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心閑則為貴



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やってみたいこと習ってみたいことが年々増えてくる。
もちろん全部なんて叶えられない。
宝くじにでも当たらない限りなぁ〜(買わなきゃ当たらないのよ・・笑)

ヨガや阿字観、書道はなんとかかんとか。
タップダンス、着物の着付け、仕舞、華道・・・
習い事じゃなくても、遺跡の発掘作業とかも強烈にやってみたい

お茶、も。
亡くなった祖母が生前熱心にお稽古していて、母も少しだけ嗜んだ程度だったが、実家には祖母が集めた色んなお道具がまだ残っている。
子どもの頃、祖母の部屋だった和室の前を通りかかるといつも、袱紗のさばき方を何度も練習したり、柄杓を手に姿勢を正しているのが見えた。
その頃は、おやつに和菓子を食べるときなんかに、母がポットからお湯を注いで点ててくれるお抹茶くらいしか興味がなかったけれど。

そんなズブのド素人でも、恥もかかずに怖がらないで参加できるお茶会を、毎年新宿区が開催してくれている。
ご縁があって、今回で3回目の参加。
お茶も和装も不慣れなワタシが、年に1度だけ着物を着ると決めている日。
初めて参加した3年前はものすごい嵐でそれは散々だったけれど(苦笑)、それはそれで楽しめた思い出。

はたしてこの日は雨の晴れ間。
蒸し暑いのは雨よりはいいんだろうか。
着物って暑いのか涼しいのか、よくわからなくなってくる。

高田馬場の茶道会館は、こんなことでもないとなかなか入れない、というか行かない場所。
毎回、その緑の美しさや佇まいの素晴らしさに感動する。
テレビや本でみる京都のお茶室なんかはきっともっともっと本格的に手が入れられていて、きっともっと息を呑むんだろうなあ。
晴れていたのでお稲荷さんもお参りできたし、お庭の散策もできて。

10時開始15時終了の大寄せのお茶会で、お茶席は6つ。
その中から3席を自由に選んで参加できる。
お抹茶だけでなくお煎茶も入れて、違う流派が一度に楽しめちゃう。
気軽にリーズナブルにお茶が体験できるというので人気のこの催し、どのお席もそこそこ待つので、時間配分にもちょっと気遣う。
いつもは行きたいところにまず朝一に伺ってから、あとをゆっくり回っていたのだけど、今回は最初に気楽なところから立礼のお煎茶席に行ってみた。
以前大きめなお部屋で伺ったことのある同じ先生のお席で、相変わらずお話好きな陽気な解説で楽しめた。
立礼はやはり人気で朝からかなりの列。
お庭の待ち合いは気持ちいいものの、陽射しが暑く蚊も多い(笑)
「お着物だと刺されにくくていいわね」と隣りのワンピース姿のご婦人。
なるほど〜、そういうメリットがあるのか(笑)

エアコンのきいたお部屋に15人ほどぐるりと座って、まずは1煎目。
低めの温度で小さなカワイイお茶碗に供された「甘露」という名の玉露(伊藤久右衛門)はもう甘さしか感じない。
お煎茶では1煎目の後でお菓子をいただき、その後再び2煎目が出てくる。
同じお茶なのに今度は少し苦みを感じる、べつの美味しさ。
お茶の葉の変化と、お菓子の効能。
おもしろいね。
お家元がこの日のために書かれたという色紙「掬水月在手」いいよねぇ〜
お花はワレモコウなど秋の花、お菓子は「ちょっと早いのですが」と山茶花。
そうそう、いつもは10月下旬や11月に開催されていたのに今年は早かったから
こういう季節が微妙な感じの時期、色々な設えはどのようにされるのかな〜って興味深く各お席を回った。

次に表千家で薄茶をいただく。
山茶屋という小さめの茶室はここで一番好きな場所でもあるのだけれど、お天気が良くても庭に面した障子を締めると薄暗くなる光の加減もちょっと気に入っている。
今年はいつにも増してものすごい人出で、畳には二重に、そして椅子席まで加わって大賑わい。
亭主はもの静かに淡々と点てているけれど、お客はそれぞれやりくりしてお菓子をまわしたり、空いたお皿を送ったり。
そういう時、お客のなかの慣れていらっしゃる年配の方が仕切って下さるのも、なんか気持ちよくて感心しちゃう。
正客次客以下、最初の3名が比較的若めの男性の方々。
シャツ姿だったけれど、もう亭主のお道具運び出しの時から慣れた会話がポンポンと聞こえてきて面白かった。
3年前の嵐の日、亭主はこの日と同じだったけどお正客は年配の和服の男性だった。
その時は比較的シーンとして厳格な空気が漂っていて、聞こえるのはその方のゆっくり話される落ち着いた声と外の雨風の音だけだった。
当然のことだけど、お客が変わればそれに対応する亭主の受け方も違ってくるんだね。
逆もあるのだろうけど、たぶんお客の気持ちを汲むという姿勢からいうと、お客次第、ということも多いのかなあ。
亭主、客、そして天気や空気。
そのどれかひとつでも変わると、そこからジワリと何かが溶け出すように他のすべてが共鳴して変わっていく。
そうか、だから一回一回違うのか~、なんてあったりまえのことを思いながら、お点前を拝見していた。
当日朝作っていただくという生菓子がとても美味しくて、やっと回ってきたお茶ももちろん美味しくて、和やかな空気でお席が終わった。
奥に座っていたので見えなかった床の、掛け物とお花、香合を拝見。
見慣れた「日々是好日」も書く手が変わるとまったく違ってみえる。
点前座のお道具も拝見。
大好きな棗が近くで観られて嬉しかった。
そうそう、9月は初めてだったから、今回は風炉!
案内していただいたのが椅子席だったので、がんばって復習したアレコレを使う機会は無かったものの、昨年(表千家)と今年(裏千家)、Eテレの「趣味どき!」を録画したのを繰り返し見たりしたのが意外と頭に残ってて役にたった?(ような気がする)。
気が遠くなるような積み重ねが必要なものを、全くの初心者がとりあえずお茶会にいって一通りの行動ができる!ような講座作りってスゴイよね。
今年の裏千家に限っては、お客だけじゃなく、点てる側の技術まで扱ってたのが斬新で良かった。
炭手前、茶筅を振ることや、名水点、葉蓋まで、面白かったなあ。
袱紗さばきとか、やっぱりやってみたいもんね(笑)

さて、最後のひとつはどこに伺おうか・・・
裏千家のお薄かなあ、なんて思ってたら目の前に「濃茶席」の文字。
しかも大広間で大人数でやってる。
係の方に「お濃い茶は初めてなんですが、大丈夫ですか?」と尋ねると大歓迎だということで安心して(笑)列にならぶ。
お濃い茶・・・今年こそはここで頂けたらなあと思っていた。
じつは今まで飲んだことがなく、一度飲んでみたいとずっと思っていた。
薄茶(もどき)は自分で点てられても、さすがにこれはなかなか、点ててもらう機会もないしね。
大寄席すぎて、待ち合い(お茶室のとなりの広間)ですでにお菓子が出され、全員で移動してからお茶をいただくというシステム。
とはいえ、やはりお濃い茶席、お点前を拝見するときは全員固唾を飲んで見守る。
いい具合に真ん中へんに座れたので、前の方のをゆっくり見てフムフム。
ようし、隣りの方から手渡しで回ってきたぞ〜(女性同士でも手渡しなんだね)!
うわ〜、ねっとりしてて、甘くて美味しいや!
5人で飲むことになっていたので、あとのお二人にどのくらい残すべきなのか、お茶碗が黒くて残りの量が判断しずらかったり(苦笑)
茶巾で飲み口を拭くやり方を、お隣にいらした方に尋ねてちゃんと教えていただいたり。
画面で見ていても、実際やらないとなかなかわからないねえ。
疑問だったことが解けたり、習いに行けない分こういう場で実地でプチレッスンしていただけるのは本当に嬉しい!
お琴の形の香合は萩の蒔絵で、とても可愛かった。
お軸のスッキリと力強い「心閑則為貴」の文字が、この最後のお席で心に刺さる。
いやいや、感動の初お濃い茶。
念願叶ってうれしかった。

ワタシにしてはものすごく早起きしたにもかかわらず、美味しいお菓子とお茶と、緑と人々と空気でお腹いっぱいになっちゃった。
最後にちょっと虚ろになりながら1人静かに点心をいただいてから帰路に。
着物を着ると歩く時もピンとなって気持ちいい。
今年もまた、脱ぐのが勿体なくて仕方がなかった。
来年もまた、来ることができますように。

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by saskia1217 | 2016-09-27 20:38 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217