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A線上のアリア☆チェンバロ奏者 廣澤麻美 公式ブログ  Asami Hirosawas Blog

重く高く羽ばたけ〜エレファントカシマシ30周年記念ツァー・ファイナル〜

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東京に桜の開花宣言が出された土曜の午後、さいたまアリーナでは3万人の目の前に桜の花が舞い上がっていた。

エレファントカシマシ30周年記念ツァー・ファイナル。
1年をかけて全国47都道府県をくまなくまわってきた彼らが戻ってきた最終公演。
春や新春によく歌ってくれる「桜の花、舞い上がる道を」で花道の根本から桜の紙吹雪が噴き上がる(けして「散ってくる」のではない!)演出は、4年前のさいアリで記憶に新しい。
2曲目「奴隷天国」で大量の風船が頭上に落ちてきたのも、あの時の想像を絶する驚愕を懐かしく思い出していた。
そうだ、あの時は私、風邪で熱があったのにマスクして聴きに行って、帰りはすっかり元気に回復して帰ってきたんだった(笑)。
紙吹雪、風船・・・そしてこの日は、バンド名が書かれた銀テープは降るわ(エレカシで?!)、「RESTART」ではステージ上に炎を高く揚げる何本ものフレームマシンまで登場し曲の間じゅうブオンブオン炎を噴き続けていた。
度肝を抜いたな、だってエレカシのステージだよ?
してやったり、と喜ぶ宮本さんの笑顔が浮かぶようだった。

スタジアムモードでのアリーナ席ほぼ最後尾という座席は、出演者の姿はおろか、ステージがどこにあるのかさえ見えないし、上記の「降ってくるモノ」たちなんてカスリもしない(苦笑)。
なので、左右にある巨大モニターを見ながら(それさえもクリアには見えず)それでも全身で音を浴びる。
こうして後方から観ると、このバカでかいお化けのような入れ物に3万7千人?がギッシリ詰まって、「ガストロンジャー」で一斉に拳を揚げ、叫び、また「涙」弾き語りなどではコトリともしない完全な静寂を作り、「風に吹かれて」でさようならの手を振り、「星の砂」でキラキラで埋もれる。
本当に現実とは思えない、不気味ささえ感じる圧巻の光景だった。
この人たちが皆1人残らず、エレカシを聴きにきているという事実。
もし全員がエレカシを「好き」であるとするなら、ここには3万7千人の「いい人」がいることになる・・・
なんてことを妄想しながら。

こんなところをソールドアウトにしてしまう4人。
ロックって、いや商業ベースに乗る音楽って、ほんとに凄いんだなあ・・・なんて今さらヘンな感心をしてしまう。
NHKホールを満員にしたホロヴィッツも、普門館が売り切れたカラヤンも(古い!)、いやメディア路線に乗ったひと頃のドミンゴやパヴァロッティだって、どんな人気者だって無理だろう。
そう考えるとクラシックって、ホントにこじんまりしてる・・・特質だから、性格だから、良さだから、比べることもないんだけど、ついそのスケールの違いに思いを馳せてしまう。

私にとっては56回目のエレカシのコンサート。
SEからカオス音へいつのまにか移り、そしてステージに果たして出演者が登場したかしないかもわからないまま、高い位置に陣取っているため微かに見えるストリングスの弓が動いているのがチラッと目に入る。
ああ、始まっているのか!
そうして「3210」から「RAINBOW」へといつもの滑り出し。
巨大モニターにはメンバーの写真、ツァーやライブのもの、プライベートなショット、若い頃、子どもの頃の姿などがフラッシュバックのようにめまぐるしく映し出され、そこから高速で動く幾何学模様に変わる。

いつも嬉しい「夢のかけら」、青い光の「風に吹かれて」や、青、緑から赤に変わる光が美しい「昔の侍」・・・
そうだ、後ろだったせいか、この日は照明の歌詞のタイミングにぴったり合わせた細かい技が一段と光ってた。
弾き語りに「涙」ではルビーのような深紅の点々の中に、ラストで白い光がキラキラしながら上から下へ落ちていったのが印象的。
「あ、涙・・・」

特にココロに響いた曲がいくつか。

「さらば青春」いつにも増してゆっくりテンポで丁寧に丁寧に。重ね重ねる「遠い」の言葉。落ち着いた演奏なのにドキドキが止まらない。
「桜の花、舞い上がる道を」花道を突き進み、とっても嬉しそうな宮本さん。いつ聴いても、完璧な名曲。♪胸をはって生きて行こう♪
私のこの日のベスト、またもや「今を歌え」・・・1月14日のNHKホールで聴いたときよりさらにテンポが遅く。トミのドラムはもう遅さの限界といっていいくらいの休符の大きさ。すごいや、トミ。
歌えば歌うほど喉の状態がいい方に向かう宮本さん、本当に尋常でない喉の持ち主。
一言一言を噛み締め、言ってふくめることの、なんて直球で響くんだろう。
続いての「風と共に」『いい曲なんです!』とまた。もちろんこれもいい演奏だったな。
陽気に始まった第2部での「RESTART」では、エレカシもこんな演出やるのか!っていう炎の祭典。驚いたのは曲が終わるまでずっと出続けてたこと。いやいや〜文字とおり熱くなった一曲。
そこからの「夢を追う旅人」オリンピック期間中、ちょいちょいCMで流れていたので嬉しかったな。
第3部!冒頭で、期待していた「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」を!
いつものようにストリングスとホーン隊、そしてメンバーの紹介を曲に載せて。律儀に名簿を見て読み上げる宮本さんの姿に会場クスクス。
ライブでのこの曲が好きで、そうしょっちゅうは観ない映像のなかでも時々引っ張り出してみる「LIFE」ツアーでのこの曲。
Sax山本拓夫さんやTrp菅坂雅彦さんはあの時からのメンバー。なんだか勝手に感無量。
ここから「So many」「友達がいるのさ」そして「涙」と一気に、ゴージャスとしんみりのギャップ。
「大勢の前で弾き語りをやりたかったから」と始まった「涙」も最高の涙だったな。
ラスト盛り上がった後で、本プロは終わっていたにもかかわらず「時計」を差して『時間大丈夫?』のジェスチャーをしながら「ホントはもう絞り尽くしちゃったんですが・・」と「四月の風」。
歌い出してしばらくして、涙で歌えず。
もらい泣きするお客さん。

途中、まだリリースされていない新曲「Easy go」を披露。
聴いた瞬間、なんかちょっとブルーハーツを思い起こさせた。ものすっごい早口で、ただなんか明るい曲だってのはわかった(笑)。
終わってから「さっきの新曲・・・どうでしたかね?うまくいった!決まった!って・・・僕は思ってるんですけど・・・」
んーーー、そうね、まだまだこれから熟れるって感じの、超早口が聴き取れない超絶技巧のさわやか曲だった。
6/6のニューアルバムが楽しみですね。

「さいたまアリーナさいたまアリーナさいたまアリーナ・・・」の超早口や、弾き語り調での「さいたまアリーナ、ありがとう」そして「友達がいるのさ」2番冒頭での「さいたま中の電気を消して」。
さいたまサービス多し。
いつもの曲をいつもの惰性で歌わない、今、まさにこの時を歌っている、今目の前にいるお客さんに向き合っている実感が伝わる。

全31曲、3時間半。
51歳の4人組、恐るべし。
途中「あれ〜もう声使い果たしたかなあ」と思ってるとすぐに復活してラストまで歌い上げるヴォーカル。
ギターが上手いヴォーカル、MCがわかりやすいヴォーカルなら他にもっともっといるだろう。
でもやっぱり「歌」は誰にも譲れない。

先日お友達の家で、少し前に録画したBSのドキュメンタリーを見せてもらったのだけど、その中で宮本さんがインタビューに答えていた言葉がとても胸に残った。
「今までずっと自分の才能を信じてやってきて(才能あるのは当然)、何故みんなわからないんだろう、いつになったら皆がそれに気づく時が来るんだろうか」ということが一番の大きな悩み、燻り続けていたことだという。
当然、そう思えないならアーティストなんてやってらんない。
その言葉通りの岩のように固い、自分への信頼が、今このときの宮本さん、エレカシを支えているのだろうと思った。

だいすきなエレカシが、私の目の前で、段々と重くなりながらどんどん高く昇っていく。
CGかと見まごうばかりの人の数と、視界には入りきれない広大な会場で、その全員から熱いまなざしを受けている豆粒のようなこの人が、この人たちが、根本的には私たちと寸分違わない日常を歩いていることを我に返って思うとき、感嘆と尊敬とそして勇気が、あらためて自分の身体に満ちていくのがわかった。

おめでとう、ツァーファイナル。
31年目のエレカシの羽ばたきを、いったいどこまで目で追えるのだろうか。
置いていかないでね、お願いだから!
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by saskia1217 | 2018-03-19 02:15 | エレファントカシマシ | Comments(0)