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生と死の間を行き交うココロ〜エレカシ新春コンサート in 渋公 その2〜

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♪多分幾世代にも亘る長い人の歴史の
そのまた果てに佇むぼくら
・・・
もうぼくらは扉を叩いてしまった
鋭き真冬の風感じながら
生と死の間を行き交うココロ
ふさわしい傷だらけの夜明けに♪

原宿駅から代々木競技場を過ぎて渋公とNHKのとこの交差点まで歩く道は、いつ行ってもだだっ広く飄々とした風が吹いて、少し殺風景でササクレだった景色。
でも、それがいい。
冷たい風が刺すこの冬のまっ只中は格別にいい。
駅前の歩道橋の上にのぼると、空にのぼりたての白い月と薄紫の空。
ああ、本当にいいなあ、この冬の空気。
否が応にも「生きていることと死んでゆくこと」を考えさせられる冷たい空気。
「あ〜、今日が終わってしまうんだ」とぼんやり思いながら、シャッフル設定のiPodからは「寒き夜」が流れていた。

エレカシ新春コンサート、幸運な巡り合わせに恵まれて再び足を運ぶ。
昨夜28曲歌い続けたようには、ステージ上では到底見えない宮本さんは、ピカピカピチピチしながら1曲目の「今はここが真ん中さ」を歌い始めたけれど、ほんとにすこ〜しだけ、ほんの少しだけ声が疲れてるかなあ・・っと思わせた・・のも一瞬だけで、あとはもうズンズンといつもの迫力で歌い進めていった。
前日のステージと差し替えられた曲は全部で8曲。私が経験したかぎりでは、2日公演でこんなにプログラムを替えてきたのは始めてだ。
「おかみさん」「精神暗黒街」(これはライブ初聴き)「寒き夜」「季節はずれの男」「sky is blue」「ハナウタ」「桜の花、舞い上がる道を」「so many people」が差し替え曲。
アンコール、ダブルとトリプルアンコールも含めて、全29曲。3時間近かった。
サポメン10人を含めてのタイトなスケジュールの中で、いったいどれだけリハしたんだろう、なんて余計な感嘆までしてしまう。

「もうずっと長いこと使ってるから、この椅子・・こんなになっちゃって・・」と宮本さんが苦笑いしながら示した例の「男椅子」は本当に完全に斜めっていて、弾き語りでがっつり座ると1階席では宮本さんの姿がすっかり見えなくなる(笑)。その低〜い姿勢で身体じゅうが口になったみたいに歌ってくれた「寒き夜」。この曲を初めて聴いた動画サイトの映像は泣きながら声を振り絞ってた演奏だったけど、今日の「寒き夜」はもっともっと深いところに居ながら、どこか他から自分を見ているような落ち着いたものが付け加えられていた気がする。
同じく弾き語りで始まる「風」のギターイントロのコードが、この曲の調から随分遠いところから流れ出してちょっとビックリ。それがブロックごとにひとつずつ歌いだしに近く近く導かれてゆくのが素敵だった。
「寒き夜」と「風」という弾き語り2大金字塔が一晩で聴けるなんて、あまりにも贅沢すぎて目玉が溶けてしまいそうだ。
ラップみたいな語りの部分が「月、火、水、木・・」と一週間がぐるぐるめぐっていく言葉になっていた「明日への記憶」。PVのその場面の、宮本さんを中心に渦巻くカメラワークを彷彿とさせた。
「笑顔の未来へ」は今日は一段と高い盛り上がり。この曲の持つ絶大な幸福感は、この世の中のありとあらゆる(言ってみれば)「ラブソング」の頂点に立つ。それも「空虚な愛の言葉」がひとつも使われていないラブソングだ。
「みんな、生まれたときから不器用なんだよ」というMCで始まった「俺たちの明日」では、♪いつかどでかい、どでかい虹をかけようよ♪で、今日はその虹を右手を伸ばして客席に向かってかけてくれた。
そのラストのサビ、♪オマエがいつかくれた優しさが今でも宝物♪を受けて、「第1部」(笑)ラストの「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」へと、「やさしさ」のリレー。
音楽も、言葉も、歓声も、拍手も、熱い空気も、汗も、そしてステージと客席、そこにいる人間全員の笑顔も、これ以上の高揚は経験したことがないといっていいくらい、息が止まるんじゃないかと思ったくらい高く高く幸福に包まれた「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」。

なのに、ここからがなんと「第2部」開始なのだ。
もはや以前のような「本プロ」と「アンコール」みたいなウエイトじゃない。
そこから一気に8曲が続いた。
「sky in blue」で久々の宮本さんの「スライドブリージャー」が聴けた。気持ち良さそうだなあ。
昨日「絆」で披露してくれた、のびのびと広がってゆく声と言葉の魔法は、今日は「ハナウタ」に委ねられた。「笑顔の未来」同様に、この曲が始まると客席の空気がパッと花が咲いたようになる。宮本さんはよほど気分が良かったのか、やおら成ちゃんの帽子を取って、何故かそれをかぶるでもなく石くんにかぶせるわけでもなく、コロンと置いてた(笑)。
「お正月らしい歌を」と「桜の花、舞い上がる道を」が続く。まさか聴けると思っていなかったから本当に嬉しかったな。
「パワー・イン・ザ・ワールド」と「so many people」を一晩で両方聴けるなんて、もうこっちの許容量がパンパンて感じ。後者は「これ実はやるの忘れてて・・・(会場爆笑)。(saxの)山本さんが『今日これやらないの?』って言ってて気がつきました。」って・・・思い出してくれてよかったあ。
「あなたのやさしさ」で、そしていつもの「ガストロンジャー」「ファイティングマン」のセットであれだけ全開だったのに、最後の最後でまた「so many」はあり得ない熱量。

なのに。
トリプルアンコール。
「待つ男」
富士と太陽、これはやっぱり正月にはかかせないや。
まったく、このアンコールに至っては宮本さんが身体ごと溶けてなくなっちゃうかと思いました。
いやいや〜。
この人は本当に人間なのか、と思ったですね、初めて。

7日はお客さんのテンションは最初からかなり高く、妙なヤジも多かったけど、宮本さんは大人の対応でうまくいなしてくれて、こちらはちょっとホッとしたりする場面も。
なので、MCはずっとずっと上機嫌で嬉しそうな印象だったですね。
「漂う人の性」の前に「みんなは『夢から醒めし人』なんだろ?オレはいつも夢の中なんだけどさ」って言っていたのがなんだか心に残ったな。
「みんな、あけましておめでとう〜〜〜!!」と始まり、終わろうとする度に何度もアンコールに出、その度に「サンキュー、渋公!サンキュー、エヴリバディ!!」と投げキッス、そして最後に「今年もよろしく〜〜〜っ!!」
年賀状を書かないという宮本さんですが、これがまさに「年賀状」。
私たちには一番嬉しい年賀状。

華やかで濃厚で豊かで明るい、幸福感に満ちあふれた2日間のステージ。
影も悲しみも涙もたしかにそこにはあったけれど、暗い瞬間はひとつもなく。
「未来の生命体」「今をかきならせ」「風」「漂う人の性」「傷だらけの夜明け」「普通の日々」「旅」「笑顔の未来へ」「俺たちの明日」「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」「ワインディングロード」「新しい季節へキミと」「絆」「悲しみの果て」「ハナウタ」「パワー・イン・ザ・ワールド」「so many people」・・・このメッセージ。
ただ、「生きること」と「死ぬこと」についてずっとずっと歌い続けられてた。
いまここに「命」があって、連綿と続いてきた歴史の上に時が流れ続けていて、今この瞬間から前へ前へと零れ落ち崩れ落ち、一時も止まることなく押し流され、でもちゃんとそこには存在と意味があって・・・
だから、それでいいんだ、と。
大丈夫なんだ、と。

まったく、こちらこそ「今年もよろしく〜!」だ。
まっさらに身体じゅうでその幸福と力を受け止めさせてもらったと同時に、自分が音楽を職業としていることをあらためて誇りに思った、今年の新春コンサート。
今年もきっと、直接そして間接に、私はまたいろんな人に助けてもらいながら、たくさんの人に出会い、そして音楽を続けてゆくのだろう。

命を大切に。
そして、少しでもたくさんの音楽を。
ありがとう、エレカシ。

♪もう二度と泣かなくていいように・・・♪


♪あと五分しか生きられぬのなら♪


♪死んじゃダメだ〜〜〜っ!♪

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by saskia1217 | 2012-01-08 20:05 | エレファントカシマシ | Comments(2)

完璧な本番とは?〜エレカシ新春コンサート in 渋公〜

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エレファントカシマシ、2012年の新春コンサートの1日目。
レモンが取り払われてスッキリした(笑)「渋公」にて。
武道館の新春を聴いてから、もう1年も経つんだなあ、なんて黄昏れながら。

「完璧な本番」て何だろう?
今まで、この歳まで音楽をやってきて、どんな分野のどんな音楽家も、とにかく「本番で技術的ミスをする」ということにおいては、なんであろう、その人それぞれの中でギリギリまで厳しくなければいけないものだと信じてきた。もちろん、そんなこと言ったってミスはするし、人間だから当たり前なんだってことは重々わかってる。コンサートの本質はそんなとこにはないよ、ってこともわかってる。
問題は「ミスすること」そのものじゃなくて「ミスしてはいけないという前提でいる」ってこと。
今までいろんなジャンルのアーティストと一緒に仕事をしてきて、概してクラシックの世界のほうがそういう「ミス」について厳しいような傾向があるけど(悪い伝統ではあるけどね、特に教育上)、無論どの分野のミュージシャンだって同じ気持ちでステージに立っているんだと思う。
でも「ミスも個性のうち」とか「ミスを忘れさせてくれるくらい素晴らしかった」という言葉をもうしょっちゅう聞くわけで、特にプロの音楽家が平気で口にするのはどうなんだ?!、とずっと腹立たしく思ってきた。そんなのがまかり通るなんておかしい。

でもさ。
違った。
ようやく認める。

昨日のコンサート終わって、ズ〜ンとその重みがきた。
もちろん、昨日のコンサートでミスが多かったというわけじゃない。それに宮本さんもよく、間違えたりやり直したりするときに「スミマセン、プロとしてあるまじきことで・・・」と言うこともあるし、自分を厳しく律して仕事に向かってらっしゃることはみんな知っている。
なんて言ったらいいのかなあ、昨日はギターのコードがいくつか違ったり、やり直したりしてたのに、何だろう、「なんだ、今日は完璧なコンサートだ」って思ったんだ。
今まで生きてきて、今の今まで、私にそう思わせてくれるミュージシャン、アーティストは誰ひとりとしていなかった。

私にとって27回目のエレカシのライブ。今までずっと毎回いろんな色合いの「嬉しさ」や「感動」や「楽しみ」や「涙」を味わったけど、昨日みたいなのは初めて。
濃厚、密度が濃いのに、スッキリと消化がよくて、爽快感と充足感、幸せが残る。
ステージに立っている側の人たちがきっとそうなのだろう。それがそのままこっちにきた。
その、不動の岩みたいな堂々ぶりに、「この人怖い!」とさえ思った。
すごいなあ。

一番嬉しかった曲。
一昨日の記事にも書いた「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」が、本プロラストに歌われたこと。
開演したときにホーンセクションが並んでいるのをみて、じつはちょっと期待してドキドキしちゃったんだけど、本当にやってくれて何ともいえなく嬉しかったな。
大好きなのにライブで聴いたことなかったから。
ライブで聴くのが初めてだったのは「soul rescue」「ふたりの冬」「漂う人の性」そして新曲の2曲。
前半は特に「冬」がテーマの曲が集められていて、その世界にリアルにぎゅ〜っと溶け込まされていって。
選曲もだけど、プログラムの並びかたが絶妙だった。
しかし「アーティスト側がやりたい曲」と「今自分が聴きたい曲」が現場で一致する嬉しさってのも、クラシックじゃまず滅多に味わえない喜びですよね。

個人的にすごく印象的だった曲もいくつか。
今回もフルな声とギターで響かせてくれた「風」。今このとき、この曲は必要だ。しかも昨日は声がすごく伸びやかで大きくて、最後まで枯れることなくてインパクトがいつもより大きかった。
私の冬にはもう欠かせないナンバーワン名曲「傷だらけの夜明け」。ラストだけ♪もう二度と泣かなくていいように/夜空の星を『ぜんぶ』君にあげよう♪と歌っていたのが何故かズシッと来た。
今、この時に聴かなきゃいつ聴くのか、ってくらいドンピシャな「普通の日々」。ステージにのる宮本さん、そしてエレカシが歌うからこそのリアリティの重さがある。間奏のアドリブで声を振り絞るようなメロディーが生み出されていた。
「笑顔の未来へ」はいつもより飛び跳ねてるお客さんが少なかったけど(笑)すごい名演だったなあ。とにかくこれもとってもリアルだった。
「あなたのやさしさを・・」はホーンとストリングスでとってもお正月っぽいし豪華なんだけど、なんといっても歌詞がいいから、ウキウキだけではない何かがちゃんと残る。
途中でメンバー紹介が入った後、またサビに戻るのがとにかくかっこいい。
これが聴けて本当によかった。

アンコールで新曲「ワインディングロード」と「東京からまんまで宇宙」が続けて歌われた。
特にそういうMCもなく、す〜っと始まったのだけど、やっぱり音源とは違う魅力がある。「ワインディング・・」のCメロ♪遠い空の青さに鳥が泣いて♪は本当にホレボレしちゃう。
♪わかるかい?わからない?立ち止まり見てみろよ♪では、最初ささやくような優しい音色で歌い始めるのに「立ち止まり」から急激に男性的な太さのある声に変わるのが魔法のようだった。
「新しい季節へ君と」はやっぱりいつ聴いてもワクワクする。エレカシを集中して聴くようになった頃のリリース曲だったから、思い出がいっぱいある。
そして今まで何度も聴いた中で最高だった「絆」。「バラードをやります」とぽつんとMCして淡々と歌い始めた宮本さんは、イナバウアー張りに全身で「声」に変身していた。なんだか全てが「詰まって」いたなあ。会場中がその余韻に浸っていたとき、宮本さんは突然「そういえば、新党『絆』ってのができましたねえ、知ってますか?あの、民主党でさ・・・しかも『つ』に点々でさ・・・オレ時流にのってるか?」って・・・いやいや、あなたが先でしたから(笑)。

照明がとても綺麗だったのも印象に残ってる。
言葉や音符の細かいタイミングで変化していたのが素敵だった。
けして色をたくさん使っているわけではなかったのだけど、角度とか工夫が凝っていた。
ただ、今回は「いつも以上に」宮本さん以外のメンバーがちょっと暗すぎてあんまり見えなかったのが残念だったけど、効果としては綺麗でした。
MCもいろいろ面白かったけど、最後の最後で「素敵な・・・真剣勝負のお客さん!・・みんな、ありがとう〜〜!」と叫んでくれたのが、なんかちょっと嬉しかったな。

アンコール8曲とダブルアンコール2曲を含め全28曲。
「完璧なコンサート」をありがとう。
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by saskia1217 | 2012-01-07 15:13 | エレファントカシマシ | Comments(0)

エレカシ「東京からまんまで宇宙」PVのかけら

先日発売になったエレファントカシマシ、両A面シングルの新曲のひとつ「東京からまんまで宇宙」のPVが、公式から「ちょい出し」になったよ。
「short ver.」とは、物の言いようだな(笑)。

もう1曲の「ワインディングロード」もすでにちょい出しになってるけど、作り込まれたストーリー風のも悪くないが、こういうシンプルなのはやっぱりいいなあ。
何かしらのちょっとしたセットや風景の中で「ただ歌ってる、演奏してる」っていうだけの画。
それだけで既にいっぱい語られちゃってるから。

それにしても。
ここんとこの新曲たちのPV、結構溜まったと思うし、そろそろまとめてくれたら嬉しいな。
だって地上波じゃ全然見られないんだもん・・・。
PVって新曲が出る前の宣伝じゃあないんだよね、もはや。
発売後しばらくしてどっかの有料チャンネルで流されるだけって、これは「映像作品」としてだけの存在価値なんだろうか?

しか〜し。
看板いっぱいで目がぐるぐるしちゃう。
JRの保管倉庫かっっ!(笑)
でもそうか、ぐるぐるで正解なんだ。


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by saskia1217 | 2011-11-30 23:33 | エレファントカシマシ | Comments(0)

エレカシ、プロモラッシュのなかで

雑誌「MUSICA」の今店頭に並んでいる最新号に、エレカシ宮本さんのインタビューが載っている。
新曲リリースに合わせてのプロモーションがスゴくて、ほぼ連日、テレビ・ラジオ出演、雑誌掲載が続く。今月は雑誌だけでも8誌。ファンも息つく暇がない(笑)。

でもやっぱり気になるので一応全部目を通す。
そしてMUSICAのインタビューは、期待どおりにすごくよかった。
女性誌やファッション誌など目的やターゲットが違うものはまた別の話として、他の音楽誌の記事は何度読み返しても残念ながら殆ど頭に入ってこなかった。
質問者の興味のポイント、そして回答者の心の中に本当に存在するもの。
MUSICAにはそれがあったから、読んでいてとてもスッキリし、納得し、その先を考えることができた。
インタビュアーの鹿野さん、やっぱり素晴らしいな。

宮本さんはとても興味深いことを語っていた。
(私の記憶で勝手に抜粋しているので、以下実際のご本人の言葉とは違うと思います、すみません)

自分たちの仕事やステージをことさら「震災」にかこつけたくなかったこと。
「そんなこと思ってても、テレビやラジオじゃ言えない」
ファンクラブ会報以外で「震災」について公に言葉で語ったのは初めてだったんじゃないかな?
会報でもそこまで深い本当の気持ちは話していなかったのではないかと思う。
でもそれは彼らがフジテレビの震災復興応援の音楽番組に出たときの宮本さんの様子をみればすぐわかるし、その直後の全国ツァーのステージを見て、聴けば、もう何も語らずともそんなこと十二分に伝わっていた。
そのライブの場に居られなかった人でも、宮本さんの言葉と音楽、そしてエレカシの演奏を聴いているファンなら、すぐわかる。
私たちは、そんなエレカシ、そんな宮本さんが好きなんだ。

どこまでいっても、わかってる「つもり」なんだけどね(苦笑)。
でも、いつも「わかりたい」のがファン。

震災から今日まで、自分がこれといった「震災復興」を銘打った仕事をしてこなかった私自身の言い訳では決して無いのだけど。やらなければいけないなと思っていたこともあったし、やろうと思えばできた筈なのも事実。
でも、しなかった。してこなかった。
そして以前にも書いたけれど、それを銘打って企画して実行し、今も続けているアーティスト、ミュージシャンは本当に素晴らしい。それに対してはこれっぽっちの批判も異論もない。

だけど、自分にとっては、何かが、何かが違う。違和感がぬぐえない。
中身じゃなくて形の話なんだけどね。
だからあの時、エレカシの水戸のコンサートを聴いて心底ホッとした。自分に戻れた。
私にとってのステージ人間とは、やっぱりこれなんだと思えた。

あ〜、もちろん、規模の違う話なんで、自分とエレカシを同じ土俵で語るなんて滅相もないんですけど。
でも、もし許してもらえるなら、いいたい。
そうなんです、すっごくわかる!って。

他にも印象に残った話がいくつかあった。
若い頃の、瞬発力でいいものを作ろうとしていたことと、いま歳をとってやはりいいものを作ろうとするために、昔と変わったこと、そして今でも同じく変わらないこととは・・。
昔に比べていまは「ロマン」が少なくなったこと。
今はもっとより多くの「現実」が見えてきて、今までのこと、今現在のことをひっくるめて、それをまとめながら進んでいるということ。

「ロマン」は若干少なくなりながら、じつは性質を変えているだけだ、なんて思ったりしている。
以前のロマンとは違う質のロマンがたしかに存在するんじゃないか?
と言ったって、他の人に比べたら、詞を書き音楽を書き歌を歌う人のなかにある「ロマン」はとてつもなくおっきいと思うけれど。
そして「現実」が見えてくるっていうのも、文字にするとなんかネガティブに見えがちだけど、じつは自分自身の中、そして隣近所との風通しが良くなって、楽しく生きられるようになる素敵な現象なんだ。
それがきっと本当に地に足をつけて生きるってことなんだろうな。
そしてたぶん、「現実」が見えないと「ロマン」は生まれてこない。
根無しのロマンは全て幻想、きっとすぐ泡みたいに消えてしまって、自分のなかにも世の中にも残らない。
いま私たちの目の前に形として残されているものはすべて、しっかり生きた人の足元から飛び立てたうつくしい羽根ばかりなんだろう。

今日、ポイントカードの更新に池袋のタワレコに寄ったら、小さいながらもポップで飾られたエレカシコーナーが出来ていた。
そこで流れていた小さい映像で、初めて「ワインディングロード」のPVを見た。
「人生」を辿る道で出来たわかりやすい映像だけれど、見ているうちに生、愛、死のような言葉が脳裏に点灯した。
ありふれている、ありがちな言葉だけど。
歌いながら歩く宮本さんがすれ違う多くの人たちのなかで、終盤近くに現われる葬列(黒い服と、持っている楽器の編成からしてまずそうだろう・・・トロンボーンと太鼓は「死」「葬儀」のシンボルで葬送の音楽に必ず使われる)と、その直後に黒服のバンドメンバー3人がこちらを見送るシーン。
PVストーリーの時系列でいけばそこに「死」がくるのは当然で、それはイヤな事でもなんでもないのだけど・・
「え〜、宮本さんの最期は3人が見送るのか?」みたいにも見えて、あの瞬間だけちょっとだけドキッとしてしまったな。
その後すぐ画面が明るく開けて4人の演奏シーン(現在)に変わるので、救いはあるのだけれど。

はい、そうですね。
考え過ぎ(笑)。
PV、大きな画面で見たいなあ。
地上波で流してくれないのって、残念すぎる。
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by saskia1217 | 2011-11-19 02:10 | エレファントカシマシ | Comments(0)

一切合切が素敵〜エレカシニューシングル「ワインディングロード/東京からまんまで宇宙」リリース〜

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昨夜仕事を終えて帰宅したらポストに。
やっと本物の音源が聴ける。
夜になってからやっと落ち着いてラジカセの前に座れた。
ヘッドフォンをつけて、歌詞カードを手に聴く。
これが一番落ち着くんだ。

すでに放送されたラジオでのオンエアを録音したものを繰り返し繰り返し聴いてはいたものの、やっぱりこうやって静かな場所でクリアな音で聴くと、いろんな発見がある。
宮本さんが詞を発音するニュアンスとか、いろんな楽器のいろんなパートのラインやその絡み合い、全体の音のかたまりのバランスとか、楽器と歌のそれぞれのウエイトが一瞬一瞬で移り変わってゆく様子とか。

耳から聴いただけでは捉えられなかった歌詞も、ブックレットで「おおお、こうだったのか」と確認(笑)。友人とああじゃないか、こうじゃないか、って推理(!)して笑い合うのも、オンエアと発売の間の貴重な楽しみのひとつ。

「東京からまんまで宇宙」の
♪交わる期待と不安に押しつぶされそう♪
「交わる期待」だったのか〜〜〜!
とか(笑)。

「ワインディングロード」の大好きな大好きなCメロ冒頭。
♪遠い空の青さに鳥が泣いて♪
聴いていた時に浮かんでいたのは「鳥が鳴いて」だったのに違ったんだね。
最新アルバム「悪魔のささやき」のなかの「九月の雨」で鳴いていなかった鳥が、もしかしたらここで「泣いて」いるのかもしれないなあ・・・な〜んて。

2曲それぞれを何回も何回も繰り返してきくうち(前回オンエアの時も似たようなこと書いたのだけど)、第一印象爽やかでポップな「ワインディング」の奥底に流れる太い生命線のような力強さと、ロックな「東京からまんまで宇宙」のもつ優しい言葉とあたたかさが、どんどん寄り添っていくのが不思議な喜びだ。

ブックレットを開いて、2曲の歌詞に挟まれた、真ん中にある写真がとっても好きです(笑)。

初回版オマケのDVDは、今年前半の「悪魔のささやき」ツァーのドキュメンタリーを集めたもので、公式でも公開していた映像を中心にまとめてある。
リハのシーンで、宮本さんがメンバーの演奏をイメージに近づけようと一生懸命音楽を作っている映像が印象的。もちろんギター以外の楽器も弾かれることは知っていたけど、その姿を見ることはなかったものだからとても新鮮でした。
「脱コミュニケーション」のベースパート、「赤き空よ」のドラム・・・
なんて、どこにもかしこも「音楽」なんだろう、この方は。

楽屋風景で、「全館禁煙」のアナウンスをバックの喫煙シーンや(あ、楽屋は例外のことが多いからOKなんですけど、もちろん!)、「撮影禁止」のアナウンスバックの渋谷さんの写メ撮影シーンが流れるのには、ちょっと笑えてしまったし。
ライブ映像は東京JCBのものが多かった気がする。
八王子での「東京の空」が入るかなあと少し期待していて、それがなかったのはちょっぴり残念だったけど、あれはやっぱり当日宮本さんがおっしゃってたように「今日来てくれた人たちはちょっとお得です」的な、特典的な、二度とないようなとっても貴重な時間だったから、それはそれでよかったのかな。
何でもかんでも映像や録音で残す事はないんだよね、音楽なんてその一瞬で消えてしまうものなんだから。
だから、その一瞬で可能なかぎり輝かす、それが音楽家の仕事。

ラスト「夜の道」は心に沁みた。
あの横浜での「夜の道」は本当によかったから、また見られてとても嬉しかった。
いつもながら、宮本さんに、エレカシに、そこに関係する全ての人たちに感謝。
欲張るな、と言われても、またその次、先・・楽しみに楽しみにしてしまいます。

ところで・・今日は「将棋の日」そして「iPod発売から10年」だそうで。
10年経った頃にようやっと使い始めるのが、どうやら私の定番らしい。
無意識なのに(笑)。
昨日さっそくiPodに入った2曲、今日もこれを持って、青空の下出かけよう。
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by saskia1217 | 2011-11-17 12:45 | エレファントカシマシ | Comments(0)

たのしみたのしみたのしみ〜


たのしみすぎる。
11月16日発売。
エレカシ「ライブヒストリー」。

DVDもたのしみだけど、同日発売のニューシングルもたのしみ。
「ワインディングロード」と「東京からまんまで宇宙」。


たのしみがいっぱい!
でも、他の何よりも、いっちばんの幸せ。

あといくつ寝たら・・・
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by saskia1217 | 2011-11-04 23:59 | エレファントカシマシ | Comments(0)

エレファントカシマシ最新作「ワインディングロード/東京からまんまで宇宙」・初OAおめでとう!

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11月16日に発売になるエレカシのニューシングルの両A面の2曲が、それぞれ違うFM局で今日いっぺんに初OAされた。
ずいぶんと急だったこと!
考えてみたらまあ、1ヶ月前からプロモって普通なんだけどね。
聴けるのはまだ先だと思っていたから、超直前のこの情報にあたふた。
・・・で、いつものように番組中いつかかるかわからないので、何時間かラジカセの前に正座(笑)。

先に流れたのが「ワインディングロード」。
爽やか〜〜っ!
コカコーラみたいだぁ。
いや、真面目な話、コーラのCMに使われててもまったく違和感ない。
強いて言えば(あくまでも強いて。ある曲を他の曲と一緒に語るなんてナンセンスだからなあ)「moonlight magic」とか「to you」みたいな、そう、つまり私のすごく大好きな感じだ(!)。
イントロなしのギターと歌からいきなり始まる冒頭、のっけからの優しい鼻濁音が好きだ。
宅録?って思ったくらいにリアルな近さにちょっと驚く。バンドが入ってくると声はそっちに溶けこんでゆくのだけれど。最後、サビからAメロに戻って来たところで再びギターと歌だけになるところで、ここでまた急に生の声みたいな近距離感。そのギャップがすごい。歌詞からいっても、たぶんわざとなんだろうなあ。

始まってすぐ、メインになる調がはぐらかされて面白い。ちょうど「太陽の季節」や「五月雨東京」みたいな・・。メロディーの揺らぎから無意識に予想している調にはゼッタイに行かないんだ。すぐ隣りどおしのような近さで動くハーモニーの「たゆたい」がいいよね。
声の色も音づかいも、最初から最後まで優しさに包まれているのにもかかわらず、言葉の強さがぐいぐい立ってる。けして語気は「強く」ないのに。
好きな言葉がいくつかあったのだけど、まだリリース前だし、ここには書かないでおこう・・・。
使われてる言葉は、どれも宮本さんをすぐ思い起こすようなキーワードで一杯なのだが、その組み合わせ方がまた違ったものになってるから、同じイメージにはなってない。
歌い方もあるのかな、「語りかける」感じがすごく強い。

いつものように、曲がすすむにつれて、じりじりと上へ上へと歌い上げていく。サビに入ってからの上昇がすごく気持ちいい。
中間部?Cメロっていうのかな?・・・
いつもそうなんだけど、ここからがすごく個性的なんだよねえ。そのガラッと変わる世界が。他の誰にも創れないのがココだと思う。

いつも思うんだけど、例えば同じハーモニー進行の曲なんてJ-POP、ロック、ジャズ、クラシックどこにもこの世の中にはそれこそいっぱいあって、そしてエレカシの曲の中でだけだっていくつもあって、でもそれでどこまで個性が出せるのか、どれだけ人の心を惹き付ける音楽を創れるのかが、本当にすごい音楽家の証なんだ、って。
以前、宮本さん自身、このことをインタビューで話してた気がする。

何らかの「確信」を感じた一曲。
最近の曲の多くに盛り込まれた、すでにかなり前進してて力強いんだけれど、「手探りで探し求めていた姿」が、ここへきてひとつ扉がひらけて光の中に踏み込んだ、そんな明るさを感じたような気がした。

1時間後、もう一曲「東京からまんまで宇宙」。
日比谷野音で渡されたチラシでこのタイトルを見たとき、また今回もタイトルに微笑んじゃった、のだが。
だから、みんながずっとワクワク待ってた。

イントロでもう・・・私、笑ってた。
いや、声じゃなくて音楽が。何だか自然とニマ〜ッて笑ってた。
なのに、始まってすぐのベースラインがちょっとオシャレなのも可笑しい。
タイトルからなんとな〜く「おかみさん」的なものを想像してたんだけど、もっと愉悦感があって。
歌い回しの端っこにチラッと垣間見える「浮雲男」や「上野の山」的な、あの爽快感。
寅さんみたいなの。
下町的でも都会的でもあって(三ノ輪でも新宿でもOK、みたいな)、そんなドラマか映画のエンディングにしたいくらいの疾走感。
けして「懐古主義」とは言わないけど「ゴリゴリしたエレカシ」が好きな人にはこっちのほうが受け入れられそうだけど、「ワインディングロード」よりもかえってこっちのほうが「柔らかい」気がしたなあ。なんて言えばいいかな、今の日本を「あったかく応援する」としたらこっちのほうだな、と。
だから、この2曲が一緒にあるのが面白いし、それがいいよね。
早くコンサートでライブで聴きたいよ。

「ワインディングロード」のサビが頭の中に鳴ってぜんぜん止んでくれない(苦笑)。
いろんな音や言葉がぐるぐる舞ってる。
今夜眠れないのは、確実にこの満月のせいばかりじゃない。
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by saskia1217 | 2011-10-13 03:50 | エレファントカシマシ | Comments(0)

♪このまますべてが叶うようなそんな気がしてた♪〜エレファントカシマシ大阪城野音コンサート〜

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絵に描いたような「秋」。
まだ明るい16時半、大阪城公園の上にどこまでも広がるいわし雲の空。
野外音楽堂の満員の客席に吹く清々しい風。
昨年のあの灼熱の西日、蝉とトンボの大群が嘘のようだ。

エレカシ大阪野音。
昨日、朝7時のこだまで大阪へ。
お昼に着いて街を散歩しお昼ごはんを食べ、夕方会場へ。

10分押し、SEが止んで会場が静まり緊張感がピークに達した瞬間、白シャツの宮本さんを先頭にメンバーが列になって登場。それを見て、1曲目が「歴史」ではないなと思う。
石森さんの髪が真緑だったことで客席がざわめき、メンバーが定位置につくまでの数分間の主役はすっかり彼になってしまった(笑)。

宮本さんの静かで優しいギターで幕があく。「理想の朝」。なんてこの日この時この場所のオープニングに相応しいんだろう・・・セピア色のイメージ。
続けて厚いサウンドが空気を180度変える。「脱コミュニケーション」。淡々と歌い続ける宮本さんにある種「職人的」な無意識(=当たり前な日常感と自然さ)さえ感じる。
MCもなく次々と音が移り変わってゆく。「定め」。途中のセリフ、後半がアドリブっぽく一段と「今」の宮本さんのつぶやきに聞こえた。この曲の、減音程が蛇のようにうねうね続くメロディーラインがとてつもなく好きだ。ツヤのある少し太い宮本さんの声で歌われると説得力がハンパない。音源のアルバム「風」で聴き慣れた少し繊細で感傷的でやわらかい、触ったらビリっと壊れそうな当時の声も好きなのだけど、先日の全国ツァー最終日の東京でこの曲を歌ってくれた時や昨日のような、少し荒くれてザラついた、年齢が少しいった男の人の声というカラーが、この曲を何倍も魅力的にしていたように思う。

「ふわふわ」でまた一気に場が変わる。このあっちゃこっちゃ持って行かれるようなセトリも、こっちの身体を預けるようで楽しい。
「悲しみの果て」。今年になってから本当に何回も何回も生で聴かせてもらったこの曲。いつ聴いても、声に音にそして言葉にぎっしり詰まったものがあって、その度に心に重いものが響く。こんなに短い曲なのに。
ここでのイントロだったろうか?宮本さんと石くんのギターの絡みがあったのは・・・。かっこいいベースとギターで始まる「ろくでなし」。テンポは遅めでじっくりと。ライブで聴くのは初めてだ。♪あの飛行機雲を♪・・・聴きながらつい、本当に飛行機がかすめていく頭上の空を仰いでしまう。石くんの必死のコーラス、顔はすごく歌っているのになあ(苦笑)。
特徴あるベースラインとリズムで始まる「一万回目の旅のはじまり」。このイントロが好きすぎる。これを聞くとどうしても、あのドキュメンタリー「扉の向こう」のなかの、この曲の制作過程のシーンを思い出す。ラジカセの前で何度も何度も音を聴きながら少しずつ歌詞をつけてゆく宮本さんの、鉛筆の先から、万年筆の先から魔法のように生まれてくる言葉の数々。後半から出てくるベースラインの半音階の大好きな急降下も、昨日は冴え渡ってて五臓六腑にきましたね。突然倒れるように短く鳴るドラムのエンディングも好き。
続いて、日比谷でもやった「勉強オレ」。アレンジがかなり日比谷の時と違うように思えてちょっと驚く。音源との違いを楽しめるだけじゃなく、複数のライブでの違いで吃驚させられるのも貴重な楽しみ。

「太陽の季節」で蔦谷さんと昼海さんが加わる。
珍しい「甘い夢さえ」が続く。私も生は初めて。間奏で客席のあちこちで裏打ち手拍子があがったのがなんだか嬉しかった。大阪野音は日比谷に比べて音響がデッドみたいで(反響板のせいかな?)この曲でも全員が休符で音がなくなる瞬間、吸い込まれたような静寂になってたのがキリッとしてて効果として面白かった。
そして「秋」。日比谷で聴いたときはまだ「夏」の暑い日だったが、昨日の大阪はカラッとした涼しい風が吹き抜ける秋そのものの空気。蔦谷さんのビブラートの効いたキーボードもあいまって、せつなさと憂いとちょっとの懐かしさが一層リアルに沁みてくる。丁寧にしっとりと、言葉ひとつひとつが訥々と。口笛とスキャットを混ぜてくれる間奏がとっても好き。

ここでステージには椅子にすわった宮本さん一人が残る。
ドブロギターが手渡される。
前の曲で使ってたアコギ(エレアコ)を手に「今はほらこのギターでも、こういうふうにえ〜と、コンセントをつけて電気で・・」みたいに説明をしてくれる。アコギでもコードつないで電気通せるけど、ドブロはアンプラグドの楽器だということで。
「聞こえますか、ギター?」ってお客さんに問いかけながら宮本さんはいくつかコードを弾いたのだけど、マイクが死んでて全然聞こえない。が、客席後方で一生懸命首振ってたって伝わるわけもなく(苦笑)、そのままイントロに突入。聞こえないよ〜!
ステージ脇のスタッフさんたち、特に上手の数人はすぐ気がついたみたいで動いていたけれどすぐになおらず、そのうち下手や宮本さん本人もちょっとそわそわ。でも演奏は続いていてあの短い名曲の終わり近くになってようやく代わりのマイクがギターの元に。
歌は素晴らしかったからよかったんだけど、あのギター伴奏好きだからちょっと残念。

自分のアコギに持ち替えて「サラリサラサラリ」。先日の日比谷でこの曲の希有な素晴らしさを再認識したけれど、昨日は一段と良かったなあ。ギターの安定感と声の伸びと。この曲、音源聴くと最初のサビに行くまでの部分が、ギター&ベースが左、宮本さんの声が右、と別々に録音されてて、時々どっちかのイヤホンが外れたりするとどちらかしか聞こえなくなるから非常に驚くのだ(笑)。日比谷でも昨日のも、実は音源より遅めのテンポだったのだけれど、そのほうがギターがとても映える気がする。6/8(?)の持ってる軽い感じが減ってコードの重さがグッと響いてくる。終わったような終わらないようなエレカシ特有の変則的なエンディングが、ライブだと大きな余韻を引き起こして素敵だ。
「ラスト・ゲーム」。♪俺の祖国よ♪の一言に込められた力に、この日はひと際強い気持ちを感じた。

今度11月に出る、デビューから今までのライブ映像集のDVD。たぶんその編集過程のお話だったのだろう、昔のご自分の映像を見ていて「自分がなんというか・・・面白い」「たいがい白いシャツ着てるんですけど」「基本自分が好きなんですが」「20年経って・・・芸人は儚いと思いましたね」などなど、面白いMCが続く。確かに昔の映像での宮本さんの動きって、本当に独特で(今でもなんですけど)誰にもマネできない不思議な動きなんだよね。軟体動物みたいなんだもん。
「あ〜宣伝するつもりじゃないんですけど・・ん〜、って言っても宣伝になっちゃうか、いいか」客席大爆笑。「蔦谷さんとか昼海さんもいっぱい映ってて・・・で、二人とも髪が長くなったり短くなったりとか・・面白いです」なんだそうです。

そんな「思い出話」をきいたせいなのか、次の「風に吹かれて」あたりからなんだかこう胸がじ〜んとしてきてしまって、いつものように腕あげたり叫んだりできなくなってしまった。こんなのは初めてだった。
「明日への記憶」「ハナウタ」(蔦谷さんのコーラスもっと大きく聴きたかった!)と、お客さんの多数が大好きオーラを出す人気曲が続き、会場はようやく熱を帯びてきた。
「新しい季節へキミと」のイントロが鳴りだしたら「じ〜ん」がピークになって、不覚にも目頭が熱くなって身体が全然動かなくなってしまった。いつもはサビで思いっきり腕を挙げてるのに、ただお腹の前で両手を握りしめたまま立っていただけ。林立する拳の渦のなかにぽつんと埋もれながら、目だけがステージから離せなかった。
本プロ、ラストは4人だけの「男は行く」。この日、一番強烈な印象だった一曲。もうすっかり斜めになってしまった椅子に座って始まったが、途中から宮本さんはやおら立ち上がってマイクを立て、ストラップかけてないギターをお腹に抱え込んで、それはもうすごい声で訴えかける。東京まで届くんじゃないかと思えるくらいの声。ほんとにすごかった。

アンコールにはすぐに出て来てくれ、黒シャツで歌い始めたのが「四月の風」。大阪では最近必ず歌っているから、すごく「大阪感」を感じる。途中サビ近くになって音程がふらついて声が小さくなり、しばらくそのままだったので、ああ、宮本さんたぶん気持ちが・・・と思ってドキドキしていたら、やはり泣いてらしたようだ。後ろの方の席だったので定かではないけれど。
業績、人気が低迷していた頃、大阪のFMが何度もこの曲を流してくれてありがたかった、というエピソードはよく宮本さんあちこちで話していらした。大阪でこの曲を歌うことはやはり格別な感情を生むものなのかな、なんて、もちろん涙のわけなんてご本人にしかわからないことだけど、そんなことを勝手に思いながら指を固く握りしめたままで聴き入ってたのだった。
♪このまま全てが叶うような気がしてた♪・・・エレカシを好きになった頃いちばんよく聴いていたこの曲の、魔法のようなこの歌詞。私にとっても特別な想い、情景の重なる曲なので感無量だった。
この「アンコール1曲目」というポジション、東京では「武蔵野」そして大阪では「四月の風」。はからずもこの2曲、イントロのコード進行がまったく同じだ・・・。

そんな感傷に少しとらわれていたら、間髪入れずに「生命賛歌」が始まる。宮本さんは前奏、間奏で涙をそっとぬぐいながら、信じられないような力強さで前向きな歌を聴かせてくれた。
「幸せよ、この指にとまれ」の後、小さな声で「おいっ・・」と囁かれる。何度かの「おい」がクレッシェンドしていく途中で、次の曲を知ったお客さんたちから歓声があがる。「友達がいるのさ」。昨日は2番冒頭で「大阪じゅうの」と歌われた。その度に地元のお客さんから拍手や嬉しそうなざわめきが聞こえる。もうずっといい声が続く。
勢いに乗って「笑顔の未来へ」は速めのテンポでワクワクと。このところよく見る♪背中合わせさ〜♪で上半身だけ後ろを向くポーズ、後ろを向いてるのに前方のマイクがちゃんと拾う声の力はすごい、といつも感心。
「ガストロンジャー」「ファイティングマン」のいつもの盛り上がる波。「ガスト」ではセリフも自由なところがあって生き生きとしたライブ感。蔦谷さんとの掛け合いにも拍車がかかっていて、超絶高速踊りの後、間髪入れずにステージ前方でカニみたいに横歩き、それもすごいスピードで。全てのパフォーマンスがそのまま伝わってくる吃驚。

これで終わりかなあと思っていたら、再び白いシャツに着替えながら(笑)すぐに出て来てくれて「今宵の月のように」。すごくいい声だった。たった数年だけれどいったい何度聴いているだろう、この曲。そのなかで、もしかしたら昨夜の「今宵」が最高だったかもしれない。言葉と音のひとつひとつをしっかり、ていねいに、まるで歌っている自分自身にも歌いかけるような、あったかい演奏。ギターも綺麗、バンド全体の音も満月のように丸くて。

最後まで「ありがとう、大阪〜!」と叫びつづけて閉幕。
終演時はすでに少し肌寒かったけれど、客席の熱気はそれを忘れさせてくれるくらいになっていた。

「今日は雨の予想だったのが、うまいこと晴れて、秋らしいいい天気になったな、エヴリバディ!・・・まあ、雨なら雨でもいいんだけど、ま、降らないにこしたことはないよな」みたいな軽快なMCもあり。MCは日比谷よりも少なめだった気がしたけど、宮本さんが石くんの緑色の髪にツッコンだとき「染め粉」って言ってたのが可笑しかった。昨年亡くなった大正元年生まれの私の祖母が、よく「染め粉」って言ってたからとっても懐かしかったんだけど・・・大正かっ!(笑)
でも宮本さんの口から出る言葉としては「カラーリング」よりずっとしっくりくるからいい。

印象として、お客さんが、特に前半おとなしめだったような気がして、前半は宮本さんもそれをじわじわと下から持ち上げていくようなそんな力を込めていたように感じた。いや、でも日比谷が最初っから熱すぎたのかもしれないな、あの空気はなんか特殊だったのかもしれない。
後半はもう宮本さんはいつもの縦横無尽な動きを連発していて、マイクコードを肩に背負ったいつものシーンも多発(ついでにスピーカーを律儀に元に戻すのも・・笑)、高いところに乗ったときは我々後方のお客にもさかんに声をかけてくれて、サービス満タン。富永さんの背中まで攻めて行ってたし(笑)。
「おおさか〜〜っ!」も連発してましたね。そのたびにお客さんの歓声。
他にも、富永さんが宮本さんの語りかけにニッコリ頷いたり、石くんと昼海さんが向かい合ってギター合戦してたり、ほのぼのシーンがいっぱい見られたステージ。

一言で。
「感動した」。
一番近いのはこれかな?
平凡な表現なんだけど、やっぱりそうだ。
じっくり聴いた。
熱く湧いて来たものもあったけれど、本当に深くしんみりした時間も多かった。
もしかしたら視覚も聴覚も過度に集中しすぎていたのかもしれない。
あたかも自分がスポットライトの光源になったようなそんな感覚で、2時間半弱ずっとステージを、そこで起こっていることを、鳴っている音を捕まえ続けていた。

充実の2時間半。全27曲。
私にとっては、生のエレカシ、26回目のコンサート。
こんなステージを勤め上げることが日常となっている彼らの、原動力と工夫と努力と、そして人生への喜びの、そのほんの一匙でも、後からついていくことが出来たら。
再び彼らのライブの音に会いにいけるのは来年。
それまでの力と支えを、どうか失なわずに走れますように。
そんなことを願いながら、夜遅くののぞみで帰京。
そしてまた、何度言っても言い足りない「ありがとう」を。

♪明日もがんばろう
愛する人に捧げよう
ああ 君に会えた四月の
四月の風♪




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by saskia1217 | 2011-10-02 23:11 | エレファントカシマシ | Comments(0)

♪毎日がラスト・ゲーム♪〜エレファントカシマシ 日比谷野音コンサート〜

風速く流れる雲の間から射るような強い日差しと、体じゅうにまとわりつく息がつまるような湿気。
9月17日、土曜日の午後。
物販販売開始時刻あたりに、霞ヶ関駅から日比谷公園へぶらぶらと入ってゆく。
蝉しぐれ。
野音入り口あたりはすでに多くの人でいっぱい。
暑い、とにかく暑い。
昨年のあの「熱中症よ、いらっしゃい」的な、あの二の舞はさすがにないと思ったのに。

お友達と昨年と同じ木陰に座っていると、緑の向こうからサウンドチェック、リハ、と聞こえてくる。
特徴あるベースのリズムが流れて来たとたん、背中がビリビリしたよ。

「歴史」

エレカシの曲をまだ3曲くらいしか知らなかった頃、動画サイトで見たそのライブ映像で決定的に引き寄せられた、この名曲。ライブではもちろんまだ一度も聴いた事がなかった。
今日、これを聴かせてくれるんだ!
イントロを何回も繰り返しながら、本当にわずかなテンポの微調整をしている。その理由は本番開幕時に解明されたのだが・・。
虫除けスプレーを何度もかけ直しながら、「孤独な旅人」「無事なる男」「勉強オレ」と進むリハを耳で追いかける。どれも宮本さんは殆ど歌わないまま確認程度。おかげで、外で聴いてるお客さんには「この上なく贅沢すぎるカラオケ」が鳴り続ける。
「太陽の季節」のイントロでプラスされるキーボードが新鮮で面白い。
ギター1本の「月夜の散歩」でグッとダイナミックレンジが低くなる。基本宮本さん一人だけの弾き語りをリハでやるのも珍しい。その理由もあとでわかった。

屋台の呼び込みも一層賑やかに、そして隣りの「オクトーバーフェスト」のバンド演奏もかすか〜に響く中、やっと開場。
1年に1度、入り口の坂を上がりきり目の前に擂り鉢状の空間がひらけるこの瞬間・・・いろんな思い出が蘇る。

10分ほど押したところでステージ照明が付き、満員のお客さんがいっせいに立ち上がる。
歓声。
宮本さん以外のメンバー3人が登場し、滑り出すように「歴史」イントロが始まる。
何度か繰り返したところで、宮本さんがおもむろに歩いて登場。
一段と大きな歓声。
生で聴いた「歴史」は「扉」の頃の声よりもずっと落ち着いて、振り絞るというよりも念を押しながら丁寧に歌い進められていたように思った。

大好きな「孤独な旅人」、これはちょうど3年前、初めてこの野音にエレカシを聴きにきた時に既に知っていた数少ない曲だった。あのときは一般発売で普通にチケットとっていたなあ、なんて思いながら。この曲、その3年前の野音以来ライブではやっていなかったと後で知った。
「悲しみの果て」を「ちょっと古い曲」と紹介するようになったなんて・・・ね。
「ふわふわ」「勉強オレ」「無事なる男」と、滅多に生で聴けない大好きな曲が続く。「ふわふわ」が聴きたくていつもLifeツァーのDVDを引っ張りだしてしまうんだ。あのイントロのワクワク感はハンパない。そして精一杯毒づく声の力強さも、この曲を発表した時とこの日の45歳の宮本さんと、寸分の差もない。その「ブレなさ」に脱帽。
「勉強オレ」はイントロから音源のたぶん1.5倍くらい速く(笑)、カラオケで歌うにはかなりの勇気がいる早口言葉みたいな歌詞の多さをさすがにサラッと歌っていて爽快(本人なんだから当たり前、失礼です)。
そして「無事なる男」は自分の中では「日曜日」「いつものとおり」「浮雲男」などと同じラインにある「同種の」好きな曲。
軒並みのライブ未経験の曲が続いて嬉しかった。

「太陽の季節」ここからキーボード蔦谷さんとギター昼海さんが、そっと加わる。
「昔の曲なんですが・・・いいこと言ってるんで・・・歌詞がね」とMC。
蔦谷さんが当初非常に驚いたというこのハーモニー進行を再確認しつつ、久しぶりにじっくり歌のパートを追いかけながら、いやいやメロディーラインだってかなりヘンだぞこりゃ、とその絶妙な曲がり具合を満喫。
「うれしけりゃとんでゆけよ」も初めて生で聴いた。特徴あるギターのイントロがいいね。音源のあの印象的な若々しい声のイメージがまったく消えてない。不思議なハツラツ色があるんだよなあ、この曲。

「月夜の散歩」、見たことない面白い顔のギターが出て来たなあと思っていたら「ドブロギター」っていう楽器だった。宮本さんのMC、わりとボソボソって感じなのであんまりよく聞こえなかったこともあって、家に帰ってくるまでずっと「ドクロ」ギターだと信じてた私(笑)。
「ふ〜ん、あの模様がドクロなのか〜、なるほど〜」って。遠目で見ててガンバみたいなc字孔がついててなんかお茶目だったんだもの。
正式名はリゾネーターギター。DOBRO社製が有名なのでドブロギターとも呼ばれてる。どうやらあのおっきな丸いものが、音を大きくするための反響板らしい。スライド(つまりエレカシ用語で言うところのスライドブリージャー・・・)で使われることが多いのは、フレット押さえなくてもおっきな音が出るからだそうで。エレキが普及してない頃、フルバンドに対抗できるよう大きな音を目指した結果できた楽器。
いろいろあるんだな〜、ギターって。全然わかんないや。
「この曲録音した時これを使ったんで、その時のエンジニアの方から今日はこの野音のためにお借りしてきました・・・普通のギターとあんまり変わんない気もするんだけど・・・ん〜、でも違うのかなやっぱり・・・いい音がします。」
楽器のことや、ちょっとプロフェッショナルな音や声や録音の話なんかを宮本さん自身の口から聞けるのは、じつはとっても嬉しいんですよね。知らない世界のことなので、すごく興味深い。
あんまり無い事なんだけれど。

その「月夜の散歩」、虫の音が分厚く響いている中を、そう強く押してくるわけでもない声とギターが流れてゆく。ギターはなるほど、ちょっとカントリー寄りの乾いた音がする。言葉が浮き立つ。
例えようも無く好きなサビのコード進行が、オリジナル通りに戻っていて嬉しかった!・・Bの次はゼッタイにBonA(つまり246)でなくては!(笑)
じゃないと、なんか身体が痒くなっちゃうんだ。
気がつくと、ステージには宮本さん1人しか居なかった。ただ1本だけ伸びたピンスポの長い柱のなかに虫が飛んでいた。月はそこからは見えなかったけれど、速く流れる雲と星が見えた。じっとりとした空気の中にときおり風がサァ〜ッと吹き抜ける。
「散歩は若い頃はよくしたんですけどね、最近は本当にしなくなっちゃって。電車とかは乗るんですけど東京だとなかなか。だから地方に行った時にはよく散歩してますよ。・・・でも何でなんだろう、若い頃は見るもの聞くもの何でも嬉しくて、歳とってそういうのが無くなってきて・・・邪気が出てきたんでしょうかね?」なんて感じのMC。
邪気・・・歳をとると誰だって、感受性の前に小さなブレーキがかかることが多くなるんだろうけれど、それは仕方ないことかも。計算とか世間とかかかわることが多すぎてくる、そして鈍くもなる。たぶんみんな、40過ぎくらいにそれに気づくよね。
だけど、宮本さんの創る歌、歌う声を聴く時、どっちかといえば誰よりもその闇への陥り方が少なく済んでいる素晴らしさのほうを感じるけどな。
感性は才能のうちだけど、感受性は努力次第、考え方次第ってところもあるような気がする。

弾き語りが続く。
「散歩しながら辛かったり・・・そんな頃の曲です」みたいなMCだったような・・・「サラリサラサラリ」。これは歌詞がすごく好き。歩きながらときどき頭の中に鳴る曲。
メンバーが戻って「ラスト・ゲーム」。ここで荷風が歌われて「歴史」の鴎外とそろい踏み、ちょっと嬉しかった。
「ライブってのはデートみたいなもんでさ・・」とごにょごにょMCがあって、まさかの「愛と夢」から「Tonight」。♪ビルの光で踊ろう♪ってとこがいい。私は好きなアルバムだけど、なんでみんな嫌いなのかなあ?(苦笑)
「いつまでも暑いですね・・でも秋なので」と「秋ーさらば遠い夢よー」。このアルバム「life」はちょうど10年前、NYで録音されたという話。9.11の1週間後のNY。
間奏の口笛前半を歌ってくれたのも綺麗だった。
その流れで、同じ時に創られた「ハローNew York!」。ホントにもう、こんなオカシな曲ない!「life」DVDで初めて聴いたときこれは完全なるインプロ曲だと思ってたのだが、その後レコーディングされてると知って吃驚だったもの。歌詞を冷静に聴くとね、ほんとにスゴイものがあって。この人しか書けない、歌えない曲。でもその中にとっても大事な本音が語られていて。日本人の自分を気づかされたりしちゃうのもスゴイ。
タバコが日本で700円になったら、それをまた歌ってくれるかなあ・・・(笑)。

このあたりから段々、多くの人にお馴染みのナンバーが続く。
「風に吹かれて」はギターイントロの力強いバージョン。
この日やってくれると思っていなかった「翳りゆく部屋」、この曲はいつ聴いても何度聴いても足りることがない。真実に深いことに触れたときに涙なんて出やしない、ということが毎回証明されてるような、私にとってはとても大事な曲。だから、この曲で泣けたことなんて一度もない。
この日も、拳を握ってただただ立ち尽くすだけだった。

「明日への記憶」に続いて、久しぶりで嬉しかった「新しい季節へキミと」は速めのテンポで爽やか。イントロのアレンジが面白かった。
そして、センターマイクが低くされイスが用意され、宮本さんがひく〜く座って間髪入れずに始まったのが「男は行く」。そのビジュアルには昔からのファンは嬉しかったでしょうね。トミのドラムが凄くて度肝を抜かれる。ものすごかったな。宮本さんを通り越して突き抜けて来たもん。
終わると全員ハケ。
こ、これで本プロを締めるのか!

しばらくしてアンコールに出てきた宮本さんはマイクをとりながら「何なんだろう、この会場いっぱいの優しさは!」みたいなことをつぶやく。それは観客側からも感じてた。ファンとアーティストの生温い馴れ合いじゃなくて、外側ふんわり中身歯ごたえじっくり、みたいな感情の柱が、あの会場の空へ向かってモクモク伸びてるような。(ヘンな例え・・笑)
「武蔵野」はやっぱり日比谷では必ずやってくれるんですね。いつもと違って全員一斉に終わるエンディング。
すぐに「生命賛歌」。大きな歓声。ハンドマイクでド迫力。ここでしたね「オレはニッポンが好きだ〜っ!」って途中で叫んでいたのは。
次の「幸せよこの指にとまれ」との心地よいギャップを楽しんで、そのハッピー感のまま、もう1つの日比谷定番曲「友達がいるのさ」になだれ込む。
このあたりから宮本さんはちょっとヘロヘロ気味に見えたけれど。

再び、ダブルアンコールに登場。そういえば石くんがアンコールでグッズTに着替えてたのは珍しかったな。
「笑顔の未来へ」はちょっと色々辛そうで間奏のギターも無かったけど、バンド全体は揺るぐことなく演奏はすすむ。
「ガストロンジャー」「ファイティングマン」とお客さんが盛り上がる流れ。「男も女もファイティングマンだ〜!」といつもの励ましのコール。

「だけどみんな元気だなあ・・熱いな、みんな、すごいぜ!」って観客は言われたけど、こっち側の熱もちゃんと向こうに伝わってるって、やっぱり嬉しい。
「一生懸命聴いてくれて、ありがとう!」も単純に嬉しかった。
そして昨日は聞かなかったけど「みやもとかっこいいぞ〜」という女子はホント止めて欲しいけど、「好きですっ!」と渾身の声で叫んでた男子にはちょっと感動した(笑)。

ただ立って聴いているこっちでさえ、さすがにあの夜になっても落ちない湿気のせいで身体のなかに熱が溜まってる感じだったから、ライティングの下、ステージで動いて演奏してる人たちはもっと体力奪われてたでしょうね。
まさかもうやらないと思っていたら、トリプルアンコール。
もう十分だよ、たくさん聴かせてもらったから・・と思いながら「今宵の月のように」を聴く。始める前にため息までついてた宮本さん、渾身のラスト。

約2時間強。全27曲。
日比谷の野音を聴くのは4回目だったけれど、終わってみて反芻した印象は、とっても大人っぽいコンサートだったということ、かな。
いいとか悪いじゃなくて「メンバー、そして宮本さん、歳をとったのですね」という一言。そんなに長い間彼らを知っていたわけではない私が言うのは適切じゃないかもしれないけど、たしかにそんな実感があった。
つまり。
今、この時を生きてる、そして今この時を歌ってる。
思い出も後悔も、未来への恐怖もぜんぶひっくるめて。
否定したい事実、現実、自分を含めた全てを受け入れながら、それでも止めない。
走り続ける。
厳しさも哀しみも、呑気な楽しさも開き直りも。
そして、悟りも。

その歳にならないとわからないことって、やっぱりあるんだなあと思う。
辛いけど、だから生きて行くんだよね。

♪そう努力をしなよ今以上
いわば毎日がラスト・ゲーム
(中略)
声がまだ出るうちに♪

いつ声が出なくなるか、その恐怖と戦いながら日々歌っている、という宮本さんの言葉をどこかのインタビューで読んだことがある。
理屈ではわかっていても、それをいざ実感するとなると急に怖くなるもの。
誰しも同じなんだけど、日に日に怖くなるなかでそれでもまわりをちょっと見てみると、ああそうだ、自分は間違ってない、ただ逆らう事もなく受け入れて前を向こう、という気持ちになれる。
いつもその先頭にいてくれるのが、エレカシと宮本さん。

エレカシにも、それを聴くみんなにも、そして私にも、それが素敵な「人生の午後」であってほしい。

「歴史」(決定的一撃を受けた映像)


初期のステージでの「ふわふわ」(客席の状況必見!)

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by saskia1217 | 2011-09-18 23:40 | エレファントカシマシ | Comments(2)

緑のなかの音たち in みちのく 〜アラバキ・ロック・フェス〜

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週末は北の方へ出かけてた。
アラバキ・ロックフェス
通常は春、GWの頃に開催されるこの東北最大のロックフェスは、今年は震災の影響で初の夏開催。
毎年、行きたいな〜と思いながら叶わなかったが、今年はこの時期だったせいもあって参加実現。

フェスは2日間だが私は2日目のみ。
ホントは前夜祭からずっといて、キャンプして3日間満喫できたら楽しいだろうな。
会場は宮城県柴田郡川崎町の「みちのく公園北地区・エコキャンプみちのく」。国営の公園だ。
仙台からバスで1時間弱なのだが、シャトルバスの循環が少なく(というか利用者が多すぎて)バスに乗るまでにまず1時間半、列に並んで待つハメに。聞いていたとはいえ、乗ってる時間より待ってる時間のほうが長いという・・・
東京を6時30分に出て結局会場に着いたのが12時過ぎ。

リストバンドをはめていざ入場。ゲート近くのステージ「磐越」から元ちとせさんの声がバンバン聴こえてくる。
このフェス、主なステージが6つあって、それぞれ「陸奥」「鰰」「津軽」「荒吐(あらはばき)」「花笠」「磐越」って名前がついてる。渋いですね。
最大のステージが入り口から一番奥の「陸奥」だが、各ステージ間の距離はそこそこあって、特に端から端までは徒歩で20分はたっぷりかかる。実際はものすごい人で渋滞したり、スタッフの車両優先で片側すれ違いになったりするので、30分くらいかかった。
バンドによっては持ち時間が30分くらいだったりするので、移動でマゴマゴしていると、着いたとたんに終了なんてことも起こる。
去年行った山中湖のSLSは、ステージ間が近かったかわりに、同時進行できないから全てのバンドが被ることなく余裕で移動してかなりの数が聴けたのだが、RIJFやアラバキは完全に同時進行なので聴きたいバンドが被ると悲惨。

いくらエレカシが好きといっても、さすがに彼らが出るフェスに全部行くなんてことはできないので、1つだけ厳選しようと思って今年はアラバキにしたのだった。
もうひとつの理由は、怒髪天が出ることだった。ならば、と思ったのに、発表されたらエレカシと完全に被ってて大ショック。
オマケに午前中聴きたかったバンドがいくつかあったのに、バス待ちで朝は間にあわなかったのが残念。甘かったね。午前中から聴きたいなら、キャンプか自家用車かタクシーか、ですね。

まずはお昼の腹ごしらえに、ソーキ丼を。
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あまりにお腹がすいてて、あっという間に完食。美味しかったです。
もちろんフェスめしは他にもいっぱいあったのだけど、公式サイトでそういうインフォが全くなかったので予習はできず(SLSとかRIJFはその点すごく熱心なのに)、後になってあ〜あれも食べたかった、そんなの売ってたのか〜、なんて感じ。
イワナの塩焼き。
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お友達と荷物のやりくりをして、陸奥ステージでのアジカンをとりあえず観にいく。
最大ステージなのにもうびっしりの人で、モニターさえよく見えないくらい後方でまったり聴き。
何も見えないから音に集中してた。
生聴きは初めて。彼らの曲を1曲も知らなかったけど、まわりの人たちが楽しそうでいい気分に。
MCが殆ど無くて「あ。終わったのね?」みたいにゾロゾロとお客も捌ける。
この時間、telephonesとかLITEとか髭とか見たかったのに全部ダダ被り(涙)。
ひとつのバンドが終わると民族大移動みたいな人の流れになるから、次のステージに急ぐにも限界が。
その後は津軽ステージのチャボさんとそのセッションを聴きに。
出演者のせいもあるだろうが、ここは妙に年齢層の高いお客さんが目立つ(笑)。明らかに私より年上の方たち、思い思いに簡易イスに座ったり、日陰に陣取ったりしてゆったりと楽しまれてる様子。
いくつになっても好きな音楽を好きな場所に行って聴けるって、いいよなあ。
何事も健康第一だ、本当に!
この時間帯でもやっぱり、聴きたかったThe Birthdayやレキシを諦め。
チャボさんも生を聴くのは初めてだったけど、MCやお客さんとのコミニュケーションの感じが、私が勝手に持ってたイメージと違ってて面白かった。軽妙な語りかけと、自然体の音楽だったな。
そこにゲストで登場したのが曽我部恵一さん。歌うまいっっっ!
曲はよく知らないのだけど、曽我部さんの歌、大好きなのだ。
歌手は歌が上手くないと嫌です!

曽我部さんの声を満喫してから、再び陸奥ステージへ戻り、吉井和哉さんの登場を待つ。
これもまた初聴き。生が、どころか、吉井さんそのものを(苦笑)。
赤いジャケットで「オレがボーカルだぜ!」と言わんばかりの典型的ボーカル気質満開で登場。熱狂するファン。
当たり前だが、1曲も知ってる曲がないけど結構楽しかった。
吉井「え〜前回このアラバキにきたのは2年前で・・・」
聴衆「え〜〜〜〜っ?!」
吉井「え?なに?何言ってんだかよく聞こえねえよ」
聴衆「去年、去年!」
吉井「・・・・。え・・・ほんと?ええ〜?そうだっけ、本当に?」
聴衆「ブ〜〜〜〜〜ッ!」
という一幕も。
勢いある曲じゃかなり盛り上がって「へ〜こんなにみんながぴょんぴょんする曲もあるのか〜」と感心しつつ。
バラード系のは歌謡曲みたいだな〜と思ったですね、なんかこうメロディーラインとか、歌い方が。
しかも吉井さん、私のヨガ師匠にここ1年くらいで激似(というよりもう「瓜二つ」状態)なもので、吉井さん見てると師匠が歌ってるようで妙な感じがずうっと拭えず(笑)。

吉井さん終わって、エレカシ。
セッティング換え。ライティングがカラフル。
お天気もカンカン照りでも雨でもなく、曇り時々晴れ、涼しい風。
前日のSLSは雨だったらしいから、今回のアラバキはラッキーだった。
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コーリングと共にメンバー登場。この日は蔦谷さんと昼海さんがサポート。
アラバキのコーリングは津軽三味線から入るものすごいカッコいいコールなのだ。
イベント企画を抜かせば事実上のトリだったエレカシ。少し時間の余裕があったのか、最近のフェスにしては多めの9曲を聴かせてくれた。

無駄なMCが殆ど無く、時間を気にしていたせいなのか、最初から緊張感と充実感があって、きっちりどんどん進んで行った感じ。
「悲しみの果て」から始まる。この曲はもしかしたら、今年の震災以降、エレカシとそれを聴く人たちのなかに脈々と流れる何かなのかもしれないな。
「俺の道」ではハンドマイクで自由に。
個人的には「風にふかれて」を嬉しく聴いた。フェスで、広い空の下でこれを聴くのは格別なんだ。
見上げると鳥が飛んでいて。雲が動いていて。風が流れていて。
フロントに近いエリアはかなりぎゅうぎゅうだったけど、後方は割と空いていた模様(苦笑)。同時間の登場だった怒髪天とお客が割れたか?
「幸せよ、この指にとまれ」の前フリで急に「あ・・・エレファントカシマシ、です」って(笑)。
滔々とナンバーを進めすぎて、名乗るのを忘れてたみたいです。
フェスの定番曲っぽくなった「俺たちの明日」では、宮本さんご本人が率先して手拍子を・・・。おおお、なんかすごくフェスっぽい。
「FLYER」では、髪がちょっと伸びてしかも赤っぽくなってた石くんの頭をジョリジョリ。この日のガニ股奏法が半端なかったです。
ここからは「ガストロンジャー」「ファイティングマン」と一気にいく。
昨日、民主党のニュースを見ながら「あ〜、1日遅れで『ガスト』歌ってくれたらよかったのに」なんて思ってしまった(笑)。
いつものように力一杯の「ファイティングマン」が終わると、ローディーさんとささやきながら「じゃ、アンコール‥‥自分と皆に捧げます!」と「今宵の月のように」。
あたまで調を間違えるもすぐに爽やかに歌が始まって、同じ空気のまま最後の1曲が終わった。(宮本さん、移動ドの人なんだなあ。根っからの歌手じゃん!)

どっかの曲の途中で、蔦谷さんにインプロを振ったり、そのまわりで今まで見た中でもダントツ超速で長時間のタコ踊り(ごめんなさい!でもそうなんだもの)があったり、吃驚もいっぱい。
蔦谷さんのインプロは、宮本さんのフリ(声)に相応しいものをきちんと返してくれるから面白い。そのテイストで返せるっていいよねえ。
実質40分くらいだったと思うんだけど、1時間は聴いてた印象だった。
浮いたところのない落ち着きの中にものすごく充実感と集中力を感じたパフォーマンスに、宮本さんの気迫とメンバー全員の真剣なベクトルを読み取れた気がする。
素敵な時間を、ありがとうエレカシ。
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その後しばらく息を整えた後、そこから一番遠い磐越ステージにHIATUSを聴きにテクテクと歩く。
開催が危ぶまれていたこのフェス、節電や数々の不便はいうまでもなく必要で仕方ないこと。
けど、道が・・・・暗すぎた(涙)。

街灯が殆ど無いから道もよく見えず(夜は懐中電灯あると便利です、とかちょっと書いてくれたらよかったな)、足をぬかるみにとられたり、おまけにスタッフの車両を通すために一方通行になったところに民族大移動がせき止められて全く進まなかったり・・・
結局道を間違えて戻ったりしながら30分近くかけて移動完了。
たしかに途中の草むらからは虫の音がすごくて、ちょっと聞き惚れちゃったけど。
曇りで星が全然見えなかったのが唯一残念。

HIATUSも全く知らなかったのを、出かける前に予習(笑)してて、そのサウンドがちょっと好きな感じだったので見に行った次第。
歌詞が英語なのが個人的には残念だと思ってたのだが、この日は日本語のも歌ってた。
フロントエリアには熱心なファンがぎっしり、後ろのほうまでかなりの人が聴いてました。

最後まで満喫してから夜道を戻り、映像&音楽のブース「花笠」へ。
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ちょうど高木正勝さんのパフォーマンスが始まるところで、ピアノの絶賛調律中。
あの会場は屋根があるとはいえ、あのハンパない湿気でよくもまあ、ピアノが大丈夫だったこと!
調律師さん、苦労しただろうなあ。
ほどなく始まった作品は、具象も多い映像とPAを通したピアノと声、時々録音が重なるものもあり。
この方のこともまったく知らず、初めて聴いたのだが、おなじテイストのものがかなり続くなあと思っていたら、新しい曲だという作品はちょっと違うものだったり、引き出しはきっとたくさんある人なんだろうな、と思った。内部奏法も使ってましたね。
7とか9を多用した和声感が時としてマンネリになってきそうなこともあるのだけれど、その繰り返しがいいという感じ方もあるのだろうし。
ピアノをとても自由に扱っていて素晴らしかったけど、PA通す良さと残念さが同居していた。特にフォルテになった時の「押し寄せ感」が、私にはちょっとだけ人工的に響いたので。
印象的だったのはまわりじゅうから取り囲まれるように聞こえていた虫の声と、ピアノの音の重なり。これで星が出ていたら最高だったのに。

ちょっと夢見心地で再び長い列に並び、バスで仙台へ帰る。
駅周辺に着くと、フェス帰りのお客さんたちが町中に。飲食店、コンビニ、ホテル・・・。
お友達と入った「なか卯」も店内の殆どがフェスの参加者。
皆フェスやバンドのTシャツを着て、ぐたぐたになってるんだけど楽しさの余韻を残していて。
これだけたくさんの人が仙台にやってきて、こうやって楽しんで、街でお金を使って行く光景。
いいことだなあ、生き生きしてるなあ、街が。
だから「何かがある」「何かをする」って、大切なんだと目の当たりにして実感。

ホテルへ帰って爆睡。
翌日の特別素敵で不思議な珍道中については、また次回。


完全フェス仕様。
夜10時には全身汗だく、ドロドロ、グタグタ、ぐちゃぐちゃになってました(笑)。
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by saskia1217 | 2011-08-31 00:47 | エレファントカシマシ | Comments(0)


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


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