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再会

久しぶりに、生のコンドルズに再会。
10周年を迎えた今年の夏の全国ツァー「エルドラド」は、福岡、広島、大阪、仙台を周り、昨日から東京にやってきた。

こんなことでもなければ、滅多に足を運ばない歌舞伎町(笑)、シアターアプル。
ステージは小さいけれどキャパは700と結構多い。ロビーは映画館のようにこじんまりしていて、居心地はいい。

コンドルズに限らず、熱心なファンというものは、各地の公演に出かけていったり、同じ会場の公演に複数回見に行ったりすることがよくある。大好きなアーティストなら何度も見たいという気持ちは私にもあるし、同じ公演でも完全に同じものは二度とないだろうから(特にコンドルズみたいなスタイルだと、アドリブなども変わって来るだろうし)、それを楽しむ、というのもよくわかる。
そんなことも醍醐味だろうけれど、私には何故か、特に映画などではなくライブのものは、1度だけを見たい、聴きたいという気持ちのほうが強い。
これは単なる気持ちの問題なんだろうけれど、何度も見ると何かが「薄まってしまう」ような気がするからだ。

で、今回も、苦労してチケットを取ったのは一公演のみ。
最後の最後まで、期待感を高めながらその日を待つ・・・はずだった。
が、ひょんなことから別の日、つまり昨日初日のチケットも手にすることになった。じつは上記のような気持ちでいたもので、これほどチケットを欲しい人がいるのだったら、自分は行かずに誰か他の人に譲ったほうがいいのかな〜、と一瞬は思ったのも事実。
でもせっかくのこの幸運、もっと生かそうと思いなおし、私の話を聞きすぎて(笑)コンドルズがかなり好きになってしまった学生さんに、初めての生コンドルズを見てもらおう、と彼女と一緒に観に行くことにした。

おかげさまでとってもいいお席に恵まれて、5月の春公演以来の「コンドルズ」全員の舞台。すぐ目の前で、12人が縦横無尽にステージを駆け巡る。
5月の頃は、ダンス公演、トークショー、バンドライブ、それが過ぎ去ると、CDデビュー関連のイベント、USENリクエスト・・・など、立て続けにいろんなことが起こりすぎて、なんだか大きな渦のようだった。こちらのほうも熱にうかされすぎていて(苦笑)、それをわかりつつも自分でも止まれない状況だったのだが、あれからコンドルズや、コンドルズを好きな人たちや、マスコミや、いろんなことを出来る限り見たり聞いたりしてきた中で、そんな強烈な思いだけではない、何かもっと違う温かさのようなものが生まれてきたような気がする。

昨日はそんなわけで、ドキドキワクワクと期待しつつも、何かに包まれるような柔らかい気持ちでアプルに着いた。連れがいる、ということも、こういう時はかなり自分を冷静にさせてくれるのだろう。

黄金に包まれたカーテンコール、一杯のお客さんの中に埋もれながら、やっぱりコンドルズはいいな〜、と、ただそれだけを思った。
そして、20周年、30周年を、もしコンドルズが迎えられたなら、その時もやっぱりこんな嬉しい気持ちで、彼らの舞台を観に行きたいと思った。
その時はきっと、ステージ上の彼らも私も、おんなじように歳を重ねているだろうな・・・と、そんなことを想像するのさえ、今はこのうえなく楽しい。
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by saskia1217 | 2006-08-31 15:37 | コンドルズ | Comments(3)

魔力

日曜日。朝。
今日は礼拝奏楽当番なので、珍しく真面目に早く起きた。
暑い陽射しながら、珍しくヨーロッパのようにカラッとした風を浴びながら、よぉく考えてみた。
そう、まだ3ヶ月しか経っていないのだ・・・・
初めて生のコンドルズ公演を見た時から。
まったくもって信じがたい。
(昨年秋の「情熱大陸」という発端、今年お正月の「芸術劇場」という助走はあったけれど)

暦は既に、「さくら」の季節から「真夏帝国」に移りつつある。
怒濤のような先週1週間を終えて、水曜以降何度も何度も文字にしてみようと試みながら、4月のあの時と同じように、それはまるっきり出来ない相談だった。
これを書いている今だって、かなり無理して言葉を絞り出している。何度も言うが、こういう場合本当に言葉は無力だし、私自身がそれを操る術を持っていないせいもあるだろう。実にもどかしい。

よくドラマなどで耳にする「君を幸せにする」とか「私を幸せにして」とかいう、かなり非現実的な甘ったれた響きのセリフがある。
でも・・・
「ほんとうに、誰かを幸せにする、しかも強烈に、そして深く深く、嘘のかけらもなく」
ということが、現実にあり得るのだと信じるに至った。
今まで、決して短くはない時間を生きてきて、日常生活でも仕事の面でも、いろんな人に助けられ、心を砕いてもらって、幸せにやってきた。が、こんなに「幸せ」だと思ったことは、もしかして無かったかもしれない。言い切ってもいいかもしれない。いや、決して言い過ぎじゃない。

人を本当に幸せにするなんて、なかなか出来るもんじゃない。そして、実際それが出来る人たちは、多くはないにしろ、たぶんコンドルズ以外にもいるだろうし、受け取る側との波長がたまたま合った、合わなかった、によって1人1人違うだろう。
しかし、こんなにも人を幸せにする、って一体なんてことなんだろう?
これって一体、なんなんだろう?
何がどうしてこうなったんだろう?

理屈なんていいんだけど、でもこの魔力の底にあるのは、発信する側すべての人の中にある本当の信念と情熱、そして一番に愛情だってことは疑いないんじゃないか。
自分がやっていることへの愛情、音楽への愛情、そして生であろうとメディアを通してであろうと、向こう側にいる全ての人への愛情。
もちろん大人の世界、いろいろある。でも、それでも、この人たちに「決して嘘がない」ということはちゃんと伝わる。
その力が、素直にまっすぐに、こちらの心に突き刺さり、そして全身に充満していく実感。それは決して一瞬で無くなるようなものではなくて、ちゃんと次の瞬間からエネルギーとして自分のなかで生まれ変わるのだ。
水曜夜、親友に言われた一言が、まさにドンピシャ。
「コンドルズに出会う前の貴女はよくぞまぁ生きていたものだ、と却って讃えたくなるくらいです」

2006年7月24日
近藤良平さんが「AERA」の表紙を飾る。

2006年7月26日
THE CONDORS メジャーデビュー マキシシングル「真夏帝国」発売
・・・やはりCDで聴くと、エアチェックでは聴こえなかったいろんな音が聴こえてくる。1つだと思ってたベースの音符が2つだったり。ラップの、そのまた「合いの手」のセリフとか。もっと言えば「フィジー」と「プーケット」の間が「稲毛」だったこととか・・・(笑)。しかし、キーワード「ハイル」がどうしてもドイツ語のHeilに引っかかっちゃう気がしたり・・・「万歳!」みたいな・・・いや、考え過ぎだろう・・・
そして、目をつぶって「無条件幸福」を聴く時、脳裏に広がる東京ドームの風景は、必ず100%実体験する日が来るだろう、そう遠くないうちに。そう、「思い描けることは必ず実現する」のだ。

DVDについてはコメントが星の数ほどある。が、特筆するとしたら「橋爪ボレロ」(ん〜元祖「愛と悲しみのボレロ」をリアルタイムで見た者としては、涙がでるほど笑えた)、何やら「不道徳」の匂いもする「道徳」の時間(いやいや、真剣なのはちゃんと伝わります)、そして感動シーン満載の「クラブ活動」のコーナー。そうそう、CD録音って各パートごとに録るんですね〜、それがすっごい新鮮。我々の場合、100人のオケでも2人のアンサンブルでも、まず別録りはあり得ないので。それなのにあのリアルさが出るところがスゴイ。

同日夜、渋谷eggmanにて記念イベント
・・・たっぷり2時間のトークとライブ。この日集計発表、先週分のUSENリクエストランキング3位、総合ランキング20位

その直後のTOKYO-FM 「WANTED」
・・・もはや気持ちいいくらい、皆さん「突き抜けて」ました。詳細はここには書けないくらい「唐突で危険」だったけど、それがもう「○ネタ」かどうかこっちもわからなくなってくるくらい、明解なトークの連続。

・・・・・・・・・・・・・・・・
本当に本当に、おめでとう!!
嬉しい、嬉しいです。
同じ時代、同じ国に生きていられた
この偶然なる必然に
「無条件幸福」!
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by saskia1217 | 2006-07-31 01:01 | コンドルズ | Comments(2)

今日の運勢・・・

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今日降ってきた幸福。
詳細はまた・・・
(今夜はこれからまだまだ忙しいっ!!)
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by saskia1217 | 2006-07-27 01:27 | コンドルズ | Comments(5)

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今朝の日の出は最高だった!
4時半くらいにはもう明るくなってしまうんですよね、最近。
つまりTOKYO FM(しかし、いつの間にFM東京がTOKYO FMに変わったんだろ。最近まで知らなかったよ〜)の水曜WANTEDが終わる前に、夜が明けるようになってしまったのだ。
水曜は何故か雨が多い(出講日だから余計印象に残る)。だから、こんな素敵な木曜の朝は久しぶりだ。
まさに「世界一の夜明け」が私にも!!
(これは、毎週番組の最初と最後に登場する決め台詞なのです)

THE CONDORSの渋谷ライブのことを書こうと思っていたのだが、言葉にしようとすると何も出てこないことに気づいたのだ。それにライブ終了後から取り憑かれた、何だかものすごい虚脱感を振り払うことができないまま、今日になってしまった。
自分が受け取ったものを描写しようと思えば、それはきっとこんな場所には収まり切らないだろうし、あえて無理して一言で言おうとすれば、ん〜・・・

「血の通ったエレクトリックによって、現実になった夢」

かな・・・・
え? そんなんじゃわからない?
ん〜、多分ダンスカンパニーの方の公演と同じことで、実際にライブで体験しないと伝えられないものだと思うので、すいませんねえ。

今まで「電気を通した音」がどうしても苦手で、時々チェンバロの現代作品などでPAを通して弾かなきゃならない場合でも、実はものすご〜く嫌な思いをしていた。
でも、一昨日のライブは全然違った。何故だかわからないけど、すごい不思議。魔法みたい。
で、あの大大大音響ももう快感でしかなかったですね。帰路まったくわからなかったけど、帰宅後ふと気づくと、耳の中が「しゃ〜〜〜〜〜」っと鳴っているじゃないですか。
なにあれ?耳鳴り?1時間もしたら治りましたけどね。あ〜びっくりした。

ロックもライブハウスも初体験、もちろんスタンディングも初めて。ドリンクを買って場所を取ったけど、何故か「たくさんある」はずのロッカーが「使えない」ことになっていて(せっかくライブハウス通の友人きょろさんから伝授されていたのに!)、私はバッグ1つだったから何とかなったけど(でも雨だったから傘とかジャケットとかは邪魔でしたね)、地方から新幹線や夜行バス利用で日帰り、なんて方達は大きなリュックを持っていたりしてとってもお気の毒だった。かなり満員だったから、荷物分のスペースはちょっともったいなかったですね。O-Westさん、どうにかしてください。

入場後約1時間ほど、座ることなく開演を待つっていうのも何だか不思議な状況。1人で行くとそのへんが手持ち無沙汰ですが、ステージに並んだ楽器、会場のつくり、それに他のお客さんなどを観察したり、パンフを読んだり、隣りの人と少し話したりして、それなりに時間を潰した。そんなことしてるうちにお客さんたちの気持ちが高まってきて、誰がどうするということもなく、その力が1つの塊に集約していくのが凄かった。時間が迫り、メンバーがいつ出て来るか、という頃になって、全員が手拍子を始めたりして。
それと、ごひいきのメンバーのいるファンは、その人の前をしっかり陣取るんですね。当たり前か・・。それぞれが結構凄まじかったが、たまたま3列目にいた私も、いつのまにかしっかりとその渦に飲み込まれ(笑)、不覚にもついノリノリに・・・。

しかし、いろんなものが飛んできたり降ってきたりした(笑)。
このバンド、夏にメジャーデビューするのだが、そのCDのタイトルナンバーになっている「真夏帝国」をやった時には、天井から大小のカラフルなビーチボールがどんどん降ってきて、おまけにステージのメンバーが大型の水鉄砲で客席に放水、3列目の私はもちろんずぶ濡れに。ライブ仕様の服で出かけて良かった!とっても気持ちよかったもの。
そして雨降りだったからなのか、なつかしの不二家パラソルチョコがステージから大量にばらまかれ、皆がきゃ〜〜っと手を伸ばす光景をぼ〜っと見ていたのだが、なんと後で足下の床に置いておいたバッグの中に入っているのを発見。す、すごい・・・
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開場前から通算すると3時間以上立っていたことになるけど、何故かまったく疲れなかった。
何かポジティフなことで張りつめた精神状態でいることって、やっぱり素敵だし、必要だな。

「青春は繰り返す」
その一言。
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by saskia1217 | 2006-05-26 01:10 | コンドルズ | Comments(2)

やっぱり一睡もできませんでした・・・
昨夜は、渋谷のライブハウスO-WestでTHE CONDORSのライブ。
すごい、すごすぎる!
楽しすぎる!
とにかく、ハートにこたえる!

夜が明けてしまいました。
カラスが鳴いています。
は〜。

詳しくはまた。
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by saskia1217 | 2006-05-24 04:42 | コンドルズ | Comments(0)

このところ雨ばかり。やっぱり天気は精神面に作用する。
何かと憂鬱になる、ここ数日。

だが、今日はまたお出かけしたのである。
(す、すみません、また同じ話題で・・・・びくびく。)
先日見に行った早稲田大学演劇博物館の展示「コンドルズ 96→06 ネバーエンディング・ストーリー」に関連した、早稲田大学に関係の深いメンバーによる演劇講座(トークショー)が、同大学小野記念講堂で行われたのだ。

早稲田に行くのは今日で2度目だが、なぜか、もはやあまり疎外感は感じなくなっており(笑)、かわりに不思議な親しみが漂っている感じがした。(きっと気のせいだろうが・・)
「小野記念講堂」というのは、かの有名な大隈講堂の隣りにある超綺麗な新しい建物で、今日は初めて正門付近から入って行ったのだが・・・

あの「南門通り商店街」というのは、いったい大学の中なのか、それとも外なのか???

その道には都バスも走ってるし、コンビニもあるし(でも一般大学には構内にコンビニとか銀行があったりするよね)、大隈講堂の前にはおっきな観光バスがどんどん着くし、通りにずらっと並ぶのはいかにも普通の商店だしなあ。そういえば先日TBSで安住アナと丸山弁護士が早稲田をレポートしたのを見たが、その時に出た稲穂という食堂がひょっこりあったぞ。
う〜ん、余所者には実に不思議な通りだ。

そうそう、「トークショー」。
学生さんの時間割にあったイベントだったので2時40分から4時10分という不思議な時間。しかしコンドルズのこのところの人気上昇でファンの暴動を警戒したらしく(笑。ん〜、ホントかも、ね。)、なんと12〜13時に整理券が出ることになった。普段の公演のチケット争奪戦のことが頭に浮かび、念のため11時過ぎ頃をめざして家を出た。その時間に着いたら、やっぱり5名ほどの若い女の子が並んでました! すごいっ!

整理券での入場は、一般客や学生さんに30分ほど先立って行われたが、それにしても整理券をもらってから開場まで2時間近くある。とりあえず大学を出て馬場下の交差点まで行き、とあるコーヒーやさん(チェンバロが置いてあって、週1回生演奏をやるらしい)でコーヒーを飲みながら学会誌などを読みつつ時間つぶし。

やっと開場したと思ったら、開演まで1時間近くある(笑)。ステージのスクリーンにはコンドルズの過去のステージの映像が流れ、皆大人しくそれを見ていた。客観的に見ると、なんだか不思議な光景である。
そしてやっと開演、演博館長さんのご挨拶につづき、今度は過去NHKやTBSで放映されたコンドルズ関係の番組のビデオが流れる。
まだか〜、まだなのか〜っ・・・

と思ったところで、やっと出演のメンバー5名がステージに登場。ところが照明がつかず、彼らは真っ暗な中、自分の名札のついた席を捜してステージを徘徊(笑)。
「ひょっとしてこれは演出なのか?」などと、ついつい思ってしまう自分に失笑。(コンドルズならありえるから・・・)
いつものようにプロデューサー勝山氏の進行でトークが始まり、懐かしい早稲田の思い出話に花が咲いていた。それぞれが演劇やダンスに打ち込んでいた時の話、貧乏暮らしをしていた話、バイトの話、早稲田界隈の話を披露。早稲田には全く関係のない私も、それをきいていると自分の学生時代が思い出されて、共感できるところがたくさんあった。

最後に学生さん数名から質問がいくつか寄せられた。
先日のラジオ番組でも話題になっていたが「好きなことをするか、それとも就職するか」という一般大学にはつきものの悩みについて、メンバーの何人かが答えていた。(考えてみると音楽専門の学生は、基本的に「好きなこと」=「仕事」なので、その点ではもちろん幸せであると同時に、逆に「音楽以外何もできないので、音楽するしか仕事がない」ともいえる「苦渋」もあるし。もはや私の学生時代のように「音楽じゃないことを仕事にする」なんていう「のんびりしたラッキー」な時代でもなくなってしまったし。)

その中で印象に残ったのは、現在ある大学で教鞭をとっておられる石渕聡さんの言葉だった。
「とにかく就職しなさい。人間、2足いや3足の草蛙ははけるもんだ。就職したから好きなことをやめた、っていうのは甘い、言い訳に過ぎない。それでやめるようなことなら、ほんとに好きだったわけじゃないんだ。・・・もしかしたらホントに好きなことは職業には出来ないのかもしれない、だから夢は1つじゃなくて3つ持て!」

は〜、なんだか説得力があります、好きなことを貫いてきた人たちの言葉って。
苦労してきた、とか、こんなにがんばったんだ、とかそんな言葉は彼らから聞いたことは一度もないが、彼らのやっていることを見ればそんなことは一目瞭然。
それに、好きなことをずっと続ける、っていうのがもちろん甘いもんじゃない、って厳しさも伝わってくる。
自分自身を含め、自分の努力以外にも、環境や条件に恵まれて好きな音楽をずっとやってこれた学生たちを考えるにつけ、時々はもっとそれを思い出し感謝して、どんなに歳をとっても日々前進しなければ。

というわけで、トークショーでもまた元気にさせられたコンドルズでした。
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by saskia1217 | 2006-05-20 01:19 | コンドルズ | Comments(2)

勝利への脱出

・・・と題された、コンドルズ埼玉公演に行ってきました。

はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・!!!!!!

とか書くと、もうそれで終わってしまいそうなので、がんばって文章にしてみましょう(笑)。
先日見に行った東京・グローブ座公演「勝利への脱出」を組み直し、練り直したのが、今日の埼玉公演「勝利への脱出・SHUFFLE」だ。
与野本町の「彩の国さいたま芸術劇場」で、昼、夜の2回公演。

寒い雨の中、今日も開演前に物品販売があるというので、まるでコアなファンのごとく(あれ?)ちょっと早めに出かけてみた。というよりも、埼京線は快速なら速いのだが、各停だと意外に時間がかかるし。それに雨だし。あの会場、駅から遠いし。(なんか言い訳っぽい?)
ここの「音楽ホール」では何度かコンサートで弾いたことがあるが、お芝居なんかをやる「大ホール」に足を踏み入れたのは今日が初めて。「大ホール」というのでキャパが大きいのかと思っていたら、700くらいだったので安心した。かえって音楽ホールの方が大きく見えるくらいだ。さすがシェイクスピアなんかをよくやるハコ、肉声がよく通る限界はこのくらいだろう。私が思うに、コンドルズもこの大きさくらいまでが、その「良さ」を生かすには限界だと思う。先日のグローブ座もよかったし、東京では他に新宿のシアターアプルとかね。

さて、多くのお客さんが会場前からつめかけていた。中には九州、関西、北海道などから観に来るファンも多く(もちろん東京から地方公演に出かけるというケースも多い)、交通費、ホテル代、チケット代、グッズ購入代・・・いやいやすごい出費に違いない。でもそこまでしても観に出かけたいという気持ちは、とってもよくわかる。
「実際に生きていくのに必要のないこと、それが好きだし、それこそが『文化』だ」と、数日前出演した深夜ラジオのブログに、メンバーの石渕聡さんが書かれていたが、そういうもの&ことにどれだけお金を出しても無駄だとは思わない、逆に何か「生きていくのに絶対必要なものを手に入れるために」それだけの出費をするのは、無駄であるなんて全く思わない、ということなのだ。それこそが文化だし、芸術なんだよな〜。お客さんにそう思ってもらえるのは大変なことなんだけど。

おっと、もう話が終結してしまうところだった・・・。
今日の席は、東京公演を観た後にだいぶ迷い、随分たってから申し込んだために、ギリギリで取れた席。よって、2階席の最後列、つまり存在する席の一番後ろ。でも、本当の「大ホール」と違って小ぶりだし、とても見やすく作られているので全く問題なかった。1階だが端だった東京公演に比べて、かえって中央に近かったので、照明効果の素晴らしさや、群舞をまとめて観ることができてラッキーだった。

内容は文字通り東京公演の「シャッフル」だったが、その混ぜ混ぜ具合が素晴らしく、同じコントや人形劇も、微妙に進化していたり、ご当地ネタ(さいたまなので浦和レッズとかね)が盛り込まれたりしていて、いや〜「一粒で2度美味しい」とはよく言ったものだ、と感心。
ここはヨーロッパのオペラハウスのように、ステージに倍くらいの奥行きがあるので、そこをうまく使っていたと思う。(グローブ座では上下の花道を使った分)

しかし出演者13人それぞれが、平日のお仕事、うち3人は水曜深夜のラジオ生放送、全員連日のステージの稽古、かつ何人かはその稽古前後の時間でライブ(23日)のためのバンド練習、とものすごいスケジュールだというのに、ほんとにまあパワフルだ。日本人のスタミナとは思えない。まるでドイツ人みたいである(笑)。
おまけに今日は開演前、ロビーをうろうろしていたら、突然近藤さんと石渕さんが楽器をかかえてこちらに歩いてくるのにバッタリ遭遇。何かと思ったら、開演前に正面入り口外の寒いところに椅子を持ってきて、そこで10分ほど生演奏。近藤さんはハーモニカやケーナそしてギター、石渕さんはマンドリンとギターで、二人でどことなく即興的に何曲か演奏してくれた。開演10分前、戻ろうとする彼らにお客さんたちが「おねがい、もう1曲!」と叫ぶと、「しょうがないなあ〜」と言いながらもう1曲。え〜もう開演時間5分前じゃない、とこちらがヒヤヒヤしてしまった。さすがに余裕である。このサービス精神、見習いたい。

公演は期待を裏切らない楽しさで、あっという間の2時間。今回もやはり休憩なし(「休憩時間」に色々なCM映像や、コントのような映像が流れる)。
最後の最後、全員スタンディングオーベーションの中、何度もアンコールが続く。ロビーには例によって出て来るメンバーを待つお客さんで一杯。10時近くなって、裏でメンバーや関係者の「乾杯」があるため「戻れよ〜」と近藤さんが呼びにくるまで、サインや写真撮影、お話に応対し、時間切れで応対できなかったファンに、1人1人握手をして謝りながら戻っていくメンバーの方たち。

いやいや今日も、幸せな気持ちにさせてくれたコンドルズでした。
これでとりあえず来週まではがんばれそうです。
ありがとう!
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by saskia1217 | 2006-05-14 02:07 | コンドルズ | Comments(2)

・・・・(言葉は無力)

「全身の血が総入れ替えされた」
「昨日からどうやって今日になったのか、よく覚えていない」
「全然眠れず、全然食べられない」
「今日は明らかに、昨日の自分とは別人」
・・・・・・
そしてふと気がついたら、私の商売道具のひとつである右手人差し指の関節がこんなことに・・・(その訳は下記で解明)
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すべては昨日の夜のグローブ座でのダンスカンパニーコンドルズ2006年春公演「勝利への脱出」のせいです(笑)。

いったい私がどのくらいこの人たちのダンスに惚れ込んでいるかは、以前ここでも書かせていただいたのだが、実はコンドルズ全員による公演を生で見たのは昨日が初めて。
昨年夏に偶然テレビで知ったコンドルズ主宰者近藤良平さんのダンス、そしてその信念に打ちのめされてからずっと、私はこの人たちのステージを見たいと切望していた。その間、昨年秋に近藤さんのソロ公演、そして今年のお正月にNHK芸術劇場で再放送されたコンドルズ公演「ジュピター」(渋谷公会堂が数分で売り切れたという伝説の公演)という形で目にする機会はあり、それはそれでもちろん素敵だったのだが、おかげで否応無しに今回の春公演への期待が200%膨らんでしまった。

実は今回のチケットもかなり入手困難だったらしい。1月のとある日曜日、私はとある用事をさぼって(!)HP上でのネット先行発売時刻30分前からPC前にスタンバっていた。「冗談抜きにそれがオススメ」と制作者からアドバイスを受けてその通りにしたのだが、本当に笑い事じゃなかった。そして昨日までの3ヶ月の長かったこと・・・

午前中から用事で出かけていた阿佐ヶ谷で午後の時間を潰し、新大久保駅からグローブ座に向かって歩き始めると、ジーンズ姿の10〜20代の若者たちがまわりをぞろぞろと同じ方向に向かって歩いている。だんぜん女の子が多い。は〜、楽日、夜公演となるとやっぱり若者が多いのね〜、とジーンズをはいてこられなかった自分にちょっと憐憫(今日はオルガニストを勤めている教会で「任職式」なるものがあったので、ひじょ〜に不本意ながらいささかキチンとした服を着ていた)。劇場前には売り切れのチケットを求める人、売る人の姿がちらほら。いつものことながら、当日券(立ち見が多い)はおそらく数時間前にさばかれてしまったのだろう。
ロビーに入ると、まだ開演30分前だというのに人がごったがえし、Tシャツや本などを買い求める列が。コアなファン、恐るべし。(といささか大人ぶって冷ややかに観察していたのは開演前だけ)

1階バルコニー席の右端、通路に面した端っこの、とても見晴らしのいい席に落ち着く。満席だ。当日僅かに出たであろう当日券の立ち見もちらほら。
今回のテーマは「サッカー」。前半45分+ハーフタイム+後半45分。「開演」じゃなくて「キックオフ」。ワールドカップにちなんで、そして近藤さんが大のサッカーファンだということで。これはサッカー狂の私にとっては得した気分。

オープニング、全員がステージ前方にずらっと並び、胸に手を当てて音楽に合わせて国歌(らしきもの)を「クチパク」。ん〜、いいですねえ、よく見る風景。ステージの床はそんなわけで緑一色。
前半戦は音楽に、コンドルズには多分珍しくクラシックの占める時間が多かった。ビゼー「アルルの女」メヌエット、バッハ「管弦楽組曲2番」のバディネリ、モーツァルトのフルート四重奏・・・
その音楽の上に、いわゆる「モモヒキダンサーズ」(つまり上下白い下着っぽいスタイル)の男性たちが踊りまくる。普段聴き慣れているこれらの音楽と、同時に目から入ってくる映像(モモヒキの男たち、振り、光、色)がじつにマッチしていることの新鮮さ。
途中にはいるコントも絶品。声が枯れるほど笑いすぎて笑いすぎて、ハンカチでふかなきゃならないほど涙がとまらなかった。コンドルズのコントは寒い、という人が時々いるらしいが、寒いと感じるコントや、ナンセンスな人形劇の中に、はっとするほどのシュールなシニカルさがあると私には思える。

ハーフタイム、といってもそれは休憩ではなく、サッカー中継よろしく(背景のスポンサーロゴまでパロディーが凝ってました)メンバーの1人が「専門家」を招いて「前半戦の徹底検証」をする、というアイデア。なるほどね〜。で、このゲストは金曜からの3日間毎日違っていたらしいのだが、楽日のこの日は舞踊評論家で専修大学の貫成人氏。楽しいおしゃべりで15分が過ぎ、後半戦に突入。つまり観客にも休憩時間はないのであるが、これがコンドルズのスタイル。でもこれがけっして苦痛じゃないんですね。2時間強の流れが中断されない。

お決まりだが毎回面白すぎる、オリジナルの映像によるいろんなCMなどがスクリーンに流されつつ突入した後半。これはもう彼らの十八番であるロックの占める分量がだんだん大きくなってくる。
ステージがそう広くない分、両サイドのドアを開け放ち、そこからの花道を上手く使い、そして客席への乱入(ボール投入とかも)、客席からの乱入など、縦横無尽に走り回る。すぐ近くで体験すると彼らのエネルギーが乗り移ってくるようだ。動き、セリフや歌という声、これ以上使えないというところまで放出している。もしかしたらコンドルズはこの大きさのステージで見るのが一番贅沢かもしれないな。

全員が、いわゆる世間的に想像されうる「ダンサー」ではないと言えるかもしれないコンドルズは、近藤さんが一緒に踊りたいと思った人たち(そして近藤さんと一緒に何かを作りたいと思った人たち)だけが持つ、考えられないほど豊かな個性の集約だ。「コンドルズ」の枠内でもそれぞれ、バンド活動(これもメジャー化です)、小道具作成、グッズ作成、台本作成、作曲、楽器演奏、おお、それにアートマネージメントなど分業でこなしている。これは後から知ったことだが、踊ることのみを仕事としているメンバーの他にも、予備校講師、大学講師、小学校の先生などが含まれていて(とはいってもその方々も舞踊学の研究者だったり、ヨーロッパでバリバリ踊っていたダンサーなど「ダンスの専門家」ではある)、無論ステージで踊るだけの訓練は積んでいるが、それは所謂バレエとかフラメンコとか他のダンスの殆どに存在する「揃った美しさ」「決まった形の様式」などとは無縁なのだ。聞けば近藤さんは、公演の練習時、特にゲネでは殆ど「ダメだし」ということをしないらしい。稽古では自分がまず振り付けを踊ってみせ、それを見たメンバーがそれを自分で解釈して踊るときいたことがある。しかしそこに発生するある種の生き生きした不思議な「一体感」は、ちょっと言葉には出来ない。
表現芸術(なんか「芸術」っていう言葉はこの場合ちょっとマイナスに響くな〜)における「自由であること」の限界がギリギリのバランスで光っている。ちょっとでも狂ったらそれはただの「ごちゃごちゃ」なのにね。

ちょっと見ると自由なんだが、実はもちろん振り付けは決まっていて(当たり前だけどホントに記憶力、というか身体への浸透の仕方がすごいと思う。過去バロックダンスで振りの記憶に超苦労した私にとってはそれだけで尊敬に値する)、その部分では確かに「一糸乱れず」なのに、それが同時に心地よく「ばらばら」なのだ。この不思議さはコンドルズ以外ではなかなか見ることが出来ないと思う。それが彼らのスゴイところ。
で一方、確かに「即興」もある(んだと思ってるけど、違うかな)。私たち古楽をやってる人間にはかなり親近感のある「即興」の要素。これはもう、身体表現も、言葉も、音楽も、彼らのやってる「即興的な部分」には何の不自然さもなくて、もはや境目もわからない。日本の音楽大学の教育で、昔から、そして今もまだまだまだまだ欠けているところ、遅れているところは、「即興」の習得だろう。学生たちに、ぜひこの「解き放たれた柔軟性」を見せてあげたいものだ。

ステージに上がる者としての、完成度への厳しさや自分へのプレッシャー、寸分の漏れも許さないシビアな部分は絶対あるはずなのに、見ている者にはそんなものが透けてこない。むしろルーズさや羽目を外した(ような部分)が前面に出てくることも多い。

見た目、たとえば身体的な面で言えばプロポーションとか、技術的にはコールドバレエの完成度とか、そういうものが美となる発想とはまた別の角度で、人間と、そして人間の身体がもともと持っているありのままがいかに素敵で、どんなところにもどんなものにもどんな動きにも魅力があるという徹底的なプラス思考(これって心には安らかなんだな、実際)のアピール。私が彼らのステージを映像で最初に見た時、第一印象や見た目で人を判断する度合いが少ないヨーロッパの感覚を思い出したのもそんなせいかもしれない。もちろん何か計算というわけでもなくて、彼らの根っこのところに、何よりもこれが好きで好きでたまらなくて、楽しくて面白くってもう爆発しちゃうぞというマグマがあるからこそなんだろうけど。

こんなことをいくらつらつら書いていても、じつはその素晴らしさを何にも表せないむなしさしか感じない。どんな舞台芸術もパフォーマンスもそうだけど、それは生で体験しないとやっぱり絶対に伝わらない。でもね〜、テレビでしか見てなかった時点で大好きだったコンドルズ、もちろん期待は十分していたけれど、ここまで、こんなところまでは予想していなかったんですね。
気がついたら拍手しまくるわ、叫ぶわ、スタンディング状態になるわ、で・・・さっきの「名誉の負傷」です。手を叩きすぎたんです。帰路で気がつきました。なんだか手がすごく痛い・・・ゆ、指が黒くなってる!!
こんな間抜けな負傷、その昔ドイツのかた〜い冬キャベツの葉を剥いていて爪がはがれたの以来ですよ、はあ。

クライマックス、突然下がってきたステージ後方一杯の白いスクリーンに、神田川(だと思う。彼らのホームグラウンド早稲田の風景)の満開の桜が大きく映し出され、その前で近藤さんが1人でサッカーボールを蹴るシーン。バックには歌い上げるバラード。
一番印象的なシーンでした。

いつまでもいつまでも、殆ど全部のお客さんがスタンディングで手を打つ中、何度も何度もアンコールに出てきてくれたメンバー。興奮に声を弾ませてロビーに向かうグループ。涙を拭きながら席をたつ人たち。そして、ホールの清掃が始まってもまだ帰らずに佇むお客さん達(ごめんなさい・・・私もしばらく帰れませんでした)。
そして何よりも、ロビーで1人1人と声をかわし、握手をし、サインにも写真にも丁寧に答えてくれたメンバーたち。

最近よくきく「元気をもらった」という表現、実は大嫌いなのだが、今日だけは使わせてもらおう。他にいい表現がないから。
何があってもこれでもう大丈夫、明日からまた当分がんばれる、生きていてよかった、ありがとう、そんなフレーズが次々とよぎる時間でした。
これが理想のエンターテイメントなんだな〜。
そんな音楽家でありたいです。

あ〜、今日もまた眠れぬ夜・・・・(呆)
(長かったですね、ごめんなさい)
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by saskia1217 | 2006-04-11 04:10 | コンドルズ | Comments(1)

千の目、千のナイフ

昨日は夕方から「千の目(まなざし) 蜷川幸雄&近藤良平 対談」を聞きに、与野にある彩の国さいたま芸術劇場に出かけた。
この劇場には、ポジティフオルガンが入ってすぐの頃の「オルガンミニコンサート」の企画と演奏を担当させていただき大変お世話になったし、それ以外の本番でもよく音楽ホールに出演する機会もあり、よく通ったので、なんとなく愛着がある。
与野本町というのは時間的には家からそんなに遠くはない。歩く時間を入れてもこの劇場までは40分くらいだろう。でも埼京線って駅間が長いせいか、何故かとっても遠く感じるんですね。
でも「世界の蜷川」と、あの近藤さんの対談ときいて数週間前に申し込み、ホクホクと出かけていった。

この対談シリーズは、今年1月1日付けでこの劇場の芸術監督に就任された蜷川幸雄氏が毎回ゲストを招いて催すもので、昨日は、氏演出のシェイクスピア作品「間違いの喜劇」上演後、ほぼ1時間の予定で行われた。私は残念ながら劇のほうは見ずに、対談だけを聴いた。

蜷川さんに関して、特に演劇に詳しくない私は、世の中一般の人がもっているイメージとか情報しか持ち合わせていなかった。ダンスカンパニー「コンドルズ」の主宰者、振付家でもある近藤さんに関しては以前からこのブログで書いているが、TVのドキュメンタリー以外では近藤さんの「声」をきいたこともなく、だいたい彼が「しゃべっている」イメージがどうしても浮かばないので、それが見てみたくて応募したのだった(笑)。

平日の午後だというのに、会場である小ホール(360席ほど)はほぼ満員。それも見たところ学生、主婦など色々な世代の人たち。殆どは上記のお芝居を見た後にそのまま流れてきたお客さんらしかったので、蜷川さんのファンが多かったのだろう。が、中には明らかに「近藤さんファン」とお見受けする方々も・・・(観察していると何となくわかるんですね)。

定刻より数分前にステージに登場した蜷川さん。「なんだか会場がし〜んとしてしまったので、出てきてしまいました・・・」
そして、この対談シリーズのタイトルになっている「千の目(まなざし)」について語られた。
「昔、かなり過激な演出をしていた若い頃のある日、映画を見ようと、とある映画館に入った。すると1人の若い男性が『蜷川さん、ぜひお話したいのですが、外に出てくれませんか』と執拗に言ってきた。仕方ないので一緒に外へ出て、喫茶店に入った。するとその男性はテーブルの下でいきなり、ジャックナイフを突きつけてきてこう言った。『蜷川さん、あなたは「希望」を表現していると思いますか』『いいえ、そうは思いません』『そうですか、よかった。もしそうであったら、僕はあなたを本当に刺すつもりでした』・・・そこで、初めて思った。劇を見に来て下さるお客様は皆、「眼差し」とともに「ナイフ」も隠し持っている、それを忘れてはいけない、と」
(詳細は違っているかもしれませんが、大体はこのようなお話でした)

な〜るほど。ステージとお客さんの間には、いつも「切るか、切られるか」のような切迫した命がけの真剣勝負がある。この前ここにも引用した近藤さんの言葉「見に来てくれたお客さんが、明日会社を辞めてしまうような、そんなステージにしたい」にも通じるところがある。

ほどなく近藤さんが登場。Tシャツにオレンジのパーカというラフなスタイルに深めのハンチングをかぶり、リラックスした軽やかな足どりだ。やはり午後のお芝居を見ていらしたそうだが、蜷川さんの希望で、二人は終演後対談までの間に、敢えて会わなかったという。ある程度の偶然性が欲しかったらしい。
二人は世間話のように話し始め、近藤さんのお仕事ぶりの紹介として、コンドルズの昨年のステージのビデオ、それに続いて蜷川さんの作品である映像(ジャニーズの二宮くんと松浦あややが出演)が流された。
ホスト役の蜷川さんは殆どずっとしゃべりっぱなしで、時おり自虐的な事をおっしゃって会場を湧かせていた。結局1時間強、お二人の雑談のような感じで終始。それはそれで楽しかったのだが、本当はもっとお二人の仕事における信念や、実際の方法論や、舞台裏なんかを聴けたら良かったなと思ったのも事実。以下、印象に残ったこと。

お二人の共通点
映画好き、バイク好き、そして

「作品において『即興』はあまりしない」
近藤さん「その才能を多く持っている人はいいんです。でも、自分を含めて、そうでない人の場合、即興が多くを占める作品にしてしまうと、結局はあまりいいものは生まれてこないから」
蜷川さん「才能のある役者には安心して任せられるんです。例えば、大竹しのぶ。でもそういう人は滅多にいません」

そして・・・「人の作品を見ない」
近藤さん「よく他の方のダンス公演にご招待いただくんですけれど、なかなか行けないし、行かないんですよね〜」
蜷川さん「僕は他人の作品は見たくないね。そんなの見るんだったら、映画を見る」
ふ〜ん。いつ頃からだったろう、私も人の演奏会に殆ど行かなくなった。学生の頃は、古楽だろうが現代音楽だろうが、オペラだろうが、ありとあらゆる音楽会に出かけたものだ。その頃「特に自分の専門の楽器の演奏会は聴く気がしない」という同業者の話を聴くたびに、何故なんだろうと不思議で仕方がなかったが、今は自分がそうなってしまっている。別に蜷川氏のように「そんなもの聴きたくない」ということではないのだが、昔に比べてそういうモチベーションが落ちてしまっているんだろう。それともう1つ、ある程度の年齢になると、自分のしている仕事にある程度の型が出来て、それで少し安心してしまうということもある。その「型のようなもの」は、社会的にだんだん要求されてくる教育という仕事の面においても、また演奏家としての自信、確信にも繋がるから、必要なものでもあるが、一歩間違えると「独りよがりの時代遅れ」になる危険もある。時には反省しなくてはいけないな。

もうひとつ、近藤さんのお話で面白かったこと。
移動には殆どいつも車を使うという蜷川さんに対し、近藤さん「僕も電車は使いませんね。本来電車に乗るのは大好きなんです。もちろん満員電車が好きな人はいないと思うけど、ちょうどいい塩梅の人数、例えば10人くらいでも、僕はどうしても一人一人を観察しちゃうんですね(笑)。あんまりにも面白いから、その人の仕草とか、表情とか、雰囲気とか、隅々までじ〜っと見ちゃう訳です。そうすると、結局仕事に行くまでに既に疲れちゃう(会場爆笑)。だから僕はいつもバイクなんです。バイクっていろんなことがちょうどいい。人の会話も半分聴こえそうで聴こえないうちに、自分が通り過ぎる。あ、可愛い女(こ)がいるなあ、と思っても、思ったとたんにふゎ〜っと通り過ぎて、一瞬のいい思い出、みたいになるんですね(笑)。それがまたいい。」

近藤さん、私も電車に乗ると見ちゃうんですよ、人のこと。どこに住んでて、どんな仕事してて、どんな家族がいて、過去どんな人生を送ってきて、今からどこに行くところなんだろう・・・なんてね。だから本を読んでいても全然進まない(笑)。
私ももしかして、バイクに乗り換えたほうがいいのかもしれない・・・・(怖)。
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by saskia1217 | 2006-02-09 20:47 | コンドルズ | Comments(2)

始動・・・その理由

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学校勤めはしていても、基本的に自営業(?)のせいか、「始動」という点ではいつも遅れをとっている。
つまり、休み明けに世の中が動き出しているのに、自分だけまだ休み(気分)ということが多い。これはちょっと良さそうに思えるのだが、実は、始動が遅れれば遅れるほど、その立ちあがりが悪くなってくるので、「きちんと働き活動する日常生活」に戻るリハビリが、もっともっと必要になってくるのだ。

我ながら本当に怠け者である。
できれば一日中、家でぼ〜っと本でも読んでいたい。
しかし、世の中は昨日あたりからすっかり動いている。

ということで、お正月何もしていないのに何故か疲れ気味の身体に鞭打って、朝早めに起き、教会までオルガンの練習にいった。
いざ練習を始めてみたら、今月末に迫る本番のプログラム(近日中にアップします!)の準備に焦ったりして、結局飲まず食わずで5時間半弾き続けてしまった。
ところが私、寒いところで楽器の練習をすると、どこかが硬直するらしく、必ず後で肩や腰に痛みが襲ってくる。いつも後の祭りだ。どうも「やる」か「やらない」というスイッチしかないらしい。我ながらいつも困っている。もっとコンスタントに着々とやる習慣をつけよう。
・・・と今年の抱負を思ってみたりする。

今日、ちょっとがんばってしまったのには、じつは理由がある。
お正月の2日深夜、教育テレビの「劇場中継」で、私が心底共感するダンスカンパニーコンドルズの昨年の渋谷公会堂ライブ(チケットが4分で売り切れたという伝説あり)の再放送があったのだ。
で、録画したのを昨夜見てしまったのである。

や〜〜〜〜、こりゃほんとにもう、なんというか、あ〜〜〜〜・・・・!!!

言葉にできないのである。
以前ここに、このグループの主催者である近藤良平さんのソロ公演の話を書いたことがあるが、あの感動の原点ともいえるものが、パワー100倍になって再び襲ってきた感じ。
といっても、こういう気持ちって、誰でもいい、誰かに伝えたい、誰かに共感してほしい、などと思っても、実際それを体験してもらわない限り伝わらないし、もちろんその人が共感するかどうかなんて全くわからないし、そんなこと一人一人いろいろだろうし、いくらこんなところですごいすごいと騒いでいても、それは所詮独りよがりというもんだ。
(ブログというのは、基本的にそういうもので出来ているのだから仕方ないけれど、客観的に見ると「なんだかな〜」といつも思うのだ)
ま、私にとっては一生に3〜4個あるかないかの大きな出会い、ってことはわかってもらえると思う。

で、私が彼(彼ら)を知るきっかけになった番組「情熱大陸」で、近藤さんはこう話していた。
「自分たちの公演を見て『楽しかった』『面白かった』『すごい』だけなら、あまり意味がない。見てくれた人が、次の日に会社を辞めてしまうような、そんなインパクトのあるステージにしたいと思う」
は〜、でも、そういうステージだと、私は思いますよ。
いろんな嫌なこと、ずっと自分の腰が重かったこと、目的意識が薄れてしまうこと、自分でどうやってもモチベーションが高まらない、一体自分は何をやっているんだろう、自分は何をしていきたいんだろう・・・そんな気持ちから、両手のひらにすくわれて一気に暖かくて速い空気の流れに乗せてもらったような、そんな「優しいけど、厳しい平手打ち」。

そうだ!
私はやっぱり、何か「創りたい」って思っていたんだっけ。

・・・ということで、私、遅ればせながら、やっと始動いたしました!

(あたまの写真は、コンドルズHPからお借りしました)
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by saskia1217 | 2006-01-06 02:09 | コンドルズ | Comments(2)