同業者

大好きなチェンバリスト、ラルス・ウルリク・モルテンセン氏の公開レッスンを聴く。
大学で授業を終えてから津田ホールへ駆けつける。
受講者6人の中にかつての生徒が2人入っていたので是非聴きたかったが、1人は間に合わず。それでも午後3時頃から8時頃まで、計4人のレッスンを聴けた。
明晩の先生ご本人のコンサートがバッハのせいなのか、殆ど全員がバッハを弾いた・・・(苦笑)。これは聴くほうもかなり辛い。なんかバッハって集中力が要るのだ。

普段あまり行かないところ・場に出かけていくと、普段あまり会えない人たちに会う(笑)。
そう、同業者。
私はチェンバロの演奏会や公開講座などに仕事以外で行くことが実は殆どない。行きたくないのではなく、その時間と経費をどうしても「もっと行きたいもの」に当ててしまうのだ。まあ、あまりいいことだとは言えまい。
そんなことで、今日の会場では、1年以上会っていなかった同業者何人もにバッタリ再会。
たまにはいいですね。

で、それに加えて、我が儘な私は、こと専門であるチェンバロに関して「本当にいいと思う演奏家」が極めて少ない。世界中で5本の指におさまってしまう。いや、2〜3本か。
で、モルテンセンはその中に揺るぎなく入っている。(偉そうだなあ・・)

初めて彼の演奏を聴いたのがいつだったのか覚えていないが、最初からその演奏が私はとても好きだった。ドイツにいる頃、演奏会や講習会やコンクールなどで何回かお会いする機会があったが、なかでも印象的だったのはミュンヘン音大のチェンバロ科教授のポストを決める際の「模擬レッスン」。その生徒役の1人として私はヴュルツブルクから、その1週間にも渡る公開レッスンに参加する機会を得た。ドイツの音大では、ポストを決める時に候補者に実際にレッスンコンペをやってもらい、学長以下他の教授陣、そして学生の代表などがそれを見て採点する。評価はじつにシビアであり、候補者はかなりの体力と精神力、音楽家としての魅力、指導者としての実力が要求される。
その1週間のレッスンが本当に素晴しかったのだ。「教える」ということは、「惜しみなく与える」ことであり、まさに全身全霊を込めなければならない。ありとあらゆる手段を駆使して、いま目の前にしている音楽を通して、その相手が共感、感動して自発的にアプローチできるところまで、連れて行ってあげなければいけない。
モルテンセン氏はまさに、その権化のような人だった。

そしてあれからもう10年以上経ったけれども、見た目もそのエネルギッシュなレッスンも、全く何一つ変わっていなかった。
終了後にごく短い時間お話をしたが「あれはずいぶんと前の話だったね〜」なんて、何だか昔話みたいになってしまってちょっと可笑しかった。

与えられた音楽、譜面、楽器のすべての可能性、そして自分の中に蓄積された知識や感覚、その瞬間に周りの人や空気から享受するもの、それら全てを使い尽くして音楽する。
そんな姿に接すると、無性に弾きたくなる。
呼び覚まさないと、眠り込んじゃうな。
そう、「足さないと」・・・!
(註:年齢を重ねるに従って何かが「減っていってる」のはマズい、「呼び戻す、というより足さないと」という宮本さんの名言)

あ、シングル「絆」は3月18日発売デス。
あれ、3月18日って・・・。
「home」も発売。
わ〜ん、貯金しなきゃ。
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Commented by がたまり at 2009-01-15 22:54 x
リサイタル聴けなくて本当に残念でした・・・。
そして、レッスンも先生に聴いていただけなくて本当に残念でした・・・。
なんだか一瞬の魔法のような時間でした。毎日毎日、こういう「忘れたくない」感覚が次々現れて困っちゃうんです。。
Commented by saskia1217 at 2009-01-16 11:45
がたまり様
レッスンお疲れ様でした!
昨夜は私も聴きに行かれませんでした…残念!
そしてかえすがえすもがたまりさんのレッスン聴けなくて無念!
またお話聞かせてくださいね。

たくさんの「毎日起こる忘れたくないこと」は、自分では忘れたと思っていても確実に残っているから大丈夫!
by saskia1217 | 2009-01-15 04:28 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)