やっぱり天才だった

Wasser-Musik・・・・水の音楽。
といっても、ヘンデルのあれではない。
今日、ほぼ1年ぶりくらいで、授業以外、個人的にクラシックのCDを聴いた(笑)。
それも1枚通して楽しく聴いてしまった。
テレマンの「序曲 ハ長調」、通称「ハンブルクの潮の満ち干」または「水上の音楽」。
聴いたのはPickett率いるNew London Consort。(←ライフログ参照)

この時代の「祝祭音楽」としてはヘンデルの「水上の音楽」と並ぶ有名な例だから、以前どこかで聴いているはずである。でも印象になかったな。

1722年、大商業都市であった港町ハンブルクの音楽監督に就任したテレマンは、ミヒャエル教会付属学校のカントル、5つのHauptkircheの音楽監督、市オペラ劇場の監督の他、市主催の公的な行事の音楽も担当していた。ちょっとした激務である。
公的な行事というのは、例えば「海運省100年記念祭」みたいな祝賀行事や祭典とかで、よく野外で行われる。外国に開かれた非常にいきいきした街ハンブルクの港や河口、そして現在でも市民の心の拠り所となっている街中の大きな湖「アルスター湖」、そんなところで花火をバックに金管楽器が大活躍の「盛り上がる」音楽をど〜んとやるのである。
つまり、それは想像するに「野音」状態なのである。

かっこいい!

テレマンは当時、バッハと違って(!)一般大衆にものすごく人気があったスター作曲家だった。まあ正直なところ、彼の作品を実際演奏していて「すばらしい!」と思ったことは、まだあまりない。
曲のでき方は乱暴に言ってしまえば「シンプル」「単純」、でもそれが「大衆ウケ」した理由だと思うのは早合点過ぎることを再認識した今日。
「大衆ウケ」つまり、めちゃくちゃ「キャッチー」だったという事実、それはなんなのか?

それは・・・「瞬発的に魅力的」だからだ。

ただ聴いていれば、文句無く「いい音楽」。快くて面白くて刺激的でドッキリで平和的。
一発で人の心を喜ばせることができる。サービスと工夫が満載。
これはなかなか出来ないことだぞ。
そんな当たり前のことを、このCDは思い出させてくれる。

「ハンブルクの潮の満ち干」はオーボエ、フルート、ファゴットが弦に加わって活躍。カップリングの「アルスター序曲」は祝砲やら鐘の音やら船員やら羊飼いの踊りやら、もう派手というかゴチャゴチャというか。
それとヴァイオリン協奏曲「蛙」。笑。ええと、正確に言えばDie Relingeは「食用蛙」ですね。
これはヴィヴァルディそっくりの様式のコンチェルト。いい曲です。

私がハンブルクに住んでいたのは僅か3ヶ月だったけれど、それでもこれを聴いていたら、いくつものHauptkircheから聞こえてくる鐘の音の混じり具合とか、テレマンが教えていたミヒャエル教会の毎週の礼拝とか、今や観光客でごった返す港とか、着岸しているたくさんの白い船とか、ウナギの薫製とか、ニシンをはさんだパンとか、そんなものがふわ〜〜〜っと一気に脳裏に蘇った。
そうそう、それと、大晦日にいっせいに鳴り響く街中の鐘と停泊中の船の汽笛、そして花火。

なんだか、久しぶりに気持ちのいい音楽を聴いた気分。
素直で誠実、テレマンが書いた通りに、らく〜に真剣に弾いてる感じ。響きは研ぎすまされているのに、無駄な緊張感がない。自然体に聞こえるけど手を抜いてるわけじゃない。
毎日聴いたら飽きるかもしれないけど(それもテレマンの個性)、けして損しない1枚。

キャッチー。
掴めそうで掴めない、その神髄。
そんなことを考えながらの帰り道。
名曲「上野の山」を聴きながら、上野の森を歩く(笑)。
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Commented by at 2008-07-30 10:17 x
ジャケットのカエルがみずみずしくてよいですね!
by saskia1217 | 2008-07-30 00:19 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(1)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217