今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!

by saskia1217

<   2012年 11月 ( 7 )   > この月の画像一覧

楽しい時代劇

「のぼうの城」のネタバレしてます。



先週やっと、「のぼうの城」を観てきた。
平日の午前中だったから余計だったのだろうが、年配の方ばかり20名弱・・・。
同じ映画館の「エヴァンゲリオン」は若い人で長蛇の列。むぅ〜ん。

予告からして、いわゆる「厳格な時代劇」ではない雰囲気は知っていたけど、観たらやっぱり楽しかった。ところどころ、ちょっとマンガチックすぎるシーンも無くもなかったけど、そういうものだと思って観れば気楽に楽しめる。
キャストも、正直最初は萬斎さんと佐藤浩市さん以外特に興味は無かったのだけど、石田三成の上地雄輔さんが意外に良かったかも。あの、何かちょっと気が弱そうに描かれてるところが合ってたな。
なんといっても、観た後一番印象に残ったのは佐藤浩市さんで、やっぱり存在感があるというか、どんな雰囲気の映画でも、どんな役でも、深い印象を残す演技が出来る人なんだなあとあらためて思い知らされた。特にファンということでもなかったけど、映画でもテレビでも、いつでも「あ〜よかったなあ」と思う俳優さんなんだよね。だから今回も楽しみだったのだ。
昔仕事中に落馬して結構な怪我をされて以来、少し恐怖感もあったと何かのインタビューで話していらしたけど、今回あらためて乗りなおしたという乗馬もじつに見事で爽快。
成宮寛貴、山口智充ご両人もそれぞれ熱演だが、上滑りするようなところもひっくるめて各々、二段階の意味で役に合っていたと思う。
お姫様役の榮倉奈々さんは、この作品ではちょっと・・・う〜ん。私の個人的な感想だけど、演技も棒だし、スタイルが着物に似合わないし、役に合ってないというか印象が薄いというか・・・描かれ方が難しい役なのかなあ。以前、井浦新さんと共演してたテレビドラマでは印象的ないい演技をしてた記憶があるから、向き不向きなのかもしれないけど。
豊臣秀吉の市村正親さんは、入浴シーンで「テルマエ・ロマエ」を思い出してしまってちょっと笑っちゃったけど、出演時間が短いわりにはインパクトがあったですね。
その市村さんの秀吉が水攻めをする冒頭のシーンは、やっぱり昨年1年公開を延期したということが正解だったと納得させられるリアルさ。それでも洪水シーンはだいぶ変更したりカットしたりしたそうだけれど。後半、忍城の水攻めシーンもかなり迫力ありました。
農民たちの田植え歌なども、今見るとその少し芝居がかった空気に驚くこともあるけど、きっと本当にこうだったんだろうなあ、みたいなものも伝わったし。

一番面白かったのは、昔の戦法がいろいろ出てきたことで、知識として知ってはいても実際はこういう戦い方だったのか〜といちいち感心。
火縄銃は一度発砲したら次に点火するのにものすっごい時間がかかるもどかしさとか、そのことを巡ってのタイミングとか、城内に攻め入る、または封鎖するのにどんな策があったか、とか。
しかし、洋の東西を問わず、大将どうしの名乗りをあげてからの一騎打ちには、悠長という以前に気品とかプライドとか礼儀とか、侍や騎士の生き様を感じるね。

総じて、観てよかった〜楽しかった〜、だったけど、ところどころ何人かのキャストのセリフが早口すぎて聞き取れないところがあったのがちょっと残念。
萬斎さんは全て鮮明で気持ちよかったけど。そして、最初からあの「踊り」が想定されていたなら、やっぱりこの役はこの人しかいなかったでしょうね。
つい数ヶ月前に飛鳥山の薪能で拝見したお姿や、学生時代(私はひとつ下の学年だった)、学内を凛として歩いてらしたことなんかを思い出してました。

全てのストーリーが終わってのラストシーンに、現代の行田が映るとは思ってなかったからビックリ。当時の名残の地名が次々と映るのがよかったですね。
小学校低学年のとき遠足で行ったさきたま古墳。あの頃はただのだだっぴろい丘で、何が面白いんだろうと思ってた。とはいえその数年後、世間を賑わせた「邪馬台国ブーム」にすっかりハマることになるのだけど(笑)。子供の頃からどんだけミーハーなんだ、自分。
石田堤、見に行かなきゃなあ。
埴輪もつくりにいきたいし(笑)。

そのバックにフルで流れる、エレカシの「ズレてるほうがいい」。
映画を見て作ったという経緯が、その話をきかなくてもわかるくらい「ピッタリ感」がすごくて、古墳の映像を見ながらその歌詞をあらためてかみしめながら聴いた。
(ん〜、音量が物足りなかったぞ、池袋ヒューマックス。いつも自分が聴いてるのが大きすぎるのか?・・笑)

そう、もうひとつ。
この映画に描かれている「でぐのぼう」成田長親は、その哲学や人間性ひっくるめて誰かに似てる・・と観ている間中思っていたが。
遠藤周作の「おバカさん」。
あの主人公にちょっとだけ、部分的かもしれないが似ている。
あれはたぶん「キリスト」なんだけどね。

たまにはいいよね、映画。
[PR]
by saskia1217 | 2012-11-25 04:20 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

秋の日の池袋

e0081334_341299.jpg

今週の初めの池袋・法明寺。
ジュンク堂あたりから鬼子母神にかけての界隈が好きだ。
威光稲荷と法明寺のコンビは、どの季節にいっても素敵。
一歩明治通りに顔を出すとあの喧噪なのに、ここは別世界のように静謐な空気が流れる。
黄金の樹々と青い空、落ち葉の匂い、たくさんの猫との会話。
e0081334_341536.jpg

ここまでくればもう、文字通り数歩で鬼子母神。
行ってみてから気がついた、そうだ、あの大銀杏はちょうどいま見事。
夕方、暮れかかる手前の境内は少し薄暗くひんやりしていたけど、そして相変わらずお堂の中は目をこらさなければ見えない黒さだったけど、次から次へと引きも切らずにお参りに来る人たちの温もりで、あったかいものが流れていた。

そうそう、この日のランチは「ラシーヌ」の「パワーランチ」。
雑誌やテレビに紹介されて久しくても、相変わらず超混み合うこのパン屋さんは、ジュンク堂の角を曲がって少し行ったところにある。
名前のとおり、ちょっとお腹いっぱいになりすぎたくらいパワーのあるプレートだった。
パンのおかわりが効いたかな・・・。
e0081334_3523069.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-24 03:51 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)
もう先週のことになるけど、とあるライブにヨガ師匠が出演されるというので、そういやダンスはいつも見ているけど歌っているのは聴いたことがないな〜、と思い、聴きにいってきた。
高田馬場の四谷天窓。
四谷なのに高田馬場・・・・って、誰もが思うよね、やっぱり(笑)。
この日出演したあるアーティストさんも、これをまんま歌ってたよ、♪四谷なのに〜なんで高田馬場〜♪って。
ま、もともとは四谷にあったロック中心のライブハウスの、こっちはアコースティック中心の2号店だったのが、6年前にここに移転したらしい。

で、当日行けばふつうに入れるかな〜と思いつつ、一応確認しとこ、と思い前日に電話してみた。会場に電話すれば普通にチケット予約が出来るものだと思っていた自分。
電話したら「お目当てのアーティストはどなたですか?」という、思っても見なかった質問がかえってきた。
「は?」「はい、あのどなたを見にいらっしゃいますか?」「は?・・・あ、あの〜」「はい・・・(と優しく待機している係の人)」「特定の誰かってことじゃないんですけど」「・・・・」(以後なが〜い沈黙。以下略)
知り合いが出るってのは事実だけど、特に誰が目当てってわけじゃないし、全員を同等に楽しみに行きたいんだから、正直なところ正しくは「特に誰でもありません」て答えたい。
ああいう複数の出演者が出るライブって、それぞれに割当のチケット数があるんだってね。そんなことライブ終わってから知ったさ。
今まで殆どワンマンライブしか行ったことなかったし、何組かの対バンでも大抵イープラスとかぴあで買ってたからさあ。
モノを知らないってのは困るねえ(苦笑)。

この日のライブの主催者は石ヶ森光政さんというアーティストさんで、その方を中心に3人の出演者がそれぞれ共演したりソロをやったり。
で、3日前に急遽決まったゲストが石野真子さん・・・だったもので、その往年のファンの方々が大勢みえるのでは(前回もこの組み合わせで結構混んだという話)とうっすらは予測していたが。
ええ、思った通り、50〜60代とおぼしき男性が多数、開場時間に詰めかけてた。会場に入ると彼らは速攻「支度」を始めた。石野さんの名前入りの昔の暴走族の特攻服みたいのを着て、頭にも名前入りハチマキ、手にはおっきなペンライトみたいなの・・・でもって早速「コール」の練習。
いや〜、まだ生き残っておられたんですね、昭和名物「親衛隊」。

小さい子供たちも来ていて、ライブオープニングは「子供の時間」。ギター石ヶ森さんとヨガ師匠青田さんが歌い踊る「ホットケーキの歌」は、シンプルでいい歌だったし、ダンスもけっこう強烈。あの狭い空間で、そして最前列のお客と1mくらいしか離れてないとこで男2人が踊るのもちょっとコワイものがあったが、その振り付けと表情に子供たちはキャ〜キャ〜大喜び。
沖縄出身のアーティスト兼田優一さんはギター弾き語りで「チューリップ」フルバージョン(ひっさしぶりにきいたよ、チョウチョが出てくる3番まで・・笑)や「アンパンマン」などをいい声で披露。「ご一緒に〜」歌いたかったけど、アンパンマンて歌詞知らないのよ・・・。
そして石野さんがラフなパーカ姿で登場、オジサンたちの熱狂的コールに観客がビビるなか、ゆったりした笑顔で1曲。ついこないだまでメジャーでバンド活動していたという酒井由里絵さんも、軽くピアノで参加。

子供の時間のあとは、アーティストそれぞれが順番に持ち時間。
石ヶ森さんはギターを弾きながら、酒井さんはベースで何曲か。女子のベースってやっぱりいいですね。もし自分がバンドやるなら絶対ベースはやらないけど(・・もうたくさんだよ、低音担当は・・笑)。
石ヶ森さんの歌はサワヤカ系というか前向き系というか、メロディーも歌詞も綺麗な感じ。なんか「フォーク」のイメージそのままというか。声も特に強い個性があるという感じではなくて、素朴な響き。近距離で聴くからなおさらなんだろうけど、お部屋で歌ってくれてるような「普通」感。

兼田さんは沖縄の方によく見受けられるハリとツヤのあるピッカピカの声の持ち主で、こちらもやはり前向き系。この日やった曲がたまたま全てそうだったのかもしれないけど、このお二人はよく共同作業をされてきたようで、あ〜そのあたりが合うのかなあ、と思ったり。
こちらは「お客さんを参加させる」タイプなので、まあ、そういうのが苦手じゃない人にはとっても楽しいんだと思う。あ、私も普通にやる方ですが、あれって分量とか長さとかタイミングとかが微妙に難しいんだよね。やりすぎると飽きちゃったり嫌になってきちゃったり。
ただ、お客さんに対するサービス精神と、グイグイいくパワーはすごいなあと感心。

青田さんはギター弾き語りで、平家物語の扇の的のくだりを曲にしたオリジナリティー溢れるひととき。文語だったことも手伝って曲冒頭あたりはちょっとエピック期のエレカシ風味。そのうち那須与一が矢を放つ段になると、より「語り」が多くなり・・・ライトを浴びて、ものすごく気持ち良さそうでした。ギターもよかった。
あとから話を伺ったら、結構ギリギリまで苦労して作られたとか。「物語り」って、緩急のリズムとか、緊張と弛緩をどう配分するかとかが難しいと思うなあ。
また他のオリジナルも聴いてみたいです。

石野さんのソロは石ヶ森さんのギターにのせて。
親衛隊垂涎のレア曲(?)「わたしの首領(ドン)」は、連絡行き違いのせいで急遽決まった出演に焦った石ヶ森さんが3日前に動画サイトからアレンジを取って「さっき合わせた」っちゅう、緊張感溢れる熱演。
石野さんは私より年上なのだが、さすが、あの近距離で拝見しても綺麗で、というか可愛くて、スレンダーで、何よりも笑顔と立ち居振る舞いと、そしてそこここで発言するコメントに余裕があって気が利いてて、すべてが終始ホワンとした優しさに包まれていて、感銘を受けましたよ。
ものすごく女性らしい。何もかもがチャーミングなんだよなあ。
ホントに一世を風靡したアイドル、筋金入りですよ。
あんなふうに歳をとりたいものだ。

で、親衛隊などにはもちろん慣れていらっしゃるのだろうけど、あらためて目の当たりにすると、彼らに対する接し方がとても見事だったのがひじょ〜に印象的だった。
いいバランスで受け答えもしながら、いい感じで失礼なくあしらって、でも終始「ありがとね〜」と優しく声をかけながら。
親衛隊は彼らなりの気遣いで、他のアーティストそれぞれに「コール」をしてくれてたり、いちいち絡んでくれてたり、石野さんの出番が終わってもちゃんと最後まで楽しそうに参加していたり好感は持てたんだけど、何せ石ヶ森さんや兼田さんのちょい静かな曲でも、最後の音が終わるか終わらないかのタイミングで「○○ちゃ〜〜〜ん!」て大声出してしまうので、それだけがちょっと残念だったですね。明らかに不快感を示してるお客さんもかなりいらしたし。
でもまあ、彼らはずっとあれが「盛り上げる」ってことだと信じてやってきたのだろうから仕方ないんだけど・・・。
ん〜、正直、今後あの方たちが同席するとしたら、ちょっとあのライブは遠慮したいかも(苦笑)。石野さんのステージは好きなんだけどなあ・・・。

最後に酒井さんがピアノの弾き語りで何曲か。
「ラブソング」は殆ど作ったことがない、というのに個人的にはちょっと好感度アップ。
声もよく、今現在の若い彼女の素直な気持ちが表されてる歌詞。いまとにかく言いたいことはこれだ、ということはよく伝わったから、これから時を経て違うタイプの曲も書いてくれるようになるのかなあ、とか思いながら聴いてた。
メジャーだったというのもうなづける、今後を期待させる魅力がたしかにあった。
親衛隊のオジサンたちからも人気があって色々と声をかけられていたけど、彼女の反応が素直で、あしらい方も可笑しくって(「はい、次はかけ声がないほうがいい曲です!静かにきいてくださいね」なんて、可愛い感じで言っちゃったりするから)、こっちはスカッとしたな(笑)。

とにかく、石野さんご本人はもとより出演者全員それぞれが、あの親衛隊の雑音に嫌な顔ひとつ見せずニコやかに接して、で、まあなんとか自分の歌も守り切っていたのが、みんな偉いなあと思った次第。格闘してるみたいだったもの(苦笑)。ほんと、お疲れさまでした、と言いたい。プロはそうあるべきなんだけどさ・・・
でも、勉強になりました。

私は子供の頃そんなに歌謡曲をたくさん聴いていたわけじゃないし、誰かのファンだったこともないのだけど、それでも石野さんの歌は知ってたし、映像も脳裏に残っていた。
昔みたいにバンバンテレビに出てはいらっしゃらないけど、ライブ活動やその他のお仕事で生き生きと過ごされてる姿、もちろん10代の頃とは声も違うし(どっちがいいってことではなく)今は同じ曲でもどちらかというと自然体で柔らかい歌になっていること、けして「力いっぱい」ではないけど余裕があって優しいもので満たされていること、大きなステージでも小さなライブハウスでも変わらずに大切にして自分の魅力を出せるということ、お客さんに楽しんでもらうことに徹することができること、それがけして強引ではないこと・・・そんなことを目の前で感じることができてよかったと思う。
プロってそうだよなあ。
長く続けるってそういうことだよね。

そして「ファン」もね。
「長くファンでいること」についても、色々と想いを巡らせることになった夜。
いくつも「勉強」をしました。
正直、石野さんが出演されることにそれほど期待をせずに行ったのに、ライブ終了後結局なんだかんだいって彼女のパフォーマンスが一番心に残った、っていう事実。
特にファンじゃなかったのになんかファンになっちゃうような気分。
あっぱれ。

帰ってから動画を検索、この日も披露してくれたあの名曲の「新旧」。
ライブでは後者のパフォーマンス、ほぼそのままでした(これはきっと最近に近いステージなのかな)。
こうやって比べて見ると、私がこの日感じたことがおわかりいただけるかと・・・。
懐かしい「狼なんてこわくない」。うろ覚えだったこの右手の「狼」のフリ、ライブでは私たちに教えてくれながら歌う石野さんと一緒にやっちゃいました(笑)。



オマケ
「わたしの首領(ドン)」
※「首領」って・・・オジサンたちの特攻服と重なって、当時の「族」を思い出してしまう(苦笑)。
しかし「狼」もそうだけど、不思議と何度も聴きたくなるこの中毒性、阿久悠×吉田拓郎、恐るべし!

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-22 03:16 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(5)

遠き社に想いを

e0081334_19342985.jpg

ある晴れた日、ようやく時間がとれて、楽しみにしていた「出雲展」へ。
週に2日、時には3日上野に来ているというのに、博物館、美術館、動物園にゆっくり来る機会がなかなかとれない。
見たい展覧会の看板を横目で見つつ、仕事に来る日はそんな時間は取れないから別日に来よう・・・なんて思ってるうちに期間が終わってる、そんなことの繰り返し(涙)。
でも、この日公園歩いてて思った。上野って・・・仕事じゃなくて来ると、ほんとにすっっごくのんびりしていいところなんだなあ〜、って。
いつも視界に入る範囲しか見ずに、駅から大学まで一目散に歩くし、帰りは大抵真っ暗だし(苦笑)。

国立博物館なんて特に、ホントに何年ぶりだったろう?
本館の展覧会に辿り着く以前に、もう庭園や樹々に目を奪われ、あまりの美しさに歩みが止まってしまう。
出雲大社、それは私が今、全国で一番行きたい神社。
由緒もさることながら、とにかくその佇まいが好きなのだ。鋭い角度で天に向かってそびえる千木と、無骨な力強さをたたえた鰹木、くすんだ木の色・・・私にとってドンピシャのその「神社像」に、平安貴族によって美しく飾られた朱色の社殿よりも、ずっと近しいものを感じてしまう。
出雲は、その一帯にあるいくつかの関係の深い神社も含めて、憧れの地。
今年は古事記編纂1300年、そして来年は60年に一度の大遷宮。
(しかしそうすると、来年は大変な年なんだなあ、伊勢も大遷宮ですからね。そうそう、来年の「神社検定」新設弐級のお題は「遷宮」だそうで・・・)

今回の展示物の中でお目当てだったのはやはり、2000年に大社の境内から発見された「宇豆柱」と、荒神谷・加茂岩倉の両遺跡から出土した大量の青銅器。
そして、大社の祭祀を代々担ってきた出雲国造家である千家家に伝わる諸々の品。

その品々のなかでも「宇豆柱」の存在を記した有名な「金輪御造営差図」の公開は貴重。鎌倉〜室町時代の記述。
出雲大社(もと杵築大社)の本殿が過去においてどのくらいの規模だったのかについては、宇豆柱が発見された今でも諸説あるらしいけど、今回も出品されてた大林組による復元模型はその高さを16丈(約48m)としたもので、これは上記の図に信憑性をおいたもの。
2000年の発見以来、テレビ番組や本でこの模型やCG画面、大林組による復元ドキュメンタリーなどでよく見てはいたけど、実際に目の当たりにしてみると1/10のこの模型の迫力はかなりだった。実寸だったらどんだけだろう!
そしてこの模型と向かい合って展示されていたのが、その本殿を支えていたであろう宇豆柱の現物。1本の直径が1〜1.35mの杉の木3本を一組の柱としてある。これも迫力あった。
さきほど「出雲大社の木の色が好き」と書いたけど、少なくともこの時代の柱はどうやら朱の跡もあるらしいから結構赤かったのかもしれない。
大国主大神が国を譲るのと引き換えに手にした社、このくらいのスケールがあったとしても当然なんだろうなあ。

次のコーナーの中心となっていたのは、ものすごい数の銅鐸、銅剣、銅鉾。いずれも国宝。
1984年に荒神谷遺跡から出土した358本という膨大な数の銅剣から42本が展示、ケースの中にズラッとならんだその景色は圧巻。これが互い違いに並んで出土したという写真を見ると、もっと驚愕。もとは金色に光っていたという復元模型も展示されていて、それが358本て・・・。
埋葬用にわざわざ作られた剣だが、これだけのことをされる埋葬者ってどれだけ力のあった人なのだろう?
そして翌年、そこから7mの地点で出土した銅矛16個の全てもここに。うち7本には「研ぎ分け」と呼ばれる、刃に美しい模様がつけられている。
その銅矛と一緒に出土した銅鐸6個。銅矛と銅鐸が1つの埋納坑から発掘された例はここだけという貴重な発見。いずれも高さ20㎝ほどのものだが、本物だと思うと一段とゾッとするものがあった。
それから1996年に、荒神谷から3.5キロ南東の加茂岩倉遺跡から出た39個の銅鐸からも展示。
いろんな大きさ、高さ、そして細かい模様。ひとつひとつじっくり見ると面白いんだけど、その数がすごいからクラクラしてくる。
これらの作られた場所、他の地方との流通事情など、込み入った、しかし興味深い話はいっぱいあるらしいので、これからもっと調べてみたいな。

他にも、美保神社に伝わる古筆手鑑、端正な美しさにうっとりする鰐淵寺の観音菩薩立像(台座に「出雲」の文字があり、これがおそらく現存する最古の記述)、佐太神社の平安時代の扇など、昨年のちょっとした神社の勉強で知った憧れの神社各社からの出品は、特に印象に残るものが多かった。
e0081334_20592058.jpg

それほど広くない展示会場を3度くらい行ったり来たりして思い残すところなく、建物をあとにする。
玄関を出ると、真っ青な空と明るい光に一気に現実世界に戻される。
あまりに美しいこの現世、2012年11月の東京に大きく深呼吸。
もったいなくて、大きなユリの樹の下のベンチに座って一休み。買い求めたばかりのパンフレットや絵はがきを見ながら、色々と反芻したり、覚え書きをメモしたり。
e0081334_20595856.jpg

日の当たる目の前のアスファルトを、のそりのそりとあちらへ渡ろうとする小さなコオロギが視界に入る。
大丈夫かなあ、無事に踏まれずにあっち側まで歩けるだろうか・・・そう思った矢先、勢いよく歩いてきた男性の足が真上に!
うわっ、やっぱり、と思ってもう一度見ると、コオロギはジッと動かない。
あ〜あ・・・寿命ってこんなもんか・・・と思う間にヨロヨロと歩き出したコオロギ。
生きてた!
そして反対側からやってきた別の男性が、再びフラフラ進むコオロギをじっと見ながら、ゆっくりと避けて歩き去って行った。

運命ってすごいよな。
土となり、空気となり、水となって消えていったおびただしい数の先祖たちとそのまわりにあったモノたち。
消えるのが当たり前だった筈なのに、はからずもこんなに遥かな時まで残ってしまったモノたち。
人間は、地球は、宇宙は、いったいいつまで続くんだろう。

そんな、中学生のときに毎日考えていたようなことをどうしてもまた思い巡らしてしまう午後。
ベンチから立って歩き出すまでには、けっこうな時間が必要だった。
e0081334_2111413.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-19 20:25 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

古とつながる瞬間

e0081334_18221050.jpg

もう1週間ほど前のことだったけど「遺跡現地見学会」っていうのに参加してきた。
大好きでよく足を運んでいる飛鳥山博物館の催しだったけど、知ったのは東京都文化財ウィークのパンフレット。(←ここから全てDLできます)
いいよお、これ。
殆どが無料、あるいはほんのちょっとの参加費で、都内のありとあらゆる面白いモノが見られる。

この日の見学会は、最初に博物館に集合し、同行して下さる学芸員の方からレジュメをもらって解説を聞く時間がある。いつものように散歩がてら歩いて博物館へ。早めに着いて、館内で開催中の秋期企画展「赤羽台古墳群に眠る人々」を約1時間見る。
もともとこの博物館が持っていて常設展でいつでも見られる資料のなかに赤羽関係のものも少なくないのだが、それとともに、関係の深い埼玉・鴻巣や千葉・市川、市原からの貴重な資料も合わせて展示されていて、展示の規模そのものはそれほど大きくなかったものの、非常に興味深い経験ができた。
埼玉・生出塚の共通の窯で作られ、活発な流通によって、その周辺のさきたま古墳群、白山古墳、赤羽台古墳から、南東に下った千葉・法皇塚古墳や山倉古墳に、同じ型、同じ顔をした埴輪が広まった経緯をメインに、他にも同じ海岸からとれる石を使った石器の流通など、見れば見るほど面白いものばっかり。

さて。
展示を見てから一度外に出て、大勢の子供たちがにぎやかに遊ぶ公園のベンチでお弁当を食べてから戻る。
出発前の解説時間に、この日の見学会は遺跡そのものがすでに地中に埋まっているので、所謂「それっぽい」ものが見られないから、せめてそこから出た本物の出土品を・・・ということで3つの実物資料を見せていただくことができた。
ひとつは上の写真にある深鉢。おそらく日常的に煮炊きに使っていた鉢だが、中に乳児の骨が入った状態で発掘されたので、たぶん埋葬に使われたのだろうとのこと。
写真も撮れたし、触ってよかったのが嬉しかった。いわゆる「縄文」模様はそんなにギザギザしていなくて、意外とすべすべした感触。
他に、アカニシで作った貝輪(腕輪)と、イタボガキで作った垂飾を見せてもらった。下の写真。
e0081334_0122934.jpg

e0081334_0131251.jpg


そして出発。この日の参加者は定員の30名くらいだったかな、私以外はほぼ全員シニアな方々で、さすがの私もすっかり浮きまくっていた・・・
ほんの1キロくらいの距離をほぼ1時間かけてゾロゾロとめぐる。
ふだん散歩で「ふうん、ここって遺跡♡」と思いながらタラタラ歩くだけではわからなかった「実際の貝塚の大きさ」が実感できる。
「さっき居た○○から、今いるこの地点までが貝塚の長さです」
「あっちに見える学校からあちらの建物まで」
「この先は坂になっていますね。つまりこの下に川が流れていたわけです」
貝塚や遺跡の規模、方角などを学芸員さんの解説を聞きながら、景色を目で確かめながら確認するのは面白い。

いくつかのポイントを回ってから最後に訪れた遺跡は、あまりに貴重だったために、調査終了後に計画変更し、もともと建つ予定だったマンションの一部を公園にしたというところ。
地面にはこんな可愛い貝の目印が、遺跡の位置を示している。
e0081334_0323453.jpg

そのマンションの一角、外部からも見えるようなところに「貝塚」の一部をオブジェとして組み込むというデザインになっていた。
e0081334_1628316.jpg

e0081334_16282696.jpg

今自分が生きて日々踏みしめているこの土地のこの土が、のほほんと散歩しながら「遺跡〜♪」なんてボンヤリ憧れてる自分のなかのDNAが、どれだけの時の隔たりを越えて今ここに存在するのか・・それを実感として受け止める瞬間は、素晴らしいを通り越してなんだかゾッとするような恐ろしさのほうが大きい。
自分が、他ならぬこの自分が、確かに何かを「受け継いで」今ここにいる、という、ただのちっぽけな私には担いきれないような大きな使命を急に背中に感じたり。
でもだから、命ってスゴいんだ。大事なんだ。

その数日後、実家にいったときのこと。
子供の頃から戸棚の片隅にあった貝が気になって、久しぶりに出してみた。
上記の赤羽台遺跡のパンフレットと図鑑で調べたら、赤羽で出土したのとおなじ「アカニシ」と「サトウガイ」だった。
e0081334_0403183.jpg

e0081334_0543888.jpg

e0081334_041080.jpg

電力関係の会社で地中線を作る仕事をしていた父はトンネル工事の専門家だが、工事中に出てきたものをときどきこうやって持ち帰ってくることがあった。
「おんなじ貝だ〜!」とはしゃぐ私に父は「そっちのは欠片だけどこっちは完璧だから、断然こっちのほうが高額に違いない!」と冗談にしてはやけに豪快に笑う。

あのさ、父上。
これ現代普通に東京湾にいる貝だから・・じ、時代が違うから・・・笑。
[PR]
by saskia1217 | 2012-11-18 18:27 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

13日間の夢

ほぼ「季節労働者」と言っていい音楽家としては、一年で一番「働いてる」実感のあるのが今。
そして、私が一番好きな季節も今。
秋から冬に変わる間の、この数週間。

なんてな。
それも事実なんだが、「朝早く目が覚める=夜更かししなくなる」の、きっと身体にはいいこのサイクルはブログ書く時間てのが無くなるんだな(笑)。

てなわけで、久しぶりに書いてみる。
溜まってる、溜まってる・・・!

10月終わりからリハ参加した、神楽坂セッションハウス・リンゴ企画「とさか計画/ブルグミュラー25」が終わって、夢去って空っぽ、を味わう暇もなかったな。
本番3回はそれぞれの出来。
私だけに限っての個人的感触でいえば・・・
初日→初回の緊張とどことない安全運転による、可もなく不可もないソコソコな完成度。当日朝までの疲労も気にならない気持ちの密度。
2日目マチネ→昼はお客も出演者も全く違うテンションになる。子供が多いのもその1つの要因。前日少しホッとしたせいか、朝からのプローべからの切り替えが難しかったせいか、集中度が前夜にくらべて落ちたのか、はたまたリラックスしすぎたのか・・フワッと終わってしまった感じ。
2日目楽→格別リキが入ったわけじゃなかったのに、謎の「ワクワクお化け」に取り憑かれ、ノリとしてはちょ〜どいいテンションで、じつに気持ちが楽で終始楽しかった。3回目で色々と掴めてこられて、弾くことにもステージへの目くばりも余裕が出てきて「遊ぶ」ことが出来てきたせいか?

(トサカのついた衣装がかわいい)
e0081334_19333712.jpg

初日、コンドルズのむか〜しの映像でしか知らなかったセッションハウスの「伝説の」あの楽屋に足を踏み入れた時はちょっと感無量。
2日間、あのせま〜い楽屋でダンサー6人+私で過ごした時間・・・笑って、食べて、話して、のんで・・・本当に濃くて、楽しい、忘れられない時だった。
毎回の開演前に7人で円陣くんで、手を重ね、声をあげて。誰も何も言わずとも、全員の手が「とさか」型に・・笑。
「スタンバイおねがいします!」という声を背に、ステージ上手に続く細くて真っ暗で急な階段を手探りで降りてゆく、あの何ともいえない張りつめた「ワクワク」と「ド〜ン」と「ワ〜イ!」。

(差し入れの「カヌレ」が超美味!)
e0081334_19355059.jpg

良平さんが目指すものと、その中で日々刻々、一瞬一瞬変わったり増えたりしてゆくアイデアを、ダンサーさんと私の全員で受け止めて、足したり引いたり、作ったり削ったり・・・が、とにかく楽しい。
たとえ肉体的時間的に多少きつくても、そんなものは何の邪魔にもならない・・どころか、そんなことすっかり忘れてる(笑)。
作品にかかわる作業や頭で考えること、そして全てのスタッフさんを含めて実に気持ちのいい空気、関係がそこにあるので、こんなにストレスフリーの現場はなかった・・・って、後で気がつく。
おそらくそれは、良平さんやプロデューサーさんや主なスタッフや出演者の方たちがこれまでに築いてこられたもの、信頼やいい空気があるからだったのだろうな。
今回私はそこにポンと飛び込ませてもらって、実にいい思いをさせていただいたんだなと思う。

ほぼ20年ぶりの「人前でピアノ」、しかもブルグミュラーは40ウン年ぶり(笑)。
日常生活空間にピアノがない私は、今回の公演前には何度か実家へいってさらっていたのだが、じつは一番喜んでいたのは母で、子供の頃私と妹がさんざん弾いていたメロディーをさかんに懐かしがっていた。ちなみにこういう「ダンス」は未経験だった母も本番観にきてくれて、非常に楽しかったようだった。

(セッションハウス近くの銭湯が素敵)
e0081334_1936464.jpg

打ち上げには出演者の他に、数人のダンサーの方、ミュージシャン・・・色々な人との出会いもあって、楽しくて珍しいお話がいっぱい出来て、これもまた豪華なオマケ。
出会いは出会いを生む、それも素晴らしい人からは必ず素晴らしい人に繋がる。
その瞬間に居合わすことができて本当にありがたかった。
そしてやっぱり素直に思うんだ、いい作品といい舞台にこれからも関わっていきたいなあって。

この「ブルグミュラー」も、またいつの日か再演できたらいいな〜
なんてな。

(この衣装も腰にトサカがついてました!)
e0081334_19365228.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-17 19:37 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

ひととき

e0081334_13305125.jpg

このところ、それなりにスケジュールが詰まってはいるものの、行きたいところはやっぱり行こう、と
数日前、根津神社へ。
東京都の文化財ウィークの一環で、今日は特別に昇殿できるという。この「文化財ウィーク」は都内いろんなところで普段みられないものが特別公開になったり、イベントがあったりするのだが、殆どは無料だったり、僅かな参加費で体験できるのがありがたい。
神社仏閣の特別公開、遺跡の現地見学や出土品の展示…ものによっては学芸員の方が同行して下さるのも嬉しい。

根津神社は時々散歩にいくが、本殿のなかはもちろん見たことがなく、今回は昇殿可能というので、ちょうど出勤前に立ち寄れる時間だったから出かけてみた。
素晴らしく晴れて空気が澄み、あくせくと時間に追われているうちにいつの間にか色づいていた樹々も清々しい。
朝10時少し前に着いて本殿前で待っていると、神主さんらが現れて受付。
ちなみに神主さんはちょっと松山ケンイチさんに似ている(笑)。
この回に集まったのは12〜3名だったかな、老若男女さまざま。
靴を脱いで本殿にあがり、脇にあるお部屋で大幣によって神主さんからお祓いを受けたあと、注意事項をきいて三々五々に本殿へ。
それぞれが思うままにゆったりと本殿の内部を鑑賞。
畳の上を歩く、固くも柔らかくもないあの何とも言えない足の裏の心地よさを、自宅に畳の部屋がない私は堪能した。なんといっても広いのがいいね(笑)。
e0081334_14536.jpg

正面には階段があって、神様がいるその先の戸は閉じている。
三十六歌仙絵は昭和62年の作だが、絵も書もとても気品があって美しい。
その両脇に一対の等身大の随身像。これはうちの学長宮田先生の作だそうで・・・知らなかったです。
e0081334_1452915.jpg

e0081334_1454332.jpg

e0081334_1484093.jpg

ゆったり見て、ゆったりと出勤。
近くの幼稚園児や、写生をするシニアの方たちで賑わっていた境内を後に、ゆったりとした気分で出勤。ここから徒歩10分あまりなので楽だ。

いつも散歩ってまる一日暇な時に行くことが多かったけど、仕事前に散歩すると心の余裕が出来ていいかもなあ。
e0081334_1461660.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-03 09:13 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)