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ネタバレしています。
コンドルズ「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」をこれから鑑賞される方はご注意ください。












コンドルズを、空気のように楽しめるようになったのはいつからだったろう?
前回か、前々回か・・・。
開演時間の少し前に劇場に着いて、一息おいて自分の席につき、上でも下でも右でも左でもない、真ん真ん中の白い点となって開演を待つ。
自分が自分であるままに、余計な熱量も過度な期待もなく。
ちょうどいい安らぎと期待の狭間で、こうやって静かに、そしてまっすぐに開演を待つのはいいものだ。

そうして、扉(ドアー)は開けられた。
コンドルズの2012年日本縦断ツァー「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」東京公演千秋楽。

今回ステージにのる出演者は15名。
特に2階席から奥まで見下ろすと、「あ〜なんだか圧巻だなあ」とその人数の充実ぶりを感じさせられる。
オープニングからたくさんの白いドアが使われるが、そのドアが良く出来ていていろんな使い方が繰り広げられてゆく。結局のところあそこまでに辿り着くには、きっといろんな試行錯誤もあったんだろうなあと思いつつ、テープでガシガシ固定されていた重しや、移動できる小さな車輪や、ちょっと乱暴に扱うと微妙な角度で立て付けが狂ってしまいそうな、そんなたくさんのドアをくるくると目で追っていた。
しかし8枚、時には9枚が横にズラ〜ッと並べられた光景、「野外フェスのトイレ」を思い出してしまったのは私だけじゃあないはず(すいません、正直な印象なんで・・苦笑)。

いつものように、群舞からアンサンブルへ、そしてデュエットへ、ソロへ・・・そしてコントや映像へ、とすべるように時間が移動してゆく。
映像部分もとっても良く出来ていて、とくに印象的だったのはメンバー紹介の凝った造り。すでに「天国」の「ドア」の向こうにいってしまった偉人たちに扮したメンバーが、そのコスプレで映し出される。セピア色した太宰の青田さんや、ビン底メガネが意外と似合う棟方志功のオクダさんなんかがドンピシャだったですね。背景にゆかりの作品やキーワードが何気なく仕込まれていたり。めまぐるしく変わっていってしまうのだけど、ひとつひとつをじっくり見たくなる面白さがあった。
そういえば、イスラエルの死海の映像の最初に出る「No.4126」というナンバリングなんて、ちっちゃくて見逃しちゃいそうなところまで手を抜かない徹底ぶりに、ついクスクス笑い・・・あれ、「ヨイフロ(良い風呂)」ですよね?(笑)

音楽もどれも楽しめて、曲名とかは私にはわからないものも多かったけど、ホントに全て心地よかったな。
コレッリのコンチェルトグロッソや、ショパンのノクターン、オルフのカルミナブラーナなどみんなに馴染みあるクラシックもたくさん使われてて、それが白いドアとそこに寄り添うちょっと無機的なダンスによく似合っていた。キリコの絵みたいに。
途中、ドイツ語のキャバレーソング的なのもあったりしてとっても好きだったんだけど、あれは誰の曲だったんだろ。
Radioheadも聞けて嬉しくて、その場面のダンスもとても好きだった。
音楽といえば、良平さんと石渕さんのリコーダーデュオの超絶技巧にも拍手!
なんなの、あのヴィルティオーソは。

「天国のドアを開けようとして開けられなかった4人」によるコントは、東京千秋楽だったせいもあったのか、同じテンションと内容がすこ〜し長く続きすぎるような、こちらの集中力がついて行きにくいところもあったのだけど、橋爪さんとオクダさんがもうすっかりコント部分の定番「名優」になっていて、お二人のお芝居が以前よりずっと「深く」なってて関心してました。
今回は小林顕作さんが映像のみのご出演で、過去何回かそういう公演もあったのだけど、やはりあの存在感ある顕作さんが居ないと大抵かなりの「寂しさ」(というか「居ない感」)があったのだ。
が、今回はその「欠けてる感じ」が全く無く、いかにも顕作さんにしか書きえないテイストとメッセージのコント台本だけでもう、そこに十分その存在感があって、じつはそれで十分といっていいくらいの安心感があったですね。ぎたろーさんを含めた4人が「俳優さん」然としてた。
いつもながらの余韻を残したストーリーもよかったし。
さんざんじ〜んとしたセリフを橋爪さんに語らせた後、ラストの一言「天国なんてそんなにいいもんじゃないよ」を勝山さんが担当したのが、これまたドンピシャだなと思った次第。

ダンスでは古賀さんが大活躍。
もはや定番になりつつある「スギちゃん」風の衣装で踊り狂う古賀さん・・・レベルの高いダンスからは「踊りたい!」というエネルギーが光線のように出まくってて、すごいパワーだった。
笑いすぎた・・・。
平原さんの美しい動きが今回も堪能できたのも嬉しかった。しかもコントであそこまではじけた役を割り振られたのは今回が初めてだったんじゃ?
いいよ〜、もっとやって欲しいです。

今回も照明が綺麗で見事。
床に使われた青色や、その上に照明で重ねられたいくつもの小さい長方形のシルエットが美しかった。

そしてこれも定番であり、こちらの心と身体もそこに向かってすんなり流れてゆく「コント終わり〜群舞になだれ込む〜良平さんのソロ〜全員による大団円」というラストで、やはり全体を眺められて一人一人もしっかり見える席から見ていたせいか、メンバーの姿に順繰りに目を運びながら、なぜだか感無量な気分になってしまって困った。
コンドルズ見て涙が出た、って実は今まであんまり無かったので。(一昨年の与野のラスト「moonlight magic」で泣けたのは、まあ音楽のせいもあったからあれは例外・・笑)
そして最後、「これぞコンドルズ」的な振りを満足感いっぱいで見ながら、「あ〜きっとこれからもずっと、この人たちの舞台を見てゆくんだろうなあ」という幸せが、自分の中いっぱいに広がってゆくのを感じていた。

メンバーの山本光二郎さんが、今発売中の雑誌で「(一緒に踊る時)メンバーひとりひとり、それぞれ握った手の感触、感覚が違う。」と話していたそのエピソードを、アンコールの拍手をしながら思い出していた。
引っ張る手、受け入れる手、柔らかい手、温かい手、冷静な手・・・
その「16人の手」がにぎるコンドルズのドアノブは、きっと全部、木で出来ている。
静電気を起こして、相手が思わず飛び退いてしまうような金属製じゃなくって、彼ら一人一人のそれぞれ全てがドアノブを通して、そしてドアを越えて伝わってしまうような。
押し売りでもなく、後ずさりでもない、ちゃんと「相対する命」に正面から向かってくれる、年月を経た包み込む力に満ちた、そんな手。

日常も、舞台も、にじみ出るものの責任がどうしても付いてくる今日このごろ。
「もう僕らは、扉を叩いてしまった」以上、後戻りはできない。
いつでも「ココロをノック」していいよ・・・そんなあたたかい覚悟を、また教えてもらった作品とパフォーマンス。
ありがとう、コンドルズ。
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by saskia1217 | 2012-08-29 01:50 | コンドルズ | Comments(0)

キャロットタワーは、シアタートラムしか行ったことないよなぁ・・・
ボンヤリと、でも確信しながら、何年かぶりの三軒茶屋に降り立つ。

「来たことあるじゃん、パブリックシアター・・・」

賢太郎さんの、あの「Drop」を観にきたじゃないか!
しかも、ガッツリ3回も通ってしまったくらいのおおごとだったじゃないか(笑)。
人の記憶って本当に貧困です。

コンドルズ「狼たちの午後」は2年前の初演のとき、何故か観に行かなかった。
「こどものための作品」と銘打ってあったからだった気がする。その後の評判がとても良く「あ〜行けば良かったな」と少し後悔してたので、再演はありがたかった。
その時も観たお友達によれば、今回の作品はゲストの登場場面などで細かい設定変更はあるにしても、基本的には初演時と殆ど変わっていなかったらしい。
私は初めてだったから、天井からのカメラで同時撮影するシーンなど過去にまだ見たことがなかったアイデアも色々あって新鮮だった。
が、何ヶ所か多くのお客さんが笑ってたツボが実はよくわからなかったり(再演だし、今回も何度も観ているお客さん多いんだなあ・・)元ネタを知らないから、面白さに気づかない以前に大喜利的な場面で小林顕作さん演ずるプロデューサーのツッコミが理解できなかったり、特に最初の方はちょっとテンション低めで観ていた。
「んん、なんだこれは、面白くなるのか?」って。

でもやっぱりどんどん引込まれた。
気がつくと途中からすごい大笑いしていた。
強引じゃないやり方で、いつのまにか袖を優しくひっぱられて輪の中に入れられちゃうんだよね、彼らの舞台っていつも。
声からすると、中年の方かなあ、男性のお客さんが心の底から楽しそうに笑ってらしたのがすごく印象的で、あ〜こういうのっていいなあって、そのことに心があったまってしまうのだった。

今回は前から2列目のど真ん中という席に会場に着いて吃驚したのだけど(笑・・こんなに前で観たのは我がコンドルズ史上初めてだ)、超前列のデメリットとして「スクリーンが近すぎて大きい絵が把握できない」「ステージ奥でやってることがよく見えない」「袖で待機している出演者が見えちゃう」「出演者のいろんな『水分』が降ってくる」(笑)など色々あるが、何よりも今日は「コント場面になると、物理的に近すぎて『その人』そのものが見えてしまい、入り込みかかってもなんか引き戻されてしまう」というのがあった。もちろん、その人がステージで素になってる訳じゃけっしてないのだけど。
ただ、ダンスシーンはやっぱりド迫力で、これは確かにすごいものがある。
殆ど自分の頭の上に踊ってる人の足が来る感じだものね。

学ランを着たゲストの小出恵介さんは終始「はにかみ」キャラを崩さず、「赤ずきん」の物語を語り、コントに混じり、そして良平さんとサシで踊り・・・なかなか興味深く拝見。
テレビでしかお見かけしたことなかったから、顔と身体のバランスを今日初めて知りました(笑)。イメージ以上に小顔でスラッとしておられて。
テレビって怖い。

「赤ずきん」や「三匹の子豚」を軸に、考えてみれば当然な現象が次々と「実際に当てて演じられ」、でもそのシュールさは夢にでてきてうなされるタイプじゃなくて、どこかにやりとしたり、あるあるの可笑しさであり、バカバカしくてほんのりハッピーになっちゃう方の「シュール」。
コントのシーンで顕作さんが本当に涙を流していたのが見えて(これも前列のメリットか)、冷静に考えれば他愛のない単なるコントとも言えるのに、当然のことだが全身全霊で「その人物の一瞬の感情を示してくれる」役者さんの素晴らしさが伝わってきた。
結果、その部分だけ見たらほんとに他愛のない(失礼)劇中劇でした、ちゃんちゃん、なのだけど、それはあの真剣な場面がなかったら成立しないわけで。

なんだかすごく「春」を感じたなあ。
非常にざっくり言えば「何かを目指してがんばろう」的なストーリーをもつコントや、ステージのバックと両サイドに垂れ下がったカラフルな原色の布も、始まってまもなく藤田さんがめっちゃくちゃに毟りだしてた箱ティッシュの色とりどりのフワフワ紙も、そして桜色のチラシからも。
風船型のブタを3匹、ふわふわさせながら連れて満面の笑みで登場したオクダさんを見た瞬間、大好きなミヒャエル・ソーヴァのあのシュールで怖いんだけど呑気で幸せな絵の数々が脳裏をよぎったり・・・ん〜、たしかにブタの絵、多い画家だしな(笑)。
公演の定番であるラストひとつ手前の良平さんのソロの冒頭、スポットの中に鮮やかに収まったその手がジリジリと爪を立てていったとき「あ、狼」ってストンと思って、同時にちょっとゾクッとしたり。
キッパを被ったメンバーひとりひとりの映像は、先日のイスラエルで撮ったものだろうか。それぞれの表情が素敵で、いい映像だった。

ラストのラスト、ステージに吊ってあったカラフルな大きな布たちが、両サイド、バック、東西、ホリゾント・・・と全てが一気に落とされていったのが素晴らしかった。
学生時代、芸大生だけでオペラ「ボエーム」を作ったとき、その時の演出家がやはり幕切れでセットの三方を全て崩し倒すという演出をしてみんなの心をえぐったことを思い出した。
あれは完全な悲劇で「この小さな屋根裏部屋で起こった全てのこと、人間の生命、芸術、すべて儚い」みたいなメッセージだったのだが、今日のコンドルズでは「『劇中劇の劇中劇の劇中劇』(顕作さん風にいえば)だったからね、最初から起こってきた全てのことは、すべてご破算、もしかしたら夢だったのかなぁ?・・・とにかくゼロに戻ったよ!」って一瞬で言ってたように思えた。
ホリゾントや東西が剥がされるって、いずれにしてもかなりのショックを与えるものだ。

とにかく。
「世田谷アラウンド48」(←これいいな、盗んじゃお)のメンバーの皆さん!
いつにも増して素晴らしい集中力と全力投球、身体と心の柔軟性を見せてくれた。
「またひとりぼっちか」という石渕さんのラストの一言に、最近のエレカシに香ってる、誰にでもある拭いきれない「ひとりぼっち感」を思い出してたら、カーテンコールで「四月の風」と「星の降るような夜に」がかかった。
そうだよな・・・
「寂しくない大人なんていない」ってキョンキョンも言ってたじゃん(「最後から二番目の恋」最終回)。
だから。
♪互い肩でも組んで・・・歩こうぜ、長い坂道を♪
いつものように、30年近く共に歩いてきた彼らがズラッと肩を組むカーテンコールにこれ以上相応しい曲はない。

友達が、仲間がいることがそれだけで素晴らしい。
三茶での美味しいビールがありがたかった。
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by saskia1217 | 2012-03-28 04:41 | コンドルズ | Comments(2)

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怒っている人を見ているのは、じつはとっても面白い。
怒った音楽、怒った映像、怒った芝居、怒ったダンス・・・。
どれも「笑い」を誘発するものに間違いない。
もともと面白いことをやる面白い人たちが怒ったら、いや、「怒るところを見せてくれたら」・・・
そりゃあ、見たくなるよ。
いや、そもそも幕が開いたときからもう、この作品のテーマが「怒れる男」ということを完全に忘却してしまってたのだけど(笑)、もちろん文字通り「怒る」表現を期待してたわけじゃあない、でも見進めていくうちにちょっとずつ、あっちこっちに散りばめてある「怒る人」たちの声や動きや、そして音楽に「あれ?」とか「へえ〜」とか反応している自分がいた。

コンドルズの作品はいつどこで観ても楽しい。それは観た人の多くが思うことだろう。
グローブ座、シアターアプル、渋公・・・ハコの大きさや動員数にかかわらず、毎回、その場の空気を、そこにいる人のココロを一気にかっさらっていってしまう。
与野の彩の国さいたま芸術劇場でのコンドルズは6回目。
ここでやるコンドルズは、私にとってはなにか特別な感じがいつもしている。
奥行きに恵まれた広いステージ、ゆったりとした客席、劇場全体の持つ「アート」(ってちょっと誤解が多い響きするけど)な空気と、ほったらかしにされたような自由さ。
そこでのコンドルズはいつもどこか新鮮で、実験の匂いもして、のびのびしてて、何かに包まれたなかで饒舌ではっちゃけてて、そしてとても真面目だ。

総勢15人がのったステージは、広すぎず狭すぎず、客席から見ていてとてもしっくりしていて気持ちよかった。
冒頭とラストに置かれた椅子を使った動きは、たぶん2階席から見たらチェスみたいでより美しく見えただろうな。その床や、作品とおしての細かい照明プランの美しさが印象的。
見始めた頃のイメージからするとちょっと違ってきたというか、比較的年齢の若いしなやかに踊るメンバーが加入したせいもあるのか、全体的にキレがあって、無駄な動きがなくてソリッドな感じ。
それでも一人一人の個性はちゃんと残ってるのだけど。
今回は特に、ダンスの部分が音楽に合わせた「振り」になってるところが多かったのが新鮮。
机を使ったダンスも面白かったけど、大の大人の男性が4人も5人も平気で乗っかって、机が若干しなっているのが見えたのがちょっとコワ面白かった・・・。
ラストの「ボヘミアン・ラプソディー」は音楽を短く切り取らずに息長く使いながら、いつもの「近藤さんのソロから全員の大団円」へのうねりが「いつも通り」から一歩外れていて面白かった。
最後の最後まで椅子が残されていて、それどころか一気に増殖してて(笑)圧巻。
近藤さんがセンターでガクッと崩れ折れて、それに喝采を送る石渕さんという幕切れの鮮やかさ。

使われてた音楽は、洋楽に疎い私には知らない曲が殆どだったけれど、どれも好きだったし、シーンにピッタリだったな。
近藤さんの弾き語りの短い歌がすごく好きでした。あれをもうずうっと何曲も何曲も続けて聴いていたいくらい。お客さんの反応の微妙さにも笑えたなあ。
カーテンコールのBGMがエレカシで正直また興奮しましたが、「戦う男」という、どセンターを外したようでいて実は的を得ている絶妙なチョイスに拍手を送ります!

さいたま公演、1年に1回のプレゼントのように楽しみにしているので、ぜひずっと続けてほしいです。
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by saskia1217 | 2012-01-30 22:50 | コンドルズ | Comments(0)

ネタバレしています


近藤良平さんのソロダンス公演「11DANDY」を、青山円形劇場で観る。
久方ぶりだという良平さんのソロのステージ、たぶん前回は2005年11月の「誓いの休暇」(三軒茶屋のシアタートラム)だったはず。
思えばあの舞台が、私にとっての初「コンドルズ」。
テレビで偶然「情熱大陸」を見て彼らの公演を観たいと思ったら、もうコンドルズの公演は終わっていて、その次に観るチャンスがあったのがこのソロ公演だった・・・。
「近藤さん」がどんなダンサーなのか「情熱大陸」以外の情報も知らず、クラシックバレエ以外の「ダンス」を観に行くのも生まれて初めて、演劇やダンスに使うホールに行くのも初めてだった私は、開演前、客席ひとつひとつに無造作に置かれたプログラムや、会場に流れるBGM、すでに照明が当てられた舞台上のセットなどにいちいち吃驚していた。
懐かしい。

今日もまた、何の予備知識もなく・・・どころか公演タイトルすら忘却したまま会場に着いた。
青山円形劇場も初めて。
丸い舞台はいい。そして、近い舞台も好きだ。演る立場でも、観る聴く立場でも。

後から復習したら(笑)どうやら違ったキャラの11人の男が表現されているらしかった。
見終わって印象的だったキャラがいくつかあった。
「しゃべり続ける男」、良平さんは日本語でも何語でもない「言語」でひっきりなしにしゃべり続ける。それってじつはかなり難しいと思うのだけど、聞いているとスペイン語、ポルトガル語、イタリア語が合体したような柔らかいラテン系の響きが支配していて、良平さんが自然体でいられる「音」のバックグラウンドを垣間みたような気がした。「アルゼンチン」「クロアチア(これ多かったな)」が連発されるなか時々「メンタイコ」とか言ってたのに爆笑。
「リズムを気にする男」のチクタクに合わせた動きが楽しい。
「トサカ男」で、頭のトサカを取り外してシャワーで洗ってたシーンでは「・・・洗えるんだ・・・」とちょっと愕然(笑)。

すごく好きだったのが「嵐を呼ぶ男」。音楽もいいし、セリフも好きだったな。とにかく可笑しいんだ。あの男の過去と現在の間には、いったい何があったんだろう(笑)。
「いちいち測る男」も好きだった。なんか、自分をみてる気もして。私ってああいう感じの時、あるよな〜とか。

いろんな場面で突っ込みどころがいっぱいあったのだが・・・
卵形のオブジェを手に掲げて「山海塾!」とか(爆)、いつか何かのコントで見た片桐仁さん風味の動きとセリフとか。

日比野克彦さんの舞台美術は良平さんの「曲線的」な動きやイメージにピッタリ。
もともと日比野さんの作品のイメージとして、私はやっぱり曲線とか長い線とかカラフルなイメージがあったし、何かお二人に共通するものがたくさんあったなあと実感。
そうそう、サッカー好きということも共通点だそうですが。
それにしても、良平さんとサッカーって、相変わらず本当にマッチしていて絵になる。

芳賀薫さんと柳沢翔さんの映像は、ちょっとシュバンクマイエルを思い起こさせるテイストをもった、不思議さと滑稽さと残酷さが混じったような世界。
ダンスとダンスの間を繋ぐだけでなく、11人の男の住む場所の世界観を創るのにすごく強烈な役割があったように思った。

途中サッカーボールがちょっと悲しそうにしゃべったり、発泡スチロール(?)みたいな素材で作られた道具がことごとく手荒く扱われて破壊されていったり(笑)、良平さんの四肢、声すべてとそれを取り巻く全てのもの(観客までをも含む)との「かかわり合い」が、くるくる変化しながら色を変えてゆくのが面白くて楽しくて。
良平さんはたった1人でステージの上で動いているのに、そして時には「孤独」な表現が折り挟まっていたのに、それなのに一瞬たりとも、何かとの「かかわり合い」が無くなる瞬間がなかった。
すごい。

ハナレグミの音楽もやさしくて、特にラストで歌われる曲が素敵。
開演時の車掌風味のアナウンスや、途中で使われてた声の部分も面白い。
今まであまり聴いたことがなかったアーティストなのだけど、ホント、音楽やる人も様々なキャラ、味がありますねえ。

踊っている近藤良平さん。
歌っている宮本浩次さん。
コントを演じている小林賢太郎さん・・・
は、いちばんかっこよくて、いちばん素敵で、いちばん魅力的だ。
「○○をやっている△△さん」は、みんな世界一かっこよくて素敵なのだ。

無から何かを創り出す人は本当にすごい。
いつも、そして何度も書くけど。
私は「音楽家」という芸術家ではあるかもしれないけど、「ゼロから何かを生み出す」ことが出来ない人間なので、それが出来る人を本当に、地面に頭がめり込むくらい尊敬している。
そして、正直羨ましくて仕方がない。
自分には絶対に出来ないことがわかっているから、もどかしいことこの上ない。
「生み出す」才能がない私は、そういう人の現場を目の当たりにすると吐き気がするくらい感動する一方で、自分にそれが出来ないことを自覚して非常に凹むのだ。
自分には自分の役割があることは十分わかっているのだけど、ね。

でも今日は、凹むだけじゃなくて「やっぱり自分もやろう」という気持ちになれた。
「やりたい」と思った、思いっきり。
それも、静かにそう思えたんだ。
時間はどんどん過ぎていっちゃうものね。
こんな依怙地な人間を、そんな優しくて前向きな気持ちにさせるステージって、やっぱりすごいな(笑)。
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by saskia1217 | 2011-10-22 02:43 | コンドルズ | Comments(2)

憧れの2/3

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夏の終わりに。
大好きな、尊敬するアーティスト3人。
昨日、今日とそのうちお二方の作品を観た。

昨夜テレビで、「小林賢太郎テレビ3〜ポツネンと日本語〜」。
ちょいとネタバレ

小林賢太郎さんの動く姿や声に触れたのは本当にものすご〜く久しぶりだったから、なんだかホントに懐かしかった、というのがまず第一印象(笑)。
声や話し方、そして今回もまたテレビ用に創られた新しい作品なのだが、そこここに現われる聞き慣れたセンテンス(昔のコントに・・・!)。
このシリーズでは「テレビでしかできないこと」を目指しているとのこと、前作2回に続くシリーズものやおなじみの「お題に答えるコーナー」もあれば、ドラマ仕立てや、シンメトリーズを彷彿とさせる「音」に光を当てた作品、そして対談などもあって、とってもバラエティに富んでた。
「テレビ」ということから考えれば、今回の作品が一番「テレビ的」だった気がする。
「テレビ」や「テレビ番組」の持つ最もベタな部分をベタに使いながら、そこにいつもの賢太郎ワールドをはめこんでたというか。

賢太郎さんの時代劇姿、KREVAと斎藤孝先生とのカードゲーム、映像を使ったリズミックな音遊びなどが、今回の真新しい見所でしょうか。

まぁ、ただ・・・
1作目からかなり驚いた「スタッフ笑い」が今回もふんだんに使われていたのが、とても残念。
ご本人が承諾しているのだからこれで良いのだろうし、きっと「無いとわかりにくい」というちょっと過度な「配慮」なのかもしれないが、これはやっぱり冷めるし萎える。
そして、教室のセットで行われるアナグラムの一番の見せ場である、ラストの長文のカードめくりが早送りでカットされていたのが非常に残念。
意味ないじゃん・・・

そして今夜。
コンドルズの夏公演「グランドスラム」東京初日。
とてもネタバレ

ここ6年ほどで上演された公演からのベスト版。
私がコンドルズに初めて出会って作品を観たのが6年前なので、つまり私が観て来たものがいっぱい詰まってるというお楽しみ袋。
大好きだったダンスナンバー、そしてその時初めて聴いた曲、ずっと忘れられない映像・・・音楽やダンスや演劇は、そして風景も食べ物も「その時の自分」を思い出させる鍵になる。今日、過去から切り取られてきた数々のシーンは、その時の私と完全にリンクしていた。
そして、背骨としてその断片たちを繋ぐのが、今回新たにそこに加えられた小林顕作さんの台本。ああ、きっとそういうことなんだろうな、と思わせながらも必ず「なにか」を残すという、コンドルズの、そして小林さんの、いつものまっすぐなコント。
サラッとして、過度じゃなくて(たぶん彼らの「運動量」も!)、コンパクトで無駄なものが落とされていて、大人っぽい感じだったかな。

個人的に印象的だったシーン。
ものすごく可笑しいのにその技術が冴え渡る(だから、なんだけど)古賀さんの「天国への階段」ダンス。
青田さんの「シュプレヒコール川柳」。青田さんの「演説」好きなのでもっと長く聞きたかったな。
いつもの勝山さん&小林さんのコント「インド人の寿司屋」に出てきた「ガネーシャ」。
平原さんのしなやかなダンス。
色彩の美しかった、ちょっとシュヴァンクマイエルの匂いがする「絵本のアニメ」。
などなど・・・

いい時間が過ごせた2日間に感謝。
そして残りの「1/3」は・・・・
今度の日曜日に久しぶりの再会と相成ります!

今日の胃袋。
高田馬場「夢民」のチキン野菜カレー。辛さ1倍。
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高田馬場、カフェ「コットンクラブ」のケーキセット(超お得)。
チョイスはフルーツショートケーキ。
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by saskia1217 | 2011-08-26 02:38 | コンドルズ | Comments(0)

土曜の夜、フジテレビ「FACTORY」の番組収録を観覧にいき、住所不定無職、スガシカオ、miwa、真心ブラザース、サンボマスターそしてエレカシを聴く。
これだけのアーティストを無料で聴けるのは素敵なのだが、テレビ番組収録のお決まりで(特に)観覧客の待ち時間が地獄のように長い・・・と承知で行ったせいか、過酷は過酷だったものの倒れるほどではなかった。とはいえ、待ち時間含め正味8時間半、一度としてしゃがむこともなく立ちっぱなし(しかもぐしゃぐしゃに密着状態で汗まみれ)、トイレも行かず食事もせず、水のみで過ごしたというサバイバル経験は、何だかわからないが今後の妙な自信に繋がった気もする(笑)。

エレカシ以外初めて聴くアーティストばかり、なかでも印象に残ったのはスガシカオさん。
歌がうまいし声が好きだった。アコギ1本で数曲歌ってくれたのだが、短いMCや立ち居振る舞いなどのステージングに余裕があって、ベテランしか持ち得ない安心感があって心から楽しめた。
素敵な歌い手さんはたくさんいるんだなあと。

17時すぎに始まった収録、エレカシが登場したのは21時30分ちょっとすぎ。アンコールも含めて11曲を力一杯披露してくれた。小さなライブハウスのようなスタジオはアーティストとの距離が近く、いつものように下手上手手前奥と縦横無尽にパフォーマンスしてくれる宮本さんの目力までもがしっかりと届く。名演でした。
放送はCSフジテレビONEで2/18(金)21〜23時、地上波フジテレビで2/23(水)26時25分〜だそうです。

昨日日曜日はコンドルズのさいたま公演を観る。さいたま芸劇でのコンドルズはいつもとても楽しみだ。何かが違う気がするから。だから、劇場の持つ空気や力ってほんとにスゴイ。
ダンス部分にとても充実感があって、作品全体はコンパクトな印象なのに落ち着いた「作品感」。
使用されてた音楽も日本語のロックや、いつもの洋楽(レディオヘッドなど)、昔の世俗曲など盛りだくさん。・・・とあるシーンで私のCDを使ってくださっていたのはサプライズ。吃驚しつつありがたく鑑賞。シュールなシーンになってて楽しかったです。近藤さんのセンスにあらためて脱帽。
そして近藤さんのソロから全員へと広がってゆくラストのダンスシーンの冒頭で、今いちばん私の胸の鼓動が速くなるギターのイントロが聞こえてくる。
エレカシのニューアルバム「悪魔のささやき」の冒頭曲「moonlight magic」。
ダンスがソロから全員に移り変わって行くところで音量がぐっと上げられ、曲が中断されることなく宮本さんの声と言葉が最後の一言まで鳴り響く。
涙でダンスがよく見えなかった。

まさに尋常でない週末。
人生結局のところ日々同じことの繰り返しなのに、その折々に起こることといったら恐ろしくなるくらいのサプライズばかり。
これだから人生飽きないよね、なんてつぶやける余裕さえなく、まともに翻弄される自分が情けない。
でも結局は感謝のみ。
神様の真意は・・・愚かな人間には到底わからない。

な〜んて、曙のグラデーションに浮かぶ見事な三日月と明けの明星に、訊いてみたりする氷点下の朝。
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by saskia1217 | 2011-01-31 12:50 | コンドルズ | Comments(2)

コンドルズの夏(秋?)公演「スカイ・ウィズ・ダイアモンド」東京初日を観る。
春公演以来なので結構な久しぶり感。
以下ネタばれあり!

池袋の芸劇の中ホールはコンドルズにとっても初めてのハコだが、じつは私も今日初めて中に入った(笑)。小劇場は地下から来る通路からすぐ見えるから知っていたし、大ホールやリハ室はいつも仕事でおなじみだったが「中」ってどこよ?
は〜、あの中途半端なエスカレータの行き先がそうだったのね(爆)。

爆音ダンスも2人組の面白いダンスも、なんか全体的に滑らか〜な印象。
曲線的っていうか。
カラフルなTシャツで踊る楽しいダンスは、コンドルズにしては珍しく音楽のリズム「に」合わせて動きがつけられている(真偽のほどは知りません)場合に感じる独特の安心感とポピュラー性があって、ちょっとホッとしたり。あれって「太陽にくちづけV〜ビューティフルサンデー〜」に出てきた楽しいダンスを彷彿とさせた。
ああいうの、もっと見たいなあ。

いつものようにわざわざ(!)見えないくらいちっちゃい人形劇は一層シュールだったけど、ホラー映画を殆ど見ていない私にはネタがあんまり通じなくて残念(苦笑)。でも会場は爆笑。
至近距離でハンディカメラで同時に撮ってスクリーンに映している映像が、急にアップになったりするのも昭和のギャグっぽくてちょっと面白い。「ひょっこりひょうたん島」とか思い出しちゃう。

そしていつものように最後からちょこっと前のところで息苦しくなる(胸が痛くなるってことです)顕作さんのコントは、前回のアンタッチャブルよりもラストへの持って行き方がソフトで好きだった。ダイアモンドで1本の線に繋がれたストーリー。なんか・・・愛に溢れてましたね。あったかいというか。主役が橋爪さんとオクダさんという、柔らかいキャラクターを持つお二人だったからかもね。オクダさんの演技がよかったですね。声もよく聴こえたし。
そうそう、ダンスで使う爆音と交互になっていたからこちらの耳のせいなのか、コント部分の声がよく聴こえないところがあったのは残念。特にお客さんが笑ったりするとカブって聴こえなくなっちゃう、せっかくのギャグが。

あ、これもいつも通りだけど、照明が美しかったですね。
音響さんの緻密なタイミングにも今更ながら感動。

ラストは2006年の春公演「勝利への脱出」のラストとほぼ同じ。
J・ブラントの曲も良平さんがサッカーボールを蹴るのも・・・ただ「桜」だった背景の映像は、白い雲がたなびく青空になっていた。
次の動きの予想がつくことが良いのか悪いのかわかんなかったけど、個人的には生まれて初めて観たコンドルズの2006年の舞台を思い出してちょっと感慨深かったのも事実。
あれから4年、演者もこちら側もたしかにあの時とは変わっていて、同じ動きの中にその過ぎ去った「時間」を感じた気もした。
終演後に初めてリーフレットを読んだら、10年やってきたことについて良平さんが
「そして僕たちは何処かへ行くのではなく、このままここにいるのです」
って書いてらして、その想いに一層確信を持った。
10年、20年創り続け、送り続けるのはホントにスゴイ。
そして、受け取る側がずっとそれを受け取り続けるってのも、凄く素敵でかっこいい。

それと。
勝山社長、カテコで使うエレカシは是非、最近の曲なんかもオススメします(笑)!
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by saskia1217 | 2010-09-18 02:36 | コンドルズ | Comments(0)

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完全「犬派」の私が、今夜は「猫は9度生まれ変わる」というインドの言い伝えをタイトルにした、コンドルズの公演「Nine Lives」を観に、久しぶりのグローブ座へ出かけた。
全国ツァーの最終地である東京の楽日は、まさに満員御礼。

この劇場で初めて1階席の縦横ほぼ中央で観たが、後方や2階席に比べてそう「見晴らし」がいいわけでもないかわりに、舞台上の全ての「形態」をど真ん中正面から直視できる、というのはやはり面白い。
その時々、その瞬間に舞台中心に位置する演者の視線はもちろんこちら(私)にあるわけではなく、想像するにおそらく「何処も見ていない」のだが、その突き刺さるような「中心感」はかなり強烈だ。

冒頭の全員でのダンスシーンの振り付けに一見いつものコンドルズっぽい中に何だかものすごく新しい動きがあったり、いつもはそうでもないメンバーのダンスが妙にキレがよかったり(失礼!)、突然見事にドンピシャなアドリブ台詞が出たり、のんびり系のダンスにハンパないテクニックを感じたり、今まであんまり聴くことがなかった人(と楽器)の生演奏の迫力がすごかったり、スルーしちゃうのが普通に思える「隙間」に妙に凝ったシーンが挟まれていたり・・・そして近藤さんのソロから全員ダンスのラストへの作り方がちょっと新鮮だったり。
いろいろと面白いところはキリなくあって、楽しく大笑い。
コントの大部分を占めてたアニメや漫画のキャラの殆どを知らないので、その面白さの95%がわからなかった置いてきぼり感は自己責任で仕方ない、として(苦笑)。

楽日だったので、アドリブやら楽日カーテンコールやらでかなりの長時間公演。
終演後の物販は劇場清掃のかけ声に混じって、もうゴチャゴチャ。
人混みをかき分けて、やっとの思いで外へ。
ロビーまでかなりの熱気だったですね。

ちょっとノスタルジックでアーティスティックな映像に、エレカシ「涙」をかぶせてくるのは、
しかしまたまた反則ですね・・・。
自分の前世とかあんまり考えないし、基本的に何かに生まれ変わるとも思わないけど、でもたしかに犬よりは猫のほうがいかにも「生まれ変わ」りそうだ。

で、もしも。
もしもホントに生まれ変わるんだったら、次は男性ロックシンガーになります、私。
ゼッタイにね。
で、もうその先は要りません(笑)。

追伸
今日ゲットの情報について。
「近藤良平さんと大野和士さんのコラボ」・・・
とっても気になるなあ、個人的に。
大野さん、柔軟ななかに緻密なお仕事をされる素敵な音楽家。
以前、シュニトケでご一緒した時には本当に感動しました。
良平さんと一体何を!?
気になる気になる〜〜〜。
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by saskia1217 | 2009-09-22 01:58 | コンドルズ | Comments(2)

「今現在の自分、そしてその時の自分達に相応しいことをする」ことが、どれだけ素晴しいか。
そしてそれは本当にどんなに難しいことか。

コンドルズさいたま公演「白と黒のナイフ」を観る。
その「相応しさ」が120%清々しく大成功していた。
鋭くて、激しくて、熱もあって、新鮮で、光と輝きがあって。
そしてそれは、無理もなく、衒いもなく、力みもなく。
あるのはただ、優しさと柔らかさと温かさと自然さ・・・プラスちょっぴりのアソビ。
余裕、なのかなあ。

金曜日に体感したエレカシライブと、計らずもまったく同じ印象を受け止めた今日のステージ。
コンドルズがエレカシを好きだったり、私がエレカシを知ったのはコンドルズ経由だったり、ということは抜きにしても、ほぼ同年代であり、どちらも男性のみから成るこの2グループは最近何かと意識の中でかぶる。

まぁ以前にも書いたけれど、こと「白と黒」というテーマにおいては、もちろんそこに「ラーメンズ」もかぶってくる。
エレカシ→白と黒しか着ない(特に宮本さん)
ラーメンズ→衣装だけでなくセットも白と黒のみ(以前グレーの衣装のこともありましたが)
コンドルズ→基本衣装の学ランは白と黒のみ

ほお。
見事。
私の「三種の神器」(笑)。

舞台美術、コント、ダンス・・・そのあちこちに「白と黒」が散りばめられた構成。
「コンドルズといえば大音量ロックに乗せた激しい群舞」というのを期待したお客さんには、量的にはちょっと物足りなかったかもしれないダンスシーンだったが、振りも今までのパターンとはちょっと違うような印象で新鮮な感じがした。今まで多量にあった「縦」の動きよりも、「横」の動きが断然多かったような。
そして今回も「音楽に合って」たり、群舞が「そろって」いたり、生理的に自然なものを感じましたね。

オープニングにはバッハの「G線上のアリア」が使われ、あらためてその「鉄板」的なものを痛感。
なんでしょ、あれはやっぱりα波が出る部類の音楽なんだな。ベタなのに、もう有無を言わせない。バッハ万歳!
そしてそこで繰り広げられる一幅の絵のようなクリアで「コンテンポラリー(って巷ではいうんですかね)」な静かなダンス。コンドルズ名物の激しいダンスも好きだけど、個人的にはこの感じが結構好きなのだ。
過去時々、モモヒキダンサーズによってそういうシーンが見られたんだけれど、作品冒頭で学ランで、というのは珍しかったかも。
珍しかったといえば、学ランに対比させて着用していた「白組」の上下とも白の衣装(モモヒキではなく白いパンツ?)がとても良かったですね。

「白黒つけよう」とする人たちが出てくる「白黒つかない」(=グダグダ・・・ということも含めて)コントは、ただ見ているっていうだけで結構楽しかったのは何故?(笑)。
そういえばコントシーンのセットや衣装がものすごくキチンとしていたのも珍しかった・・・かな。

音楽で印象に残ったのは、近藤良平さんのいくつかの新作の歌。特に好きだったのは「純喫茶・ゼブラ」の歌。いつかまとめてまたCDにしてください。生演奏のギターやヴィオラ・カイピーラも素敵。
カーテンコールの清志郎さん「雨上がりの夜空に」、続く千秋楽カテコにエレカシ「新しい季節へキミと」が流れたときには、興奮のあまりコンドルズ公演だということをすっかり忘れ、手拍子しながらつい歌ってしま・・・い・・・スミマセン。

自分の中の反応で面白かったのは、踊っている人たちを見て、1人1人のその「身体(の状態)」がいちいち気になって見入ってしまったこと。今まではそんな見方をしたことは全くなかったのだが、最近「身体」とか「筋肉」が結構意識にのぼることが多いせいか「今のあれって、きっとこういう状態なのかな」とか「あの形はきっと筋肉がこんな感覚なのかな」とか・・・。
今までも、見ていて「あ〜美しいなあ」と思うことはあったけど、「美しい!!」と感じるその瞬間に、踊っているその人の体勢とか感じているであろう息づかいとか手足の感覚とか、そんなものを自動的に想像している自分がなんだか不思議だった。
これもひとえにヨガのせい、なのでせうか?

コンドルズに出会ったのは、あれはいつだったろう?
考えてみればごく最近のことだ。
2005年秋にその存在を知り、近藤さんのソロ公演に出かけ、翌2006年お正月にテレビで「Jupiter」を観たのだった。実際に公演を観たのはその年の春公演「勝利への脱出」が最初。

コンドルズ=大音響のロックに激しいダンス。コントと人形劇と映像。
・・・というイメージ。
創作者そして表現者として、あるパターンやカラーを打ち出し、それが観客(大衆、社会)の大きな評価と人気を得て、活動を続けてゆく。10年経つ、20年経つ。
ある時、どうしても何かを「打ち砕いてゆく」ことを求められ始める。本人もそう思ってくる。
「打ち砕く」「変える」「新しくする」「他の要素を加える」・・・
いろんな言い方が出来るけど、それはきっと一筋縄ではいかないし、時には勇気や決断も要る。
もしかしたら、コンドルズではそれを実に自然に構えずにやっているのかもしれないけれど、でもきっとそこには迷いや悩みや葛藤が全くないわけではないはず・・・とも思う。
それが才能だ、と言ってしまえば身もふたもないが、それが出来るか出来ないかによって、アーティストがその先(次のステップ)に行けるかどうかが決まってくる。
この「社会の中の自分」路線って、なんなのよ、どうなのよ、なんだか物わかりいいみたいに落ち着いちゃって・・・と、やんややんや言われているエレカシを見ていても、いやいや、これこそがアーティストとしての真のステップアップなんだろうが、と思う。
そして、40代というのは正にそういう年代なのだ。「不惑」っていうのはそういうことなんだと私は思っている。
それは俗にいう「丸くなる」というのともちょっと違う、生きていくアーティストの覚悟、なのだ。
「白黒つける」ターニングポイントなのだ。

さて。
エレカシのライブ、コンドルズと続いた「私の黄金週間」が終わった。
残すはラーメンズだが、それにはまだちょっと間がある。
明日からはまた、
♪労働と恋のエブリデイ♪
・・・・じゃないなあ・・・
♪労働とヨガとギターのエブリデイ♪

西洋音楽のごとく「白黒つけたい」タイプの自分。
ヨガのごとく「白黒つけない」ことの大切さ。
悩みは尽きないけど、うまくいかないことばっかりだけど、
でも目指すところは見えてきた気がする。

さあ、今日もまた、太陽が昇ってきた・・・
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by saskia1217 | 2009-05-25 04:31 | コンドルズ | Comments(0)

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少々ネタバレかもしれません。これから公演をご覧になる方は観劇後にどうぞ!





歌舞伎町に行くとき=シアター・アプルに行くとき=コンドルズを見る時

それも今日でおしまい。
コマ劇場&シアター・アプルは今年12月末で閉鎖される。
今夜はこの劇場が、そのデビューの頃から育んできたダンスカンパニー「コンドルズ」、東京公演千秋楽。
千秋楽+この劇場での最終公演、という独特なテンションが開演前の客席にも充満していた。

開演前から客席にて凝った(笑)ビックリがあったり、コントの即興的なコーナーが大幅に拡大されたり(「今日はもう千秋楽だから、どんなに延びたっていいよな〜」「ようし、今日は終電終わっても帰さないぞ〜」と顕作さん)、もちろんコント中には支配人の山川氏が「旬な姿」で登場したり・・・大サービスも大サービス。
カーテンコールでは支配人氏がマイクで挨拶をされたが、途中で涙をこらえる場面も。
私個人はこの劇場にそれほど思い入れはないのだが、コンドルズを観るにはピッタリのハコだと思っていただけに、たしかに残念ではある。

「アンタッチャブル」と題された作品。
ひとことで言えば、とっても緻密。
丁寧に作られ、丁寧に練り上げられ、丁寧に舞台にのせられ、心をこめて演じられた、そんな印象。振り付けも、コントも。
ここ数年の公演では味わったことのない、新しくて、安心できて、落ち着いていて、熱もあって。大人っぽいというか。(大の大人にそういう言い方はヘンですが)
まとまりがある、というのかな。ひとつひとつのシーンそれぞれもこう「くしゅっ」っとまとまっていて、そして全体もひとつの流れになっている(ということに、最後に気づく。ラストシーンになったときにようやく冒頭シーンが理解できたり)。

それにね。
ダンスが、音楽に「合っていた」!
これはあの〜「うまく合って踊られていた」ということではなく、「音楽に合う振り付け」だったということ。(ご本人の意図は未確認ですが、私の印象はそうでした)
初めてコンドルズの舞台を観た時一番びっくりしたのは「音楽に合っていないダンスがある」という事実をつきつけられたことで、その後見慣れているうちにそれが彼らのダンスを観るときの「普通」になってしまっていたが、今回は全く違ったのだ。もちろん結果的にそうなっていただけで「合わせようとして創った」のではけしてないと思うし、それを目指していたのではないとは思うのだが。
こんなのもいいな、と。

それと、ジェットコースターのように感情を手玉に取られた気がする。
泣くほど最高潮に笑わせられてすぐに、どん底にど〜〜〜んと突き落とされて、またひょいっと浮き上げられたり。涙腺が忙しかったです。

涙腺といえば、今日は(も)反則がありすぎた。
ここのところの極度の「エレカシ中毒」から這い出し、精神状態をバランス良く立て直すべくコンドルズの舞台を観に行ったはずなのに、ラスト近く、巡り行くスポットの中でメンバーが1人ずつ静かに踊ってゆくという一番しんみりしたシーンでいきなり流れたのが、エレカシの「月夜の散歩」・・・

まいった。
涙腺が破壊した。
おまけにこの曲、エレカシのなかでは最もメジャーなアルバムに入っているせいか、聴く回数はそう多くないのに、今日はアプルに出かける直前まで家でずっと聴いていたのだ。
そしてカーテンコールでは「星の降るような夜に」。
宮本さんと高緑さんの合作のこの名曲、ライブではいつもこの二人が肩を組んで歌う。
そのイメージが、コンドルズの学ラン姿には似合いすぎる。
おかげでなんというか・・・・「元の木阿弥」「ミイラ取りがミイラになった」という結果に(苦笑)。
どうしてくれよう。

笑ったり泣いたり、ヘトヘトになった一夜。
劇場の外へ出たら冷たい秋の小雨が降っていたけれど、そして後ろを振り返ったら歌舞伎町のネオンに混じって寂しいメッセージが目に入ったけれど、これからのコンドルズ、これからのアーティスト、これからのミュージシャン、これからの舞台エンターテイメントに薔薇色の希望と期待をもたせてくれた、素敵な夜になった。

ありがとう、コンドルズ。
ありがとう、エレカシ。
ありがとう、シアター・アプル!
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by saskia1217 | 2008-11-10 03:02 | コンドルズ | Comments(2)