2018年 10月 10日 ( 1 )

チリー・ゴンザレスのドキュメンタリー映画「黙ってピアノを弾いてくれ」(Shut up and play the piano)やっと観に行けた。
(長いし、ネタバレしてますのでそのつもりで!)

やっぱり観に行ってよかった!
映画冒頭から、昨年の「とさか計画」で弾き&聴き慣れたゴンザレスのナンバーが流れて無性に懐かしい気持ちになり、おこがましくも他人事じゃない感覚になる😅
「ブロードウェイに連れてって」私が指の関節打撲&流血した😱あのカッコいい曲ですよ‼️
いやー他にもたくさん、愛と共に半年間格闘したあの曲たちが!

映画は、ドキュメンタリーとはいえ途中何度も挟まる芝居がかった映像「作品」におそらく現実とフェイク(作品)の区別がつかない人もいたんじゃないかなぁ・・・
過去の実写も「作られた」映像も、そして音楽、言葉、演技、インタビューで見せる素?の言葉・・・全てが彼の「作品」そして彼「そのもの」なんだな、と。

多く出てくる「狂気」と表現されがちな彼のパフォーマンスを見ていて、私はエレカシの宮本さんとどこか共通するものを感じていたのだけど、でも掘り下げ方(落ちていき方)がちょっと違うというか、情緒や儚さや世捨て感?の有る無しみたいな違いを感じて、そこはやっぱり日本と西洋の分かれ目なのかなあと思ったり。

何度も繰り返し凡庸な同じ質問を繰り返すメディアにゴンザレスが言った
「僕の曲を聞いてくれれば全部わかることなのに」という一言。
みんなそうなんだよね。
日本だけじゃないんだなあ。
見れば見るほどメディアや世間がバカっぽく映ってくる。
最後まで観て、近藤良平さんの「情熱大陸」を観たときのような「あ〜そうだよ、そうだろうなあ、ウンウン!」という(苦笑)生意気にも持ってしまう妙な共感と世間に対するガッカリ感。
私になんてわかりっこないかもしれないのに。
でも、近藤さんがなぜあんなに彼の音楽に惹かれるのかも、ちょっとわかったような気もした。

ゴンザレスについて私は殆ど何も知らなかったが、名実ともに有力者の父を持ち、兄は「アナと雪の女王」などでも有名な売れっ子映画音楽作曲家であることなど、驚くことも多かった。
とさか計画でこの私に超絶技巧ゴンザレスを「弾かせた(笑)」近藤さんから「ラップとかもやる人なんだよ」と聞いてはいたが、彼の元々のルーツがラップ、しかもかなり長い間、その強烈な世界に深く存在したことも興味深かった。
私はまだラップの良さには全く理解ができていないが、映画に出てきた多くのラップはものすごくよく出来ていてちょっと感激したな。
中でも「BEANS(豆)」が好きでした。

ゴンザレスの辿ってきた旅をともに見る映画。
ラップからバンドへ、そしてクラシックへ。
つい最近になって「楽譜を読む」こと学び始めたゴンザレス。
あんなに自由に鍵盤を操っていた彼が、真剣な目をしてつっかえつっかえ楽譜を読みながら弾く姿。
真逆を歩んできた私にはとても新鮮で、かつちょっと自分のコンプレックスに対して安堵感。

ウィーン響やカイザーカルテットとのステージが、素晴らしくてほんと心に残った。
オケも指揮者もお客さんも「わかったでしょ!?」って感じ。
あ〜、やりたい、ああいうの。
指揮者のコルネリウスが彼の良さを色々言ってて「テクニック的にはね、オーストリアやドイツの音大のピアノ科入試に彼は受からないかもしれないですよね」と例えてたけど、まあ土俵が、いやレベルが、音楽家としての、いやパフォーマーとしての立ってる地点がそこじゃないから。
(仮にも一応)クラシックのコンサートで客席にダイブした人、初めて見たよ!(やってみたい)
ラップで聞かせたプリペイドピアノへのアイロニーも秀逸。

いろんなアーティストとのコラボインプロ観てたら、まためちゃめちゃ即興したくなったな〜!
そしてゴンザレスの曲も弾きたくなったな(笑)・・絶対また指から流血するけど(映画で彼自身流血してて納得。やっぱり彼のように軍手すべきだった!)
これ観てから弾いたら、またちょっと違う感じになる気がする。
でもね、彼の曲はやっぱり彼が弾いたほうがいい。そこが他の「作曲家」「音楽家」と違うとこかも。
彼が弾かないと意味がない感じ。
映画にはたくさんの「身代わり」が出てきたけど、彼の曲は楽譜を辿って後からついてくようなものじゃないんだよ。
今回新しいアルバム「ソロ・ピアノⅢ」が出たのだけど、CDもなんか違う気がしてる。
生が聴きたいなあ!!
また来日しないかな。

映画の柱として流れていたドイツでのインタビュー、「死」についての質問にだけ、彼は答えていなかった。
答えているシーンは流れなかった。
それもきっと「僕の音楽を聴けばそんなこと言う必要ないだろ」って言われそうだ。

スゴイ人には違いない。
真似できないし、したいとも思えない(あのエネルギーは耐えきれないと思うから)。
音楽やる人という生ぬるさよりも、音楽に喰らいつかれた人。
血の匂いがつきまとう。

原題「Shut Up」
「黙って」というより「断ち切れ!」「切り離せ!」「閉ざせ!」が強い気がした。
そんな映画。

近藤さんがとさか計画でゴンザレスをやってくれなかったら、そして無謀にも私がそれを引き受けなかったら、出会えなかったスゴイ人、スゴイ音楽。
ホント近藤さんに感謝😊
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by saskia1217 | 2018-10-10 19:09 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217