カテゴリ:お薦めレビュー♡( 4 )

懐かしい音

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何週間か前、ドイツからあるCDがポストに届いた。
留学時代の師匠からの新譜だ。
新しいCDを出すたび彼はそれを送ってくれるので、感想をあれこれ書いてメールするのだが、
毎回どんな言葉をもってしても「ああ、本当にいい演奏だ」という気持ちを適切に言い表すことができない。

16世紀から17世紀にかけて生きたオランダの音楽家スヴェーリンクは、当時特に北ヨーロッパの多くの同業者たちから大きな尊敬を受けていた素晴しいアーティスト。
特に鍵盤楽器の曲にかけては見事としかいいようのない天才だ。
このCDは、その多くの名作のなかから、これまたとびきりの「美味しいとこ取り」の選曲。
「半音階的ファンタジア」「わが青春は終わりぬ」「運命」などの有名どころに混じって、渋いながらもハンパない構築力と充実度をもった大作も収録。
例えばアルバム最後の「第1旋法による4声のファンタジア(M.シルト?)」はまさに圧巻。
その直前に置かれたルターによる有名な待降節のコラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」のモティーフが、この曲のラストで最低音部に出てくる下りは、圧倒的な説得力と存在感に打ちのめされる。

師匠Glen Wilsonの演奏の一番スゴいところ。
それは「音の存在感と説得力」。
スヴェーリンクの曲はもちろん、そのほとんどがオルガンでもチェンバロでも弾ける。
このアルバムはすべてチェンバロで演奏されているのだが、その響きはまさにオルガンのようでもあり、いや時にオルガンをも越えている。
そういうふうに響かせろ、と何千回も言われたっけ・・・。

オススメの一枚。
ひじょ〜にお求めやすい価格(笑)。
是非!

Jan Pieterszoon Sweelinck: Music For Harpsichord

Sweelinck / Naxos

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by saskia1217 | 2009-06-01 00:04 | お薦めレビュー♡ | Comments(0)

Symmetrys

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今日、13日発売。
昨日もう入荷していたので、受け取ってきた。
小林賢太郎さんと田中知之さんの新しいユニットの初アルバム。HMVには専用のブースと試聴コーナー、デカデカと貼られたポスター。さすがエイベックス。
「世間のあらゆるものを、ありかなしか審判する」(小林さん談)らしい。

先行配信されていた「No Message Rap」の断片だけを聴くと、「ん〜〜、これって一体・・・」という感じだったのだが(それでもケータイ着信音、目覚まし音としてはかなり有益だった・・・笑)、やっぱりねえ、コントでも音楽でも「ちゃんと全部通して」見聞きしないといかんですよ。別物になっちゃう。

「言葉」を操るお仕事をしている小林さんと「音」を作り操る田中さんの共同作業。つまり今日手にしてみるまでは、内容なんか全く予測がつかなかったわけで。
おまけに田中さんのことは、過去の小林さんとのお仕事で知るまでは全く存じ上げず。
仕方ないか。でも・・・・
クラブミュージックってなに?というこのレベル。
っていうか・・・クラブってなに? DJってなに?みっくす?りみっくす?なにそれ?(苦笑)
そんな有様で。すいません。
でも最近ちょっと聴いてみたら、なかなかゴージャスでオシャレな響きで・・・なかなか。

結局お二人一緒の作品は15作品中3つ。8つが田中さんの「音」作品、4つが小林さんの「言葉」作品。冒頭と最後、そしてインターリュードとして「音」作品(どれもとても短い)、二人の合作はどれも時間的には長いものとなっていた。

ちょっと「怖いもの見たさ」的な気持ちでCDをセット。聴いてみたら、
あ〜〜、なるほどねえ。
あれ、これっていつものアレだね。
はあ、やっぱりそう来たか〜。
え、なにこれ、これは・・・・ないでしょ、アリですか???(笑)

いや〜〜〜、すっごいわ、これ!
・・・という感じではないけど、なになに、これ、いいじゃん・・・と、結構ウキウキと楽しめる。
クスリ、と笑っちゃう感じ。気持ちは軽くなるかな。
確かに「通勤電車の中で聴くといい(小林さん談)」かも。
以下ネタバレあり(もう13日だからいいですかね)。




「Sex」
じつはそんなに「インパクト」を感じない。CDあたまの曲としては、実はそれは「アリ」なのかも?
それって私には新しい。これから何か始まる、って感じはいいのかも。
しかしこの歌詞カード・・・歌詞(タイトルそのまま)全部列記しないでも・・・(笑)。
11×13回、ちゃんと目で追って聴くとクラクラします。ぜひお試し下さい。

「Record of Records」
これはいい!大好き。カップラーメンにお湯が注がれる音から始まる。あ、このCD、トラックどうしの間が綺麗に繋がってます。椎名林檎さんタイプ。好きです、こういう流れ。
「3分以内で人間が出来ること」を、そのタイムのところで読み挙げていく。最初のほうは重なることも多くてそれが面白いんだけど、3分に近くなると「音楽」の占める割合が大きくなっていって、「記録(Record)」は少なくなっていく。
「レディ、セット」という冒頭は、アルバム最後のナンバーとも呼応する。
「ボローニャチーズサラダサンドイッチを足で作る」って・・・・笑。ちなみに1分50秒と2分の間。
3分経ったところで、ラーメン出来上がり。ふ〜ふ〜って食べ始めると・・・ケータイがみー、みー、と鳴って次の作品へ。
(あ、これカップラーメン作るときにホントに使ってみようっと! いつもの空虚な3分がバラ色に・・・笑)
ちなみに最後の「3分っっ!」という声が嬉しそうなのが、ちょっとイイです(笑)。

「ミニマムテレフォン」
「はい」「ん」「おい」「なに」だけでできた、4通話。
いいね〜〜〜、これはホントに小林さんっぽい。ソロのラジオコントを聴いてるみたいですよ。
これはでも「あるある」です。他人の電話聴いてると、似たことがよく起こってる。

「Hones and Clock」に続いて
「Koniwa」
これも「あるある」だな。外国人と日本人が話すとよく起こりますよ、これ。
英語をしゃべってるのは、パックンマックンのパックン。声だけ聴いてるとわからないけど。
うまいんですよね、これがまた。
エスカレートしてくるこのなんとも言えない「イライラ感」は、「バニーボーイ」を彷彿とさせます。

「時報」
上記「Hones and Clock」同様、テンポ60に乗って。
この「1秒」の間隔って、生理的にもの凄く心地良いんだって、再認識。
ちなみにこのアルバム、終始通して、テンポが貫かれてる(同じテンポじゃないんだけど、前後に生理的な関連性がある)ところが、なんか「身体に優しい天然水」みたいだ(笑)。

「No Message Rap」
これを先行配信にした理由、全部を聴いてみて納得。これ、やっぱりちょっと面白いナンバーだった(爆)。抜粋だけじゃ感じられないもんね。ま、ちょっと「日本語学校アメリカン」のノリもあり。タイトル通り、No messageですが、当初は「まてよ、これに子音を付けたら、あぶり出しのように何かのmessageが現れるのかも・・・」なんて考えが頭を過ったり。だめだめ、こういうところがラーメンズファンのオカシな習性です。
・・・ですよね?何も隠れてないですよね???んん〜。

「Midnight Running」
ホンダの車のCMでお馴染み。

「盛り上がる人たち」
これはちょっと聴いていただかないと・・・(笑)。
録音に参加しているのが、殆どトゥインクルの後輩芸人さんばっかりじゃないですか。
ちょっと怖いところもあり、真意は謎。
これはもっと聴いてみよ。

「Pringles and Bass」
ま、これも「あるある」(笑)。
プリングルスをかじる「ぱりっ」と、箱を「しゃかしゃか」。それが軽快なベースのピチカートにサーフィンのように乗って過ぎて行く。たしかにいつも食べながら、その「音」を楽しんでいる自分がいました。
だけど、これをこんな時間(ただいま3時33分!)に聴いてはいけません。
食べたくなるなる・・・・プリングルス。

「サンプラー作文」
って、こういうことだったんですか!(笑)
いつもの「あいうえお作文」のヴァージョンアップという感じ。最後の一節は、いろいろミックスされているが、これももうちょっと聴かないとちょっとしっくりしないところが。
切り刻んで使うときのために、もとの長文を読むときのイントネーションに苦労されてるのがちょっとわかる。それがまた上手くいってます。
歌詞カードを見ながら聴くと一目瞭然だが、見ないで聴くとまたそれはそれで面白い。
言葉がリズムになっていく。小林さんお得意の世界。

「One Minute for Sleep」
これもね、テンポ60なんですよ!ぴったり。
そして1分でかっきり終わります。なんか、インターリュードの権化みたいな音楽。

「卒業生イン・ザ・ハウス」
小学校の卒業式、「卒業生代表の挨拶」をラップでやったらどうなるか、っていう作品。
小林さんのラップの腕は、有名なコント「採集」でも証明済みだけど、これも見事に素敵な韻の踏み方でホントによく出来てる。前にも書いたが、ラップはやっぱり素晴しい韻と内容の面白さが同居しないとね。KREVAさんのノート、小林さんのノート、覗いてみたいもんです。

「Piano and Clock」
言うまでもなく、これも60です。
お見事。

「Samurai Breakin'」
陸上の為末選手の走る音がミックスされてます。どこを走っているかで音も変わる。走る音はいつのまにかドラムの音に、そしてまたいつしか人間の足音に。鳥の声、空気の音。
・・・「このアルバムの最後はあえぎ声で終わります」(小林さん談)
って、こういう意味だったのね(笑)。

クラブミュージックはよく知らないけど、これを聴いてて「ミニマルミュージック」と似た快感がいっぱい出てくるな〜と思った。私はじつはミニマルミュージックが大好きで、大学生の頃有る時期狂ったように、ライヒとかライリーとかばっかり聴いていたことがあった。でもあれって人間みんな基本的に好きなんじゃないかな。田中さんの作品にはその要素が結構入ってる気がする。なんか親近感というか。
他のアルバムを聴いていないので断言できませんけど。

テンポ、時計・・・そんなものをキーにして1つ1つ扉を開けていく一枚。
ひと袋のなかに、キャンデーとかおせんべいとかガムとか、ときどきおもちゃの指輪とか、そんなのがいっぱい詰まってる・・・・そんな感じのアルバム。
なるほど、この二人のミックスはライブよりも録音のほうが適してる。きちんと計画したことをきっちりやったほうが上手くいく、お二人の良さがちゃんと生かされるような気がする。
コラボって、無理して歩み寄ろう(混ざろう)とすると、絶対うまくいかないんですよね。先日見たお芝居じゃないけど「相手を自分の世界に引きずり込まない」。違ったままのほうがいい。そうじゃないとコラボにならない。そうじゃないとわかりあえない。そうじゃないと楽しくない。
以前、異文化交流について野田英樹さんが雑誌のインタビューで「文化が異質だから面白いわけだよね、それでいながら交流したい、混じりたい・・でも現実は本当に混じり合ったら面白くもなんともない」と語ってらしたな。

キャッチフレーズにあった「新しい」という感じは正直それほどなくて、どちらかというと現代音楽なんかでよくやってることを、もっと「楽しくってワクワクしたかんじ」に変換した気分。
「音楽+お笑い」っていうのもちょっと違うような。「音」と「言葉」だと思う、やっぱり。それに+じゃなくて、隣りにあって引っ付いてる。

結論。
このCDは
アリ
です。

(おまけ)
ステッカーとか特典応募券とかボール紙のケースとか、いろいろ付いてましたけど、ブックレットがなが〜〜いレシートなんですよ。それも2つに分かれてて。
で、yoyo yeah とか、はいはい、なになに、とかこまか〜い文字がぎっしり書いてあるそのレシートを手に取って、まじまじと読んでいる姿って、ふと気づいたらスーパーのレジを通ったばかりのおばさんが、打ち間違いがないかと真剣にながいレシートを繰ってる、まさにアレですよ。いやだいやだ(爆)。
しかし、スーパーから持って帰ってきたレシートと一緒に、間違えて捨てないようにしなきゃ。
いや、ホントです。
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by saskia1217 | 2008-02-13 04:07 | お薦めレビュー♡ | Comments(0)

「冒険する身体」

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明日はいよいよ、THE CONDORSのデビューマキシシングル「真夏帝国」の発売日。
先週のUSENでは見事17位にまで上り詰め、デビューへの高揚感に花を添えている。
明日の夜は記念イベントもあることだし、その話を書きたいのはやまやまなのだが。

そこを敢えて、今日は新刊のご案内!
タイトルに掲げた書名の学術書が、本日発売になった。
「冒険する身体〜現象学的舞踊論の試み〜」
著者はコンドルズのダンサーでもある、石渕聡さん。

ダンスも出来ないし、ましてや専門家でもないし、楽理科で教鞭をとっていながら「美学」ときくとどうしても遠巻きにしてしまうし(苦笑)、ましてや「現象学」などに思いを馳せたこともなかった私だが、この本の元となった石渕さんの博士論文を読ませていただいた時には、本当に目から鱗が落ちた。
もちろん専門書なので、ある程度基礎的な文献を読んでからでないと、理解を深めるのはなかなか難しいかもしれない。でも、それらの文献は舞踊学や現象学のみならず、他の芸術分野を扱ったものも多く、とても興味深い。例えば、この本の中で大きな部分を割かれているランガーの著書、なかでも「芸術とは何か」などは、もともと音楽に重点をおかれていると言ってもいいものだ。

今回のこの新しい著書は、もとの論文に細かく手を入れられ、より読みやすいものにされた、ということなので、舞踊のみならず、音楽や演劇など他の芸術に従事する方、興味のある方には是非お薦めだと思う。音楽家のみなさん、たまには「芸術のなかの音楽」を考えてみるのも楽しいですよ!
(ちなみに表紙イラストは、「ダンシング・ゼネレーション」や現在連載中の「Believe」でおなじみの漫画家、槙村さとるさん。学術書にはすごくいいですね、こういうマッチング。残念ながら音楽の学術書ではあまり見たことないけど・・・)

ご興味のある方、
詳しい内容、問い合わせや注文は
春風社のこちらのページ
をご覧ください。
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by saskia1217 | 2006-07-25 23:44 | お薦めレビュー♡ | Comments(3)

真夏帝国!!

カテゴリーに「お薦めレビュー」追加記念、お薦め第一弾!

いろんな本、映画、音楽、映像、イベント・・・
あまのじゃくなのだろうか、特に歳を重ねてゆけばゆくほど、「これはいい!」と本当に心底思えるものは、まさに片手の指で数えられるほどの少なさである。
そんななかで、ど〜〜〜〜〜〜〜〜〜しても皆さんにお薦めしたい、これは1人じめしていてはもったいない、というものをガンガン勝手にお薦めするコーナー。

はいっ、今日のお薦めは、先日渋谷ライヴ報告をしましたバンド、THE CONDORSのメジャーデビューになるマキシシングル。その名も・・・

真夏帝国

いいですねえ、なにやらすっごく暑そう(=熱そう)なタイトルです(笑)。
7月26日、バップから発売。
代表曲「真夏帝国」と「無条件幸福」を収録。ボーナストラックはダンス公演でもおなじみの「コンドルズのテーマ」そして「THE CONDORSのテーマ」詳しくはこちら←クリック

ただいま予約受付中(7/19まで)。初回封入特典は「デビュー記念イベント(7月下旬東京)招待券」と「バンドリハーサル見学会(9月中旬東京)の応募抽選券」、それにダンスカンパニーのほうのDVDが付きます!
ちなみにAmazonでも注文可。

つまり彼らは今まで全くCDなしでライブを重ねてきたということで、それでも私のように初めて行ったお客がその場ですぐ楽しめる、言葉も音楽もすぐに伝わる、そしてその場で一緒に音楽できるという、十分熱いのに全く押し付けや気負いのない誠実な素晴らしさ が彼らの持ち味だと思いました。

ヴォーカルの勝山康晴さんはコンドルズの社長兼プロデューサー兼出演者、そして数々の雑誌や本のライターでもあります。文才と話術に長けた彼の、少しハスキーでパワフルな歌はなんとも親近感いっぱい、メッセージ性は強烈。そして彼と一緒に曲を作るのが、バンドマスターでギターの名手、石渕聡さん。鍵盤楽器、弦楽器から管楽器まで、楽器という楽器は殆ど難なくこなしてしまうマルチな才能の持ち主。舞踊美学がご専門の研究者で大学では人気ゼミをかかえる先生でもあります。そしてベースはあの近藤良平さん、いうまでもなくコンドルズ主宰のあの方。目下超売れっ子ダンサーの別の顔が見られますよ。他にNHK「サラリーマンNEO」サラリーマン体操で美しい体操を披露していた山本光二郎さん(Sax)や、藤田善宏さん、オクダサトシさん(Cho)に、原嶋紘平さん(Guit)などの気鋭のミュージシャンが加わった、とっても贅沢なバンドです。
(詳細はリンク→「コンドルズ」 HPからどうぞ)

そんなわけで、発売が待たれます!
興味のある方は是非、聴いてみて下さいね!!
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by saskia1217 | 2006-06-10 01:24 | お薦めレビュー♡ | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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