おんかん と せんたん

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午前中奏楽をしてから、急いで芸大千住キャンパスに直行。
昨日今日と行われているオープンプロジェクト「千住 Art Path」へ。

まぁ、どんなイベントなのかということはリンクを見ていただくこととして、そもそも芸大の音楽環境創造学科通称「音環」とは、いったい何をするところなのか?・・・ということが、何よりも先にある。というのも、学外の方からしきりに「おんかん、って何を勉強できるところなんですか?」「おんかん、の人たちは卒業したら何になるんですか?」と聞かれることがとても多くて実際困るのだ(笑)。
2002年に取手キャンパスに誕生した音環は、2年前から千住キャンパスに引っ越したのだが、じつは未だに学生、教員などの学内者でさえも、この科が実際何をやっているのか、その「実態」を知る人はまだまだ少ない。特に普段上野にいる人間にはそれが顕著だ。

舞台のパフォーマンスということについて今年何故かいちいち引っかかってきた私にとっては、少し前からこの科に対する興味はふくらんできたのだが、なかなか訪ねる機会も時間もないままになっていた。そんなところで、先日ふとこのイベントのチラシを見つけ、面白そうなので色々と遅刻覚悟で駆けつけてみたというわけで。

初めて行った千住キャンパスはもともと小学校の建物だったのを利用した、じつにスタイリッシュな建物。まあ、言ってしまえば「いかにも」という佇まいである。実際、なかはいろいろなサイズの音響室、録音スタジオ、ホールなど素晴しい施設ばかりで、ものすご〜く恵まれている感じだ。何よりもお手洗いが綺麗なのが感動・・・(笑。上野が水準以下なのか??・・・とはいえ近年上野も格段に美しくなったが。大事なことです!)。

今日午後から夜までかけて参加したのは3つのイベント。
①一ノ瀬響(作曲)と金沢健一(美術家)によるライブ・パフォーマンス「ピアノと『音のかけら』のあいだに〜即興と作曲の境界線を探る〜」
②手と足のラプソディ(タップダンスとジャンベのコラボレーションパフォーマンス)
タップダンス/後濱龍太 ジャンベ/牧野美沙
③シンポジウム/文化生産者は「格差社会論」をどう考えるか〜「芸術」と「社会」の狭間で
スピーカー/ 鈴木謙介(社会学者)、川崎昌平(美術家)、福住廉(美術評論家)
(敬称略)

①は色々な大きさの鉄板を88枚床に並べ、中心にピアノを置いて、ふたりのパフォーマーがそれぞれピアノと鉄板から音を出してゆくもの。部分的にルールの存在するものと、完全な即興と両方を使っていた。
私は少々遅れて到着したのだが、前半、聴衆の中にいた小さい子どもがその音に反応してしゃべったり叫んだり(呼応したり)し始めた。保護者は特に外に連れ出す様子もなく、パフォーマーもどれだけ問題視しているのかわからなかったので、まわりにいる人もスタッフもはたまた注意を促すべきなのかちょっと戸惑ったように思う。もしあれが「その空間で起こりうる全てのこと(現象、音・・・)を取り込んだ意味での即興であれば、それをも取り込むという考え方もあるだろうから・・・
(しかし実際は「困っていた」ことが、終演後のトークで判明した・・・苦笑。やっぱり早く注意すればよかったなあ・・)
鉄の板の切れ端は思いのほかいい音がしていたけれど、ああいうパフォーマンスって、何故だからわからないが一見「どこかもっともらしい」「やっていることにいちいち理由がありそう」「やっている人は楽しいのか?」なんていう意識が一般の聴衆には湧き出てくる傾向がある。それを打ち破るって、結構大変なことかもしれない。
②は小さい頃からタップを学び早稲田の学生さんでもあるダンサーと、音楽学部の打楽器科の学生さんという、若い世代のコラボ。よかったですよ、これは。冒頭は素足で踏んでいて2つめのセクションからタップシューズを履いて。音楽(ジャンベ)は殆どが楽譜に書いてあるものだったみたいに聴こえた。中間部分では即興的なものもあったかな?ふたつの音(片方は「手」、もう一方は「足」)の絡み合いが切迫感があって楽しかった。15分くらいで終わってしまったのが残念。もっと見たかった。
③はおそらく今回のイベントの最後を飾る大きな企画だったのだろう。聴衆もいっぱい。いずれも20〜30代の若いスピーカーと、司会も大学院生という、日常「シンポジウム」ではあまり見かけない絵。
今回この催しに来てみて「音環」がやっていることが随分具体的にわかったことと、学生さんたちもそれぞれ素晴しく新鮮なものをいっぱい持っているということと、若かったら入学したかったな〜ということと(ま、それはど〜でもいいことだが)・・・まあいろいろあったけれど、このシンポジウムを聞きはじめてびっくりしたのは、彼らが使う言葉の30%くらいが知らない言葉だったこと(笑)。いや、専門用語とも言えるんでしょう、もはや。ネット、サブカル、社会学、そんなところにリンクした横文字や略語をいとも普通にさらさらと使っているので、こちらはいかに自分が「こっち側」の人間なのか、ってことを思い知らされてしまう。まあこのシンポジウムは他の誰でもない音環の学生さんたちのために開かれていたそうなので、それも仕方がなかったのだろう。でも見渡すと近所の方をおぼしき年配の方たちもいらしたので、今年は特に「地域に発信する」「地域との連携をはかる」ことを念頭に置いたというわりには、う〜んこれでいいのかな〜、という思いもあった。ちょっと内輪ウケのノリとか、聴衆置いてきぼり、の感もなきにしもあらず。が、いかにも広告やクリエイティブといった「アート」関係者(見かけじゃわかりませんが・・・でもやっぱりわかるんですよね〜)、オープンキャンパスとして見に来た音環希望の受験生なども結構いたので、まあそれでもよかったのかな?私が一般人すぎた、ってことなのかしらん。

とはいえ、もちろんいろいろ面白いこともあったのだ。同じ芸大といっても「音楽」と「美術」では学生の考え方や気質も大きく違う。プライドの持ち方も違う。職業意識も違う。そこを、ある意味「音楽」でも「美術」でもない「音環」の人たちが語るのは興味深かった。よく「中途半端な」学科と言われるらしいが、それはそれでいい面もあるのではないか。
語られたことを細かく書くスペースはないが、このシンポジウムを含め感じたこと。この多様化している時代に「遅ればせながらやっとできた」音環、そして美術学部の「先端芸術表現科」(これも、ん〜〜、何やってるんですか、とよく聞かれる謎の科)が芸大にできて、今日ちょっとだけ垣間みた音環では、ともかく色々な試みが色々な人たちによってどんどん形にされていって、それをどう使おうとかどう発展させていこうか、というように広がっていっているのはやはり今の世の中でとても大切なことだと思うし、一見はっきり見えにくいんだけれど、やっている、やってみることの意義があるというか・・・う〜、うまく言えません。

世の中の全て、特に文化(娯楽、芸術、食・・・)において「カテゴライズ」が出来にくい、いやむしろ「カテゴライズ」しない、という方向にまだまだ向かっている今、彼らが必要だし、未来はまだあると思う。一流企業に入ったサラリーマンでもいつクビになるかわからないという時代、「どうせ食べていけない」と言われ続けて何百年という「げいじゅつか」「アーティスト」こそ、何事にも動じずに自信を持って進んでゆけるのではないか。

・・・と信じてるから、やっていけてるんですけどね。
たのしい一日だった。
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Commented by ビケ♪ at 2007-12-18 09:04 x
面白そうな学部ですね~!私も見てみたかったです。
今は、細分化されたものが再統合される時代ですので、
新しい視点を持った学生さんたち、
活躍の場がたくさんあるのでしょうね。

今年の12月は、風邪が長引いて、
なかなか元気が出ないのですが、こういうお話を聞くと、
気になったところには、もっと積極的に出かけて行きたいな、
と思います。

遅ればせながら・・・
お誕生日、おめでとうございます!!!
ますますパワフルな一年となりますように。
Commented at 2007-12-18 19:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saskia1217 at 2007-12-19 00:30
ビケ♪さま
コメントありがとうございました。
この科、実際面白そうです。もうちょっと若かったら入試受けてたかもしれません。
風邪のほうはいかがですか?あまり無理しないでくださいね。
私もじつはこのところの「武者修行」の毎日で、じつはボロボロです(笑)。勢いだけで足が動いてる感じで出かけてます。
お元気でいいクリスマスを!
by saskia1217 | 2007-12-17 02:49 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(3)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217