<   2016年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

三島な音と動き〜近藤良平&坂東扇菊「縞」(三島由紀夫・近代能楽集「弱法師」より)

近藤良平さん&坂東扇菊さんによる公演「縞」(三島由紀夫「近代能楽集「弱法師」より)を観る。

表参道の銕仙会能楽堂は30年ほど前、私が生まれて初めてお能を観た場所。
浅見真州さんの舞台、懐かしい空間。

観てよかった。
今まで近藤さんの舞台で私が拝見したことのなかったジャンルの作品。
近藤さんのまた違った一面を目の当たりに出来ていろんな発見があった。

三島には疎い私、大した予備知識もなく体験した舞台だったけど、シリアスかつコンテンポラリーかつ痛々しく生々しい身体とシーンの重なり。

静寂と闇とゆっくりな動きから、緊張、緊迫、閉塞感を課される前半。
後半は唐突で速い、暴力的な動きが矢継ぎ早に続き、観客の心臓の鼓動も速くなる。
三島原作のセリフがそのまま声になり演じられるラスト近く。
作品開始からラストに向かって大きなアッチェレランド。

外の音がかなり筒抜けな会場、SEなのか外部の音なのかわからない瞬間が何度か。
冒頭、虫の音に混じる風のような音。
後半、切迫したシーンで聞こえてきた、青山通りの救急車のサイレン…奇しくもまるでSEのような。
終始近藤さんのつく杖が、中身が空洞でよく響く能舞台に強く、ときには微かに響く音が印象的だったな。

出演者が2人なので、半進行やユニゾンでは自ずからお二人の動きを比較して観てしまう。
男性女性、身長差とは別に、お二人がベースにしている動き方?…舞踊のそれぞれの「香り」がチラリと垣間見えたりするのが、当然のことながら面白かった。

日本舞踊の歩みでありながら、登場直後には能舞台の作法である柱間の斜めの移動が美しくなされていたり。
目付け柱に絡まった近藤さんの手指の置き方とカタチが蔦のように美しかったこととか。

音楽を担当した四家卯大さんのチェロは、開始からラストまでを、大きなアッチェレランドというよりも、大きなアラルガンドというのか、1つの大きな広がりとして機能していた印象。
鈴の音も絶妙で。
チェロで奏されたのは、開放弦も多い、(意図的か無意識か?)Cが基調になった音の散らばり。
最初もCベースで始まり、音型は違うけどラストもそこに回帰していた。
きっかけ以外はほぼ即興に聞こえる。
ああいう場合、作品中の音の分量をあらかじめ俯瞰的に計画するのは難しい面もあると思うのだけど、多すぎず少なすぎず、静寂の多さを逆手にとったような、ちょうど平面を占める白黒の割合が一瞬で逆になるような…
バランスの良さが光ってました。

幕切れに揚幕奥から突然に差し込まれた、能舞台には不似合いな赤い照明。
「夕日を見た」「見ない」「見える」「見えない」と
原作中のキーワードになっていた「夕日」なのだろうけれど
その光をみたときに咄嗟に脳裏に浮かんだのが、この詞とメロディー

「ああうち仰ぐ空のかなたに
きらりと光る夕陽あり
俺はこのため生きていた
ドブの夕陽を見るために」
(エレファントカシマシ「偶成」)

落日を拝むと極楽に行ける、という信仰(日想観)があったそうだけれど
このお能も、そのダンスヴァージョンも、エレカシの詞も、それとまったく無関係でもない気がする
なんてね

じつは高校の後輩で、当時学内唯一のチェロ専攻だったため、在学中事あるごとにさんざんこき使った思い出しかない卯大くん…😅
30年以上経ち今や各方面で大活躍の彼の記憶からは私は当然消えているかと思いきや、楽屋を訪ねるとちゃんと覚えてくださってました(笑)
というわけで貴重なスリーショット!

んー
三島、ホントに未開の領域だが、やはり一度は踏み入ってみるべきだろうか…

e0081334_234399.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2016-06-26 00:46 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

優しく支えて・・・コンドルズ埼玉公演2016「LOVE ME TenDER」

e0081334_1493499.jpg

LOVE ME TenDER
ラブ・ミー・テンダー
優しく愛して

ラスト前の「群舞」・・・いや、「舞」じゃないな
幕が開いてから何度か目にしてきたその動き
無音、ブラックの空間のなか、いくつものペアになって向き合ったメンバーたちの手と手が上下に触れ合う、それだけの動き
結講難しいはずなのに、どのペアも当然のように滑らかに、優しく、確実に手が手を捉えていた
それだけで、彼らのなかに流れているものが、わかったような気がした
相手があること、自分がいること、信頼すること、委ねること、返すこと

そこに「Love me tender」が流れてくる
そのままだったら、たぶんみんな泣く
泣くだろうよ〜、と思った瞬間にメンバーの誰かが人名を叫ぶ
ジャニス・ジョプリン、フレディ・マーキュリー、マイケル・ジャクソン、デヴィッド・ボウイ、エルビス・プレスリー・・・
気づくと、それは全てこの世には居ない人ばかり
その生声が曲にかぶるのが、なんだかコンドルズらしい「照れかくし」のようにも思えて
ただの「感傷」にならない、という現象がわざとなのか偶然なのかわからないのも、コンドルズらしい
だけど
プレスリーの甘い声が響いていた時間そのものは、たぶんそんなに短くはなかったのに、電車に乗り食事をし町を歩き家に帰った何時間後の今も、その声が耳から離れない
あの優しい動きと共に

彩の国さいたま芸術劇場でのコンドルズ公演が、10回目になった
仕事で海外に居た一昨年の「ひまわり」を映像で観た以外は、全て舞台を観てきた
本公演でもそうなのだろうけれど、コンドルズが10年というスパンでどういう姿に・・・じわじわと、にじにじと、むにゅむにゅと変わってきたのか、が一番よく感じられたのが、今年の作品だった気がする

今日は、あまり笑わなかったような気がしている
コントや人形劇でクスッと面白かったシーンはいっぱいあったのに、ぜんぶを観終えたとき、微笑むというよりも目を閉じていたかった
激しいダンスもあったのに、観ている私の身体は、最初から最後までずっと弛んだままで、リラックスしていたのも不思議だった

冒頭のダンスで流れた音楽が、コンドルズのずっとずっと昔の作品に使われていた曲で、オープニングはなんかもうノスタルジーに包まれていたのだけど、一番好きだったのはそのすぐ後の群舞
曲はプリンスだったそうだけど、今までのコンドルズにはあんまり無かったような動き?
そう、ゆっくりだし・・・というか「速くない」
うまく言えないけど、よく見るようなどこかで見たような、ありふれたような
…でも繋げて見てるとキテレツで、一人で踊ると普通にスタイリッシュみたいなのを16人が同時にやるのがなんかスゴくて
よかったなあ、あのダンスは

相変わらず美しく、素晴らしく練り抜かれた照明の見事さ
虹色の光は、冒頭に合わさったときは強烈だったけど、ラストにいくほどものすごく柔らかくなっていったような印象
近藤さんソロの上手からのシマシマも、クッキリしているのに柔らかい

この作品の全てが、速・力・強というよりも、温・大・柔・・・
包容力、と言ってしまうとそれはちょっとガサガサしすぎ

「ひ・と・り・は・い・や・だ…」
近藤さんがソロの踊り出しで声にしたもの
笑いは起きたけれど
私は不思議と笑えなかった
いまここに、じゃなくて
大きな、大きな世界のなかでのこと

もう、
LOVE ME TENDER
という言葉さえも必要なく
後ろから優しく、そっと、でもしっかりと支えられて
安心して目を閉じた
そして、背中を支えてくれたと同時に
少しだけ前に押しやってくれたような

いろいろあるけど
もうダメかと思ったけど
よくわかんないんだけど
なんか大丈夫な気が
まだやっていけそうな気がした

タイトルが、こんなにも作品ぜんぶの世界にピッタリ重なっていたのも
ちょっと無かった気がしている
結局ちょっぴりキュンとしてフラフラした足どりで劇場を出たワタシを
今度はシトシトした雨が
あたたかく包み込んでくれた

箱入り主婦…
よかったなぁ〜😑
e0081334_1502721.jpg

e0081334_151125.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2016-06-20 01:51 | コンドルズ | Comments(0)

ノケモノ

e0081334_21141497.jpg

KKP「ノケモノノケモノ」DVD鑑賞
いまさら〜😅

久しぶりにみるKKPは
1/3くらい観たところで
相変わらず教訓くさいなーとか思いつつ😑
シリアスさに客が身動きとれなくなるのを、わざわざ回避しようとする作業なのか
途中ちょいちょい挟まる「オマケ」は正直早送りしたくなりつつ😑
賢太郎さん、やっぱりこれズーラシアとかで思いついちゃったんだろーか、とか

最後まで観たら
思ったよりヘビーになりすぎてなかったのは
賢太郎さんが少し歳をとったせいかなー
とか思ったり
サッパリめのいい話じゃないのー?

そういえば6/26は「賢太郎テレビ」ですね
正直あんまり期待してないのだけど
やっぱり賢太郎さん…
テレビの人じゃない気がする


音尾さん、初めて観たのですが
いい役者さんですね
[PR]
by saskia1217 | 2016-06-17 21:12 | ラーメンズ | Comments(0)

バロックも超えた画家

e0081334_17295617.jpg

色々と予定変更でもう行けないなぁと諦めていたカラヴァッジョ展。
急遽空いた時間に滑り込みセーフ!

人を殺めて追われ、逃亡生活の末異郷で果てる…
あの時代のイタリアの芸術家では時々ある😱そんなエピソードも手伝ってか
閉幕間近の会場はかなりの人出だけど、中に入ってしまえば絵はちゃんと見られたからよかった!

カラヴァッジョとその同時代の画家たち、そしてカラヴァジェスキたちの作品。
話題作品、著名作品の前には4〜5重の人垣だが、前へ後ろへうまいことスルスル移動しながら1時間半ほどでサクッと鑑賞。
例によってリュートやヴァイオリン、スピネットなどの楽器や、「合奏」「聖チェチーリア」を扱ったものも多し。
心に残った絵をもいちど見に引き返してから会場を後に。

「宗教画」といわれるものの中で一番好きなのが「エマオの晩餐」を描いたもの、
そして数あるエマオの絵のなかで一番好きなのが、このカラヴァッジョのもの。
どの絵が来ているのか調べずに行ったので、目の前にこの絵が開けたときは息を飲んだ。
何年前だろう、この絵とはミラノのブレラ美術館で一度会っている。都会のど真ん中にひっそりと隠されたような静謐で小さな美術館、大好きなあの空間からまたやってきたこの絵。
やっぱりいい。
あまりの驚きに机をガシッと掴む瞬間の弟子の両手、後ろ姿で表情は見えないけれど、のけぞり固まっているもう1人の弟子。
キリストがパンを割く乾いた音さえ、聞こえてくるよう。

人物をわざとボンヤリ描き静物の鮮やかさとリアリティがクッキリ前面に浮き出て見える「果物籠を持つ少年」

もともと描いていた十字架や仔羊を後に自ら取り除いた「洗礼者聖ヨハネ」の、まるでそのへんの街を歩いている青年のような、自分の友人にいそうな、不思議な親近感

やっぱり、行ってよかった💕
明後日12日(日)まで@上野・西洋美術館
今日明日は20時まで!

んー
あと
帽子とリュックは…やめようよ、展覧会場では。
日本の美術館では注意されないのねー😥
むー
e0081334_17295642.jpg


[PR]
by saskia1217 | 2016-06-10 17:27 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(1)

踊ってみたら…みたよ!

e0081334_2291635.jpg


9年ぶりの自主企画リサイタル「踊ってみたら」昨夜無事に終了しました。

日本では珍しく楽器の乾燥を心配するほどのカラッと晴れた爽やかな空と、遠くから近くからお忙しいなかお運び下さった98人のお客様に恵まれて、楽しくまたスリリングに弾ききることが出来ました。
本当にありがとうございました!

終演後会いにきて下さった方、たくさんのコメントをありがとうございます。
じかにお聞きする感想は新鮮にまた真摯に響き、とてもありがたく思いました。
また直接ご挨拶できず失礼してしまった皆様にも、ご多忙中のご来聴に心より御礼申し上げます。
アンケートやメールでのご感想も嬉しく拝見しております。

本番はいつでも、60%も出せたら奇跡です。
昨夜がどのくらいだったのか自分ではまだよくわかりませんが、一番印象的だったのは間近に感じるお客様の笑顔、共感の頷き、あたたかい拍手でした。
コンサートのすべての時間を、その力に支えられてご一緒に過ごせましたことを、本当に嬉しくありがたく思っております。

マネージメントを担当してくださったオフィスアルシュ様、楽器のみならず照明空調ステマネすべて担当してくださった梅岡俊彦さん、そして昨年の準備段階から細かい打ち合わせを重ねて素敵なチラシ、当日パンフレット、ポップなどを制作してくださった安田有吾さんに、もう一度心からの感謝をお贈りします。

聴いてくださる方がいればこその音楽家、演奏家です。
ほんの2時間でしたが時間と空間を共有できたご縁と、皆様の心に小さな火を灯せたことを祈りつつ。

またお会いできますように!
e0081334_230246.jpg

e0081334_2305836.jpg
e0081334_2304071.jpg

e0081334_2402116.jpg

e0081334_2321640.jpg

e0081334_2323033.jpg

e0081334_232425.jpg

e0081334_2325198.jpg


学生時代からの相棒・チェリスト西澤央子さんと。
大学でのレッスンから駆けつけてくれました。
もはやホンネしか言わない旧友からの「胸がいっぱいになった」は宝物のような言葉。
e0081334_23350100.jpg

能楽堂オペラで一緒にヨーロッパを旅した、アルトの高橋ちはるさんと。
e0081334_2345016.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2016-06-05 01:57 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
プロフィール
コンサート・スケジュール
チェンバロ教室のご案内
感じろ、考えろ、思え!
エレファントカシマシ
コンドルズ
ラーメンズ
曽我部恵一さん
くいしんぼうメニュー
お薦めレビュー♡
このブログのご先祖

ライフログ


夢を追う旅人(初回限定盤)(DVD付)


Music of the Couperins


NHK 趣味どきっ!(火曜) お寺の知恵拝借 2016年 8月~9月 [雑誌] (NHKテキスト)


正法眼蔵(一)全訳注 (講談社学術文庫)


典座教訓・赴粥飯法 (講談社学術文庫)


わが家の仏教・仏事としきたり 曹洞宗 (大きな活字でわかりやすい!)


茶席で役立つ禅語ハンドブック

お気に入り♡リンク集

最新のコメント

雪虫さま 記事をお..
by saskia1217 at 19:20
はじめまして、コメントさ..
by 雪虫 at 10:28
take様 コメントを..
by saskia1217 at 02:05
福井在住のものです。地元..
by take at 23:49
コメント、ありがとうござ..
by saskia1217 at 20:51

以前の記事

2017年 12月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
more...

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
アーティスト

画像一覧