月の夜よ

e0081334_254553.jpg

風と月、闇と光。
池上本門寺に、500個の風鈴の音を聴きに行ってきた。
先週金曜日、夜から雨と聞いたけれど、なにせいい感じの風が吹いていたので決行。
灼熱の午後を過ぎて、それでも夕刻からは「日本の夏」。腕に少しだけまとわりつく湿気も、それなりに風情がある。

昨夏知ったこの催し。是非行きたいと思いつつ、結局時間が取れずに終わった。で、今年こそと出かける運びに。
池上線に乗るのは一体何年ぶりだったろう。池上の駅を降りて数分、川にかかった橋にさしかかったあたりで、高台からかすかに、それでもおそろしく多くの風鈴の音が聞えてくる。ひとつひとつ違った音程と音色の風鈴が500個一度に鳴るのだから、その重なり具合ときたら天国的だ。
e0081334_333554.jpg

総門をくぐって石段(比経難持坂)を昇る。地元の方だろうか、ランニングをする人、三脚を立ててカメラに向かう人・・・折しも美しく輝いていた月に見とれていると「上に風鈴があるよ」と声をかけてくれるおじさんがいたり。なんかホッとする。
すっかり終わってしまった紫陽花の、茂った葉っぱを横目に石段を昇りきると、境内に入るまでの頭上にはまだまだたくさんの風鈴。
e0081334_392764.jpg

ひとっこひとりいないわけでもなく、あちらこちらに人は歩いているのだが、静か。池上本門寺は高台にあるので、上まで昇ると眺めもいい。眼下遠くにマンションやビルの明かりも見える。そして空には月。すゞやかな風。少しの街のざわめき。風鈴の音・・・そして立派な仁王門をくぐったあたりで、どこからともなく読経の声が。「南無妙法蓮華経」と唱える、めちゃめちゃいい声。
なんだろう、この何もかもベストなシチュエーションは・・・!
e0081334_3195777.jpg

広い境内の正面にまず見えてくるのは大堂。
夜だからなのか、扉も固く閉まっていて中は見えない。立派なお堂だ。その前にたたずむ男性が読経の主だった。背広姿だったがその容姿といい声といい、限りなくお坊さんらしい雰囲気。(勝手にそう思うことにした・・・)
私は子どもの頃からお経を聴くのが本当に好きだった。小学生くらいの時、正座が大の苦手だったくせに、法事のたびにお寺にくっついていって本堂に座ってお経を聴くのがこの上ない楽しみだった。あのいい気持ちがちょっと蘇ったひととき。

本堂などはもっと奥にあるので、昼間だったら行ってみたかったが、そのまま五重塔を観に行く。後ろを振り返ると、仁王門にこの月。
e0081334_3271351.jpg

五重塔は美しくライトアップされ、四方には各面3つずつ、カラフルな干支の動物が彫られている。
e0081334_3315974.jpg

そしてそのすぐ脇には、懐かしい井戸。ポンプを押してみると、立派に現役だった。小さい頃実家の庭にもこんなのがあったな〜。東京だけど、まだまだそんな時代だった。
e0081334_3332515.jpg

たくさんの猫が、墓石の影から、茂みの奥からこっちを見ていた。たくさんの卒塔婆が風にカタカタ鳴る。ライトアップもなく、こんなイベントでもなければ、きっとかなり本格的な肝試しができることだろう(笑)。

晴れていても風がなければ風鈴はぴくりとも響かない。雨が降ったらもっと台無し。
月明かり、読経、猫、井戸・・・そして咲き終わった紫陽花と虫の声。
すべての駒が出そろった、得難い一瞬。
最高の夜に居合わせた幸せ。
e0081334_3373290.jpg

月の夜よ
月の夜よ
今日も我と遊ぼうか
弱くやさしき光もて
我をつつみたまえ
(宮本浩次「月の夜」)
[PR]
Commented by うきき at 2008-07-14 11:46 x
saskia1217さま、
ブログにコメントありがとうございました。
トラックバックさせていただきました。

>月明かり、読経、猫、井戸・・・そして咲き終わった紫陽花と虫の声。

うーん、実にいいタイミングでいらっしゃったんですね。
読経かー。いいなー!

どの写真にも心ひかれています。
階段からの眺めとか、五重塔のまわりの光とか。
すてきなものを見せてくださってありがとうございます。

そうそう、mixiのコミュにも写真や動画、
楽屋裏(?)のエピソードなんかがあるんです。
こちらももしよろしかったらどうぞ。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=34819
by saskia1217 | 2008-07-14 03:51 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(1)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30