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明日は我が身

DVDで「12人の優しい日本人」を見る。今さら・・・ですが。
三谷幸喜脚本、中原俊監督の91年の作品。もともとは90年初演の舞台作品。
いわずとしれた有名な法廷映画「12人の怒れる男」(1957年、アメリカ)にインスピレーションを受けたといわれている作品のひとつ、らしい。

映画でもテレビドラマでも、じつは「法廷もの」はあんまり見ない。
言葉のバトルや、論理的な詰めの模様などは決して嫌いではないし、どちらかというとそういうのは好きなほうである。けれど、わざわざ映画を見よう、という時って、じつはあんまり疲れたくない、という意識もある。
法廷ものはものすごく疲れるし、話自体がしんどいものが多い、というイメージがどうしても強い。

いやいや、でもこれはとっても面白かったな。
ここ数ヶ月、殆ど毎日同じ映像しか見ていないこの状況の異常さにようやく薄々と気づき始め(超苦笑。由々しいことこの上ない・・・)、さすがに実際、頭のどこかの部分が間違いなくおかしくなっているという実感を認識したこともあって、そこから這い出すべく、今晩ついに、半ば強制的に、このDVDの再生にこぎつけたのだ。
最初は「なんとなくでいいから見よう」なんて感じだったが、始まってすぐに引き込まれ最後までぐんぐん見た。

日本における陪審員制度のことが、まだ今ほどは現実化していなかった頃の作品だということがまずスゴイ。こういう話なので見る前に大体のシチュエーションはわかってしまっているのに、想像していた光景とは全く違う、実に面白いことがいっぱい起こる話。
俳優さんたちも素晴しいのだが、やっぱり脚本がすごい。コントにしろドラマにしろ、それを創る作家さんって本当にどういう頭の中身なんだろう、と思う。
(そうそう、最近、コントや演劇作品のでき方について色々読んだり考えたりしているのだが、先日ちらっと読んだ「別役実のコント教室」は実に面白かった。)

一般人から成る12人の陪審員たちは、じつに様々なキャラを持っている。どの人物も「いかにもいそう」なわけで、ある意味これはコントなどで重要な要素「あるある設定」の王道である。
「あるある」とはつまり、観客が「あ〜〜、こういうことってあるある〜〜」「そうそう、こういう人っているよね〜〜〜」と、ドンピシャで思い当たる=即共感、というネタである。
この作品を見た人の多くがおそらくそうだったと思うが、見進めるにつれて無意識に「自分はこの中のどのタイプだろう」「自分だったらどの人みたいに意見を言うだろう」とずっと考えていた。
ストーリーでは、日本で近い将来「我が身」となるこの舞台において「あ〜〜、ぜったいにこういう事態になるだろうな」というリアルの極致がことごとく起こっていくのだが、これは本当に大変な問題ですよ・・・

自分があの席に座ったら・・・・という真面目な妄想さえも、
「あ〜あ、いったい、どういう内閣なのよ」
というゲンナリした思いにかき消されてしまう夜ではあったけど。
Commented by きょろ at 2007-09-04 13:23 x
見よう、見ようと思いつつ、まだ見てないんです。
三谷幸喜はホントに群像劇がお上手ですよね。
「人」が好きなんだろうな~と思います。
三谷作品に触れると、いつかこんな脚本が書けたら・・・と思うのですが、
このところ全く筆が進んでおりません(^^;
Commented by saskia1217 at 2007-09-04 23:55
きょろ様
ほんとに面白かったですよ〜。舞台が舞台(一部屋)なので、どうしてもこれでもか、これでもか、って感じですけど、飽きません。さすがですね。
舞台も見たかったです。また再演されたら行きたいものです。
きょろ様の作品、早く見たいです。楽しみにしています!
by saskia1217 | 2007-09-04 03:50 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217