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SOCIETY OF CITIZENS vol.2〜東京事変とエレカシ〜

人民社会? 国民の社交?・・・なんかいいネーミングだなあ。
・・・というイベントへ出かける。
東京事変が主催、今日明日で計4つのバンドを招聘する対バンイベントだ。

(今日のレポはものすごっっっく長いです。そしてネタバレ満載です。おまけにバンドの話ばかりです。お暇な方だけどうぞ!)
東京は夕方から雨が本格的になった。後楽園のJCBホール、まわりには屋根がないので開場1時間前の16時頃から、雨の中並ばされることに・・・。仕方ないんですが、アリーナ席(立ち見)の私、できればムダな体力を使いたくないという気分。雨は強くなってくる、気温も下がってくる。長袖を羽織って傘をさしてた私は、それでも元気で本を読みながら列に並んでいたが、半袖傘なしの人も多くいて、かなり辛かったのでは、と。
なにせ3000人入るホール、1000番まで、1400番まで、それ以降と分けられたから2000人以上はいたのかもしれない。
今日のこのライブ、もともとは行けないと諦めていたイベントだ。チケットサイトの先行に外れ、追加先行にも外れた時点で完全に諦めていた。対バンにはよほどのことがない限り行かないので、まあいいや、とも思っていた。一般発売日、発売時刻を30分も過ぎてから何気なくサイトにアクセスすると△印。気軽にポチっと押したら取れてしまった1枚。こんなことあるんですね。だから番号も1600番台後半で、最初から「前列に行こうだなんて論外」「見えなくてもいいから後ろでゆる〜く聴こう」と全く構えずに出かけた次第。

雨の中に立つこと1時間、ホールに入場するまで30分、アリーナで場所確保して30分、ようやくライブ開始。今日出演の3つのバンド、東京事変、エレファントカシマシ、SCOOBIE DO、どんな順番で出てくるかわからずも、とりあえず「止まり木」を確保(やっぱり年齢相応の体力に不安あり・・笑)。でもホール見取り図の印象と違ってかなり「横長」だったので、アリーナ最後尾でもステージから25mくらい。とっても近い。それにチケットが売り切れだったからどれだけギュウギュウかと思いきや、詰まっているのは前方5mほどだけで、あとはかなり隙間もあり、アリーナ後方にはポッカリとスペースが。バルコニー席は傾斜があってどの階のどの席からも観やすそう。アリーナも、前によほど大柄の男性でも来ない限りは後方や両サイドからも十分ステージが見える。スタンディングではUNIT、O-West、eggman、キネマ倶楽部みたいな小振りのライブハウスしか経験してなかったので少々恐れをなしていたが、ちょっとホッとする。

トップはSCOOBIE DO。失礼ながら殆ど名前しか知らなかったこのバンド、ここ数日前から随分曲を聴いていた。生を聴いた印象もまったくその通り。それでも、ごめんなさい、何ていう曲を何曲やったのかわかりませんでした・・・。サウンドはかっこいいし、楽器も見事なんですが、なにせ音響バランス的にも歌い方的にも、歌詞が全然聞き取れない。なので、私にはどうしてもどの曲も同じに聴こえてしまうのだ。それはきっと、彼らがああいうサウンドの「スタイル」「ジャンル」だということなんでしょうね。それが個性なのかな。彼らの曲を全部聴いたことがないからわからないけれど、どっちかというと「サウンドを楽しむ」バンドという印象。
でも対バンのトップバッターって大変ですね。難しいと思う。中にはどれも好きっていう人もいるでしょうが、各バンドのファンが比較的くっきり分かれていて、それもどのくらいの割り合いかも掴めない中、もちろんアーティストは全員に向かって投球するのだけど、ノリを作るというか、空気を盛り上げるのは大変そうだ。SCOOBIEファンだと思しき人たちは前方で熱心にコブシを振り上げていたが、その周りでぼ〜ぜんと突っ立っている人たちもいて、あとバルコニー席もほぼ全員着席したままで、う〜ん、こういうものか、と面白く見ていた。
(バルコニー席も考えものですね。特に対バンだと誰がどこで立ちたいのかわからないから、後ろの人に気を遣って立てなかったりするのかも。)

40分間のSCOOBIEの熱演の後、セット替えの最中に下手に林檎さんとギタリストが2人で登場。ギタリストは、明日これに出演するZAZEN BOYSの方らしい。向井さんだったのか?すみません、全然わかりません(苦笑)。で、1曲演奏。曲名はすみません、これもわかりません。林檎さんは緑のロングTシャツでいい声だった。
止まり木にもたれかかってのんびり聴いていたが、そうか、今林檎さんが歌ってるってことは次は事変じゃないわけか〜、と思い立ち、即移動開始。中央のスペースへカニ歩き。フロアちょうど中心部分に到着。意外と空いている。

そして楽器チェックがしばらく続いた後、エレカシが登場。周囲の男子から「みやもとぉ〜〜〜!!」の声が盛んにあがる。今日は特に男性が多かったような気が。誰ですか、途中で「森鴎外〜〜!!」って叫んだのは(笑)。(註:森鴎外は宮本さんが愛する作家のひとり)
真後ろの女の子二人連れが「次はエレカシかあ。私、1曲でも知ってる曲があったら嬉しいなあ。2曲あったら儲け物だね〜。」なんて。なんかほのぼの。大丈夫、きっと「ウコン」やるから、と心の中で思う(笑)。
今日もキーボードの蔦屋さんとギターの昼海さんがサポート。メンバー紹介で元事変の昼海さんに一際大きな歓声が。あ〜、やっぱりお客さんは事変ファンが70%くらいなのね、と感じる。セットリストはあまり意外性もなく、まあ王道。以下、思い出した順。(多分これで全部だったはず)
今はここが真ん中さ/笑顔の未来へ/悲しみの果て/さよならパーティー/FLYER/珍奇男/ゴクロウサン/so many people /風に吹かれて/新しい季節へキミと/俺たちの明日
「starting over」からの選曲が多いのは当然として、「珍奇男」と「ゴクロウサン」はやっぱり嬉しかったな。初期の曲ホントに好きなので。「珍奇男」は6月の野音でも聴いたけど、初期の頃のテンポより、最近の速くってギターわしわし弾くやつのほうが好きですね。「so many」はお客さんがすごくノリノリになる曲なので、やってくれてよかったな。「風に吹かれて」も大好きなのだが、昨今のピアノver.は確かに美しいんだけど、こう、あのハーモニー進行が甘すぎるというか、どうも肩すかし喰っちゃう気がするんですよね。あれが蔦屋さんの素敵な個性なんだけど、もとのver.が頭にあると、どうしてももうちょっとガツンとした音が聴きたくなってしまう。

10月1日にシングルリリース予定の新曲「新しい季節へキミと」は野音でもやったのだが、その時は他にも「初めて聴く曲」がいくつもあったので(シンジラレナイな〜)、あまり印象に残らなかった。が、1ヶ月経って全てのアルバムを聴き尽くした今、あらためて新曲を聴いたらやっぱり新鮮だった。たしかに今までにない感じ。巷では「軟弱路線に走り過ぎ」だの「サビがよくない」だの「いやAメロがよくない」だの「歌詞が深くない」だの言われているようだが、今日完全な形を聴いてみたら、そんなに悪くもないじゃない・・・。イントロ、Aメロがハーモニーも含めてちょっと変わり種っぽく、それでサビが超一般的(=キャッチー)でそれほど急な盛り上がりは見せないタイプ。Aメロから期待するとサビがちょっと意外かな。そのギャップがちょっとあるけど、シングル出たらまたじっくり聴きましょ。
(聴く方は勝手を言い放題だ、まったく。作る方はその都度精魂込めているのにね)

宮本さんのMCもいつも通り。「がんばろうぜ、エブリバディ」を基本に(笑)、淡々と歌い進めていった。野音の時は殆ど最後列だったので、メンバーが豆粒くらいしか見えずその表情もわからなかったが、今日はかなり近くで聴けたので、ビジュアル的にも音的にもアプローチが強く感じられてよかった。やっぱりライブはスタンディングだよなああ。
そしてお決まりの「俺たちの明日」でシメ。これはさすがに背後の事変ファンもノリがよかった。

再びセット替え。私は壁際へ撤退。ここでSCOOBIEのメンバーが下手でセッション。サックス、ペットが入って楽しい。SCOOBIEって、楽器上手いですよね。
そしてトリが東京事変。振り返ると満席だったバルコニー席に空席が目立つ。みんなアリーナに降りてきたのかわからないが、明らかにフロアに人が溜まってくる。で、バルコニーはここで殆ど全員が立った!
マーラーの5番のアダジエットで入場。やるなあ。でもその後は再び「何ていう曲を何曲やったのか全然わかりませんでした」・・・苦笑。林檎さんの曲、歌、もの凄く好きで、それこそ昨年は彼女のアルバム全部聴きまくり、ある時期聴きすぎて本当に精神的に戻ってこられなくなりそうでちょっと怖い思いもした。で、先日は10周年記念スコアも買って、一日中密かに弾き語ったりもして。なのにじつは東京事変には興味が湧かず1曲も聴いたことなかったのだ。

東京事変て、林檎さんじゃない人も歌うのですね。(そういう次元)
サウンドは、う〜ん、ただただ「ゴージャス」のひとこと。メロディーもハーモニーもアレンジも素敵。でも残念なのはやっぱり「コトバ」が聴こえない。まあ、林檎さんの書く歌詞は「聴こえてもわからない」いや「わかる」ってもんじゃない、ってことももちろんあるのだが。でも予習したとしても聞き取れない感じだった。やっぱりバンドの音が物理的にもの凄く大きい。
林檎さんはある曲では拡声器を持って、またホイッスルなんかも色々使ってました。拡声器・・・小林賢太郎さんのDropを思い出してしまった。そういえば林檎さんも息子さんと観にいらしてたっけ。
メンバーのMCでは、慣れない「エブリバディ」を言ってみたり「それにはもっとテンション上げないと」発言、お客さん大爆笑。(エレカシもSCOOBIEも言うんですよね、これ。そういえばマルムスティーンは「エブリバディとか死んでも言わねえ」みたいなこと言ってたっけ・・・)
生で拝見する林檎さんはとっても美しくて、いつもながら身のこなしや下手上手、2〜4階席のお客さんに対する配慮とか、貫禄とかカリスマ性とか、しみじみと見とれた40分。
唯一知ってたのがラストの「閃光少女」(やっぱりCMの力は大きいのだ)、アンコールの「丸の内サディスティック」(歌詞に「後楽園」が出てくるからやってくれたのかな)。
ラストでお客さんは最高潮に。

滅多に行かない対バン。たぶん今後もあまり行かないと思うけど、こうして3つのバンドを一度に聴けたのはやっぱり面白かった。それぞれのバンドの個性、それぞれのファンの感じ(笑・・・エレカシファンって微妙に地味な感じがするのは気のせい?なんとな〜くわかるんですよね。それに男子も多いかな。)、聴いたことないサウンド・・・。
やっぱりエレカシって、昔ほどでないにしても、音楽的アレンジ的にも、物理的な音量バランスも「歌」のウエイトが大きいなあ、と再確認。楽器がフルに鳴りっぱなしで歌がそれにかき消されるような作りはしてないんですよね。弾き語りもほぼ必ずあるしね。
(どのバンドも上手いけど、ドラムはホントにつくづく富永さんが素晴しい!ホントに絶品。大好きなドラムです。)
そうしてみると、お笑いにしても演劇にしても音楽にしても、やはり私は「コトバ」にものすごく意識がいってしまうタチなんだと実感。大好きなラーメンズも一言一句漏らさず聴きたい自分にはとってもしっくり来る、スタイルと作り。ラーメンズもエレカシも、ゼッタイに何か「しながら」聴くことができないのだ。特にエレカシはヘッドフォンで大音量で歌詞カードを見ながら聴くのが一番ど〜んと来る。
そう、そして宮本さんには数多くの弾き語りの名曲があるけど、あれってシューベルトのリートの世界に限りなく近い、ってフト思ったのだ。「月夜の散歩」とか「冬の朝」とか「寒き夜」(胸に迫るものあり・・・)とか・・・「月の夜」もかな。メロディーラインも歌詞もシンプルにみえる。なのに他の誰にも作れない。そんなところが似ている。それにあの「歌声」も誰にも真似できない。
10代の頃リートピアニストを目指していたほどリートの虫だった私は、やはり「言葉」と「音楽」が密接に紡ぎ合っているものに惹かれるらしい。普段自分は言葉のない音楽ばかりやっているのに。いや、だからかもしれない。

エレカシは明日香川でライブなんですね。事変も明日まであるし。お芝居もオペラもオケも連チャンはよくあることだが、とにかくまあ、みんな体力勝負なことは確か。
宮本さん、もうあんまり「42歳、42歳」ってステージで連発しなくても・・・笑。
がんばってください!

そうそう、帰りにホール出口にぼ〜っと出たら、「エレカシライブチケット」の張り紙が目に飛び込んできた。
は?
宣伝?
いやいや、エレカシ今年最後のライブになる10月のワンマン、チケットゲットです!
感謝感謝。
楽しみがまた増えた。
「さあ、がんばろうぜ!」

「月夜の散歩」

「月の夜」

Commented by ちゃんぐむ at 2008-08-26 18:05 x
エレファントカシマシの宮本さんという人は、
私と同い年ではありませんか!ありゃりゃ。
ちょっと前に新聞でお顔を拝見しましたよ。
でも歌はろくに知りません。月夜の散歩という歌いいですね。

歌の言葉をちゃんと歌うのは、三線をやっていてもよく言われます。
三線の場合は意味も知らずについ歌っちゃうことが多いせいもあるからだけど、大事なことですよね!

リートってなにかしら?詩のようなものでしたっけ?
Commented by saskia1217 at 2008-08-26 19:04 x
読んでくださって&コメントありがとうございます
そうですよね、三線でも歌はセットでしたね。三線で歌う歌の言葉はやはり難しそうですが、やっぱりちゃんと調べたりしないと意味がわからない感じなのですか?

リートは「ドイツ歌曲」です。詳しくいえば、ドイツ語の歌詞のついた芸術歌曲、という感じです。シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、レーガーなど、多くの作曲家がたくさん歌曲をかいています。使われた詞も、ゲーテ、シラー、アイヒェンドルフ、メーリケなど偉大な詩人がたくさんです。すごく素敵ですよ〜。
Commented by ちゃんぐむ at 2008-08-26 23:20 x
リートの曲聞いてみたくなりましたー。CD借りられるところがあるか、探してみます。

三線の歌の意味は、調べなくても、先生が教えてくれます。
沖縄の古い言葉は古文と似ていて、文が省略されているので、ときどき解説してもらう必要があるんですが、すごく難しいとか複雑だとかいうことはないですよ。おめでたい歌は同じような言葉や言い回しが色々な歌に共通に出てくるのでだいたいは覚えてしまいます。
かりゆし(めでたい)、ふくらしゃ(誇らしい、嬉しい)、てぃだのあがるまでぃん(太陽がのぼってくるまで夜通しお祝いして踊って歌おう、というばあいに使う)、等などですね。
そういえば最近咳が出るとか言って、稽古してません!明日やんなきゃ!
Commented by saskia1217 at 2008-08-28 00:19
そうなんですか。色々面白いですね。
今度こそ三線を聴かせていただかなくては!

ドイツリートのCDはたくさん出ていますから、図書館などにもあると思います。ぜひ聴いてみてくださいね。訳詞を読みながら聴くと楽しいです。
by saskia1217 | 2008-08-24 03:36 | エレファントカシマシ | Comments(4)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217