台で西洋楽器やっぱりきついのかなと思ったら、弦楽器はやはり通りにくい。
今回はアコーディオンが入っていたので、さすがその貫くリードの音は比較的届きやすい。
アコーディオンて生で聴くチャンスがあまり無いのだけど、特徴あるヴィブラートのような単旋律がほんとにうつくしくて惚れ惚れする。

休憩挟んでいよいよ狂言。
じつは善竹家のご兄弟、富太郎さんと今回ご出演の大二郎さんは、数年前の「バロックオペラin能楽堂」の素晴らしいコラボレーションでご一緒して以来のお知り合い。
国内での初演から、大成功だったスイス、フランス公演まで喜びと苦労もご一緒したご縁で、その後も時々御一家御一門の舞台をたのしく拝見している次第。
で、この作品、なんと我々のスイス公演を観た現地の作曲家が触発されて書いたそうだ。

能舞台と言うことであえて大きな鍵盤楽器ではなくアコーディオンにしたんだろうか。
狂言という何処か滑稽さも哀愁も兼ね備える場所に、同じ特性を持つアコーディオンの音はとても合っている気がする。
今回は前半からずっとだったからかもしれないけれど、この3つの楽器のみで一晩聞かせるのは(響きのこともあり)なかなか難しいなぁとも感じた。

狂言は静かなだけではなく激しい部分も多く個人的には動の要素も強いイメージだけれど、この「寿来爺」に関して言えば音楽が、作品そのものもダイナミックスの面でも割合ずっと静かなままだったので幾分単調で間延びして感じてしまうところもあったり。
狂言の動きとしてはたぶん普通だったと思うけれど、音楽のレベル(量的な)がそれより下だった気がした。
狂言の声をかき消さないように演奏しなければいけないと言う配慮も難しいところだったろうし(でも実は狂言の役者の方の声はそんなに弱いものではないのでそこまで気を使わなくてもいいような気がする)…
楽器が休んで声だけになる部分があまりなくほとんどが被っていたので、音楽の分量がもっと少なくても良いのではないかなーなんて勝手なことを思ったり。
あくまでも「音楽狂言」だから、あれでよいのかもしれないですね。

現代音楽とはいえ、想像していたような無調で即興的なものではなく、ほぼ全部が調性音楽で、物語やクリスマスキャロルの時期を醸し出す暖かい雰囲気にはなっていたと思う。
(寿来爺がハッピーになる場面のテーマに「In dulci jubilo」に似たパッセージがある?と思ったのは私だけ?😎)
あまり緊張感やドラマ性を求めるものでもないのかなー…お能と違って、悲劇でも全くのシリアスになりきらない狂言だからね。

大二郎さんが演じた3人の精はそれぞれのキャラクターが違って楽しめた。
漆黒を纏った最後の精霊は無言で動作が少ないなだけに不気味でよかったー!

寿来爺が捌けるとき
「アベマリアアベマリア」とぶつぶつ言ってたのがおかしかったなー!

最初から各場面で笑いが起こり、最後にはみんなが笑顔でニコニコ見ていたのが印象的。
最後に寿来爺(=サンタ「クロース」)がプレゼントを投げる仕草で、客席に向かって投げる時にみんなが反射的に手を出して受け取るレスポンスをしたのが興味深かった。
人を空想のなかに引っ張り込む狂言と狂言師の力を見た気がした。

いろんな可能性やいろんな課題を感じられた公演。
最後には結局「狂言てハッピーになるなぁ」
だれもが帰り道に必ず幸せで帰れるってすごいことだよね!

前回拝見できなかったので、再演をみせていただけて良かった!
お誘いありがとうございました。
狂言やお能との共同作業、またやりたいなぁ!
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by saskia1217 | 2017-12-03 20:58 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217