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目眩

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もう先週のことだけれど、日展を観に国立新美術館に行った。
「書」部門だけをみた。
それだけでも結講な数だ。

字と字の渦の中をゆっくりと歩きながら、全ての作品と著者名に目を配った。
こんなにもたくさん、書をやる人がいるんだ、というのがともかくの印象。
ご案内をいただいたお友達の、じつに清々しく美しい作品などを特にゆっくり拝見してから、またぐるりと逆戻りしたり、ウロウロしたり。
一応全部をみた。

細いもの、太いもの、大きなもの、小さなもの、漢字、平仮名、中国っぽいもの、フォントみたいなもの。
赤い紙、金色の紙、銀色の紙、オレンジの紙・・・
う〜ん、やっぱり白い紙が好きかなあ。
あまりに作品が多すぎて、クラクラ、ぐるぐる、フラフラと目眩さえしてくる。

好きな字は時々あったし、一つ一つの作品はそれぞれ、美しかったり、力強かったり、繊細だったり、バランスが見事だったり…
書いた方がどれほど心を配って書かれたか、思いをはせる。
それでも素人には、いくつかの形式に分類された膨大な作品たちは、その形式の違い以外はどれも同じように見えてしまう。
どうしても「形式」があり「決まりの上」で書かれているからそうなのだろうか。
そこにはきっと「独自のなにか」があるのだろうけれど、素人にはそれがさっぱりわからない。
なかにはちょっと独自な感じのものもあったけれど、「唯一無二」かつ足を止めさせられるように惹き付けられるものはなかなか無かった。
結局、すべてはいくつかのタイプに分類されるのだろうか。
そのどれにも属さないものはここには無いようだった。
お友達の作品はもちろん、素晴らしく、好きだったのだけれど。

たぶん。
演奏と同じで、そのあたりの「わかる」「わからない」が、判断、評価につながるのだろうな。
それはそれ。
それは当然の話。
それがなければ、そのモノの世界は築けない。
そして、それとまた別のところにも、ココロを動かすモノの存在があって、それを感じる人は自由にその身いっぱいに受ければいいのだ。

ひとつひとつの作品の前に佇んでメモをとってゆく若い人の姿や、作品の作者なのか、スーツの胸にリボンを付けた貫禄ある男性のミニ解説のツァーをウンウンと頷きながら聞く人たち、入賞作品や重鎮の方々とおぼしき作者の作品の前にズラリと並んであれこれと評価を語る人たち、ガラスケースの一角の小さく繊細な作品のまわりに頭を寄せて集まり、お国言葉で身内であろう作者を褒め合う人たち・・・
公募のこの大きな展覧会は、作品をというよりも、それを観に全国から集まっていた種々雑多な人たちを見ているのがとても面白かった。

作品のなかにはいくつか、作者名を記したプレートに小さな黒いリボンが付けられているものがあった。
「遺作」
そうか、残るんだ。
残るものの幸いと、残らないものの辛さ。
永遠の時間を許されるものの苦しさと、一瞬で彼方に消え去るものの気楽さ。
どちらも残酷で、どちらも尊い。
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by saskia1217 | 2015-11-30 22:58 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

永遠の道連れ〜エレファントカシマシ・RAINBOW ツァー in 豊洲PIT〜

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もう、ほんとうに・・・「愛すべき今日」に。
そして「あなたへ」言いたい。
この世はやっぱり「RAINBOW」だと。

ドンヨリしたりウンザリしたりの旅で、悲しみの果てにファイティングマンに再び変身させてくれる人。
そんな人は何人もいない。
何度も何度も、そんなおなじようなコトばかり書いている、ライブのあと。

この水曜にエレカシが3年半ぶりにリリースした「RAINBOW」、そのままの勢いで翌日アルバムツァーが東京からスタート。
豊洲PITは初めて行ったけど、あーこないだマツコさんが夜徘徊してたスポーツセンターの隣りね!
3000人収容でハコは横長。1階のみのワンフロア。ZEPPほど段差はないけど、真ん中、後ろと僅かに段あり。
もう数年前に「前のほうでぐしゃぐしゃになって」聴くファーゼは終わったので(笑)、後ろのセンターで。
お客さんは殆どギッシリ状態。冷房があまりきつくなかったせいか、ライブ後半でかなり暑く、それほど動いていなかったのに汗だくになった。途中気分が悪くなった人がいたらしく、ステージの宮本さんも「早めに係の人に言って下さいね!」と気遣っていた。

アルバムツァーなので、もちろんアルバム曲を全て敷き詰め、その合間に9曲が縫い込んである。
アンコールは過去の曲から2曲。
アルバム曲はほぼ収録順で、やはりこだわりがあるんだなーと。

登場とともに、熱いファンの怒号のような呼びかけが起こる中「うつらうつら」でじっくりと始まる。
この日ずっと聴いていて、この会場、もしかしたらあんまり音は良くない??
ZEPPや後楽園のほうがいいような気が・・・。
PAの加減かもしれない。
音が全体的にうすーく聴こえた。
で、バンドの音のほうが大きくて、あれほどヴォーカルマイクを上げさせる宮本さんには珍しく、歌がかき消されることが結講あったのが残念。
後ろで聴いたせいかもしれないけど。

宮本さんの声は(このところのご多忙のせいか)ところどころ擦れることもあったけど、でも以前に比べたらやっぱり断然、ツヤもあるし高音もばっちり出るし、聴いててすごく安心満足感激。
タバコって・・・・ほんとうに声に悪いんだなあ(苦笑)。

「一万回目の旅のはじまり」、これからだんだん寒く、冬に向かうこの季節に「扉」は最高に相応しいアルバムだ。
この日は特に、トミのドラムが冴えてた気がする。
気合いもすごいし、音も届くし、捌きがもう、まぶしい。ほんとにいい音だったな。

アルバム曲はライブで既に聴いていた何曲かを除いて、前日からしか聴いていなかったけれど、やっぱりライブで聴くといろんな変身ぶりがオモシロイ。
特に宮本さんがコーラス部分をどう振り分けて歌うのか、どこを捨ててどこを拾うのか、ストリングスやホーンセクションはキーボードやキカイでどう変わるのか・・・
この日のキーボードは今回のアルバムの立役者、村山☆潤さん。
佇まいは緊張感もあってか控えめ、けれど終始チカラを尽くしている熱気があった。
技術的なことはよくわからないけど、チョイスする音色がたぶん村山さんテイストというか、我々が聞き慣れた他のキーボーディスト、アレンジャーさんたちと当たり前だが全く違って、いいとか悪いとか、しかも私は好き嫌いとかでもなく、とっても気持ちがいい演奏だったなあと思う。
ご自分がプロデュースした「TEKUMAKUMAYAKON」や「RAINBOW」その他どれも迫力もあって、ハーモニーとリズムに個性があったな。
リズム・・・が特に濃い感じがする。
村山さんのツイートを先日偶然目にしたのだけど、「自分が参加したこと、出来上がった音に賛否両論あるのは分かってる」とおっしゃっていて、まあそれはプロとして当然だけれど、その覚悟と心意気はとても尊いと思った。でなければ、エレカシみたいな人たちと丁々発止なんてとてもじゃないけど出来ないと思うな。だいぶ歳上の人たちのなかに、望まれたとはいえボーンと入っていく、おまけにプロデュースを任される・・のはどんなに光栄で嬉しくて恐ろしいことだろう。
レコーディングに際しての逸話からも、一緒に仕事をするとなったら同等にやりあう、というのか、ご自分の意見も音楽もはっきりと打ち出されていたご様子にとても感銘をうけた。
エレカシが今、村山さんに出会えてよかったと私は思う。今まで見たことのなかったエレカシを見せてくれたから。これからしばらくはまた共演されるのだろうけれど、この関係もどんな感じになっていくのか期待大ですね。
結成30周年を迎えてなお、これからまた新しいこともどんどんやってゆくエレカシの勇気と決断に尊敬。
これからもきっと彼らはいろんな年齢のいろんなタイプのアーティストと組んでゆくことになるのだろう。その時々のエレカシのベストを引き出してくれる、様々な側面をみせてくれる、それが楽しみでならない。

「3210」から「RAINBOW」の転換は照明も含めて素晴らしく、これはもうたぶん「してやったり」という感じだったろう。
序盤に置いたにもかかわらず「RAINBOW」は相変わらず息がキツそうだ。
けど素晴らしかったよ。
「昨日よ」や「Under the sky」の細め設定の声やファルセットは、ライブで聴くともうゾクゾクするくらい綺麗で、宮本さんの声の種類だけでもう、虹色どころじゃないなーと。
「シナリオどおり」は暗めの照明のなか、シルエットに近い姿で4人(ベース、ギター3人)が仁王立ちしている姿はすごくかっこいい。
聞き慣れた曲たちもやっぱりライブであらためて聴くと魅力倍増。
「あなたへ」はちょっとうるっときた。

「翳りゆく部屋」へのフリMCでカバーの話をしていたし、先日のNHKを観た人へのサービスもあるかなとか、初参加の村山さんに文字通り光をあてる意味もあったのかな。
イントロのオルガンは、オリジナルのパイプオルガンのイメージとは遠い(でも蔦谷さんはどちらかというとピアノに近かったな)ヴィヴラートの多いポップな音色をチョイスしていた。
ちょっとビックリはしたけど、それも村山さんの味なんだね。

いつものように少ないMCも、ところどころで呟くことが結講オモシロく、
メンバーに「ちょっとテレビに出たからって有名人になったなんて思うんじゃあねえよ」とか、「今日初めてエレファントカシマシをきく、って人いますか?・・・(チラホラと挙手)・・・ようこそ!んー、プロモーションしてよかったな(笑)」とか。

大好きな「なからん」でココロ掻きむしられるようなサウンドも堪能。
「永遠の旅人」は・・・なんですか、あの盛り上がりは! 「星の砂」ですか!ってくらい、お客さんがみんなピョンピョン飛び跳ねてた。爽快さと明るさ。メロディーがキャッチーすぎて、帰宅してからもずっと耳に残る。
ちょっと意外だった「桜の花舞い上がる道を」で、会場が幸福感でいっぱいになる。
月島がご実家のベースの成ちゃんに敬意を表した「地元のダンナ」も楽しげに。
「旅」は「ズレてるほうがいい」と同じく、ライブでとことんカッコイイ曲。
「ガストロンジャー」で会場はいつものように熱の渦となり、宮本さんもいつものように左右に飛び回る。
相変わらず身軽!

そして、かなり好きな「under the sky」は青い照明のなかの浮遊。
声の色が甘い。
聞き惚れる。

アンコールは「習わぬ経を読む男」と、いつもの「ファイティングマン」。
そのあと1〜2曲やるのが定番だったけど、この日はスッキリサックリと、すぐに客出しSEがかかる。
初日だし、みんな身体のこと考えたほうがいいし。
といっても24曲というたっぷりの内容だったけど、もうあっという間。
コンパクトな時間のなかで完全燃焼することが、彼らにも私たちにも心地よい。
それは何より、これから先もエレカシがいる、彼らを聴ける、ってことだから。

この日ライブ中にずっと思っていたこと、そして終わってからもずっと思ったこと。
「エレカシが元気でほんとうによかった」
思わず呟いてたもん。
「今までずっと『アーティストが世の中で一番偉い』と思っていたけど、この3年で色々なことがあって、今はそうではない、みんながそれぞれ素晴らしいんだって思うようになった」と宮本さんは最近語っていらしたけど、でも、どのチカラも成し得なかったような、誰かのココロを幸せにすることが出来るって、そのことはアーティストが一番といっていいんだと思ってる。

「旅」がテーマだったようなこの日のセットリストに、宮本さんからのメッセージを勝手に思う。
ずっと、道連れでいてほしい。
いさせてほしい。

空には半月。
エレカシ、ありがとう。

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by saskia1217 | 2015-11-20 21:49 | エレファントカシマシ | Comments(0)

人生の踊り場〜エレファントカシマシ・22thアルバム「RAINBOW」リリース〜

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フラゲなんかには無関係のノンビリAmazonちゃんから、今日届いたエレカシ22枚目のニューアルバム。

「RAINBOW」

「なんかカッコいいだろ?オレが考えたんだぜ」と野音で。
「なんか英語で・・かっこよかったんで」と今朝の「スッキリ」で。
「七色の虹の橋」って曲も好きだけどね。

虹色、七色・・・どころか、いったい何色入ってるんだろう、このアルバムは!

全13曲のうち、5曲は発売済みのシングルから入れられてる。
そう、このアルバムは3年半かかって作られてるから、宮本さんが病気になる前の作品も入ってる。
聞き慣れた曲も敢えてとばさずに、最初から丁寧に聴く。
アルバムの曲順を、宮本さんはいつもものすごく熟考されているので、それを汲み取りたかった。
3曲は新曲だけど、このところのライブや、今回のプロモーションで既に何度か聴いているもの。
あとは全くの初聴き。

正座してヘッドホンして歌詞カードみながら、曲順に聴く。
いつものとおり。
じゃないとなんか落ち着かない。
聴きながらいろんな思いや驚きがモクモクとあがってくるので、整理するためにちょっとメモに走り書き。

冒頭のインスト「3210」
どっかで聴いたぞ、これ?・・・と思ってたら後でわかった。
混濁したハーモニーに導かれて突入するのが
タイトルチューン「RAINBOW」
野音で、ここ数週間のラジオやテレビで、追いつかないほどの歌詞のついたこの曲を何度か聴いていた。
外聴きの野音ではもう殆ど言葉が聴き取れず、テレビで字幕と共にみて初めて、その小気味良い早口を味わう。
ものすごい疾走感。
宮本さん自身がインタビューで語っていた「自分1人が立ち止まっている中で、周りがどんどん自分を追い越して行くような・・」というイメージを彷彿とさせる。
車行き交う交差点の横断歩道の真ん中に、俯いて1人立ち尽くす宮本さんの映像みたいなものが浮かぶ。それは、実際の光景でもあるし、生きてる歩みの中のシーンでもある。

曲順が絶妙にいいな。
「ズレてる方がいい」「愛すべき日々よ」という聞き慣れた曲も、こうやって間に挟んで聴くと、そのそれぞれの良さが強まって光る。

「昨日よ」
歌詞がうつくしい。
そしてこの透明なけだるさと、不思議なメロディー回しと、スパンが極端に短い転調のグルグルにウットリすると・・・それはほぼ必ず、宮本さん自身のプロデュース/アレンジであることが多い。
これも、そんな1曲。
いっぺんに特に大好きな曲になった。

「TEKUMAKUMAYAKON」
は、やっぱりいいね。
電車の中でiPhone&イヤホン、ではなくて、音源でヘッドホンで聴くと、コーラスの重ね具合がクリアに聴こえて、ほんとにおもしろい。

タイトルや歌詞がはっきりわからない頃から何度かライブで聴いていた
「なからん」
が、やっと完全な形で姿を現した。
たまらん!
なからん、たまらん!
たぶん、このアルバムの中で一番好きな曲かもしれない。
何度も言うけど、そして新曲が出るたびに思うのだけど、宮本さんはほんとに転調の天才なんだ。
Durとmollを行ったり来たり、それも均等じゃなく、とてもアシンメトリー、意識的か無意識かわからないけど(おそらく無意識?)ゼッタイに他の人ではあり得ない独特のフラフラ感で調が右往左往する。
(いつだったか、蔦谷さんもおんなじことおっしゃってたような)

「シナリオどおり」
「永遠の旅人」
いいね、これも。
「旅人」、リズムはアレンジャーの村山さん風なのだけど、若い頃のエレカシの、ちょっとぶっとくて楽しげな曲のニオイをすこーしだけ残してる。
何の曲なのか、はっきり意識にのぼらないのだけど。

しみじみいい曲だと思わせる
「あなたへ」
そして
「Destiny」
このあたりが、「いろんな色の入ったアルバム」である由縁というか、亀田さんアレンジのこの2曲はその象徴のようだ。
同じ「輝くポップサウンド」でありながら、蔦谷さんとはまた全然違う亀田さんの響き。
「Destiny」はおそらくこのアルバム中で一番針の振れてる片側のはじっこ。
反対側のはじっこは、「なからん」か「昨日よ」か「雨の日も風の日も」か?

「Under the sky」
これは大好きだなあ。
なに、この夢みたいなサウンド!
宮本さんの透明性が冴える。
Under というより、空中遊泳。
もしかしたらアルバムタイトルになっていたかもしれない、この名前。
メロディーと歌詞(こちらは一部)が「永遠の旅人」と同じで、ハーモニーやアレンジが全く違うという、まるで和声付けのテストみたいな(笑)、アレンジャー村山さんの腕が光る曲。
私はこっちの曲のほうにより強く惹かれる。

「雨の日も風の日も」
そうだ!そうだったか!
このイントロが、冒頭インストになってたのだ。
ライブで聴いてて印象的だったのだ。
なるほど〜、サンドイッチ、いや循環形式。いいまとめ方だあ。
またしても心引っ張られるアレンジ、宮本さんのプロデュース。
Dur とmollの交錯。
誰か他の人がこれを歌ったら、ただのオカシな曲(歌詞もメロディーも)になっちゃうだろうな。
忘れられない歌詞。
今、この現在を、全てを背負って、全てをこの身に受けた末の、歩み続ける「ココロ」。
「決意」とか「決心」とか、ましてや「夢」「希望」そういうんじゃない、ただただ今の、今のココロの中の声。

もう、ほとんど「オーロラ」なんじゃないかと思うくらいの幅。
3年半かかったというだけでなく、数々のインタビューでも宮本さんがはっきりと語っておられた「病気をしたあとの自分」「曲の作り方が全く変わった」という、それがよくわかる。
また、ラジオ番組でこうもおっしゃってた。
「細かい曲のひとつひとつを個別にネットで買えるこの時代、アルバムっていったい何なのだろう、と最近はよく考えます」
今回のアルバムは、これだけの違ったものをひとつところにまとめながら、こうも一人の人、1つのバンドの偽りない姿を「ひとつの像」としてドーンと完成されてる、ってところが、今までのどのアルバムとも違う。
とても一人の人が作ったとは思えない。

このアルバムは4人のプロデューサー(アレンジャー)の仕事から出来ている。
それがこのアルバムの味になってる。
亀田誠治さん、蔦谷好位置さん、そして今回初めて組んだ村山☆潤さん、それから宮本さんご自身。
過去のアルバムも含め、これだけ違うアレンジャーから心寄り添われ、惚れ抜かれて、宮本さんの音楽と人間と、そしてエレカシが愛されているからこその、集大成。

そして。
このラストの1曲を過ぎると、PCに落そうとしたときに異常な数のトラック数が表示されたことで見つけた、宮本さんからの「サプライズプレゼント」。
なんでしょう、花束の中に隠された指輪みたいな感じ?
その「プレゼント」と、最後の曲「雨の日も風の日も」は、もしかして同じモノなんじゃないかと思ったのだ。
われわれ同世代の人間はたぶん、日々この2つにせめられ、この2つの狭間をたゆたっている。
今までできっと一番、そんな同じ思いを共有しているような気がする。
おこがましいかもしれないけれど。

いつもはそのときの「最新アルバム」が一番好き、いい、と思うのだ。
だから今までは「MASTERPIECE」がとても好きだった。
けれど、今、一番好きだと思っているこの「RAINBOW」は、何か、何か違うよ。
「好き」「素晴らしい」以上に、なんだかとても「特別な」アルバムのような気がしている。

人生の踊り場。
それはけして穏やかだけじゃないし、これから先にも登るべき階段が目の前に待ってる。
「今まで僕はものすごく速く歩いていたみたいなんですけど、最近はなんかゆっくりになっちゃって、買い物のおばさんたちによく追い越されるんです・・・」
と笑う宮本さんが見つけた、新しいステージ。
「歩くように歌っていきたい」というその言葉にも、私は、ああそうだ、自分が今ふわりと感じているのはそこか、なんて鍵穴にはまった気持ちにもなってる。

でも、このアルバム。
何度も聴いてると、ほんとに熱が出そうなんだけど!
笑。
そこがまた、まぎれもない
エレカシ。

さて。
明日のライブで本当に熱が出ないよう、もう寝よう。
ちいさなちいさな宝石のような「プレゼント」を聴きながら。
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by saskia1217 | 2015-11-19 00:35 | エレファントカシマシ | Comments(0)

覚悟

同年代ばかりのダンスのワークショップでエビ中の「買い物しようと町田へ」を踊ってから、家へ帰って録画していた「The Covers」エレカシの回を観た。

近藤良平さんのWSは今回、年代別のクラス分けになっていて、普段圧倒的に自分より若い人たちといることが多い私は、自分の年齢にどんよりしたものを感じる半分、もう半分はちょっとした未知のワクワクと期待を持って、じつはかなり勇気を振り絞って申し込んだのだ。
応募の段階でもう、自分の年齢を認めざるを得ないという覚悟。
大げさに言えば。
普段どんだけ、自分の年齢を認識していないことか、認識しないでいようとしていることか。
そうしようとしているわけじゃないのだけど・・・忘れちゃってる。
先日の職場の健康診断のとき、問診票に年齢を書く際に本気で自分の正確な年齢がわからず、スマホでググってしまった自分。認識しないことを自分では、むしろ「いいこと」だとどこかで思っていたのかもしれず。
それどころか、それは逃げてたってことなのか。

自分と同世代や歳上の人たち、しかもダンスのWSに来る人たちって、どんな人たちなんだろう?
今日初めて会って一緒に楽しく3時間を過ごした人たちは、みなそれぞれ、ふっきれていて、きちんとしていて、妙で、悩みもめんどくさい事情も背負っていて、ちゃんと前も向いていて。
そんな皆さんの開かれた笑顔に近藤さんの全てを受け入れてくれる大きさも手伝って、これでいいんだ、そのままでいいんだ、っていう、そう言ってしまうとありきたりなのだけど、な〜んか、そうだよ、何をそんなに頑なに偽ろうとしていたのか、と。
隠している気は毛頭なかったけど、どこかで認めていない自分がいたのかも。

胸に手を当てて帰ってきて、RCの「スローバラード」とユーミンの「翳りゆく部屋」を、あたかももう今日が命の最後の日のように、振り絞るように、だいじにだいじに、美しい声で歌う宮本さんの歌を聴いて、そしてその歌たちが、それを今こうやって歌えることがどんなに大事かを語る宮本さんの言葉を聴いて、おこがましいけど、あぁおんなじだ、と思ったのだ。
そこには宮本さんの、覚悟がみえた。
肩のチカラが抜けた、固い決意と希望が見えた。

他人のことだと、その変身ぶりが、何かを脱ぎ去って生まれ変わった様が、本当によくわかる。
ちょうど40になったころ、それまで「本当にこれで間違っていないのか」という自分の音楽の方向性、あり方への自信のような、もはや先生の助言なしにでも自分1人で確固としたものを作れるような実感があって、「なるほどこれが、『惑わず』ってことなのかも」なんて思ったりしていたが、そこから今までその「確固たる何か」がそれ以上大きく、いや美しくなっていないような閉塞感があった。

今もやっぱりこうやって私は、まわりの大好きな人たちからいろんなチカラやキッカケを貰って、生きてる意味とか楽しみとか、方向のヒントを手にすることができている。
出かけていかなきゃ、やっぱりダメだ。
自分から手を伸ばさなきゃ、自分の欲しいものは手に入らない。
そのためには、今の自分をちゃんと認めなきゃいけない。
ちょっとした覚悟。
歳をとるのも悪くない。

PS
宮本さん、NHKに出るたびに「はじめての僕デス」の話になるのは、もう避けられないな(笑)。
昔はそういうとき、恥ずかしそうだったり、ちょっぴり嫌そうだったりしてたけど、今はなんか穏やかに目をつぶってかすかに微笑みながら、10歳のご自分の声を聴いてらっしゃる。
なんか・・・いいよね。

PS2
そして、MCのリリー・フランキーさんが野坂昭如さんの曲をオススメした時に、「野坂さんといえばあの〜、『ソ、ソ、ソークラテスか、プラトンか〜』って・・・あれ、いい曲でしたよねえ」と懐かしそうに宮本さんが歌ったのが、もうほんとにドンピシャ懐かしくって、なんだかすご〜く嬉しかったのでした(笑)。
♪ニ、ニ、ニーチェか、サルトルか〜♪

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by saskia1217 | 2015-11-17 04:14 | エレファントカシマシ | Comments(0)

ドラム


昨日、今週金曜本番の桜美林大学のハイドン「四季」のリハでご一緒した歌手のお一人から、Steve Gaddというドラマーをオススメしてもらった。
ので、家に帰ってからさっそく、You Tubeで捜してみた。

ドラムのこと、あんまりよく知らない私にはまたまた吃驚。
おー、なんか「歌ってる」ドラム。
ソロも素晴らしいんだけど、なんだろ、いつも見慣れてる(笑)激しいアクションや汗や太い腕・・・とかいうんじゃないんだよね。
当たり前、なのだけど。

たぶんこの人、ドラムの神様みたいな人だそうだし、きっとものすごいテクニックの持ち主なんだと思うけど、何か身体の使い方が自然で、無駄なアクションがちっともない。
激しいときでさえ。
身体の中から出て来ているのは、リズムだけじゃない。
メロディーもハーモニーも出てきてる。

ソロをやってる映像もすばらしいのだけど、それよりも、他の楽器とセッションしてるときのほうがその良さがわかりやすい。
ギターやサックスなどメロディーを持つ楽器と一緒にやると、「それにリズムがプラスされてる」んじゃなくて、まるで同等のメロディーとして溶け込んじゃう。
「同じメロディー」じゃなくて、もうひとつ別のメロディーとして。

ドラム、ドラマーって、私の乏しいイメージからはどちらかというと、ライブ中ずっと体力を限界まで使うような激しいイメージ・・・のほうが強い。
好きなバンドのドラマー、くらいしか意識して聴いた見たことがないからなあ。
エレカシのドラマー、冨永義之さん(トミ)のドラムを私は大好きで、技術的な事とか楽器のこととかよくわからないのだけど、なにしろ長いライブぶっ通しで全力で叩いてるところばかり見ているせいか(視覚的な取り込みのほうが強い?)、そして宮本さんに「オラオラオラ、もっともっともっと!」って吹っかけられてるシーンばっかり見ているせいか・・・(笑)。
もちろん、トミだって曲によってシーンによって、じつに叙情的に叩いてるのだけど、そんな場面ではやっぱりミヤジの歌ばかり聴いちゃってね。
・・・っていうか、たぶん違うんだよ、持ってる「味」がね、もちろん。
トミとガットさんは。
(ってかその2人しか知らないので、安易に較べるのは色々失礼だな)

ガットさんのドラムをセッションで聴く良さはたぶんもう1つあるような気がする。
拍、小節、フレーズ、それぞれいっぱいいっぱいにとるところ。
私はじつは、宮本さんが叩くドラムがとても好きなんだけど、リハ中に冨永さんをどかして「ほらこうだよ、こうやるんだよ」って叩くときの、同じ曲なのにトミとまっったく違う拍の取り方、いや、なんていうのかな、与えられてるひとつひとつの時間いっぱいいっぱいに、もう髪の毛ひとすじの差で遅れちゃう、くらいの・・・あの絶妙なタイミング。
うまいなあ、と思う例えばダンサーさん、バレリーナ、なんかもそう、いっぱいいっぱいにとる。
あれととてもよく似てる。

そして。
私がよく弾くチェンバロは、アンサンブルの中では、おそらく役割の半分以上が「リズム楽器」なのだと私は認識している。
そう、ドラムなのさ。
自然体で、皆を牛耳るリズム隊の、本当のカッコ良さに憧れる。
めざしたいね。

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by saskia1217 | 2015-11-11 01:06 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

先輩

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日曜日、お当番で教会の礼拝奏楽。
そしてその午後は同じ礼拝堂の同じオルガンで、チャーチコンサートを聴く。
演奏者は今井奈緒子さん。
私の一番好きな、一番尊敬するオルガニストのお一人。
師匠ツェラー先生に次いで、いや同じくらい尊敬している。

大学の先輩だけれど、在学期間はズレていて、でもあの偉大なるカンタータクラブの上下の繋がりや、鍵盤奏者の繋がりや、あ、そうそう一時私がオルガン科の助手をやってた時期に講師でいらしたり・・・
もっと遡れば、93年あたりの「日本バッハアカデミー」というカンタータマニアには生涯忘れられない大きなWSのときにチラッとお目にかかったりしている。

今井さん、いや、いまこさんのオルガンの何がそんなに好きなのか。
それはね・・・「バランス」。

音楽のバランス。
その時々に弾く楽器のストップを熟知して趣味良くコンビネーションするのはオルガニストに不可欠の、そして当たり前の技術なのだけど、そんな技を持ち合わせない私にとって、そのバランスの絶妙な組み合わせの出来るオルガニストはもう・・・ため息もの。

様式のバランス。
どんな演奏家にも作品や作曲家の好き嫌いや、得意不得意はある。
でもプログラミングにもバランスの良さは求められる。
いまこさんは・・・何を弾いても、違和感がない。
(たぶん・・ドイツものは特に素晴らしい、というイメージはあるけど)
この日のプログラム、楽器のタイプや会堂の響きなどおそらくかなりの制約があったにもかかわらず、幅広い時代からのチョイスは素晴らしく、その与えられた環境ですべての曲を生かしきっておられたのがとてもいまこさんらしかった。
私も大好きなのだが、例えばスヴェーリングの「詩編36」など(なんとこの日の午前中の礼拝でこれと同じ讃美歌を歌い、加えて私のつたない後奏もそれをモチーフにしたものだった!)、譜面を見ると、派手な和音らしきものもなく、全音符と四分音符と八分音符が、しかも2声で並んでるだけじゃん・・・みたいな様子なのだけど、それに命が吹き込まれる術、は曲への愛情も必要だし、熟考も必要。
こういう曲をコンサートでこういうふうに素敵に弾けるってスゴいのだ。
プログラム最後に弾かれた、ギルマンの「ヘンデルのテーマによるマーチ」なんて、あのアナログの楽器をフルに働かせて、まるでディズニーランドみたいな楽しい世界を聴かせてくださり、普段礼拝であのオルガンからあんな音を聴いたことのない会員の皆さんは口々に「あんな音も出るなんて〜〜!」と大感激(笑)。

そしてこの日は、それに加えて
トークと演奏のバランス。
コンサートのMCでとかく喋り過ぎる私には(苦笑)、ゆっくりと落ち着いたスピードで分かり易い解説をされ、そのままスッと自然に演奏に入るタイミングは、ほんとに見事だなあと勉強になりました。

そして。
お人柄のバランス。
久しぶりにお目にかかってお話して、そして面会に来られたたくさんのお客様との触れ合いを拝見して、誰と接するときにも丁寧であたたかい空気と言葉で交わっておられたのが・・・素敵だった。
魅力的な演奏と、魅力的な佇まい。

ということで。
う〜ん、やっぱりたまには、ひとの演奏も聴きましょう・・・
(反省)
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by saskia1217 | 2015-11-11 00:46 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

時が過ぎて

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先日、チェンバリスト山縣万里さんのコンサートを聴きに伺った。
彼女は私がお教えしたなかで最も初期の生徒さんのお一人で、おそらくチェンバロを専攻された最初の方だったと思う。
たぶん初めてお会いしてから17年くらい経っている。

昨年から彼女が始めた、毎回テーマを持った年一回のコンサートシリーズ。
今年は雑司ヶ谷の小さな、そしてとても素敵なギャラリーが会場。
空気の冷たい土曜の午後、大好きな雑司ヶ谷の町を歩くのも気持ちがいい。
初めて足を踏み入れた「ギャラリー鶉」は、池のある中庭を囲む何軒かの住宅群のなかの一角にある。
ちょうどハロウィーンとぶつかった日の喧噪からも遠ざかることができ、別世界のような静謐な空間。
2方がガラス張りの室内からは樹々のある庭が見え、入り口や会場内にしつらえてある生花も美しい。
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プログラムは「オスティナート」をテーマとした6曲。
今回は特に、私の大好きなL.クープランのハ長調の組曲、ケルルのパッサカリア、C.P.E.バッハのフォリアによる変奏曲などが詰まっていて、行く前からワクワクしていた。
そして一番楽しみだったのが、彼女自身の編曲によるJ.S.バッハの有名な「シャコンヌ」。

静かな口調でお客さんをリラックスさせるMCを挟んで、滔々と音楽が流れている。
お昼の回のお客さんは年齢層若干高めのご婦人方が殆ど。
皆さん、頷いたり、笑ったり、ため息をついたりしながら、ゆっくりと楽しんでいらっしゃるご様子がみてとれた。

なんというか、最近めっきりチェンバロの、しかもソロの演奏会を聴くことがなかった。
自分の思い入れの深い曲を聴いて、それらを熱愛していた当時の自分の演奏と、今それらに思う「こうありたい」という姿をイメージに持ちながら、目の前に繰り広げられる誰かの演奏を楽しむということが、今だから出来るような気がした。
昔はたぶん、そうではなかった。
自分の演奏以外、音楽以外、考えられなかった。
たしかに今でもそうなのだけれど。
そしてたぶん誰でも、どんな演奏家でも、自分が一番だと思っているはずなのだけど。
「ああ、これいいなあ」と思える演奏は今でも多くはないのだけど。
もちろん、素晴らしい演奏だったから、っていうのも、ある。

L.クープランのハ長調の組曲の最後にすえられた名曲「パッサカーユ」。
このラストを彼女がどう弾くのか、も楽しみだった。
短調で終わるのか、長調で終わるのか?
大きく終わるのか、小さく終わるのか、ぶっちぎるのか、緩やかにすべるのか?
果たして、それはとても納得できる素晴らしいラストだった。

J.S.バッハのシャコンヌ。
原曲は有名すぎるヴァイオリンソロの、演奏者自らの編曲。
レオンハルトの編曲演奏が思い出されるが、この日聴いたアレンジは、個人的にはレオンハルトのものよりステキだと思った。
そのお披露目に立ち会えて、とても嬉しかったな。
ブラボー、でした。

力が入る過ぎることもなく、美しい緊張感と、音楽と楽器への柔らかい愛情がいっぱいに感じられた、とても素敵なコンサートだった。
リサイタルって、なかなかそういうふうにいかないモノ。
飾らず、奇をてらわず、しかも1本筋が通ってる彼女らしい、気持ちのいい音楽空間でした。

落ち着いた大人っぽいコンサート・・・
したいものです。

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by saskia1217 | 2015-11-02 02:54 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


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