<   2012年 10月 ( 16 )   > この月の画像一覧

なんじゃこりゃ〜

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あと1週間とちょっとに迫った、神楽坂セッションハウスの「リンゴ企画・とさか計画〜ブルグミュラー25」。
昨夜、リハに初参加。
近藤良平さんとダンサーさんたちはすでにリハを開始されていて、あるところまで形はできている状態。

セッションハウスは以前、笠井叡さん×高橋悠治さんがバッハの「フーガの技法」をやったとき、観客として一度行ったことがあるだけで殆ど初めて。
入るだけでなんとなくドキドキしてしまう。

ピアノを弾くのも20年以上ぶりだし(笑)、良平さんと一緒に作業をするのも初めてだし、初めて会う人もいっぱいだし・・・
と、フワフワとワクワクを持って行ったら、リハはもうとにかく面白すぎて、おまけにその楽しい空気に呑み込まれて皆さんと長年の知り合いだったみたいに柔らかい感覚で、本当に朝までずっとやっていたいくらいだった。昨日は朝から練習や仕事が詰まっていてそれなりに一杯一杯だったのだけど、もうそんなことはすっかり吹っ飛んでしまい、朝よりずっと元気になって帰った次第。

ブルグミュラーの「25の練習曲」は、日本でちょっとでもピアノを習ったことのある人ならおそらく誰もが知っている音楽で、その1曲1曲にはにタイトルがついてる。
「素直」とか「おしゃべり」とか「アヴェマリア」とか「貴婦人の乗馬」とかね。
演奏家って(当然のことながら)楽譜に書いてあること、作曲者が書いたこと(音から記号から指示からタイトルに至るまで)をひとつも漏らさずに、それをどうやって具現したらいいかということを自動的にやる習性がついているのだけど、今回のこの場においてはそんなことは通用(笑)しない。

実はこのブルグミュラーの音楽、それこそコンドルズがこのセッションハウスで踊っていた頃から良平さんはちょこちょこ使っていたそうで、いつかこの音楽を全て使って作品にしたいとは思っていらしたという。加えて今回は、ご自分としては非常に珍しく、新しい形の作品になるそうだ。
私が個人的に感じたことは、良平さんの振り付けにしては珍しいなと思うかたち、つまり音、音楽がかなり先行するので、それがある意味とても新鮮だし、面白いし、難しくもある。
昨日は、テンポの調整などをしながらかなりのナンバーを当たってみたが、面白いように進んで一同大満足。良平さんのアイデアをきいてから弾く時、今までと全く違う世界になってしまうので、自ずからまったく考えてもいなかった演奏になるのが自分で爽快だった。
しかも、もうこれらの音楽が「最初からこの作品のために書かれた」感がしてくる・・・というより、何の疑問もなく「そっちのほうがしっくりくる」(笑)。
詳しくは言えないけど、とにかく「何から何までが覆る」のだ。
この曲を知らない人にはもちろん面白いし、知っている人はきっと「口あんぐり」。

大人からお子さんまで、そして音楽好き、ダンス好き、舞台好きから「なんか面白いことないかなあ」と思っている人まで、たくさんの人に観ていただきたい作品。
公演は3回あるので、是非その「現場」を確かめにきてくださいね!

詳細は↑「コンサート情報」をご覧のうえ、
お問い合わせ、お申し込みは下記まで。
神楽坂セッションハウス

昨日ご一緒したダンサーさんたち、中村蓉さんと堀菜穂さん。
公演には他にもあと3人が出演されます。
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by saskia1217 | 2012-10-24 09:12 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

たくさんの偶然

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久しぶりに、友人と赤羽散歩。
八幡さまの屋根は本当にいつ見ても美しくて、見とれちゃう。
あの階段をのぼっても汗が吹き出さない、散歩にはとてもいい季節になった。
八幡さまは、鈴についてるブルーの紐がいつも印象的。
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赤羽台団地は着々と解体がすすんでいる。
その足場さえも美しい、プラスちょっとした悲しみ。
初めてここを散歩した灼熱の真夏日、アイスを買って憩った酒屋さんも閉店、動物のオブジェがいっぱいあった公園も重機が入ってまっさらの更地になっていた。
変わらないのは太い桜の並木だけ。
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おしゃれな高層マンションに建て替えられた団地を抜けて歩いていたら、まるで美術館のような一角に出会った。
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壊される前の団地についていたドアや配電盤、床やステンドグラス、古い曇りガラスの戸など、そんな「思い出の品」が埋め込まれた「メモリアルコーナー」が突然姿を現したのだ。
そして各マンションのロビー入り口には、昔の団地群の写真が大きなパネルで飾られている。
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今日の一番の目的だった「洋食いしだ」が、3の付く日(定休日)でもないのに行ってみたらなぜかお休み。がっくり。
私はどうもこのお店と相性が悪いらしく、目指して行くと必ず閉まっている(苦笑)。そういう運命なのか・・・
仕方ないからステーキ食べにフランス屋に。
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レモンステーキとビールを平らげて、また歩く。
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亀が池の弁天様に寄る。
ほんとの亀なのか、石でできた亀なのか、果たして岩なのかももはやわからない、この同化っぷり。
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秋の日はつるべ落とし。
帰ろうと駅へ向かう。
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夕焼けのなか、家々の間からチラッと見えた階段をどうしても昇りたくて回り道。
せまいせまい、人ひとり通れるだけの道が、丘の上に昇ったあともウネウネと続く。谷間の向こう側を見ると、今までいた団地あたりの高台がよく見える。
道には猫がところどころにいて、どの子もこっちを振り返りながら、あたかもどこかに連れて行ってくれるように時折後ろを振り返りながら先をゆく。
ぐるぐる回って「あ、お寺の屋根」、ここはどこだ?と思ったら、見慣れた静勝寺だった。
横の門から入り本堂へ。
嘘のように静寂の空間。
境内は綺麗に掃き清められ、夏の間大輪を咲かせていたであろう幾鉢もの蓮の株も、すっかり切り落とされて冬の準備に入っている。
小さな窓から覗くと、本堂奥にご本尊のお釈迦様と従者の普賢菩薩、文殊菩薩が見える。
(ちなみに同行の友人の守護仏は普賢菩薩、私のほうは文殊菩薩)。
お線香のいい香が急に流れてきてウットリしていると、ご住職だろうか、ひとりで入ってこられて読経が始まる。曹洞宗のお寺だが、今日きいたお経はめっちゃめちゃ速くて、木魚のリズムもすっごい小刻みビート。
そう、ちょうど16時のお勤めだったんだなあ。ほかの音が何もしない中、聞こえてくるお経。
数々の行き当たりばったりの偶然が織りなす、素敵なものとの出会い。
それだけでもう、いい一日が終わったのを感じる。

今度はまた、夕焼けを見に、川っぷちのお気に入りの場所まで行こう。
あ、あと「いしだ」も(笑)。
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by saskia1217 | 2012-10-23 01:17 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日のありがとう

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今日は東フィル定期、オールリゲティプログラムだった@東京オペラシティ・タケミツホール。
GP終了後、ソリストのひとり、ソプラノ歌手の天羽明恵ちゃんと記念にパチリ。
高校3年間をともに過ごしたクラスメイト。
うちの高校は各学年、美術1クラス、音楽1クラスという超小規模な学校だったので、クラス替えというものがなく、3年間みっちり40人が一緒に大きくなるのだ(笑)。
ドイツと日本を中心に活躍する天羽ちゃん、とっきどき一緒に仕事をする機会があるのだけど、30年経ってもこうやって同じ場所で仕事が出来るのはとっても嬉しいし、とても感慨深いものがある。
「見てよこれ〜、もう訳わかんないわよ」と笑いながら、彼女は自分のパート譜を見せてくれたのだが、この超難曲の「レクイエム」を難なく歌いこなす彼女はじつに頼もしかった。
今日ご一緒した東京混声合唱団、そして東フィルのメンバー、皆さん一人一人が緊張感と責任感を持ってビシッと仕事をしている姿、ただただ尊敬です。
貴重な瞬間を経験できて、あらためて背筋がピンとさせられた夜でした。
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で、その一緒に仕事した1人であるヴァイオリニストの妹が「1つ作るのも2つ作るのも一緒」といって、私の分もお弁当を作ってきてくれた〜・・・涙!
塩麹漬けのサワラ、じゃこ入りだし巻き卵、削り鰹とほうれん草の和え物、シメジと茄子とピーマンとニンジンの炒めもの。麦飯にキャラブキとアサリの佃煮。それにワンタンスープと、デザートの葡萄と日向夏。
豪華〜。
大変美味しくいただきました。感謝!
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by saskia1217 | 2012-10-18 23:36 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

読響シンフォニックライブ、本日深夜!

以前ブログでも記事を書きました、読売日本交響楽団の50周年記念、モーツァルト「レクイエム」、広島の原爆記念日当日の当地での演奏会の全曲が、本日深夜に放映になります。
私はオルガンを担当しましたが、出演者にとってもとても感慨深いステージでした。
語りは吉川晃司さん。
ラストは指揮者カンブルラン氏による、特別バージョンになっています。
是非、ご覧ください!

読響シンフォニックライブ
17日(水)日本テレビ 深夜2時29分〜(90分の拡大版)
28日(日)BS日テレ 16時〜

モーツァルト「レクイエム」(全曲/ただしラスト部分は指揮者による特別版)
2012年8月6日 広島・上野学園ホール
指揮:シルヴァン・カンブルラン(常任指揮者)
ソプラノ:森麻季 
メゾ・ソプラノ:山下牧子 
テノール:鈴木准 
バス・バリトン:久保和範
朗読:吉川晃司
合唱:広島平和祈念合唱団
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by saskia1217 | 2012-10-17 20:07 | コンサート・スケジュール | Comments(0)

休符

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一昨日からやってる、東フィル定期、リゲティ「レクイエム」のリハも今日が最終。
大編成のオケ(バスクラとかコントラファゴットとかバストランペットとかチェレスタとかチェンバロとか・・)と、女声ソリスト2人、混声合唱から成る、4楽章の「レクイエム」。

客観的に聴くだけだと「わ〜なんだこのカオス」という印象もなくはないが、毎日その響きの中に身体を置いているうちに、なんかすごい快感というか(笑)、全てがものすごい当然のように思えてくる・・。
タチェットの時なんか、眼をつぶって力を抜いてると、身体という実体はもちろん意識までもがその中に気持ちよく溶け込んでいきそうになる。
昨日、おそらくここ数週間の疲労のせいだろうか、生まれて初めて、睡魔のために食事しながらガックリと首が前に倒れるという経験をしたのだが、今日リゲティの海のなかにいた感覚はそれにもちょっと似ていた。

チェンバロパートは、弾くところはじつはとっても少ない。
4楽章のうち最初の2楽章はお休み。
3、4楽章もたぶん全体の1/10くらいしか音出してないかも。
だけど、出てくるところは結構目立つ(苦笑)。
「常に弾いている」通奏低音奏者としての生活(!)に慣れてると、休符を数えるテクニックがなかなか付きにくいのが悲しいね。音楽家としては残念すぎる。
おまけに変拍子と、この膨大な全パートが少〜しずつズレながら音が重なってゆくというリゲティ特有の書き方で、他のパートからのきっかけも取りづらい・・・
というわけで、弾いてないところのほうが書き込みが多い、というこのパート譜(笑)。

今日リハ終了後に思わず「あ〜弾いてないのになんでこんなに疲れるんだろ」と呟いたら、大学の後輩の弦楽器奏者が一言「弾いてないから疲れるんじゃないですかね」。
そ〜だ、それだ。

明日は「膝の上で指数え」という、今でも私が抜けられない超初心者チックな方法で、全力で対処したいと思っています。
南無阿弥陀仏(←なんかちょっとそういう響きなの、この曲)。
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by saskia1217 | 2012-10-17 20:06 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

料理

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「今月」はまだ終わってないんだけど。
まったくなんて月だったんだ・・・。

突入してからすぐにドカ〜ン、そこから1週間してまたドカ〜ン。
ヨロヨロと捕まり歩きをしてたら、そこから数日間グルングルン廻された。
洗濯機の中にいるみたいだったな。

そんなでも、人をお招きする日は一応ちゃんと料理(笑)。
ひさしぶりにつくった、ライスミートボール入りのラタトゥイユ。
お客様と食べたときはもっと綺麗なお皿で、ワインもあったんだけど、頭ん中ドタバタすぎて(苦笑)写真撮ることなんてすっかり忘れてた。
なので、これは翌日の自分のお昼。

ミートボールはご飯、みじん切りタマネギ、合い挽き肉、卵、塩こしょうで。
フライパンで焼き色を付けてから、野菜を煮てるお鍋に投入。
そっちは定番のラタトゥイユ・・・各色パプリカ、ピーマン、タマネギ、茄子、胡瓜(ズッキーニ)、トマト缶、ニンニク、ローリエ、コンソメ、白ワイン、塩こしょう。
ミートボールを作るだけ、気持ち「手をかけてる感」があるだけで、あとは手抜き料理。
なのに美味しくて、なんとなく見た目がちゃんとしてる。
あとは、グリーンサラダ、バゲットにワイン。

今度つくるのは、きっとまた誰かが来てくれる日。
料理は好きだし楽しいんだけど、心の余裕も必要だね。
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by saskia1217 | 2012-10-16 19:48 | くいしんぼうメニュー | Comments(0)

どんな悲しみからも〜エレファントカシマシ宮本浩次 in 日比谷野音〜

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♪これも浮世と生きるなら 生きて行くのなら
笑顔たやさず行くもいい♪

♪悲しみの果ては
素晴らしい日々を送っていこうぜ♪

♪俺の姿を忘れるな
ニタリニタリの策士ども♪

♪オマエがいつかくれた優しさが今でも宝物
でっかく生きようぜ!
誓った遠いあの空忘れないぜ そうさ
今も同じ星を見ている♪

・・・・・

『どうか俺を野音で少しだけ歌わせてくれ』という無言の叫びを放ったエレカシの宮本さん。
あれからまだたった4日しか経っていないなんて、とても信じられなかった。
そしてその4日間、仕事や用事をこなしながらも心の底に何かがひっかかっているような、悶々とした時間を過ごした。
宮本さんが「歌う」と言っている、ならばその片鱗でも聴きに行こう、会場の外では全ては聞き取れないかもしれないけど、でも今度はいつ生の声が聴けるかわからないのだ、今どのくらい元気なのかもわかるだろう、行かなかったらきっと後悔する・・・
そう思いながらも何故だかまだどこかが燻ったままだった前日の夜、突然の1本の電話で、私の掌に日曜野音のチケットが舞い降りた。
もちろん中に入ろうなんてとっくに諦めていたから、嬉しいというよりむしろ呆然だったけれど、感謝して出かけようと思った。

半べそをかいてる東京の空の下、虎ノ門から日比谷公園まで歩く。公園に入ると野音前の石垣沿いにはビッシリと人の波。そして茂みの奥、木立の下、あらゆる場所に人の姿が17時を待っている。さすがにいつものワクワクした高揚はあまり感じられず、みなどこか緊張した面持ちで言葉も少ない。テレビ局や主催者側のカメラが数台あちこちに構えられているのも、その空気をどこか引き締めているようだった。
開場してしばらくして中に入ると、すでに後方には立ち見の人がズラッと陣取り、物販にはいつものように長蛇の列。そんな光景はいつもどおりのエレカシ野音だった。柔らかい表情で粛々と淡々と準備をすすめる見慣れたローディーさんたちを見ると、あ〜さすがだなと思うと同時にこちらの気持ちもほぐれてゆく。
客席には、もうすぐ公開の「のぼうの城」関係者や、ファンを公言する著名な俳優さん、共演してきたミュージシャンたちの顔も見えた。皆、この野音を楽しみにしていたのだろうな。

席に辿り着いてから、ステージにキーボードやドラム、ギターなど、メンバーたちのいつもの楽器が並んでいるのに気づく。事前のコメントや報道から「宮本さんが病気の経緯などを話して少し歌う」というのはたぶん少し話をしてあとはアコギで1曲、多くても2曲くらいかと想像していたので、少し驚く。
プラグドの演奏もやるのか?!

かすかに小雨が霞むなか、5時少しすぎに宮本さんが姿を現す。
その颯爽とした歩みはいつものコンサートの生き生きしたオープニングそのものだったが、ギッシリと席を埋めたお客さんからは、いつもの声援ではなく、感嘆とため息が混じった1つのどよめきのようなものがきこえ、そのあとはずっと、長く長く、静かな拍手が続いた。
宮本さんがギターを持ちセンターマイク前の椅子に座ってからも、その拍手の波は止まなかった。誰も叫ばない。ただ皆無言でステージを見つめたまま手を叩きつづけていた。
宮本さんはギターを構えながらそれがおさまるのを待っているようだったが、「ありがとう、ほんとにありがとう」と静かに声にしたところでやっと拍手がやんだ。

「夢のちまた」「悲しみの果て」、そして情深く歌い上げる「約束」とアコギでの歌が続く。
最初は少しハスキーかなと思ったけれど、高音が伸びていてとてもいい声。ダイナミックスが大きくなったり高音域になったりすると、こちら側がかえって臆病になってゾワッとしてしまうのだけれど、そんな妙な心配をよそに宮本さんはとても気持ち良さそうに見えた。

「友達がきてくれました・・・心配してくれて・・・」と、キーボードの蔦谷さんとギターのヒラマさんが登場し「リッスントゥーザミュージック」。いつもアコギで始まりバンドで盛り上げてゆくこの曲、今日は蔦谷さんの静かなハーモニーと、ドラム不在のリズム係としてのヒラマさんのギターに支えられて、かえって声が通って聞こえて清々しかった。
「野音なので・・」と「月の夜」。この希有なメロディーラインとハーモニーを持つ難曲を、見事な高音でもって聞き惚れさせてくれた。
「うつらうつら」「見果てぬ夢」と渋き昔の曲たちが、間をあけずにどんどん歌われてゆく。後からきいたらもともと8曲の予定だったのが12曲になったというから、おそらくこのあたりが宮本さんが「勝手に付け足しちゃった」曲だったのかもしれないなあ。

そして何気なく始まった、初めて聴くイントロ。
ああ、新曲だ。
歌詞から、それが「涙を流す男」だとわかる。
意外とポップで明るい感じ。リズムも印象的。31日のリリースが楽しみだ。

「みんなに捧げます」と「花男」。
「俺たちの明日」はアコギversもいいんだよなあ。いつもなら照明が全開になって会場中が拳の森になるのだけど、今日は殆どの人が佇んだまま聴く。途中で「なあ、がんばろうぜ!」といういつものセリフが入ったけれど、今の宮本さんからその言葉を言われるのはちょっぴり身を切られる思いがした。
「これ練習しててさ、いや〜、ほんと〜に・・・いい曲だよなあって、あらためて思っちゃって」(拍手)

そして再び蔦谷さんとミッキーとともに「笑顔の未来へ」。

♪愛しい人俺は結構都合良く出来ているんだ
どんな悲しみからもすぐに立ち上がるのさ
あなたが望むなら 俺はいつでも大見栄きって
かっこ良くいたいと思っているよ my little girl♪

予想したとおり、今日のステージの宮本さんは、元気そうで、いつもとおりの話し方で・・・そのユーモアたっぷりの話に会場が笑い声に包まれることもしばしば。
だけどそこにあった宮本さん自身の緊張感と、心配の塊となっているお客さんを少しでも和らげようとしているような心遣いは、冒頭のひとこと「みんなを吃驚させて、がっかりさせちゃって、そしてたくさん心配もしてもらっちゃって・・・ごめんなさい」からも十分過ぎるくらい想像できた。
「なんか・・・寒くない?」
そして雨が降ってくれば、ギターを手にしたままステージ前方ギリギリまで出てきて「あ、雨、大丈夫かなあ?みんな大丈夫?」
固唾を飲んで見守っている感の3000人のファンを慰めてくれるように、こうも言ってた。
「でもね、そんな、そんなに深刻じゃないんだ・・・こうやってほら、今ここに居てさ、こうしてみんなに会えたわけだし」
そうだね、やっぱり近くにいる人じゃないから、具合はどうなんだろう、元気にしているのだろうか・・・と思っているファンには、姿を見せてくれるだけでもう十分ありがたい。
「報告会」のような色もあったものだから、曲間で言葉に詰まると「俺、もっとセリフを考えてくりゃよかったな・・・」なんてつぶやいたり。
もう十分伝わったよ。

最後の1曲、12曲目には「昔からの友達もきてくれました」とメンバー全員が登場。先の2人とともに、見慣れた「エレファントカシマシs」の姿となって、「のぼうの城」の主題歌「ズレてる方がいい」。オープニングからずっと暗いステージに宮本さんのスポットだけだった照明が、ここで一気に客席までもを照らす明るいものに切り替わる。
「まだ、爆音がこわいので・・」と時折左耳を手で押さえながら、でもあの身体を二つに折って一心に歌いあげる宮本さんの力は、間違いなく何にも負けないと思わせる熱唱だった。
「でも(マラソンしたりタバコをやめたりしたことで)なんかこう・・・声が・・・良くなったとい うか」・・確かに今日の声はとても透き通って張りがあったように思えたし。というか、なんだか声の印象がちょっと違う気がしたんだ。

そんな「静かで熱いライブ」となった今日、「フォークコンサートみたいでいいか(笑)」と、病気の発症から入院、手術、術後のことも結構たくさん話してくれた。
「7月からタバコもやめていたけど・・・浮き雲男がタバコやめたってねえ(笑)・・それはきっとその頃からすでに疲れがたまって身体が弱っていたんだろうなあ」と。
もともと時々耳鳴りがあったのが4ヶ月前くらいから結構増えてて、でも今回のは自分でも吃驚するくらい突然来て、耳に水が入ったかな〜と楽観視してたら酷くなってきて、夜中に枕に頭を打ち付けても(実演)治らなくて、休日の救急にかけこんで一時的におさまったこと(ちょうどニューシングルのジャケット撮影のフィッティングの日だったそう)。
でもすぐまた悪くなって、大きな病院にいき、すぐに入院手術となったこと。その時点では、補聴器をつけたとしても元通りには聞こえないだろうというレベルだったそうで、ふだん元気な自分は急に「手術」と聞いて結構驚いたこと。
手術は知らない間に終わっていたけど、術前に「喉に管を通すから一時的に味覚(苦み)が無くなったり、声が出なくなったりするかもしれないけれど・・命を最優先にするので」と言われ、覚悟を決めて「お願いします!」と返事をしたこと。
弱っているとどうしても「病気に酔って」しまって、他のところがあちこち痛かったり悪いような気がしてきたりして、先生に「あり得ません!」と一刀両断にされたこと(会場笑)。
そして、繰り返し繰り返し「お医者さんてほんとにすごい」「看護師さんたちの働きぶりに感動した」と感慨深く話し、10日間の入院期間、結果的に少し休むことができたこと、「壁を見ながら自分の人生を考える」時間もあったことが自分ではよかったと思っている、と。

1時間があっという間に過ぎた。
「そんなわけで、しばらくライブは休まざるを得ないことになっちゃうんだけど・・・また必ず戻ってきますんで」
「今日はみんな本当に来てくれてありがとう。俺もここに来られてよかった。歌えてよかった。」
そして最後の最後に、いつもの一言。
「また会おう!」
この言葉が、これほど重い響きを持つ時が来るなんて・・・。

今までもう何年も、エレカシのライブがあって、チケットを買って、聴きに行って、そこに宮本さんとメンバーとスタッフがいて、たっぷりいい音楽が聴けて、楽しくて嬉しくて泣けて泣けて・・・というそのことが、本当にごくごく当たり前になっていた。もちろん毎回毎回、そのことをありがたい、得難い幸せだと感謝していたし、これはけして「当たり前」のことじゃない、これが普通、当たり前と思っちゃったらダメだ、と意識していたつもりだったのに。
今度は一体いつ、こうやってコンサートで会えるのか、その声が聴けるのか・・・現実としてそう考えなくてはならないのは、正直本当に辛い。

♪俺にはなくしたものなど無かった♪
という言葉が飛び込んできた「涙を流す男」の一節が、いつまでもいつまでも心の奥に残ったこの日。
宮本さんが、そしてお客さんが、捧げた、捧げられた一夜。
その両方ともが救われるような言葉を残して、宮本さんはステージから姿を消した。
「歌うと元気そうでしょ?(笑)・・・・歌うと元気になるんだよ」

暫くのさようならは、きっと必要な時間。
また絶対に会えるんだから。
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by saskia1217 | 2012-10-15 08:12 | エレファントカシマシ | Comments(3)

人間萬事様々の

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だいすきな飛鳥山で、だいすきなお能。
今年で10年目を迎えるという「飛鳥山薪能」を、昨夜初めて観にいった。

仕舞「融」、狂言「墨塗」そして能「石橋」。
薪能は、以前観に行った根津神社につづいて二回目。
お天気に恵まれて爽やかな秋の風が吹く飛鳥山、季節を問わずただそこにいるだけで、ここに古墳が出来た頃の縄文の世や江戸庶民の行楽に一瞬にして思いを飛ばすことができる不思議な場所。
すでに暗くなっていた開演少し前に到着すると、会場は文字通り老若男女、大勢の人びとの高揚した気分で満ちていた。和服のご婦人方も多い。この日の入場者は1500人くらいだったとか。北区肝いりのこの催し、毎年かなりのプラチナチケットらしい。3ヶ月前、これを全く知らなかった私に情報をくれたお友達に感謝。

実行委員会会長さんや北区長さんの挨拶に続いて、王子神社の宮司さんによるお祓い。いつもはがら〜んとただの四角い平らな場所だったところに、この日は立派な能舞台がしつらえてある。その四方に向けて厳粛に大幣を振る。
お能が神事だという、背筋を正される一瞬。
続いて、区長さんや教育委員会関係者、区内の謡曲組合代表などによる薪の火入れ。

素晴らしい天候にもうひとつだけ、月が出てくれさえすれば完璧なロケーションだった「融」。
横浜能楽堂の副館長さんの解説にあったとおり、仕舞は、装束や面をつけるお能と違って能楽師の身体の動きそのものを味わうことができる。
「ああ、江戸の頃は大名が野外の能舞台で行われるお能を鑑賞したりしていたかなあ」などとぼんやり思いながら、ただ「風流」というだけでない、脈々と受け継がれてきた「趣」「神聖さ」「時間の流れ方、時間の使い方」などを体感していた。

演者や謡の方たちの声はマイクを通されていたのでとてもよく聴こえ、野外というストレスは全くなし。お囃子にPAがついていたのかは不明だけど、鼓も笛もいずれにしても遠くまでよく通る音。
虫の音に重なる、お囃子と謡・・・その味わい深さは言葉にできない。
本郷通りの交通量の多さのわりには車の音もそれほど気にならず。それよりも公園の上の方をキャッキャと騒ぎながら通る女子高生(?)のほうが気になる一幕も(苦笑)。でもそんなとき、ボランティアの係員の方たちがすぐさまそちらの方へ駆けつけていた模様。
そんな小さな気遣いが山ほどあっただろうなあという、この催し。

つづいての「墨塗」は野村万作、萬斎親子のご出演。
ほんとうに万作さんの存在感はすごい。
どちらかというと小柄な方なのに、舞台に出てこられるだけで視線も耳も惹き付けられる。
かなりの距離から見ているのに、オペラグラスを使わなくてもその表情を難なく捉えられる。
墨を塗るシーンでは、もっと派手に真っ黒けになるのかと思いきや、チョンチョン程度だったのがちょっと残念な気も(笑)。

休憩をはさんでの能「石橋」。
寂昭法師の演者さんは見るからにお若い方だったので、こちらが勝手にイメージしていた「僧」とのギャップがあるように感じてしまったが、考えてみたら後で登場する「仙人」との対比としても結構よかったのかもしれない。
童子、仙人、獅子などの多くの面が見られるのも楽しい。
そしてもちろん、紅白の牡丹が運び込まれた後に登場する4匹の獅子たちの活躍は、だれもが期待していたところ。
歌舞伎のような動きはないけれど、能ならではの切れ味のある舞には単なる「動」だけでない、そう、その後ろには文殊菩薩さまが控えているのだという神々しささえ感じられた。

ほ〜、それでこの後法師さんは結局この橋を渡れたのか?
文殊菩薩には会えたのか?
・・・なんて俗っぽいことを思いながら、余韻に浸る。

「人間萬事様々の。
世を渡り行く身の有様。
物毎に遮る眼の前。
光乃陰をや送るらん。」

(人というものは、それぞれにこの世の中を生き暮らしていく。
けれど皆、自分の行く手を遮るように現われる物事にだけ気を取られ、心を動かす。
そうしてその日その日を過ごしていくものなのだろう。)

そのなかの一日として、この場所と時間を与えられたことが、なんだかとても貴重だった。
一日一日、その時その時を大事に、浅はかで虚しい人間という存在ではあるけれど、できるならば大きな眼差しを持って将来という時を眺めたいものだ。
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by saskia1217 | 2012-10-14 01:30 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

本日の寄り道

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出勤時に寄り道することは滅多にないのだけど、今日は田端まで歩いてそこから電車に乗って大学へ。
お天気よかったんだもの。
千石から六義園前を通って不忍通りをひたすらまっすぐ。
駒込稲荷坂下の交差点で左折するつもりが、何だか心ココにあらずで歩いていたもんだから、気がついたら動坂下の交差点まで来てしまっていた。
意外にすぐ着いちゃうんだ、田端。

駅方向へ左折、東覚寺へ向かう。
弘法大師作の不動尊を本尊とする真言宗のお寺で、行基菩薩の開山。
大通りに囲まれた不思議な一角、明るく晴れた光のなかに、だあれもいないこの静けさ。
本堂前の階段に座ってあたたかい陽を浴びてると心臓から涙がこぼれるようだ。
点けたばかりのお線香の煙に顔を埋めても、ちっとも煙くない。
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隣接するのは、その東覚寺を別当とする田端八幡神社。
江戸名所図絵では、駒込の吉祥寺や富士浅間神社、中里の圓勝寺・五石松、無量寺、染井の寺々などに混じって大きな絵も出てるこのあたりの鎮守。
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二の鳥居。
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こちらもだあれもいない、まっさらな空気。
隣りの東覚寺の境内で帚を使う音だけが聞こえてくる。
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ここにもちっちゃなお富士さんが。
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今日はたぶん3キロくらいしか歩いてない。
秋の空気になったのに、歩くとものすごい汗。
たぶん初めて利用した田端駅の、見慣れない改札と見慣れたホームが突然に接続する不思議な新鮮さ。
降りたことない駅で降りる、それはあたらしい旅の始まり。
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by saskia1217 | 2012-10-11 01:42 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

待ってたよ、そして待つよ

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今度の日曜日、耳の病気のためにライブ活動を休止しているエレカシ宮本さんが日比谷野音のステージに立つことに決めた、と早朝に知る。
バンドのライブをやるためではなく、ファンに直接思いを伝えるために。

この人はやっぱりミュージシャンだ。
歌係は歌を歌うことでしか本当には癒されない。
まわりの人たちの支えやファンの励ましはもちろん大きな力になるだろうけれど、本人の心はやっぱり音楽をやる、自分自身が歌うことによってしか取り戻すことができない。
歌うことで生きている実感が湧くのなら、元気になるのなら・・・。

人は本当の苦境に立たされた時、どう生きていくか。
なにを考え、決め、そして行動してゆくのか。
他の誰にでもなく、他ならぬこの自分に降り掛かってきたことに対して、どう処し、どう付き合ってゆくのか。
我が身を振り返って考えさせられる瞬間が何度かある。

今朝発表されたメッセージからは、言葉は少ないけれど発症から現在までのご本人の生の心が伝わってきた。
なお当日の「メッセージ」終了後、チケット払い戻しは予定通り行われるとのこと。

宮本さん、ありがとう。
そして、本当に本当に、お大事にしてください。

本当はこんなところに、自分のブログなんかに書くことではないのかもしれないのだけれど、あくまでも覚え書きのためにここに書き留めておきたかった。
明日からまたがんばるための自分の戒めとしても。

(宮本浩次さんのメッセージ全文・公式サイトより転載)

「ファンのみなさんへ

今回左耳の外リンパ瘻という病気で、全力で歌うことが出来なくなってしまい
東京と大阪の野音のコンサートを中止せざるを得なくなってしまいました。
コンサートを楽しみにしていてくれたみなさん
それからエレファントカシマシを応援してくれているみなさん
たくさん驚かせそして心配させてしまってごめんなさい。
実は術後一週間くらいは半ば茫然と過ごしていたのですが
主治医の先生から「この状況に慣れて歌ってなおしてゆくしかない」という類の励ましの言葉を貰って
十日ほど前から毎日アコースティックギターを使って自分のペースで歌うことを始めました。
すると確かに左耳はいつものようには聞こえないのですが
一方で歌に集中することで心が軽くなり同時に元気になっている自分を感じることも出来ました。
これはとてもうれしいことでした。
いつものエレファントカシマシのステージはもちろん出来ないのですが
日比谷野音のステージで少しだけど歌う事にしました。

ファンのみんなには勝手ばかり言って本当にすまないが
どうか俺を野音で少しだけ歌わせてくれ

十月十日 エレファントカシマシ 宮本浩次」

(写真は、一昨年夏の日比谷野音の空)
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by saskia1217 | 2012-10-10 18:33 | エレファントカシマシ | Comments(0)


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217

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