2011年 04月 02日
春の舞台

渋谷・セルリアンタワー能楽堂で狂言を観る。
「万作狂言会」のご出演で、「謀生種」と「花折」の2曲。
セルリアンタワーはホテルのカフェしか来たことがなく、ここに能楽堂があったこと自体、なんと6月のオペラのオファーをつい最近頂いた時に初めて知った・・・(苦笑)。
地下2階にひっそりとそして堂々と、能舞台はあった。
お能や狂言は大好きなのに、自発的に観にいくことをしていなかったなあ。
生を観るのは本当に何年ぶりだったか。
プレトークをされた早稲田の演博の館長さんが「(世の中は自粛モードでなかなか笑いが出ない状況だけれど)今日はどうぞ遠慮せずに笑って下さい」とおっしゃってた。
そして、舞台がすすんでゆくなかで、いちいち可笑しくて自然に顔がニタニタしてしまう。
客席のあちこちで、クスリクスリと笑い声。そして爆笑。
古い言葉を使っているとはいえお能みたいにガッチリ一言一句下調べしなくてもそんなに苦労せずに理解できる。
で、お話の筋そのものはごく単純な展開だし、登場人物間のやり取りなど「くだらん、じつにくだらん!」と手を打ってしまいそうな(いい意味です、もちろん)、まるで今テレビでやってる人気お笑い芸人さんの会話そのもの。
最低限の衣装や装置で演じられる動きや言葉には、必要なアクセントこそあれ特別な効果やスピードは一切ないのに、なぜこんなに楽しくて面白いんだろう。
こちらの身体から自然に笑いだけが引きだされるから、無理もないしヘンな疲れもないし、心の底から安心して笑える感じがする。
まあ、だから、より研ぎすまされた緊張感を必要とするお能と抱き合わせで演じられるようになったんだけどね。
けして刺激的なエンターテインメントではないのに、凝縮された最小限の力に全てを込める厳しさと職人芸は、さすが日本の芸能だとしみじみ。
やっぱり時々観に行きたいなあ。
お能もね。
特に「花折」で。
春に、咲く花を愛でたい気持ち。
そこで宴をひらきお酒を呑みたい気持ち。
歌って踊りたくなる気持ち。
そしてついついハメを外したい気持ち。
どこまでいっても、いつになっても、日本人て変わらないんだなあ(笑)。
上野も宴会自粛だけれど、「花を見る」という気持ちは封じ込めずに素直に花を見たらいいと思う。
ライトアップがなくても花は見られる。
花の下で考えること、花を見ている自分を感じること、花の咲く今を生きている自分を感じること。
日本人がしてきたことを感じるとき、日本人がしていくことも考えられるような気がする。
6月にはこの同じ舞台空間で、チェンバロを弾きます。
詳しくは上記↑「コンサート情報」を!