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エレカシ秋のツァー、セットリストに関して少しのネタバレがあります


ステージ下手にひっそり置かれた赤いキーボードの周りを、マイクを手にしたままの宮本さんがフラフラと彷徨いている。
「あれ? 今日も弾いてくれるの? 鍵盤・・・」
ふわりと鍵盤前に座ったその右手が、ハ長調主和音3つをやわらかく叩いた。
そしてゆっくりとズレてゆくバスラインから、「あの曲」の形がぼんやり見えてくる。
「飛べない俺」。
アルバム「Masterpiece」の中の小さな名曲。
私がこよなく愛する曲。
♪確かに感じる 輝く瞬間(とき)を/そうさ俺は今生きている♪
「これ、いつも蔦谷さんとかサニーさんが弾いてるやつ・・・プロの人が弾くやつなんだよな〜、うわ〜」とか言ってたけど、私はいつも、宮本さんが鍵盤の前に座る、そのことだけでもう涙が出そうになる。
滅多にないんだけど、そして宮本さんのギターやタンバリンやドラムも好きなんだけど、鍵盤はやっぱり独特なこそばゆさを感じるのかもなー。
「左手にマイク右手で鍵盤」から瞬時に「立ち上がって両手でマイク、熱唱」を繰り返す、その一生懸命な歌に、この短い曲は心の深いところまで入ってくる力が宿っていた。

2時間強、ダブルアンコールを含め全25曲。
キーボードサポートなし、ギターはミッキー・ヒラマミキオさんのみがサポートの5人体制。
ああ、なんて安定した、そして深い、濃いコンサートなのだろう。
ミュージシャンの心が安定してる、そんな充実感。
めっちゃゴリゴリ、熱、叫び、罵倒・・・いっぱいあるのに、なにか優しげな不動の力。
コンパクトな時間のなかの凝縮感。
体力や健康状態や今後のスケジュールや、そんなこともあるのかな、このところ以前のような3時間越えのライブは少なくなった。その分、無駄なMCは殆どなく「いっぱい曲あります」と冒頭で言ったとおり、ぎっしり次々と音にされてゆく曲たち。
エレカシは大人のバンドだ。
不動、不朽、いつもそこにあって、これからもそこにある。

んーと、それにしてもこの新しいゼップ。
もしかしたらちょっと音がいまひとつ?
オープニングの第一声でアレ?ってちょっと思ったのだけど。
私が後ろにいたせいばかりではなく、楽器はともかく特に「声」が、すごくキカイ的というかフィルターかけすぎみたいに聴こえる。あったかみに欠け、音(声)質の艶やかさ、生々しさ、ライブ感が消えてしまう。
会場としては交通の便もいいし、商業施設内なのでお手洗いや飲食に困ることがないのは本当に素晴らしいのにな。

「俺の道」に始まり、ほぼ年代順に近いセットリストだったのもちょっと珍しかったかな。
どれもワクワク、しんみりと聴きながら、なかでも印象的だったもの。
「これは横浜のスタジオで録ったんだったな。佐久間さんとか居てさ・・・」と懐かしげに歌い始める「さらば青春」。
やっぱりいい詞だなあと聴き入った「あなたへ」。
定番の幸福感「笑顔の未来へ」、エレカシが大好きになった時に初めて買った思い入れの残る「新しい季節へキミと」。ライブ演奏の魅力がひと味違う「ズレてるほうがいい」は、映画を観た後で訪ねた行田の景色が脳裏に蘇る。
「中央線の中で国木田独歩の『武蔵野』を読んでる人がいる。秋だなあ。」という友人のツイートをみて、急に「武蔵野」が聴きたくなった今朝。
ダイバーシティの新しいゼップで、開演前、友達に「今日一番聴きたいのは武蔵野だあ」と告白。
プログラム中盤で突然あのドラムの刻みが始まる。
「武蔵野」。
秋の始まりに、今日という日に、これを聴かせてもらって本当に嬉しかった。

このところずっと、エレカシの音楽をタイムリーに追っかけきれていない。
だから今日は、まさかの「知らない曲」があったりして、なんて我ながらあり得ない疑惑を抱きながら出かけてきた。
本プロ、ラストに最新の2曲。
「Destiny」は「こういう曲ってライブで聴くとじつは結講野性味があったりしていいんだよね」という期待とは無縁に、あのままの「いい曲」だった。
「明日を行け」は「知らない曲」に近かった(苦笑)。けっこうシャウトしまくっていたなあ。
ごめんなさい、シングル、やっぱり買うべきか(笑)。

そして、秀逸のアンコール。
いったい何度聴いたんだろう、この曲。
「今宵の月のように」
ギター弾き語りのソロで始まる「ルバートバージョン」。いつかのキムタクのように(笑)。冒頭のワンフレーズが終わると、もいちどバンドであたまから。バッハでいう「Ruf Aria」なのだ(笑)。いやいや、同じ効果なんだ、まったく!
何度聴いてもいい曲、って化け物みたいだな。
2番の♪ポケットに手を♪でポケットに手を突っ込んで、その結果ギターが首から縦につるさがったまま歌う図が、何故かとっても好き。
♪いつかの電車にのって/いつかの町まで♪で、いつも、あの日の出来事を思い出してしまうんだ・・・
 
ビロード色した赤ワインみたいな「シグナル」。
ゴッリゴリの「待つ男」。

「いつまでたっても飛べない俺」は、また大空へ戻ってきた。
そして、大きな翼を広げて悠々と旋回を繰り返す、堂々とした鷹のように、東京の空を舞っていた。
鋭い目と優しい羽根の、どちらも兼ね備えた大人の歌を持って。
だから今夜は、安らかにゆっくりと、眠りにつこう。
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オマケ
開演前のSEにこないだのコンドルズ公演「GIGANT」で使ってた曲が突然流れて(曲名とか知らない…)思わず身体が反応(笑)。

「今日のビックリ」
東京テレポート駅の発車メロディが「踊る大捜査線」なこと。フジテレビ?湾岸署?どっちでもいいんだけど、まあ、オルゴール音にとことん合わない曲ってあるんだな〜。
すっごく笑っちゃったよ!

「今日のやっちゃった」
ライブ終了後、空腹+Diver Cityレストラン街のラストオーダー時刻が迫っていた、で、飛び込んだとんかつ屋さんで「ロース&ヒレカツ定食」を頼むも、それは普通のサイズのロースカツにさらにヒレカツが3切れ付いてるというガッツリで、しかもなにか得体の知れない動力に突き動かされ、ごはんときゃべつをお替わりしてしまった。
カツが来るまえに、生ビールの中も呑んじゃってたんだった。
ええ、夜10時をとっくにまわってました。ほぼ11時でした。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
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by saskia1217 | 2014-09-13 03:53 | エレファントカシマシ | Comments(0)

特効薬

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1月に行ったエレカシデビュー25周年記念スペシャルライブ・さいたまスーパーアリーナ」のDVD。
数日前に届いたとき、正直それがくることを全く予期していなかったからちょっと驚いた自分に驚いた。
あ〜、もうちゃんとエレカシの呪縛(苦笑)から脱却できたんだな、なんて思いながら、じわじわと寄せて来るドキドキ。
会場で全身に浴びた、あの光と音とコトバの大波。

臨場のその時、生で聴こえなかったこと、見えなかったこと。
DVDはあの湿気や息苦しさや、自分の髪や手がもうどこにあるのかさえわからなかったカオスなんかは伝えないが、蘇る気持ちとともに新しい発見もある。

冒頭のカウントダウンの映像。
♪あくびして死ねーーーっっ!!♪の怒号に調和して、無数の風船が塊となって天井から落ちて来るそのスピード。
「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」の、ちょっぴり恥ずかしげな歌い方。
16歳の時つくった「やさしさ」の、完璧な、もうそれはそれはホレボレするような声と(この日のベストだったのでは、とDVDみてあらためて思う)、歌っているうちにみるみる涙が溢れてきて宮本さんの頬を伝う様子。
「傷だらけの夜明け」の冒頭、音源と同じく冬の風の音だと思って聴いていたSEが、電子的な弦の音だったこと。
数々の曲で声張ってくっきり寄り添ってた蔦谷さんのオブリガート。
聴き慣れた音源とは違う、たぶんこのライブのためにアレンジされたストリングスやホーンセクションの対旋律の新鮮さと面白さ。
「あなたへ」をどれだけ丁寧に心を込めて歌われていたかがじんじん伝わってくる表情と仕草。本当にこんなラブソングはないだろう。「約束」を凌ぐなあ。
「俺たちの明日」で歌いながらドラムを叩く富永さん。
今更ながらあらためて感心しちゃう、共演者、特に蔦谷さんとバンドメンバーの、宮本さんの音楽の行き先をピタリと読み当てる、空気とタイミングの名人芸。
「桜の花、舞い上がる道を」で桜吹雪が床から吹き出したのは、2番のサビからだったのか、そんなに遅かったっけ?とか。
「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」のクライマックスで大きく叫んだ
「音楽って、音楽って素晴らしい!エヴリバディー、ありがと、ありがとよ〜〜っっ!」
「オレに好かれてもしょうがないかもしれないが・・・とりあえず、今、みんなのことが好きですーーーーーっ!!」

ステージ上の情景だけじゃない。
映り込んだアリーナ前列のお客さんたちの、それはそれはもう、嬉しくってたまらない、という笑顔、笑顔、笑顔。ああ、みんな、みんな同じ気持ちだったんだ。
アンコールを叫びつづける間、たくさんの風船がみんなの手によって前へ前へと送られていたあの印象的な光景が、ながいことDVDに映っていたのが嬉しかった。
みんなのウキウキした気持ち、楽しくて、嬉しくてもう我慢できない、早く出てきてもっと歌って!という高揚。それをあの風船が語ってる。

あんなに何度も「ありがとう」「サンキュー」の連発だったコンサートも無かった気がする。
あんなに言ってたんだ・・・
そして。
ダブルアンコールの最終曲の後で、目を真っ赤にしながら投げキッスをして、それをかくすようにお尻をたたきながらハケていった宮本さん。
あんなに涙を流していたんだ…

「届いた!!・・・すてきなみんなに、幸多かれ!!」
そうだ。
ファイティングマンでありつづけなくては。
「俺もオマエに負けないが、オマエも俺に負けるなよ」
男じゃなくてもね。

最近ある人に「エレカシはやっぱり別腹なの?」と訊かれたが(笑)、別腹っていうよりも、2〜3ある主食のひとつなのかもしれない。
いや、やっぱり、万能薬かな。
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by saskia1217 | 2014-03-22 04:33 | エレファントカシマシ | Comments(0)
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耳がシャ〜ッていってる、まだ。
ハッピーなコンサートを聴いて帰ってきて翌日まで耳に残る耳鳴りなら幸せなことだ。
耳鳴りが止まらないという苦しい状況を想像して、宮本さんの復帰を日々願っていた頃から、もう1年以上が経ったんだなあ。

今日、さいたまスーパーアリーナで、元気にそして幸せそうに、大きなステージを所狭しと駆け回りながら歌う宮本さんを見ながら、目の前でそれが現実になったことをあらためてかみしめて、嬉しくて、そして本当に幸せに思った。

そして、そんな同じ思いを持ったぎっしり1万4千人のお客さんの熱い思いに囲まれて、エレカシ・デビュー25周年記念のコンサートは、4時間全37曲という贅沢な時間をかけて実現した。
バンド史上最大キャパの会場と動員数。
数なんてどうでもいいことだけど、でもいつでも「今現在」が頂点、ということはいかにもこのバンドに相応しい。

ステージ後方の巨大スクリーンに映し出された赤々とした日の出の映像を背に「Sky is blue」で始まり、2曲目の「奴隷天国」では小気味良く毒づくアップテンポに乗って、色とりどりのポップな風船が天井から無数に降って来た。スタンド席の後ろからは大玉までが転がり落ち来て、私の頭上を滑り降りていく。清志郎さんのポップなステージが脳裏をよぎった。ゾウさんのイラストの入ったその風船は、手にした多くのお客さんによってその後ずっとフリフリされたり、アンコールを待つ間アリーナ後方から前方へとひっきりなしに空中を送られたりして、なんだか愛らしいというかみんなの気持ちを代弁しているというか、見ていてとてもやさしかった。

好きな曲、聴きたかった曲。
大好きなのにライブでは一度も聴いた事がなかった「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」は嬉しかった。何故か人気の少ないアルバム「愛と夢」に入っている本当に叙情的で素敵な曲。PVも印象的。若い頃の音源とも違う、歌い回しも少しなめらかな、しっとりした魅力があった。

「ドライブだ〜!」と叫ぶ宮本さんの背後で、スクリーンは首都高(?)をひた走る車目線の映像。晴れた空、快適なスピード。「ココロをノックしてくれ」も大好きな曲。そして、これまた大好きな「達者であれよ」が続く。
宮本さんがベースの高緑さんに「あれ、いくつだったっけね?成治さんが入ったのは何歳だった?」「19、でした」「じゃ、その時やった曲だ、これ。でも作ったのは16だったな」
そんな会話から流れた「やさしさ」。これは無条件に「歌、うまいっっっっ!」の代表曲。16歳で作ったのも凄いけど、それを47歳の今、同じ切れ味で、そしてより豊かな声で歌う宮本さんは凄い。

「珍奇男」で久しぶりにローディー丹下さんの鮮やかなギターチェンジを目にしてなんだかホッとする。「男餓鬼道空っ風」でノリノリのあとは、しっとりと蔦谷さんとヒラマさんと3人きりでの「風に吹かれて」ピアノヴァージョン。このヴァージョンだと不思議とサビで「手を左右に振る」あの定番アクションがお客さんのなかに一切起こらない。同じ曲なのに、音楽の持つニュアンスの魔法。

最初はちょっと声が疲れているのかな、リハで全力出したのかな、なんて思ってたのが、このあたりになって安定して声が潤ってきてた。下手スタンド席前方で聴いていたら、音(特にヴォーカル)が中央席奥に跳ね返って二重に聴こえることも多かったのがちょっと残念だったのだけど、そんなことも気にならなくなって来て。

「風」繋がりなのか、そのほぼ暗転のなか微かに聴こえる「ひゅ〜っ」という風の音のなか、静かに静かにギターのアルペジオが優しく聴こえてくる。
ああ、これは。
これはもしかしたら。
「傷だらけの夜明け」・・・冬に聴くには最高に素晴らしい「扉」からの一曲。最愛の曲のひとつ。

中央に波止場のように設けられた長い長い花道を、宮本さんがひとりで嬉しそうに前進してゆく。「我慢してたんですよ!」って。お客さんの渦の真ん中で歌ったのは新曲「あなたへ」。けして大きくはない宮本さんがステージで多くの人を従えてあたかも指揮者のように歌っていると全く感じないのだけれど、一人でポツンと花道に立つといくらか小柄に見える。でもあのいつもの、両手を広げ、頭をグッと上に上げて歌い上げるその姿は、本当に輝かしかった。歌うことが、お客さんに音楽を手渡すことが本当に幸せそうに見えた。

カラフルな照明と、お客さんが振るカラフルな風船でハッピー感いっぱいの「ハナウタ」から、ライブでそのかっこよさが100倍になる「ズレてるほうがいい」。
もはや「第一部ラスト」が定番となった「俺たちの明日」で照明全開+お客さんのコブシ全開で最初の盛り上がりとなるも、まだまだコンサートはここからだ。

白シャツに着替えて始まった第二部。
「これは・・・32、3だったかなあ。佐久間(正英)さんと一緒に作った曲で、なかなか名曲だと思うんだ。」と紹介された2曲目の「さらば青春」。6拍子に淡々とした郷愁と切なさが宿る本当の名曲に聴き入った。
続いての「昔の侍」はいつかの武道館のときと同じく壮大なストリングスアレンジ。私はこのアレンジ、好きだなあ。ひとしきり大きく曲を終えた後、宮本さんは一人ギターを手にとって、周りが次の曲のスタンバイを始める中、なかばつぶやくようにその最後のワンフレーズだけを突然歌った。
♪さらば、友よ♪
「昔の侍」もやはり佐久間さんと共に作った曲。
宮本さんの、佐久間さんへの気持ち、とても近しくそしてあたたかく、強く、やさしい気持ちをみたように感じた。

再び花道を使った「桜の花、舞い上がる道を」。
エレカシはデビュー25周年。だが私は彼らのデビューも、「不愉快で奇怪な大型新人」時代も、「売れっ子スター」時代も、その後の挫折時代も知らない。この「桜」が世の中に聞かれ始めた頃にようやく彼らを認識した。だから、この曲を聴くと私はやっぱり胸が痛くなるのだ、その歌詞と共に。
宮本さんが花道に出てゆく前すでにステージ際の上、下二手の床から桜色の紙吹雪が大量に吹き出されて、あたりはすっかり桜の花が「舞い上がって」いた。けして「降らせなかった」ところにこだわりを感じる(笑)。そして花道先端からも花びら吹雪が噴出し、文字通りの「花道」に。その窒息しそうな紙吹雪を全身に受けて、ひとことひとこと丁寧に歌う宮本さん。これはさすがに涙が滲んできた。
ファンが勝手に想い描く、そのバンド、その歌手と自分との「歴史」。1万4千人がそれぞれに想い描く歴史。短い歴史しか持たない私にも、忘れられない出来事、事件、瞬間はいくつかある。脳裏に映るいくつものシーンを背景に、ただただ彼らがこうして自分の目の前で演奏してくれていることに感謝するほかなかった。

第二部の盛り上がりの最初は「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」。共演者を紹介してゆく定番もこの曲の素晴らしいところだけど
♪敗北と死に至る道が生活ならば あなたのやさしさをオレは何にたとえよう♪
というせつなくあたたかい現実と共に
♪愛する力を求め続ける勇気を 本当の姿を 見つける旅へ行こう♪
という希望を一緒に歌ってくれるところに、生きていこうと思える力が潜んでいる。
今日も宮本さんは言ってた、「人間生きてりゃいろいろあるよね」。
そう、誰だって病気や怪我や悲しい事や辛い事、同じだよ。でもね、みんなの前に立ってそれを歌ってくれる人を見るとき、その実感を感じるだけに、今の宮本さんからこの歌詞を歌われると「やさしさ」の実在とそれを信じてみようという勇気が湧くんだ。

昔だけを懐かしむのでもなく、新しいことだけをするでもなく、今日会場に来た人どの一人一人にも喜んでもらえるように、と考えられたプログラムだったことを思った。
コンサート中何回も、メンバーに向かって「あれはいつだったっけね?」「あの時俺たちいくつだった?」「あれはたしか○○の時だったよね」と懐かしそうに話しかけ、そして歌いながらも「成ちゃん、あの頃のように、あの頃のように!」と叫ぶ宮本さん。そしてそれに答えるように真摯に演奏する3人。「振り返る」昔話はなくても、そんな些細な懐かしげな言葉の端々に彼らの歴史がにじみ出ていた。相変わらずのいじられキャラ石森さんは、最終アンコールに至ってまで「マグマ大使みたいだな、おまえ」と好き勝手言われ、高緑さんはまたハットを取られ、富永さんは挑発的なインプロを挑まれ・・・いつもの光景に皆楽しませてもらった。

「昔、野音で突然やってみんながゾッとしながらやってくれた」という(私は録音でしか知らない)「みんなで合唱コーナー」を「男餓鬼道」で再現し始めたときは吃驚。あれ、録音で聴いてるだけで何かこっぱずかしくて私は飛ばしちゃう(笑)のに、今日はしっかり楽しく歌っちゃった。(あ、フィンガー5の「学園天国」のアレね。♪ヘーイヘイヘイ、へ〜イヘイ♪)
「あ〜、素晴らしい!これが合唱ってやつだ!森のくまさんみたいだ」と感動する宮本さん(笑)。ホーン隊が付けてくれてたのを「よ〜し、みんなが音痴かどうか確かめてみよう、今度はオレとみんなだけでやるからな」とアカペラでやったりして(笑)。
なにこのお楽しみコーナー・・・

35曲を「ファイティングマン」で終え、ラストの本当の「アンコール」を4人だけの「男は行く」と「待つ男」で終えたエレカシ。
「お正月だ〜〜〜!!」と、もはやお正月気分も無かった私のココロを一気にお正月に引き戻し。
「また会おう!」といういつもの挨拶も、今日は確信を持ってきけたことも嬉しかった。

涙あり、爆笑あり。
こんな「楽しめる」コンサートがあっただろうか。

宮本さんが花道の先端でふと言った言葉が忘れられない。
何の脈絡もなく、曲を歌い始めようとして何気なく言ったのだけど。

「なんか...なんかさ・・・可愛がられてた時の気持ち、可愛がってもらった時の感じ・・とか、思い出すよね」

宮本さんが生涯で受け取って来たやさしさ。
宮本さんのメンバーへのやさしさ。
メンバー4人のなかのやさしさ。
ステージにいた出演者全員のなかに宿るやさしさ。
お客さんのエレカシへのやさしさ。
宮本さんのお客さんへのやさしさ。

そこにいる誰もが知っているやさしさ。
柔らかくも、強くも、激しくもあるやさしさ。

「音楽って・・・素晴らしい〜〜〜っっ!!」
その叫びと共に、今日のコンサートはなにより、なによりもあたたかく、やさしかった。

エレカシに、また会える幸せをおもいつつ。
そういつも、いつだって、いつまでもエレカシと共に。
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帰りに友人たちと食事をした赤羽の「塚田農場」。我々のほかにも数組エレカシ帰りが居た模様だが、私たちが入店してすぐ後から店内BGMが全てエレカシとなった。しかも渋い曲ばかり。きけばお客さんの様子をみて検索してかけてくれたという。2時間近く、お店を後にするまでずっとエレカシだった。しかも最後に出してくれたサービスデザートのプレートは、急遽ネットで調べて見てチョコレートで描いてくれたというエレカシの新しいグッズロゴ。このサプライズには思わず絶叫してしまった。見事としか言い様が無い。ただのサービスというだけではない、ここにもまた、そんな「やさしさ」がある。あたたかい感謝の気持ちで「いい一日だった」と店を出ると、赤羽駅の上には綺麗な月が出ていた。
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by saskia1217 | 2014-01-12 05:37 | エレファントカシマシ | Comments(2)
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「これからも・・エレファントカシマシを、よろしくお願いしますっ!」
2013年9月15日。
「エレカシ復活の野音」2日目のラストで、こう深々と頭を下げ、いつものように大きな大きな投げキッスで退場していったヴォーカル宮本さん。
昨年10月に、この同じ日比谷野音のステージで「また会おう!」と見た目は元気そうに投げキッスをして、でも辛そうな声と背中を残して姿を消したその同じ人とは思えないくらい、あの時より何もかもがずっと・・・「潤って」いるような気がした。

今発売中の雑誌のインタビューで宮本さんは「病気になった時ほんとうにたくさんのファンの人から手紙を貰って、それがとても嬉しかった」という話をされていたけど、「でも最初は『私たちは何十年も待ってますから、必ず元気になって戻って来て下さい』とかなんだけど、それは最初だけでだんだん減ってくるんだよね。でもそういうものだよね。」(正確じゃないですが)とも語っていて。
いやいや、宮本さん。
もうちょっと、信じてもらってもいいかなあ・・・(苦笑)。
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宮本さんの病気によるエレカシのライブ活動休止から1年弱で迎えた、この「復活」の日。
いかにもエレカシらしく、CD発売でも、メディア登場でもなく、その同じステージでのライブからの再出発。
活動再開が発表され、野音のチケット抽選があった頃、もうおそらく外れるだろうし、それでも、それでも嬉しいから、行けなくてもいいや。外聴き?いや、いいよ、家で想いを馳せてるので十分、と思っていたのはまぎれもない事実。
それでも幸運なことに聴きにいけた。
そして聴き終わったとき「なぜあの時、聴かなくても・・外聴きさえしなくていいや、なんて思ったんだろう」と何故かとても反省した。
そう、やっぱり何よりその「音」を聴かなくては、伝えてもらうことはできないから。
この日、宮本さんはこう言ってた。

「えっと・・・えっと・・・言いたいことはいっぱいあるんですけど・・。歌を歌うんで、それで、それでいいですか?」

メンバー4人だけでの「優しい川」という渋い、これぞ野音、という曲で始まった初日。
ネットや新聞の記事にあったような「ちょっとしたお祭り騒ぎ」や「おかえりなさいコール」などは実際は微塵も無くて(少なくとも私は目撃しなかった)、開演前の日比谷公園に集まった大勢のファンは、立っている人も座っている人も、思い思いに静かにただ「開演」だけを待っていた。
期待感と、ちょっとした不安感と、それに勝る緊張感がみなぎっていた。
ステージにメンバーが登場した時も、何かを叫ぶというよりもただ大きな大きな拍手と、言葉にならない歓声、それもいつもより控えめな。
♪明日もがんばろう、愛する人に捧げよう♪・・・「四月の風」の歌詞が、何故かいつもより沁みる。
♪心の鐘を鳴らして…いわば勇敢な愚か者♪・・・会場に向かうとき、地下鉄の駅からのぼってくる階段で、リハの音が耳に飛び込んで来て心が震えた「大地のシンフォニー」。生で聴く宮本さんの声が、本当にとても懐かしかった。

コンサート中盤までは、野音のすり鉢を満杯にした3000人のお客さんもとても固くなっていたと思う。かけ声や拍手は熱がこもっていたけれど、「今日はな〜んかいっぱいカメラがあってね・・・なんか嫌だよねえ」という宮本さん自身の緊張感を、皆がまともにひっかぶっていたのかもしれない。
9曲目、「ほしむすめ〜!」の叫びで始まった「星の砂」あたりから、会場全体が徐々に温まって、自然にノってきたように思う。

アンコール、ダブルアンコールをふくめ、全27曲。
甘ったるい曲はひとつも入れてない。
誰にとっても丁度良く、どれも全てが「聴きたかった曲」で、文句無しの完璧なセットリスト。
「自分の歌だから、どれもスキなんだけど」と。
野音でこれやったらもう・・・ダメでしょ、反則でしょ、そりゃ「いつもの野音」だけど、って曲もやっちゃった(笑)。
「普遍の名曲なので・・・」と紹介した「翳りゆく部屋」。蔦谷さんの前奏が懐かしい。
これを今日歌われたら射抜かれる、と密かに思っていた「シグナル」もホントにやっちゃって。
♪どの道俺は道半ばに命燃やし尽くす/その日まで咲きつづける花となれ♪
蒸し暑かったけど夜空は見えて、虫の音もして、風も吹いて。

新曲を4曲披露。
公式MVで既に公開されていた「めんどくせえ」は、正直歌詞の全部を聞き取れなかったのだけど、憂鬱感とかガナリとかグルーヴ感とか、いろんなものが渦巻いていて、非常に力がこもっている曲だってことはわかった。
♪はてさて このオレは かれこれ何十年♪とアコギで始まるオジサンの歌(笑)は、平成の植木等みたいだったけど、後半バンドサウンドが激しくなっていく印象的な曲。長いことやってきたけど、財産も名誉も手に入れてない、でもいいんだっていう歌。ずっと耳に残る。
そして「これは詞がとても大事で、大切に歌うので聴いて下さい」という心のこもったMCから歌われた「あなたへ」。11月20日にシングルが出ると後で知って、やっぱり思い入れと完成度がダントツに違ってた。
「あなたの運命」と「わたしの運命」、そして「それをつなぐもの」について歌われていた。
♪あなたを愛して わたしを愛して♪
ここへ来てやっと、宮本さん、今まで受けて来たたくさんの愛と、自分が与えてきたたくさんの愛と、今自分の目の前に見ている大きな愛を、きちんとした言葉にして歌ったんだなあ、と思った。
しっとりしたバラードのように始まり、バンドが入って来て激しくなるのだけど、その中でもあくまでも歌い上げる。
とても、とても豊かな曲。

そして「ズレてるほうがいい」が、ライブであんなに、あんなにいい曲だったとは!
行田の町と、丸い古墳の姿が目の前に浮かんで聴いていた。
「涙を流す男」もライブでものすごく栄える曲。
そして本編ラストは定番の「俺たちの明日」。ライティングすべてオンで。
(そういえば、エレカシのライブにしてはライティングが非常に細かくなったなあ、と思った今回。惜しむらくは、チェンジがもっとドンピシャだといいなあ、なんて。ま、本番好き勝手にやってるアーティストに付けるのは難しいでしょうけど)
そして、高緑さんの帽子を取って勝手にかぶるのはいつものことながら、無理矢理ベースを取り上げてブンブン弾き始めたときは「お〜、もっと弾いて弾いて!」という興奮と共に、いきなり商売道具を奪われて手持ち無沙汰でずっと立ってた高緑さんの姿が・・・ちょっと(苦笑)。
宮本さんが休養して、大きな声で歌ったりタバコを吸ったりしなかった間、メンバーは全員「完全に休んで」「タバコも吸わない」って取り決めがあったみたいだけど、「休みにしたら成ちゃんなんて1週間ベース置いちゃったんだって。いや、俺がそう言ったかもしれないんだけど・・・あんた、1週間て」(客席苦笑)

アンコールの「今宵」「ガストロンジャー」「ファイティングマン」の定番に加え、これまた野音でこれやられちゃ〜、の代表「友達がいるのさ」で、胸があつくなる。この曲はイントロでみんなが必ずため息をつき、そして声にならない叫び声をあげるのだ。
「今宵」を歌い終わったあとにいきなり「おそらく、みんな・・・!」と言い放ったまま、長い沈黙のあと、何事もなかったように次の曲へ移行していったのも、ああ、いつもこんな感じだったっけ、と逆に懐かしく感じたり。

「so many people」で跳ねまくり、ほんとのラスト「花男」で♪生きてる幸せ忘れたか♪
既にハケてしまっていたサポートの蔦谷さんと昼海さんを「あとのふたりも弾くんだよ〜!」って叫んでステージに呼び戻して。お二人がちょっと嬉しそうに、肩を並べて再登場して。
「みんな、ほんとに・・・ありがとうございました!」
15日のMCだったか「生きてる、みんなも同じように生きてるから・・・通じるっていうか、わかるっていうかね。」そう訥々と単語を発する宮本さんの、言いたいことはわかった気がするよ。
生きててよかった。結局はそういうことだろうと。

タバコをやめてたから声が良くなったのかもしれないけど、休止前より「良くなった」というよりも、何か全く質が違う声になってたように感じた。
ツヤツヤということでもなく、かすれたりしゃがれたりもするのだけど、太く出しても弱々しくならない、2時間半歌ってもけしてセーブしてる感じもない。ド〜ンとストレートに思いっきり歌ってた。
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台風直撃と言われたのに、コンサートのあいだじゅう、お月様がずっと一緒に見てくれていた2日目。
冒頭に「平成理想主義」・・・♪ヘイヘイ、行こう、月の浜辺へ/夜中星空の下 歩こうよ二人で・・・♪
前日とは打って変わってリラックスした感じ、楽そうな、ノリノリな空気。
「すごいな、晴れたよ。みんなの中に、すっごい晴れ男、晴れ女がいるんじゃない?」と宮本さん。
いやいや、あなたじゃないですか?(笑)
「このままみんなで宇宙へいっちまおう!」と「東京からまんまで宇宙」。
超速の「ゴクロウサン」から「星の砂」「涙を流す男」までの流れが軽快。
「子供ってさ、夢。大人も夢。俺は子供の頃なりたかったのは電車の運転手とか、トラックとかさ・・『運転系』なんだ。みんなそうじゃなかった?男性は・・・」と客席に語りかけながら「なぜだか、俺は祷ってゐた。」が始まる。
この曲と「シグナル」を一晩で聴くなんて、言い様の無い濃さ。
考えてみたら、この一番好きな曲のうちのひとつに入る曲、ライブで聴けたのは初めてだった。

アンコールで野音定番「武蔵野」。ギターであのリズムをちょこっとかき鳴らしたところで背筋がゾクゾク。
「オ〜!」と客席との「コールアンドレスポンス」からすべり込んだ「コール アンド レスポンス」。
これ実はあんまりワンマンライブでやらない曲かもしれない。
♪全員死刑です♪と生で言われたのは久しぶりだったかも。うん、いいな、やっぱり!
ここから続けて「ガストロンジャー」「ファイティングマン」の流れも、今まで無かった気がする。なんというエネルギー全開のセトリ。しかも2日目のアンコールで。
東京、ラストのラストは「待つ男」。
♪富士に太陽、ちゃんとある♪でビシッと締める。お客さんの熱狂。

当たり前が当たり前でなくなって、そしてまた現実になったとき、不思議とまた「当たり前」の錯覚が襲って来る。
というよりも、半分夢の中のような、無意識の出来事のような。
でも、たしかに、何かが違ってたはずだ。
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エレカシの野音はもうここ数年、ファンクラブの会員でも殆どチケットが取れない。だから「外聴き」する人も多いのだけど、北海道や九州からそこに参加する人もいる。
そして会場の外でも、コンサートが始まるとみんな立ったまま、無言で、直立不動で聴く。
そうさせる何かが、エレカシにはいつでも、今でも、いつまでもあるのだ。
そしてそれはたぶん、彼ら自身も知っている。
だから、彼らも歌い続け、私たちも聴き続ける。
野音は90周年、エレカシは25周年。
誰しもその道はどうせ半ばまでだけれど、「どこまでゆけるか」が大切なんだ。
世の中の、東京の、日比谷の、彼らの、私たちの、そして私の「歴史」を想った2日間だった。
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by saskia1217 | 2013-09-17 08:00 | エレファントカシマシ | Comments(0)

おかえりなさいエレカシ

神様、ありがとう!
エレカシが、正確にはエレカシのヴォーカル宮本さんが、病気療養を経て復帰することが決まった。
昨日FC会員には封書で知らされたこの朗報は、あるメディアにすっぱ抜かれたせいで情報解禁が16時間ほど早まり、今日の早朝のニュースとなった(らしい)。
9月に東京日比谷の野音、10月に大阪の野音、そして来年1月にさいたまスーパーアリーナ。

おかえりなさい、宮本さん!
待ってたよ。
よかったね、本当に。
石森さん、富永さん、高緑さん、スタッフの皆さん、また一緒に音楽できるんだね。
しかも、ア、アリーナ!・・・エレカシがアリーナ?!
宮本さん、やりたがっていたみたいだからなあ。
よかったね。

2年でも3年でも、10年でも20年でも、このまま普通に待っているつもりでいたから、こんな早い復帰に、驚くというよりも「ほんとにもう大丈夫なのか」というハテナのほうが・・・。
もちろん嬉しいのが先に立つんだけど。
しかも復帰が「バ〜ンとコンサート!」なのがエレカシらしいなと。
もう長年の習慣で、少なく期待するのがクセになっているファンとしては、復帰はシングルかミニアルバムか、数曲の配信か、もし運が良ければアルバム?・・・い〜やいや、そんな贅沢は望んじゃいけないだろう、くらいの心づもりだったんだよね。
数ヶ月前くらいからリハをしている、元気で街を歩いていた、などの便りから徐々に良くなってきて段々復帰するのだろうとはなんとなく思っていたけど。

嬉しい、無条件で嬉しい。
彼らの音がまた存在するということが。
宮本さんの新しい曲がまた聴けるということが。
その声がまた聴けるということが。
まあ、2日間になったとはいえ野音のチケットに当選する難しさは変わらないだろうが、でももし今回外れても、もう全然構わない。そういうことじゃないんだ。
そう思った。

今日はデビュー25周年記念のドキュメンタリー映画「the fighting men's chronicle エレファントカシマシ 劇場版」(山下敦弘監督)の公開初日。
六本木TOHOシネマズという、エレカシには最も不似合いな(笑)映画館にそれを観に行くことになってたが、その前に渋谷のタワレコで開催中の「戦う男の25周年展」を覗いていく。
これだけ「エレカシが好き」と公言しておきながら、どうもこういう展覧会とかに行くのが妙に恥ずかしい私は、特に最近は「も〜行かなくてもいいか」みたいなテンションになっていたが、今日はなんだか素直な気持ちで出かけていった。
普段はあまり行かない8階のギャラリースペース。
エレベーターを降りると・・・ド〜ン!
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入ってすぐのメンバーの実物ステージ衣装(というか普段着・・笑)。
通る人通る人、全員がもれなく驚嘆のつぶやき。
「ほっっっっそ〜!」
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実際の使用楽器と機材による、ステージセッティングの再現。
いつも気になってたテープ巻き巻きのカウベルとか、アンプの裏側とか見られてよかったな。
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そしてあの「男椅子」。
宮本さんが何千回とこの上に立ちあがり、時には背に座って歌って来たこの椅子。
巨大な「男」ステッカーが椅子の下に貼ってあるのだが、今日はそれは拝めず。
ただこのすさまじい「傾斜」は近距離で見るとやはり大したものだった(笑)から、ここに難なく立って歌うヴォーカリストもすごいバランス感覚だなあ、と。
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両壁にはメンバー全員の誕生時からの年表。全て頭に入っているとはいえ、こうやってあらためて眺めてみると感慨深い。
デビュー当時からの数々の記事や写真、ほんの数年前ファンになってからあっちこっちから一生懸命コツコツ集めて読んできたものの他にも、初めて見るものもあって嬉しかった。
ファンクラブ初期の会報を、部分的に見た事のあったその形状や中身を手に取ってゆっくり見られるのも贅沢で、完全に「アイドル仕様」だった90年代初期のインタビューや写真に思わず笑っちゃったり。
奥のスクリーンでは、エピックとの契約を切られた直後の95年に下北のシェルターでやったライブ映像が流されている。
著書の生原稿、過去のグッズ、サインなども。

もはやガツガツせず静かな気持ちで素直に楽しめて、なんだか自分もエレカシ休止期間になにか「心の洗濯」が出来たような気がした。汚れていたものを綺麗に出来たという意味ではなくて、エレカシに対する気持ちが大きすぎて重すぎて自分も疲れていたんだなあ、って。
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六本木に移動して映画館へ。
小さなキャリーケースを引いて観に来ているお客さんもちらほら。わざわざ遠くから出かけてこられたのだろうか。
満員の客席、今朝のニュースも受けて皆あれこれと会話がはずんでいる。と、いきなりの暗転。そして、あのゴージャスな映画館に似合わず、パンフレットもアナウンスも、何もないところからいきなり上映が始まる。
とてもポップコーン片手に観ようなんて気も起こらなかったし、客席は一丸となって集中の塊と化していて、時に可笑しい場面で笑ってしまうツボも皆同じだったのが面白かった。

映画に関しては少しネタバレしています。ご注意ください。

デビュー当時、21歳くらいの時の山中湖合宿の、古ぼけて痛んだ白黒映像から始まり、ごく1ヶ月ほど前のリハ風景や野音を訪ねる映像などが、昔お客に悪態ついてた頃のライブ映像と交互に映し出されてゆく。
エレカシに惚れ抜いた初代マネージャーや、宮本さんの見事なモノマネでお馴染みのマキタスポーツさんやバックホーン、ブラフマン、スピッツのマサムネさんなどのミュージシャンをはじめ、(宮本さんをモデルにしている)「宮本から君へ」を描いた漫画家さんから映画監督まで、エレカシから多大な影響を受けて来た何人かのインタビューが挟まる。
様々な立場の色々な年代の彼らの口から出ていたエレカシへの言葉が、あまりにも皆同じなのが興味深い、そしてスゴイことだと思った。
「日本にロックが入って来て独自の進化をとげ完成形となった、それがエレカシ。」
「『エレカシは日本のロック』じゃなくて『日本のロックはエレカシ』なんですよ。」
マサムネさんの言葉が印象的。
「拘りの主人がやってる蕎麦屋で、怒られながら蕎麦喰うみたいな。それがしたくて行ってたのに(ある時期からフレンドリーになった)」に皆クスクス笑う。

メンバー3人に小学生を叱るように怒鳴り、「もっと練習しろ」「もういい、帰れ」「こんなんじゃ歌う気になれない」と激しい口調で責める宮本さん。
その姿と気迫は2004年に是枝裕和監督が撮ったドキュメンタリー映画「扉の向こう」と何ら変わってはいなかった。メンバーを叱るその言葉と口調さえも。そのもどかしさと悔しさと歯痒さと。自分がやりたい音楽に対する憧れと、何が何でもそれを捕まえて形にして出したいという情熱も。
ただ年齢を重ねただけで、あとはまったく変わっていない。
「まだ、まだまだ行けるだろ!」
この、この10年前と同じひとことが全て。
エレカシの曲を聴いたり、ドキュメンタリーやインタビューに触れたりする度に毎回必ず同じことを思うのだ。
「ああ、ちゃんとやらなきゃいけない。時間を無駄にして生きてちゃいけない。」
恥ずかしい、こんなんじゃダメだ、全然ダメだ。

そして。
「ああ、この人たちは一人欠けてもダメだ」ってこと。
何をいまさら。
承知の事実なんだけど、今この状況で彼らの中のお互いへの言葉やニュアンスを目の当たりにすると、そのあまりの「不動さ」に圧倒される。
映画ラスト近くで、3人の出来の悪さを叱ってひとりスタジオを出た宮本さんが、外から彼らの練習している音を聴いているシーンがあった。
「ああ、どうすりゃ良くなるんだろ。」と頭を抱える。
「技術はドンカマを使えばいいって話なんだけど・・・以前小林(武史)さんに頼んだときも結局それを使った。でも・・・でも、そうじゃないんだよな・・・う〜ん・・・」
そうだよね、それはしたくないんだよね。
そして今そこで鳴っている音楽を修正するために「あ、そうか!石くんにギター弾かせりゃいいのか!」と突然閃いてスタジオに戻る。
今日の映画で一番印象に残ったシーンだった。

高緑さんに「そんなんでステージに立てるのか?野音で弾けるのか?」と厳しく叫ぶ宮本さん。
復帰してステージに立ったとき、以前と変わってないなんてあり得ない。ましてや「ただのオジサンがそこに立ってる、ってのだけはやめてくれよ!!」と。
自分が彼らを叱咤激励しなくては彼らの元気が出ないから、だから怒鳴るんだと言う。
いやいや、それだけじゃないのだろうな。
「持ってると吸っちゃうから」と言いながら箱に残ったタバコを何本も豪快にゴミ箱に捨てる宮本さんの姿も印象的だったけど、あれだけめちゃくちゃ怒られ怒鳴られながらも「もう何言ったって、石くん俺にタバコ渡してくれないもんな」と宮本さんがシュンとなるくらい厳しく「喫煙管理」してた石森さんも頼もしかった。

エレカシを作り上げているその厳しさを、その真摯を、ちょっとでも彼らの音楽から遠ざかると忘れてしまう自分。
情けないけど弱すぎる。
また今から立て直しだ。

「エレファントカシマシを愛してくれてありがとう。私はもう大丈夫です。本当にありがとうございました。
さあコンサートが始まるぜ!みんな期待していてくれ!」

彼らの音楽を、生き様を、ずっと愛し続けていられる尊さ。
感謝して、背筋を伸ばして、澄んだ目をもって生きていこう。
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by saskia1217 | 2013-07-13 13:33 | エレファントカシマシ | Comments(0)
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♪これも浮世と生きるなら 生きて行くのなら
笑顔たやさず行くもいい♪

♪悲しみの果ては
素晴らしい日々を送っていこうぜ♪

♪俺の姿を忘れるな
ニタリニタリの策士ども♪

♪オマエがいつかくれた優しさが今でも宝物
でっかく生きようぜ!
誓った遠いあの空忘れないぜ そうさ
今も同じ星を見ている♪

・・・・・

『どうか俺を野音で少しだけ歌わせてくれ』という無言の叫びを放ったエレカシの宮本さん。
あれからまだたった4日しか経っていないなんて、とても信じられなかった。
そしてその4日間、仕事や用事をこなしながらも心の底に何かがひっかかっているような、悶々とした時間を過ごした。
宮本さんが「歌う」と言っている、ならばその片鱗でも聴きに行こう、会場の外では全ては聞き取れないかもしれないけど、でも今度はいつ生の声が聴けるかわからないのだ、今どのくらい元気なのかもわかるだろう、行かなかったらきっと後悔する・・・
そう思いながらも何故だかまだどこかが燻ったままだった前日の夜、突然の1本の電話で、私の掌に日曜野音のチケットが舞い降りた。
もちろん中に入ろうなんてとっくに諦めていたから、嬉しいというよりむしろ呆然だったけれど、感謝して出かけようと思った。

半べそをかいてる東京の空の下、虎ノ門から日比谷公園まで歩く。公園に入ると野音前の石垣沿いにはビッシリと人の波。そして茂みの奥、木立の下、あらゆる場所に人の姿が17時を待っている。さすがにいつものワクワクした高揚はあまり感じられず、みなどこか緊張した面持ちで言葉も少ない。テレビ局や主催者側のカメラが数台あちこちに構えられているのも、その空気をどこか引き締めているようだった。
開場してしばらくして中に入ると、すでに後方には立ち見の人がズラッと陣取り、物販にはいつものように長蛇の列。そんな光景はいつもどおりのエレカシ野音だった。柔らかい表情で粛々と淡々と準備をすすめる見慣れたローディーさんたちを見ると、あ〜さすがだなと思うと同時にこちらの気持ちもほぐれてゆく。
客席には、もうすぐ公開の「のぼうの城」関係者や、ファンを公言する著名な俳優さん、共演してきたミュージシャンたちの顔も見えた。皆、この野音を楽しみにしていたのだろうな。

席に辿り着いてから、ステージにキーボードやドラム、ギターなど、メンバーたちのいつもの楽器が並んでいるのに気づく。事前のコメントや報道から「宮本さんが病気の経緯などを話して少し歌う」というのはたぶん少し話をしてあとはアコギで1曲、多くても2曲くらいかと想像していたので、少し驚く。
プラグドの演奏もやるのか?!

かすかに小雨が霞むなか、5時少しすぎに宮本さんが姿を現す。
その颯爽とした歩みはいつものコンサートの生き生きしたオープニングそのものだったが、ギッシリと席を埋めたお客さんからは、いつもの声援ではなく、感嘆とため息が混じった1つのどよめきのようなものがきこえ、そのあとはずっと、長く長く、静かな拍手が続いた。
宮本さんがギターを持ちセンターマイク前の椅子に座ってからも、その拍手の波は止まなかった。誰も叫ばない。ただ皆無言でステージを見つめたまま手を叩きつづけていた。
宮本さんはギターを構えながらそれがおさまるのを待っているようだったが、「ありがとう、ほんとにありがとう」と静かに声にしたところでやっと拍手がやんだ。

「夢のちまた」「悲しみの果て」、そして情深く歌い上げる「約束」とアコギでの歌が続く。
最初は少しハスキーかなと思ったけれど、高音が伸びていてとてもいい声。ダイナミックスが大きくなったり高音域になったりすると、こちら側がかえって臆病になってゾワッとしてしまうのだけれど、そんな妙な心配をよそに宮本さんはとても気持ち良さそうに見えた。

「友達がきてくれました・・・心配してくれて・・・」と、キーボードの蔦谷さんとギターのヒラマさんが登場し「リッスントゥーザミュージック」。いつもアコギで始まりバンドで盛り上げてゆくこの曲、今日は蔦谷さんの静かなハーモニーと、ドラム不在のリズム係としてのヒラマさんのギターに支えられて、かえって声が通って聞こえて清々しかった。
「野音なので・・」と「月の夜」。この希有なメロディーラインとハーモニーを持つ難曲を、見事な高音でもって聞き惚れさせてくれた。
「うつらうつら」「見果てぬ夢」と渋き昔の曲たちが、間をあけずにどんどん歌われてゆく。後からきいたらもともと8曲の予定だったのが12曲になったというから、おそらくこのあたりが宮本さんが「勝手に付け足しちゃった」曲だったのかもしれないなあ。

そして何気なく始まった、初めて聴くイントロ。
ああ、新曲だ。
歌詞から、それが「涙を流す男」だとわかる。
意外とポップで明るい感じ。リズムも印象的。31日のリリースが楽しみだ。

「みんなに捧げます」と「花男」。
「俺たちの明日」はアコギversもいいんだよなあ。いつもなら照明が全開になって会場中が拳の森になるのだけど、今日は殆どの人が佇んだまま聴く。途中で「なあ、がんばろうぜ!」といういつものセリフが入ったけれど、今の宮本さんからその言葉を言われるのはちょっぴり身を切られる思いがした。
「これ練習しててさ、いや〜、ほんと〜に・・・いい曲だよなあって、あらためて思っちゃって」(拍手)

そして再び蔦谷さんとミッキーとともに「笑顔の未来へ」。

♪愛しい人俺は結構都合良く出来ているんだ
どんな悲しみからもすぐに立ち上がるのさ
あなたが望むなら 俺はいつでも大見栄きって
かっこ良くいたいと思っているよ my little girl♪

予想したとおり、今日のステージの宮本さんは、元気そうで、いつもとおりの話し方で・・・そのユーモアたっぷりの話に会場が笑い声に包まれることもしばしば。
だけどそこにあった宮本さん自身の緊張感と、心配の塊となっているお客さんを少しでも和らげようとしているような心遣いは、冒頭のひとこと「みんなを吃驚させて、がっかりさせちゃって、そしてたくさん心配もしてもらっちゃって・・・ごめんなさい」からも十分過ぎるくらい想像できた。
「なんか・・・寒くない?」
そして雨が降ってくれば、ギターを手にしたままステージ前方ギリギリまで出てきて「あ、雨、大丈夫かなあ?みんな大丈夫?」
固唾を飲んで見守っている感の3000人のファンを慰めてくれるように、こうも言ってた。
「でもね、そんな、そんなに深刻じゃないんだ・・・こうやってほら、今ここに居てさ、こうしてみんなに会えたわけだし」
そうだね、やっぱり近くにいる人じゃないから、具合はどうなんだろう、元気にしているのだろうか・・・と思っているファンには、姿を見せてくれるだけでもう十分ありがたい。
「報告会」のような色もあったものだから、曲間で言葉に詰まると「俺、もっとセリフを考えてくりゃよかったな・・・」なんてつぶやいたり。
もう十分伝わったよ。

最後の1曲、12曲目には「昔からの友達もきてくれました」とメンバー全員が登場。先の2人とともに、見慣れた「エレファントカシマシs」の姿となって、「のぼうの城」の主題歌「ズレてる方がいい」。オープニングからずっと暗いステージに宮本さんのスポットだけだった照明が、ここで一気に客席までもを照らす明るいものに切り替わる。
「まだ、爆音がこわいので・・」と時折左耳を手で押さえながら、でもあの身体を二つに折って一心に歌いあげる宮本さんの力は、間違いなく何にも負けないと思わせる熱唱だった。
「でも(マラソンしたりタバコをやめたりしたことで)なんかこう・・・声が・・・良くなったとい うか」・・確かに今日の声はとても透き通って張りがあったように思えたし。というか、なんだか声の印象がちょっと違う気がしたんだ。

そんな「静かで熱いライブ」となった今日、「フォークコンサートみたいでいいか(笑)」と、病気の発症から入院、手術、術後のことも結構たくさん話してくれた。
「7月からタバコもやめていたけど・・・浮き雲男がタバコやめたってねえ(笑)・・それはきっとその頃からすでに疲れがたまって身体が弱っていたんだろうなあ」と。
もともと時々耳鳴りがあったのが4ヶ月前くらいから結構増えてて、でも今回のは自分でも吃驚するくらい突然来て、耳に水が入ったかな〜と楽観視してたら酷くなってきて、夜中に枕に頭を打ち付けても(実演)治らなくて、休日の救急にかけこんで一時的におさまったこと(ちょうどニューシングルのジャケット撮影のフィッティングの日だったそう)。
でもすぐまた悪くなって、大きな病院にいき、すぐに入院手術となったこと。その時点では、補聴器をつけたとしても元通りには聞こえないだろうというレベルだったそうで、ふだん元気な自分は急に「手術」と聞いて結構驚いたこと。
手術は知らない間に終わっていたけど、術前に「喉に管を通すから一時的に味覚(苦み)が無くなったり、声が出なくなったりするかもしれないけれど・・命を最優先にするので」と言われ、覚悟を決めて「お願いします!」と返事をしたこと。
弱っているとどうしても「病気に酔って」しまって、他のところがあちこち痛かったり悪いような気がしてきたりして、先生に「あり得ません!」と一刀両断にされたこと(会場笑)。
そして、繰り返し繰り返し「お医者さんてほんとにすごい」「看護師さんたちの働きぶりに感動した」と感慨深く話し、10日間の入院期間、結果的に少し休むことができたこと、「壁を見ながら自分の人生を考える」時間もあったことが自分ではよかったと思っている、と。

1時間があっという間に過ぎた。
「そんなわけで、しばらくライブは休まざるを得ないことになっちゃうんだけど・・・また必ず戻ってきますんで」
「今日はみんな本当に来てくれてありがとう。俺もここに来られてよかった。歌えてよかった。」
そして最後の最後に、いつもの一言。
「また会おう!」
この言葉が、これほど重い響きを持つ時が来るなんて・・・。

今までもう何年も、エレカシのライブがあって、チケットを買って、聴きに行って、そこに宮本さんとメンバーとスタッフがいて、たっぷりいい音楽が聴けて、楽しくて嬉しくて泣けて泣けて・・・というそのことが、本当にごくごく当たり前になっていた。もちろん毎回毎回、そのことをありがたい、得難い幸せだと感謝していたし、これはけして「当たり前」のことじゃない、これが普通、当たり前と思っちゃったらダメだ、と意識していたつもりだったのに。
今度は一体いつ、こうやってコンサートで会えるのか、その声が聴けるのか・・・現実としてそう考えなくてはならないのは、正直本当に辛い。

♪俺にはなくしたものなど無かった♪
という言葉が飛び込んできた「涙を流す男」の一節が、いつまでもいつまでも心の奥に残ったこの日。
宮本さんが、そしてお客さんが、捧げた、捧げられた一夜。
その両方ともが救われるような言葉を残して、宮本さんはステージから姿を消した。
「歌うと元気そうでしょ?(笑)・・・・歌うと元気になるんだよ」

暫くのさようならは、きっと必要な時間。
また絶対に会えるんだから。
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by saskia1217 | 2012-10-15 08:12 | エレファントカシマシ | Comments(3)
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今度の日曜日、耳の病気のためにライブ活動を休止しているエレカシ宮本さんが日比谷野音のステージに立つことに決めた、と早朝に知る。
バンドのライブをやるためではなく、ファンに直接思いを伝えるために。

この人はやっぱりミュージシャンだ。
歌係は歌を歌うことでしか本当には癒されない。
まわりの人たちの支えやファンの励ましはもちろん大きな力になるだろうけれど、本人の心はやっぱり音楽をやる、自分自身が歌うことによってしか取り戻すことができない。
歌うことで生きている実感が湧くのなら、元気になるのなら・・・。

人は本当の苦境に立たされた時、どう生きていくか。
なにを考え、決め、そして行動してゆくのか。
他の誰にでもなく、他ならぬこの自分に降り掛かってきたことに対して、どう処し、どう付き合ってゆくのか。
我が身を振り返って考えさせられる瞬間が何度かある。

今朝発表されたメッセージからは、言葉は少ないけれど発症から現在までのご本人の生の心が伝わってきた。
なお当日の「メッセージ」終了後、チケット払い戻しは予定通り行われるとのこと。

宮本さん、ありがとう。
そして、本当に本当に、お大事にしてください。

本当はこんなところに、自分のブログなんかに書くことではないのかもしれないのだけれど、あくまでも覚え書きのためにここに書き留めておきたかった。
明日からまたがんばるための自分の戒めとしても。

(宮本浩次さんのメッセージ全文・公式サイトより転載)

「ファンのみなさんへ

今回左耳の外リンパ瘻という病気で、全力で歌うことが出来なくなってしまい
東京と大阪の野音のコンサートを中止せざるを得なくなってしまいました。
コンサートを楽しみにしていてくれたみなさん
それからエレファントカシマシを応援してくれているみなさん
たくさん驚かせそして心配させてしまってごめんなさい。
実は術後一週間くらいは半ば茫然と過ごしていたのですが
主治医の先生から「この状況に慣れて歌ってなおしてゆくしかない」という類の励ましの言葉を貰って
十日ほど前から毎日アコースティックギターを使って自分のペースで歌うことを始めました。
すると確かに左耳はいつものようには聞こえないのですが
一方で歌に集中することで心が軽くなり同時に元気になっている自分を感じることも出来ました。
これはとてもうれしいことでした。
いつものエレファントカシマシのステージはもちろん出来ないのですが
日比谷野音のステージで少しだけど歌う事にしました。

ファンのみんなには勝手ばかり言って本当にすまないが
どうか俺を野音で少しだけ歌わせてくれ

十月十日 エレファントカシマシ 宮本浩次」

(写真は、一昨年夏の日比谷野音の空)
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by saskia1217 | 2012-10-10 18:33 | エレファントカシマシ | Comments(0)

万感の祈りをこめて

エレカシ、10月31日発売の新曲「ズレてる方がいい」PV(ショートヴァージョン)。
シングル収録はタイトル曲と、そして「涙を流す男」。
楽しみにしていよう。


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by saskia1217 | 2012-10-04 01:22 | エレファントカシマシ | Comments(0)
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昨日まで朝5時半に目が覚めていたのに、今朝に限ってグッタリと眠っていた。
朦朧としたまま見ていたワンセグの小さな画面から「エレカシ」の文字と「活動休止」というアナウンサーの声。
訳がわからぬまま飛び起きる。

ちょうど一ヶ月ほど前から、野音のチケットが入手できなかった悲しさと苦しさから何とか逃れようと、携帯から、手帳から、本棚から・・部屋中からエレカシを取払い、まる5年間毎日一日も欠かさず聴き続けていたエレカシを意識的に全く聴かない日々が続いた。ただ自分が辛くなるという理由だけから。
それでも身体は瞬間的に反応する。

宮本さん、ずっとずっとものすごい働き様だったものなあ。
今年5月の富永さんの病気の後は特に。
発表によれば「外リンパ瘻」が原因の突発難聴らしいけれど、とにかくこれは疲労とストレスが引き起こす病気。とにかく休むしかない、という歯痒い状態がどれだけ長いこと続くのかがわからない。
耳は辛い、ただでさえ辛いのに、音楽家にとっては他のどの部位が損なわれるよりも辛い。
片耳が聞こえないというだけでも吐き気を引き起こすけれど、ただ聞こえないだけじゃなく耳鳴りや音の増幅、雑音が「聞こえる」から心理的にも辛い。
当然だが、声は出ても耳が完全でなければ歌は歌えないし、長時間はとても無理だ。
音楽家の友人や家族に「突発性難聴」になった人は意外と多く、その殆どが投薬や自然治癒で今は演奏の仕事に戻れている。それでも気圧の変化が大きい飛行機には怖くて乗れないとか、時々耳鳴りがするなど後遺症も少なくないし、「外リンパ瘻」はまた別の病気らしいから、素人の私には安易にその治癒確率などを語ることはできない。

歌ってなければ生きていないような、歌が服着て歩いているような、そんな人だ・・・と勝手に思っている。
コンサートの中でも一番特別な思い入れのある「あの」20年続けてきた日比谷野音を目前にして、そそしてデビュー25周年の来年の結実ゆたかなアイデアを前にして。
いつだったか、宮本さんは「いつか歌えなくなるということを考えただけでとても恐ろしい」と語ったことがあった。きっといつかは治ると思ってはいても(治るだろうし)、信じてはいても「もし歌えなくなったら」「もし弾けなくなったら」と思ってしまう、その目の前が真っ暗になるような恐怖は、そういう思いを少しでもしたことがある音楽家なら余計想像できると思う。
今こんなふうに書くと、もしかしたら大げさなのかもしれないけど。
いや「大げさだったよな」と笑って言える日がきっと来るんだろうけれど。

私たちが垣間見ることができた様々な風景から思い浮かべるとき、宮本さん本人がどれだけ悔しいか、どれだけ無念なのか、そしてどれだけ大きな恐怖と戦っているか、それを思う辛さを今朝からずっと、ファンは皆共有しているのだろう。
キモチワルイと思う人もいるだろうが、自分が代われるものなら、と心底本気で思うのがファンというものなんだろう。

体調を見つつ、新曲プロモなどの活動はされるときいている。
少なくとも私たちの前にその姿を見せてくれるのは嬉しいけれど、けして無理はしないでほしい。
「無期限休止」ってことは確定できないってだけで、長くかかるかもしれないし、思ったより短いかもしれないってこと。
それがたとえいつになっても、歌える時がきたら、どっちにしろ私たちは皆万難を排して駆けつける。
その光景が今から想像できる。

医者でもスタッフでも関係者でもない私たちには、こんなネットの隅っこに、こんなふうに、どうにもならない文を書き付けることしか出来ない。
もどかしいにもほどがある。
あとはもう、神社、寺、教会、すべての神仏にシツコク祈ること、CDを聴いてDVDを見て、一生懸命自分の仕事をし、日々を全うすること。

一度ニュートラルに戻していた無味乾燥な携帯の待ち受けを、10枚すべて宮本さんがライブで歌っている姿にリセットした。
そうしたら、すぐステージに戻ってこれそうな気がして。

それから最後に。
今朝からずっと、友人知人からたくさんのメールをいただいた。
宮本さんじゃあなくて、この私にだ。
本当にありがたい。
私のことまで心配してくれ、そして宮本さんの回復と復活を祈っているという文面。
皆のその思いは、私の思いに重なって、きっと何かの力となって飛んで行ってくれると信じている。
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by saskia1217 | 2012-10-02 21:50 | エレファントカシマシ | Comments(2)
エレファントカシマシ「MASTERPIECE」ツァー、大阪の2日間を聴く。
昔からのZepp大阪がなくなって、新しく出来たZepp Nambaで。
行ってみたら、回りは倉庫だったり大きな道路だったりであんまり街中感はない。
ちょっと不思議な雰囲気の場所に、アートスペースかギャラリーみたいなデザイナーチックな建物。
これからロックバンドのライブだ、っていうより、室内楽聴きにきたよ、みたいなエントランス。
素敵なんだけどね。

1日目。
宮本さんもお客さんも最初からものすごくノッてて楽しいコンサートだった。
アルバム曲以外は「悲しみの果て」「おはようこんにちは」。なかでも中盤での「浮雲男」「デーデ」「珍奇男」の流れは最高だったなあ。
「浮雲男」大好きなのにライブで聴いたのは初めてだったから、すごく嬉しかった。この日は他の曲もそうだったんだけど「タメ」がものすごくって、拍とか小節線なんてもう完全にとっぱらっちゃって(それが出来るのがホントのミュージシャンなんだけど)、それでもちゃんと肝心のところでバシッと合うからかっこいいのだ。宮本さん自身は自分が作った曲だからとはいえ、そしてそんなことにはもはや動じないバンドメンバーであっても、まあよく(ある意味)歌を聴かずにあとの3(4)人がきちんと舵取りをしているものだなあ、ってあらためてまた感じ入りながら気持ちよく聴いていた。

この日は「宮本さんとピアノ」の仲良し度が高く(笑)しきりにキーボードに駆け寄っては色々弾きまくってくれてた。
その弾き語り「飛べない俺」はこの日が最高に素晴らしかった。背後から客席に向かって突き刺さる真っ白な照明とシルエットが美しい。
アンコールで本当はすぐ次の曲に行きたかったところで藤井さんの楽器待ちっていうシーンがあったのだけど、その間を埋めるのに宮本さんはすかさずキーボードに歩み寄って、さっきやったばかりの「飛べない俺」の最初をメロディーを右手にして弾いた後「昔ね、これもピアノで作ったんだよ」と「遁生」の出だしを弾き語ってくれた。つくづく、あの最初のハーモニー進行はありえないよな〜、ヴァーグナーみたいだもん、と思う。席を立ちながら「オレ、またピアノ習おっかな〜・・・・ヤマハで」と嬉しそうに言ってた。
メンバー紹介で「ベース、高緑〜!」の次に「ピアノ、宮本〜!」ってのがあって、今回の宮本さんのピアノ愛が伝わってくるねえ。
あ〜、宮本さんのピアノすごく好きだから、これからもステージで弾いてほしいなあ。

ギターの弾き語りの時と同じく、ピアノのときも最初にポロポロって音出してから始まる、その何気なく弾いてるフレーズがとっても好きだ。指先から自然に流れてくるその数秒のメロディーとハーモニーに、この人のなかにある宇宙ほどの音楽の宝庫を感じることが出来るから。
そしてこの日も「七色の虹の橋」がやっぱりとっても印象に残った。
「約束」も濃い感じでとても素晴らしかった。この日は♪北風吹きすさぶ真冬の街♪の冬ヴァージョン。音源に入りきらなかった、好きな言葉だったのかなあ。

「穴があったら」での突然のターザン吠え(?)や、「ココロをノック」イントロで「もう少しなんだよ〜〜〜!」と叫んだり、「大阪からまんまで宇宙」とか、タメとか頭の文字繰り返し唱法とか、とにかくプラスのベクトルが最初から最後まで途切れなかった。
「ガストロンジャー」での新しいフレーズ♪みんな大好き落しどころ♪が何回も繰り返され、脳裏には何故か民主党が思い浮かび(笑)。

初日アンコールは「今宵の月のように」「風に吹かれて」「ガストロンジャー」「ファイティングマン」。
(「風に吹かれて」のサビでお客さんが手を振るのがすっかり定着したみたいだけど、みんな私と逆の「右→左」に振るのは大阪だからなのか?!・・・エスカレーターと関係あるのか?!・・・笑)

2日目。
東京でもそして前日も思ったのだけど、しょっぱなの「大地のシンフォニー」で声がスパーンていきにくい印象があって、そこでいつもちょこっと不安になっちゃうのだけど、そんなのバカバカしい杞憂で、コンサートが進むにつれて俄然いい声になってきて、はたまたアンコールに至っては150%くらいになるんだよね。出の直前じつは結構無言だったりして・・・。

この日は、歌詞とかタイミングとか、いろんな曲でいろんなハプニングがあったのだけど、それもまた面白くってお得に楽しんでしまった。

「ココロをノックしてくれ」はイントロでもうメンバーもお客さんも嬉しそうなのがいい。
ピンクの照明にようやく少し慣れてきた(笑)「Darling」は、そんな柔い光の中でも骨太の音づくりと力強い歌い方。音源と一番違うこの曲、このライブヴァージョンこれからも聴きたくなるに違いない。
「定め」も嬉しかったなあ。
最近なのに「脱コミュニケーション」がものすごく懐かしく感じる。イントロのギターソロのタメもかっこよかったですね。
ブルーの照明が鮮烈だった「眠れない夜」ラストで、宮本さんの命でトミが銅鑼を5発派手にぶちかましてくれたのもゴージャスでよかった。
そこからの「金でもないかと」では、ハンドマイク片手にものすっごいタメながらいつものように上下に動き回る。フェスの映像を見慣れてると、ライブハウスですんなり拍どおりセンターに戻れてしまう宮本さんを見て「狭い!」と感じてしまう(笑)。
続けて次の曲に入るところで、「彼女は買い物の帰り道」のコードらしきものをギターで鳴らしてから、急にそれを嘲笑うかのように「ぶ〜〜〜っ!」っと打ち消しながら始まった「珍奇男」。なるほどなあ。
この日の「七色の虹の橋」は今まで聴いた中で一番好きだった。少し距離のあるセンターで聴いたこともあって、全てがバランス良く直線で届いた中でもこの曲は突出してまっすぐだった気がした。♪ボ〜ド〜レ〜ルの〜・・・しま〜い〜こ〜んで〜♪の上声のコーラスを自動的に脳内で鳴らしながら、完全にこの曲に取り込まれてしまう自分。
音なんて多くなくても、人は動かせるんだ。

今回はツァー日程がズレたために、図らずもタイトな間隔で数回のコンサートを聴くことになってしまったけれど、それもまた別の感じ方ができていい思い出になった。
しかし。
この贅沢を当たり前だと思ってはいけない。
こんなことに慣れてしまってはいけない。
アンコールの「ガストロンジャー」が終わって最後の1曲「ファイティングマン」のイントロギターが始まるあの瞬間に全身を襲ってくる途方も無い寂寥感。
「行けるときがご縁」・・・ちょうどいいバランスで、自分の中でいい「落しどころ」を作るのは、結構大事だと思ったりしている。
好きすぎて感覚が麻痺してしまう前に。

それでもやっぱり、好きすぎる、んだけどね。
それもまた、受け入れるべき運命。

唯一無二、今このときに全てが相応しい音楽を、ありがとうエレカシ。
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by saskia1217 | 2012-07-13 03:34 | エレファントカシマシ | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217