「誓いの休暇」

・・・という舞台を見に、三軒茶屋のシアタートラムに出かけた。
今や大人気の近藤良平さんのダンスのステージ。

とはいっても、小劇場に出かけるのも、近藤さんのステージを見るのも、ましてやクラシックバレエ以外の「舞踊」を見にいくのも、今日が生まれて初めて。
もちろん、そんなに有名な近藤さんのお名前すら存じあげなかった。
・・・・・2ヶ月前、時々見ているTBS「情熱大陸」でまったく偶然に、近藤さんと彼の率いるダンスカンパニー「コンドルズ」のドキュメントを見たのが、事の始まり。
最初何か他のことをしながら見ていたのだが、そのうちに吸い込まれるように見入ってしまい、10分もするとなんだかわからない素敵な気持ちに取り憑かれ、

「この人のステージ、ぜったい見る」

と勝手に決心していた。

もちろん番組では彼の踊りそのものや、練習風景とか、ご家族と一緒のプライベートタイムとか、プロジェクトが創られていく様などがとりどりに紹介されていたのだが、一番面白かったのはインタビュー。どんな会話だったのか実はよく覚えていないのだが、「ダンスはあなたにとって何ですか」というようなレポーターの質問に、近藤さんはものすごくオモシロイ表現と言葉で、実に楽しそうに「ダンス」を語っていた。にもかかわらず、その答えにリポーターは「?」「ん〜、よくわかんないですけど」という反応だったのだが、それを聞いていた私にはじつにわかりやすい、共感できるもので「うわぁ〜、それそれ!!」と、自分勝手にウキウキしてしまったのだった。
で、番組が終わらないうちにネット検索してみたら、「コンドルズ」の公演はその放映当日が最終公演終了日。残念! で、これもあまり頻繁にはないという、近藤さんのソロ公演をすぐその場で申し込んだ。

三軒茶屋なんて高校時代以来だ。世田谷線の駅に隣接した劇場付近は、何となくアートの匂いがあって素敵。
実はこのソロ公演(5回公演)、あの番組終了直後すぐに売り切れたらしい。知っている人は知っている、そうでなくても「オモシロそう」という私みたいなのが殺到したのだろう。「コンドルズ」の渋谷公会堂の公演など、4分で売り切れたこともあるという。今日も当日券で立ち見が出た。私の席は一番後ろの端から2番目。もしかしたらほんとにギリギリだったのかも。

パンフレットやチラシは各座席の上に置かれており、入り口でばさばさしないのもいい。コンサートと違って、開演前にうっすらと音楽が流れ、ステージには摩訶不思議なオブジェが照明を浴びている。いいなあ、こういうの。わくわくするよね。

1時間30分、休憩なしのソロ。ステージにのってるほうは大変だろうな〜、と思いつつも、やっぱり楽しかったな〜。満員のお客さんは、マチネーのせいもあるだろうが、実にいろんな年代、いろんな服装、家族やカップル、独りで来る人、ほんとにバラバラ。開演前は、空気が妙に張りつめることもなく、席が埋まるにつれて、やわらかで静かな期待感が広がる。何だかとっても、らく〜な感じ。

「普通に来て、普通に楽しんで、普通に帰る」
いいなあ、こういうエンターテイメント。

そう、「ダンス」を観に行く、と思っていくと、ちょっと違うかも。感覚としては「お笑い」とか「落語」を観に行く感じでいくと、とっても近いかな。踊りのステージというと、音楽以外は何も聴こえてこないのかと思ったけど、近藤さんはまずのっけからピアノを弾き、そのうちハーモニカ、ギター(これはスタッフも裏で共演していた部分も?)、アコーディオン、トイピアノ、とどんどん弾きまくり、歌も歌うし、ちょっとした吐息のようなセリフも吐く。バナナも食べるし、客席とキャッチボールまで・・・!!
がっちり振り付けされているであろう(でも即興に見えるような)ダンスに集中する場面、パントマイムのような時間、お笑い芸人のネタのような一幕、そしてひとり芝居・・・の総合ステージと言ったら、想像してもらえると思う。

真剣「なのに」オモシロい、オモシロい「のに」真剣・・・・
このステージを創るのに、きっといろんなプロセスがあって、この1時間半のうちの一瞬一瞬も
、アーティストは超真剣なのだが、それがちっとも「創った感じ」がせずに、ましてや「何かの意味を表現している」のでも「押し付ける」のでもなく、かといってピリリとした瞬間がいくつもあって、そのバランスがほどよく、すごいなあと思った。

「いいものには、人は必ず集まる」
こういうのを見ると、明日にでもコンサートしたくなるんですねぇ、私。
もう随分、純粋に自分の企画だけの演奏会をしていないけど、この気分が薄れないうちに重い腰を上げるとするか!

近藤良平さんのブログ
http://www.kondosan.com/

コンドルズのHP
http://www.condors.jp/

オマケ
会場でもらったチラシの山は舞踊、それに演劇関係ばかり。珍しくて、帰宅してから1枚1枚じっくり鑑賞。どれも美しくて面白い。そして似たようなものがあまりなく、みんな色々だ。ふだん見慣れている音楽会のチラシはどれも似たようなものが多くて、実はいつもあんまりじっくり見る気もしなかった。
もちろん「それらしい」ってことも大事だけど、それよりもっと「素敵!」ってほうが大事なんじゃあない??
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# by saskia1217 | 2005-11-13 00:53 | コンドルズ | Comments(2)

刺激

ここ数日間、緊急なデスクワークで、殆ど毎日一歩も家から出ず、おまけに食事以外は机に向かいっぱなし、というひじょ〜に不健康な日々を過ごしています。
家から出ないと、「ブログに書こ〜〜っ」っていうこともさすがに少なくなってくる。もちろんテレビやネットから情報は入ってくるし、天気とかベランダの花とか、窓から見える景色とか鳥とか、その程度のネタはあるのだが、人間、身体を動かさないと、何かの行動を起こそうとする「最初の一歩」をも失ってしまうらしい。

「今日は、数十メートル先の郵便局にいった」とか「1階にゴミ捨てに行って、郵便ポスト覗いて戻ってきた」「隣りのコンビニに牛乳買いにいった」・・・・とかいう生活は、やっぱりどう考えても良くない。
ただ、目下やるべきことがあるために、散歩に費やす時間ももったいなくて、という雁字搦め(こういう字、書くんだね〜〜。知ってましたかあ?)陥っている状況。

そんな中、今日は毎週金曜日が特売日であるスーパーに、珍しく午前中に出かけていった。スーパーに行くときはいつもリュック、プラス買い物袋という戦闘態勢で行くのだが、これは荷物を持つ負担を軽くするため。決して「戦闘」のためではない。

・・・・のであるが、特売日午前中、それも正午前のスーパーは並の状況ではなかった。なんと11時ちょうどから「きっかり」10分間だけ、「ぞろ目タイムサービス」というのをやるらしい。金曜日にここにくることは多いが、この時間に来るのは初めてだったので、そんな「イベント」をやってることはまったく知らなかった。
店内にはあの「117」の時報がスピーカーで流され、店員がメガホンで「あと3分お待ち下さい」「あと1分に迫って参りました!」と呼びかける。
「混み合いますので、決して押さないでください。レジも冷静に並んで下さい。」
各売り場でそれをやっていて、例えば「すき焼きのタレ20本限定、111円」「むきえび2パック111円」とか。

ちょうどその場に居合わせたのもラッキーだと思ったのだが、見回ってみるとどれも私には必要のないものばかり。しかも、人一人しか通れない通路に行列ができるので、自分が目指す食品の売り場に到達できない。
なんとかしろよ〜、と思いつつ、通れなくて困っているおばあちゃんたちが立ち往生していたので、「すいませ〜〜ん、あの〜、列に並ぶんじゃないので、ただ通してくれませんか〜〜〜っ!」と大声をあげ、道を作ってもらって皆で通った。は〜。
お店の人は全員そのタイムサービスに係っきりで、列以外のお客や、商品の説明を求める客などが皆後回しにされていた。なんだったんだ、あれは・・・・

やっとのことでレジを出て、満員電車の状態で荷物を詰め、這々の体で外で出た。
いや〜、いい運動にはなったなあ。
帰宅後、いつもはレジを出てすぐチェックするレシートを、そこで初めてゆっくりと見る。

あ、打ち間違い・・・・しかも高く打たれている(涙)。

こんな時に限って、だ。
やっぱり今度からは、同じ特売日でも、本来大好きな「買い物を楽しめる」時間に行こうっと。
ま、いい「刺激」にはなったかもしれないけどね・・・(溜息)。
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# by saskia1217 | 2005-11-11 23:25 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

バタバタ・・・の午後

つい最近、風邪をひいてマイナスモードに落ち込んだばかりだが、風邪よりも不愉快なインフルエンザというものがのさばる季節に、今年もどんどん近づいてきた。

ここ何年も、いや何年どころじゃあない、殆ど10年ちょっと、まあホントにバカじゃあないのか、というくらい風邪をひかなかったのだが、作冬は実に不覚にもインフルエンザに取り付かれてヒドい目にあった。前から楽しみにしていた音楽会に2つも行けず、生徒もたくさんキャンセルし、友達とも会えなくなった。3日間高熱に苦しんでからやっと行った病院の休日救急で、「ん〜、もう殆ど意味ないですけど、タミフル出しときますね〜」といわれて、がっくり。そうそう、あの特効薬は、発症48時間以内(だったっけ?)に飲むと、その回復がぐんと早くなるというやつだ。まぬけ、まぬけすぎる・・・・・・
もうあんな思いは嫌だよ〜〜〜〜。

ということで今シーズンは、インフルエンザの予防注射を受けることにした。まあ、万が一かかった場合でも、受けておくと軽くてすむらしい。勤め先の大学で格安で(って、なんかちょっと医学にとってはチープな表現・・・)受けられる、というので、1ヶ月前から申し込んでいた。
ところが、先日の風邪で受けられずに延期。じつはその前に都合で一度延期してもらっていた。
やっと、今日は受けに行ける、天気もいいしあったかいし、上野公園は気持ちいいだろうな・・・
と思って家を出たら、なんと山手線が止まっていた(泣)。

なんだか朝から静かだったのである。うちからは山手線の線路がよく見えて、窓をあけていると電車の通る音もするのだが、今日は何故か何となく回りが静かだった。朝晩はほぼ1分に1本通るっていう電車も、世界中でこの路線だけだと思うが(異常だよね?)、それが通らないと静かなのは当然の話。

しかし、今日こそは、注射を受けに行きたい!幸運にも外回りが動きだしたので、内回りで帰ってこれるかなんてことも考えずに電車に乗り込み、どうやら学校に着いた。
接種前には、体温をはかることになっている。風邪も治りすっかり元気になっていたのだが、はかってみたら何故か37度。平熱よりほぼ1度も高い。何故だ、何故なんだ!
おまけにインフルエンザの予防接種はかなり久しぶりだということもあり、接種後20分そこでおとなしくして様子を見る、ということになった。
あ〜ん、帰れないじゃないかぁ。

が、20分経ち、めでたく何事も起こらなかったので、学食にいきサンドイッチでお昼ごはん。授業のない日ということで、ジーンズにTシャツ、パーカという格好で学内をフラフラしていたら、誰も声をかけてくれず(笑)ちょっと凹む。顔見知りの学生に声をかけると皆がビックリしたのは、たしかに快感だったけどね・・・

ただ注射に行くだけだから30分くらいで帰れると思っていたら、なんと帰る頃になっても山手線内回りがまだちゃんと運転されていず、15分くらい待つ。
そして電車がなんとか動いたのをいいことに、そのまま1つ先の駅まで乗って行って、ついでにデパートで買い物。

ブーツ欲しいなあ〜なんてぼ〜っと思いながら、靴売り場を下見。なんと「ロングブーツ特設売り場」なんてものがあって、同じ様な黒いロングブーツが何十と1つところに並んでいる。どうやら一口にロングブーツといっても、今じゃいろんなタイプがあるらしい。
ふうん、なるほどねえ、と1つを手にとって眺め、それを棚に戻そうとした。しかしロングブーツってのは文字通り長いんですねえ、これが。で、かなり不安定。そのまま隣りのブーツに倒れかけ、ドミノのように10いくつの黒いロングブーツが、見事にひっくり返っていった。じつに圧巻である(苦笑)。
おまけにその最後の一足は、棚の隣りに置かれた椅子に腰掛けて、お母さんが一心不乱にブーツ選びをするのを我慢強くじっと待っていた、小学校2年生くらいの女の子の膝に上に落ちることになった。彼女がうまくキャッチしてくれたのが、これまた見事であった。

そんなわけでなんとな〜く疲れて帰宅。夜の語学学校まで、まだちょっと時間がある。お茶を飲みながらテレビをつけたら、「鳥インフルエンザ」の話題。
それは過去40年出現していない、まったく新しいウイルスの型、それもかなり強いものになる可能性が高いらしい。現時点で人間に感染している鳥インフルエンザは、死亡率が50%。もともと鳥インフルエンザだった、香港風邪やスペイン風邪、アジア風邪などは、「鳥」の段階ではもっともっと弱いものだったそうだ。それを考えると今回のものは、近い将来かなりの脅威になるという、じつに恐ろしい話を何人もの専門家が神妙な面持ちで解説していた。

おまけに新しい型のワクチンを開発するのには、その病気が出現してから少なくとも半年かかるらしいし、今のところ出現していないので、開発研究は国レベルでしか計画されていないという。つまり他の自治体ではまだそこまで予算や手がまわらないらしい。
現在インフルエンザへの唯一の特効薬であるタミフルは、世界中のなんと2割を日本が使用しているから、世界中が入手を競っている現在、どうやってこれ以上確保できるのか、ってことにもなる。タミフルはスイスのロッシュ社しか製造していず、作るのも難しいそうである。

は〜、せっかくやっとのことでインフルエンザの予防注射をしてきたのに、なんだ〜もっと怖いものがあったのか〜・・・
なんだか注射針の跡が、気のせいかまた痛くなってきたような・・・
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# by saskia1217 | 2005-11-08 02:16 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)

甘い芥子

いつかの「じゃがいも」に続いて、ドイツの代表的な食べ物のお話。
ゆうべのお夕食をご紹介!
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なんだか全体的に「しろっぽ〜い」料理ですが・・・(笑)、まさにその通り "Weisswurst"(白いソーセージ)と呼ばれるソーセージ。そしてこれは、典型的「南ドイツ」の食べ物。私にとってはとっても懐かしい味です♡
右にあるのが、ドイツから買ってきた「白ソーセージ用マスタード」いわゆる「甘い芥子 Suesser Senf」。これは「ドイツ風ソーセージ」を作っているような専門店を中心に日本全国捜したけれど手に入らず、結局ドイツから買ってきたもの。
飲み物は、仕方なく(?)家にあったブルゴーニュの赤ワイン。ほんとはヘーフェヴァイツェン Hefeweizenという南ドイツのビールがあれば、完璧だったのに・・・買い忘れたぜ。
茹でるというよりも、沸騰後にソーセージを入れてすぐ火を止め、20分くらいそのままにしておく。いただく直前にお皿にのせ、ナイフとフォークでうす〜い皮を剥いて(別にそのまま食べてもいいのだが、結構しっかりした皮で口の中に残るので、地元の人たちはふつう剥いて食べる)、甘い芥子をつけて・・・という手順。
甘い芥子↓
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このソーセージ、最近は日本でも買えるけれど、やっぱりちょっと高い(泣)。ドイツの3倍はしますかね〜。いいフランケンワインが手に入った時、美味しいドイツパンを買った時など、ど〜してもお揃いで欲しくなった時に、買いにいきます。
こんな感じでパックで売ってます。ほんとは、お肉屋さんで裸のままのを買うのが風味もいいけれど、日本ではなかなか出会えない。
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ビール、ソーセージ、じゃがいも・・・というのが、日本でまず思い出される典型的「ドイツ」の象徴だが、どこの国の場合でも同じように、たった一言ではその国全部の特徴は言い尽くせない。特にドイツのように、何においても地方分権が強い国ではなおさらだ。
各地方、各州、各街での考え方は、あくまでも「自分たちの地域」単位なのである。言語(方言)やメンタリティと同じく、食べ物もその最たるものだろう。同じ食材、例えば同じ野菜、同じ形態のパンでも、ベルリンとミュンヘンでは呼び方そのものが違うなんてことはざらである。

例えば「クラップフェン Krapfen(http://ja.wikipedia.org/wiki/クラプフェンベルリナー)」という菓子パンがある。簡単にいえば、真ん中にジャムをいれた揚げドーナツ、といったところだろうか。毎年、謝肉祭の季節に、パンやさんやお菓子屋さんでいっせいに売り出される冬の風物詩でもある。食べ物やワインなど、また雑貨でも、その季節しか売っていない、というのはドイツにはよくあることだけれど、この「揚げパン」も2月には殆ど毎日のように、通りがかりのパンやさんで揚げたてを1つだけ買って、おやつに食べたりしたものだ。時期を過ぎるとまったく目にしなくなるから、なんとなく躍起となって食べてしまうんですねえ(笑)。
こんな姿のパン↓
http://www.geocities.jp/deutschebaeckerin/KondiDE/Berliner.html

このパン、普通ドイツ一般には「ベルリナー」または「ベルリナー・プファンクーへン」と呼ばれる。が、ヴュルツブルクをはじめ南ドイツでは「クラップフェン」またはもっと訛って(笑)「クレップフェン」という。
ある年の謝肉祭の時期に仕事でベルリンへ行った時のことである。最初からこれは「クラップフェン」というものだと思っていた私は、パンやさんに入って「すいません、え〜と、クレップフェン2つください」と注文したら、「はいはい・・・・ところであなた、どっから来たの?」パンやのおばさんはちょっと笑って、そう聞いてきた。見た目ばっちり外国人が、「クレップフェン」とか訛ってたら、やっぱりなんか可笑しいんだろうな。

久しぶりにこの「白いソーセージと甘い芥子」を食べながら、自分たちの街や、地方の言葉や食べ物を、顔を上気させ、自慢げに延々と語るドイツの人たちの、それこそ「鼻高々」な微笑ましい様子を、懐かしく思い出した。
国のど真ん中に「何でもそろう、夢の大都会」があるのも素敵だけれど、「これは他のどこにもないんだぜ」「この発音は、他のやつらにゃできないさ」というのも、そこを訪れる旅人にとってはもとより、しばらく住んだだけのよそ者にとってさえ「第二の故郷」になってしまうような、じつに得難い魅力なのかもしれない。
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# by saskia1217 | 2005-11-06 23:41 | くいしんぼうメニュー | Comments(2)

響き

文化の日、いいお天気の特異日。
運動会、結婚式、展覧会・・・、わざわざ今日に計画した人たちは、ひとまずホッと胸をなでおろしたことだろう。

少し遅めに起き、豆乳を飲む。
いつもの朝と同じように、ベランダのサッシを大きく開け、なんだかちょっと紅葉してきたミントや(笑)バジリコ、まだまだ元気に赤い花をつけているゼラニウムに水をやる。
干しぶどうの入ったロールパン、はちみつを入れたカスピ海ヨーグルト、りんご、コーヒーをゆっくりと口に運んでいると、開け放った窓から突然に、高らかな鐘の音が飛び込んできた。

すぐ近所の、駅前のホテルの屋上にある、結婚式用のチャペルの鐘である。屋上にあるので、結婚式が終わって鳴らされる鐘の音は、見事に響き渡るのだ。
カ〜ンカ〜ンカ〜ン、と高めの音で、それは数分続く。
週末や祝日にはよく聴こえてくるのだが、その音を聞くと私の脳裏には反射的に、イタリアの風景が一瞬にして蘇るのだ。

教会の鐘には、じつにいろんな音があって、大まかに言えばこの結婚式場の鐘は「イタリア式」である。リストの「ラ・カンパネッラ」で聴こえる、小さめの鐘がいくつも重なるように鳴らされるタイプ。まあ、結婚式の最後に鳴らされる鐘は、どこでもたいてい速くたくさん鳴らされることになっているのだが。

14年前に初めてドイツに留学してヨーロッパの生活を始めたとき、もちろんいろいろな珍しい経験をしたのだが、中でも一番印象的な経験、文字通り身体で経験した強烈な印象は、何と言ってもこの「鐘」だった。
ドイツの教会で鳴る鐘は、殆どの場合、カンカンカンという軽いものではなくて、ド〜ンド〜ンという重くてゆっくりした音である。どの町でも大抵その中心となる広場には、役所とメインの教会があって、その広場というのは建物に囲まれているので、鐘の音はそこに共鳴し、箱のようなポケットになった広場に響き渡る。その瞬間にそこに居合わせでもしたら、まさに「五臓六腑に響き渡る」とでもいおうか、お腹の底まで震えるような不思議な感覚に襲われる。

ヴュルツブルクの街に住んでいた時、家から学校に行ったり、買い物に出かけたりするときには必ず、街の中心にあった「ドーム教会」の脇を通ったものだが、そこは裏庭のような石畳のちいさい広場になっていて、通り過ぎるだけでいつもオルガンの音が聴こえてきたりする場所だ。鐘の音というのは、毎時定時以外にも、教会の時間割によって突然鳴ったりするから、急に鳴りだすことが時々あって、最初はおもわず立ち止まって上を見上げてしまったほどだった。

鐘といえば、こんなこともあった。旅行で訪れた南ドイツの街レーゲンスブルクで、ドームシュパッツェン(ドームの雀たち)という愛称で有名な少年聖歌隊の本拠地、ドーム教会の目の前のホテルに宿をとったことがある。観光の便もいいし、広場に面していて素敵だったのだ。旅の疲れでぐったりしていた私だったが、翌朝早く、身体中を打ちのめされるような鐘の音に見事にたたき起こされたのであった(笑)。

また、カウントダウンしながらゼクト(ドイツのシャンパン)をあけ、大騒ぎして新年を迎えるドイツの大晦日には、一年に一度しか買えない花火とともに、町中の教会の鐘がいっせいに鳴らされて、それはそれは感動的だ。

大好きなヒュー・グラントの出演する映画の中でも一番のお気に入りである「フォー・ウエディング」。英国の田舎の素晴らしい景色や、ちょっとおしゃれな街の教会など、映像が美しいのも気に入っているが、この映画でも最も印象的なのは、鐘の音である。主人公が何度も招待されるそれぞれの結婚式で、毎回毎回鳴らされる早鐘は、そのたびにどきどきするような期待感と、喜びをいっぱいに表現していて、実に象徴的だ。
お葬式の時の鐘、結婚式の鐘、礼拝の鐘、それぞれに鳴らし方が決まっていて、それが国によって地方によっていろいろ特色があるのも実に面白い。

日本の大晦日に鳴らされる除夜の鐘も大好きだが、あのド〜ンド〜ンというお腹に響く教会の鐘の音が聞くことができないのは、本当はかなり寂しい。私が「ヨーロッパ」を思い起こす時、真っ先に浮かんでくるもの、そして一生忘れることの出来ない音。
雑居ビルの立ち並ぶ駅前のホテルの屋上から、1ヶ月に数回だけ、全身まるまるヨーロッパに戻してくれる、懐かしくて甘くて涙が出そうな「音のプレゼント」を、私は密かに楽しみにしている。
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# by saskia1217 | 2005-11-04 00:13 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

お菓子の日

私が大学に出講する水曜日は、ほんとに雨が多い。
気のせいではないと思う。
この7年間ずっとそう感じてきたし、研究室の助手さんたちも皆同意見だ。

今日は素晴らしいお天気、寒いというほどでもなくて陽射しが暖かく、空気そのものは少し冷たくてカラッとしている。
先週の今日、ひどい風邪を押して一日授業をしたあの水曜日は、空もどんよりして、それだけで風邪が悪化しそうな惨めな寒さだった。
天気↔気分↔体調↔仕事の内容↔人とのコミニュケーション・・・というふうに全部がリンクしているのだが、今日は特に

・・・↔お菓子

研究室にはセルフのお茶コーナーがあって、いつも熱〜く湧いているポットのお湯で日本茶や紅茶もいれられるし、コーヒーも出来ている。毎日、助手さんが準備して下さっているのだが、そこには「お菓子のかご」もあって、いつもいろんな種類のお菓子が山盛りになっている♡

大した授業もしていないのに、朝9時から始めて、午後の2コマを終えた夕方4時ころ、さすがにちょっとフニャ〜っとなってくる。どうしてもここらであったかいお茶と、ちょっとした甘いものが欲しくなる。でないと、5時からもう1コマあるレッスンに向かう元気が出ない。

今日授業を終えて戻ると、ちょうど助手さんの一人が、そのお菓子の買い出しのための「注文」を取っていて、皆はお菓子談義で盛り上がっていた。上野という土地柄、アメ横の王者「○木の菓子」などへの買い出しが多いらしい。つまり、つんとすましたお菓子ではなく、子供の頃によく見たような、どこか懐かしいお菓子が勢揃いする。ミニのおまんじゅう、チョコがかかった棒状ビスケット、ピーナッツチョコ、シンプルなおせんべい、など。
(そういえば小さい頃、デパートには巨大な円形の「回るお菓子売り場」ってありましたよねえ??あれって最近見ないけど、どうしたんだろう。あれの前に立ってると目が回って酔っちゃったものです)
すっかり嬉しくなった私は、今日のかごの中から遠慮なく何種類も試食し、「ん〜、チョコビス系は絶対お願いしますね〜」などと、いろいろ注文してしまいました・・・

お菓子コーナーには時々、民族音楽系の先生の中国からのお菓子とか、助手さんのフランス土産のおしゃれなクッキーなども並ぶ。今日は美しく色づいた柿が、いくつも山盛りになっていてびっくり。ある先生のお宅のお庭で実ったものだという。それで遠慮なく2つほど頂戴してきて、夕食のデザートにいただいたら、ほんとに素朴で美味しかった。
いい!実にいい!!うちの学校のこういうところが実に好きだ(そ、そこかぁ・・・?)。

いつもよりちょっと多めにお菓子を食べた今日、実はもうひとつ「甘い」サプライズが!
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ベルギーに旅行した方から頂いた、ベルギーのトリュフですっっ!
チョコレートには目がない私、やっぱりどうしてもチョコはヨーロッパのものが好き、特にベルギーのは最高です。日本で市販されているチョコは、カカオの含有量が大幅に少ないので、どうしてもあんまり好きになれません。

風邪もだいぶ良くなり、お天気もよくって、授業も楽しく出来たし、学生さんたちと楽しい音楽も聴けたし、いろんな人とおしゃべりできたし、ようやくマイナスモードから脱してきたらしい。
それというのも、今日いちにちの「お菓子たち」の活躍のお陰かも!

・・・・・やっぱり「食べ物」ってことね、結局・・・・・
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# by saskia1217 | 2005-11-03 00:40 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

秋に美味しいもの

・・・・はいろいろありますが、急に空気がひんやりしてくると、特にお夕飯にはあったかいものが食べたくなります。
それから、秋の食材。かぼちゃ、栗、さんま、それにキノコ・・・・
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最近は市販のシチュールーも、ただ「白いシチュー」だけとっても、「野菜シチュー」とか「クラムチャウダー」とか、なんだかいやにプロっぽく細分化していて、びっくりだ。
音楽家も、バッハの頃は皆プロは「マルチ」であって、つまり作曲家・指揮者・鍵盤奏者・管弦楽器奏者・教育者・公務員・・・を一人が担っているのが当たり前だったのが、今ではみなそれぞれ細分化されてしまっているのに似ている。
(・・・・似てるか?)

スーパーで、きのこ山盛り大バーゲンと、「きのこシチュー」とかいたルーの箱を数分差で目にすると、メーカーやスーパー小売店のターゲットとする典型的お客のような私は、「そうだ、きのこシチューにしよう!」という思考回路に、まんまとハマるのだ。(レジ前にある大福とか、目の高さの棚に置いてある特売品に、何の疑いもなく手をのばすタイプである。なんだかくやしいけど・・・)

しめじ、舞茸、しいたけ、えのき、エリンギ、全部買い込んで、ついでに鶏肉や玉葱、人参、ブロッコリーもいれて、こんなシチューをつくってみた。もう一品は、各色パプリカ、スナップエンドウ、トマトのバルサミコサラダ。それにトースト。(勢いあまってシチューの盛りつけが醜くなってしまいました、ごめんなさい)
こんなご飯が食べられるのも、これから寒くなる秋冬の大きな楽しみのひとつである。
あったまって、さあ明日もがんばろう!
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# by saskia1217 | 2005-11-01 00:43 | くいしんぼうメニュー | Comments(5)

気のもちよう

いくら思うままを書いているとはいっても、前回のブログはさすがにちょっと暗すぎた(笑)。
でもここ1〜2週間、どうも鬱々した気分から抜けきれないのは確かで、そういうときは無理に抜け出そうと思っても絶対にうまくいかない。どちらかというと、次から次へと脈絡もなく湧いてくる嫌な気分やペシミスティックな思いを、行き着くところまで思いっきり進展させる。で、

うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ
(進化しないこのパターン・・・)

っていうところまで、一度壊してしまうと、結構そこでリセットできたりする。

少し気分が治ってくると、ちょっとその原因の一部がわかってきたりする。
今回は、風邪をひいたことが原因のひとつであることは確かだ。
人間ちょっとでも病気になると、そりゃもう人が変わったように弱ってしまう。(私はそうらしい)
普段は結構何にでも立ち向かえるタイプだが、あまり病気をしないせいもあって、風邪なんかひくと、いきなりいろんなことが不安になる。
人間、例えば足の小指の先をちょっとぶつけてひどく痛むような時、たかが足の小指だけの問題なのに、それだけが原因でその日1日中仕事がうまくいかなかったりするものだ。
「病も気から」だけれど、「気は病(健康)から」とも言えるんだな、これが。

今流行っている風邪は、やはりかなり治りが遅いらしい。かなり元気になったのに、まだ何となく調子が戻らない。そんなわけで今朝も起きられず、礼拝に今までにないほど思いっきり遅刻した(具体的にいうと、すでに説教の途中だった・・・ごめんなさい)。
でも午後から礼拝堂で、武久源造さんのオルガンの演奏会があったので、やっぱり出かけようとちょっと無理して支度をし家を出た。

じつは体調の悪い時に長時間オルガンを聴くのは、なかなか辛いものがある。名演奏なのに、身体が生理的に音を受け付けないのだ。だから今日もあんまり自信がなかった。武久さんはいつも、とても意欲的なプログラムをエネルギッシュに演奏される方だ。せっかくなら、それだけのものを全部受け取れるだけの状況で臨みたいし、それが演奏家に対しての礼儀でもあるだろう。

いつも自分が弾いているオルガンを、1階席で聴くのはやはり新鮮だった。ブクステフーデ、バッハから、メンデルスゾーン、ブラームスまで色合い豊かなプロを、武久さんはバルコニー席の暑さと戦いながら最後まで実に誠実に弾き切られた。
最近はなかなか、友人のものでさえ、音楽会に出かけることが少なくなった。同業者の演奏会を聴きにいくことは皆無に近い。

でもやっぱり音楽会っていいものだ。どんな状態で行ったとしても、きっと何かいいことがある。
鬱々状態を、もはや自分の力ではどうしようもないとほっておく時、それを元の状態に戻してくれる外界からの力として、音楽はやっぱり数少ない友達の一人なのかもしれない。
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# by saskia1217 | 2005-10-31 00:22 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

逃避

転地療養、というほどでもないが、ずっと東京から出ないでいると、ほとほと「遠くへいきたく」なる。もしかしたら本当に「療養」しに行った方がいいのではないかと、自分で思うことも最近は多い。

「あ"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっ!!!!」

って感じである。
(わかってもらえるかなぁ)

日々、大した事件は起こらなくても、大人として自立して毎日を生活してゆくって、実はほんとに大変なことだとつくづく思う。それなりに仕事をして、食事をして、人と会って、テレビを見て、寝て・・・の中のここかしこにも、もちろん幸せはあるけれど。
子供のころは、誰かがきっと助けてくれたし、慰めてもくれたし、知恵も貸してくれた。というよりも、もっと甘いことに、嫌なことや大変なことは代わりにやってもらえたりした。
要するに完全に守られていたんだなあ、なんて、この歳になってつくづく思う。そのかわりに手にいれた「自由」と天秤にかけることは無理としても、この「安心感」が時々とても懐かしくなる。

そんな感じでどよ〜んとしていたら、さっき「報道ステーション」で、美しく紅葉した知床を、モーター付きのグライダーで撮影するすごいカメラマンの撮った映像を偶然見た。
あまりにも、あ、ま、り、に、も、美しくて、涙が出た。
こういう映像にはひじょ〜に弱い。

行って見たいところはたくさんある。世界中で、となると中東から南の島まで、結構な数になるだろう。そのお話はまた今度するとして、国内ならこの「知床」は行きたい場所トップスリーに入る。
他には、山口県「秋芳洞」。ここは小学生の頃からいってみたいと思っているのに、じつはまだ行っていない。たしか本かテレビで見たのだろう、えらく感激したことを覚えている。「鍾乳洞フェチ」の私にはたまらない地形だ
ほんとに自分の足であそこを歩いてみたい。地上の「秋吉台」の草原も歩きたいな〜。
(ちなみに私はほんと〜に洞窟が大好きで、富士山の氷穴とか風穴とかもお気に入りである。ついでに、世界遺産「シュコツィアン洞窟群」は夢の夢である。)
国内でもうひとつ上げるなら、阿蘇もいってみたい。これも映像でしか見たことがない。

海外に較べればずっと簡単に、ちょっと思い立ったらすぐ行けそうなのに、行けないものだなあ。近いうちに、このどこかには本当に出かけようかと思う。
知床はきっとまだ人が一杯だろうな、もうちょっと「世界遺産」ブームが去ってからのほうがいいかもしれない。
・・・なんて言ってると、また行きそびれるような・・・・
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# by saskia1217 | 2005-10-28 23:33 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(3)

風邪の功名・・・

先週はなんだかバタバタしていて、おまけに滅多にひかない風邪をひいてしまった。
週末には日本音楽学会の全国大会があり、まぁ発表することもなくただ聞くだけの私は何も大変なことはないのだが、痛い喉をかかえたまま朝から晩まで難しい話を聞いていたせいか(?)、今週になってもなかなか良くならないでいた。

何故だかわからないが、市販の風邪薬が全く効かないことがある。ゆっくり休まないのがいけないのか、以前の回復力がもはやないのか(悲)、よくわからないが、あまりにも効果がないので、これもまず滅多にいかない医者に行くことにした。

ここに引っ越して以来、いわゆる近所の病院を開拓したことがまったくなかった。本当はホームドクターといえる内科系の医者を決めておくと、何かのときに心配ないし、大きな病院にもすぐ紹介してもらえる。ところが元来病気をしないことと、風邪くらいで医者にいったことがなかったせいか、そんな医者を捜すこともしていなかった。

昨冬、不本意にも急にインフルエンザに見舞われひどい目にあったのだが、その時は週末だったこともあって、近くの都立病院の救急へかけこんだ。そこには以前も整形外科の救急でお世話になったことがあったのだが(リサイタル4日前に、過労で首と肩が動かなくなった)、最近ではこういう大きな病院は本来すべて紹介制である。そういうところはたとえ診察券があっても、なかなかすぐ行ってすぐ診てくれるというふうにはいかない。

で、うちから徒歩1分という内科を訪ねた。清潔で明るい待合室には、鳥の声のCDが流れていてとても快適である。予防接種のポスターやカレンダーに混じって、壁には大きいなステージ写真が飾られているのが目に入った。文化会館大ホール、オケと大合唱団が映っている。そしてその横には「当院長は○月○日、××合唱団の演奏会に出演いたします。チケット承ります。」とある。なるほど、ここにも音楽(合唱)マニアのお医者さんが・・・・何故だか、それだけでちょっと親近感を持ってしまった(笑)。

喉にルゴールを塗ってもらって、無事薬も出していただいて帰宅。さすがにお医者さんでもらった薬はすぐ効くようで、ずいぶん楽になった。

手軽に訪ねられるお医者さんが見つかった以外に、風邪をひいてよかったことがもうひとつ。
それは「風邪用の入浴剤」が使えること!(・・・喜ぶヤツがあるか!)
入浴剤は大好きで、普段からいろいろ使っている。最近は日本でも欧米からの輸入品や、国内の温泉成分が入ったものなど種類もいろいろあって、ほんとに楽しい。
中でも、ドイツの「クナイプ」というメーカーは日本でも有名だが、この本社及び工場は、私が7年間暮らしたヴュルツブルクという町にある。べつにそれでひいきしているわけでもないのだが、このメーカーの入浴剤は私の一押しである。

ヨーロッパの他の国のことはよくわからないが、ドイツでは「風邪をひいたときはお風呂に入る」のである。日本ではそんなこと言語道断なのが昔からの常識だろう。それは伝統的にみて浴室という場所が、すきま風も入りやすく寒いという日本特有の家屋の特徴からきているのかもしれない。今でこそ浴室暖房やあったかい脱衣室が珍しくなくなったけれど。
ところが普段あまり湯船に浸からないドイツでは、風邪をひいたときこそ薬草成分いっぱいの入浴剤をいれたお風呂で暖まって(大抵は35~38度で20分ほど)、蒸気で乾燥をふせぎ、呼吸などの循環を良くし、喉や鼻をすっきりさせて寝る、という発想なのだ。
北海道などと同じで、ドイツでは屋外は極寒でも家の中は普通はどこでも暖かい。だから、湯冷めすることもないし、そのまま寝てしまえば大丈夫なのである。

お気に入りの入浴剤のいろいろ。
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そんなわけで、そう頻繁に渡欧することもないのだが、行ったときは必ずこういう入浴剤を買ってくることにしている。
写真は左から、クナイプのBadesalz(メリッサの香り)、これは日本でも買える塩状のもので、お湯に溶かして使う。このフレーバーは心を安らげリラックスさせる効果もある。
真ん中が同じクナイプの「風邪用バスオイル」、ユーカリを中心にした成分で、ミントの香り。一番右は、クナイプと双璧をなすメーカー「テテセプト」の「リラックス入浴剤」。これももちろんすべて自然の薬効満載。
右2つはBadeoelというタイプでいわゆるオイルで少しぬるぬる感があるため、もしかしたら浴槽にはそんなに良くないのかもしれない。でも香りはオイルタイプのほうが断然いいし、肌への効果もいい気がするが、残念ながら同じクナイプでも日本でオイルタイプを見つけるのは結構難しい。そしてこの「風邪用」は今まで、日本で売られているのを見たことがない。
浴室がいくら暖かくなっても、「風邪ひいたらお風呂」という考えは、さすがにここ日本では浸透しないのかもしれない・・・

たかが「入浴剤」と思うかもしれないが、これらは本当に薬と同じくらいのきちんとした成分が含まれるようで(もちろん自然のものですが)、用途を間違えるとてきめんに逆効果になってしまって危険なので、使われる方は気をつけた方がいい。
「気分を高め、元気をつける」入浴剤を、疲れて仕事から帰った時に使ったりすると、ドキドキして寝られなくなったり、のぼせて倒れたりするから、笑えない(実体験)。

だからせっかく買ってきても、風邪をひかなければ使えない、それが「風邪用入浴剤」。
このいい香りの入浴剤は使いたいけど、それでも風邪をひくのは嫌だな〜、やっぱり。
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# by saskia1217 | 2005-10-27 15:45 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(4)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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