越えて、飛んで
2012年 07月 29日
花火は下から見るのがいい。
そして本当は近くで大きな音を楽しみたい。
生まれてこのかた、隅田川の花火には一度も行ったことがない。
それどころか「花火大会」というものに行った記憶がない。
両親が人混みが嫌いだったからなのか、おまけに夕方以降に友人と外出なんてこともなかったから、「浴衣を着て友達と花火大会」なんて絵に描いたような青春とはまるっきり縁遠かった(苦笑)。
そんなわけで今年もまた、かなり遠隔の地より夜空を眺めやる。
高いところにいれば、東京の夜空はまだまだ広い。
かといって、今夜の入場券抽選予約がとんでもない競争率だったスカイツリーのような「花火より高いところ」から見るのは、私にはとても無粋に思える。
こんなに遠いちっぽけなベランダから、今年初めて成立した「スカイツリーと花火」の画を見られるのは、しかし贅沢なものだ。
東京は広い。
けれど東京じゅうに届くこの爆音の轟は、一瞬だけその東京をひとつにする。
204の小さい灯火が大きなひとつの聖火となって燃え上がった今朝のオリンピック開会式も、相変わらず涙腺を弛ませるその瞬間だった。
音と光、すべての距離と時を越えて、それは人と人を繋ぐ。
本当にひとかけらの邪心もない時と所にしか起こらないことだろうけど、
きっと本当にあるんだろう、あらゆる意味の「赤い糸」。
生きててよかった、ってそういうことなんだろう。