シュール

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ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展へ。
原宿の表参道側なんて、いったい何年ぶりだったんだろう?
NHKやら渋谷のライブハウスやらに行くとき、時々原宿で降りることはあったけれど、あっち側にはもう何年も足を向けたことがなかった。
高校生の頃は通学で毎日渋谷を通っていたから、この辺を歩くこともあったが、行き先は殆どKAWAIの青山サロンだったり・・・おまけに、あんなに仰々しいブランド通りではなかったし。
ひさしぶりにきてみたら、まあ随分と大層な通りになってしまったこと!
そのなかで、唯一変わらない見事なケヤキ並木で最後の力を振り絞って鳴いていた蝉の声が、ただひとつの救いのようだった。

展覧会場は、ラ・フォーレ原宿。もしかしたら、この建物に足を踏み入れたのも、生まれて初めてだったのかもしれない。
ミュージアムは最上階。ついでに途中の階のお店をぐるぐる回りながら上がっていったが、オシャレというかなんというか、高揚感と不安感と疎外感が入り交じったような(!)なんとも不思議な気持ち。

そういえば行き帰りに、例の有名な「すいません、写真撮らせてください」シーンを5件くらい目撃。声をかけられて路上で堂々とポーズを取っているのは、いずれもそんなディスプレーのなかから出てきたような、完璧に可愛い服装とメイクをした10代後半くらいの女の子たち。
(これに関しては、声をかけられるのを目的に表参道を何十回も往復する子もかなり多いらしい。声をかけるスタッフから、カメラマンまで、殆ど全部が女性なのね〜。なるほど。
昔はああいうのって、どこかうさん臭い、いかにも「業界っぽい」男性がやっていたけど。)

平日の昼だったのでミュージアムは比較的空いていて、実際に手で触る作品などはゆっくり味わうことができてラッキー。
シュールレアリストの作家たちは、ルネッサンスのイタリアそしてネーデルランドと並んで、私の最も好きなアーティスト・・・・なのだが、シュヴァンクマウエルについては、その名前と代表作の写真をどこかで見たという程度の認識しかなかった。つまり正直積極的に「好き」とは言えない作家なのだ。今回もたぶん、普通だったらわざわざ足を運ばなかっただろう。

ええ、はい、そうですよ。
小林賢太郎さんが彼の作品がお好きだということはよく知られてますね。シュヴァンクマイエルは何度か来日してるのだが、たしか何かの雑誌で対談もされたらしい。それで、行きました(笑)。実際、どんな作品なのかと。私が知っている以外に、どんなものなのかと。「好き〜」と思っているものだけ見たり聴いたりしてても、意味ないな〜と。
それにここ数日、思考も行動も煮詰まりすぎていたので、なかば強制的に会場に向かったというわけで。

(私が好きな「シュールレアリスト」はハッキリ言ってしまえば、マグリットとデルヴォーなのである(笑)。「一般的」「ベタ」「素人くさい」と言われても仕方ないが、好きなものは好きなのだ。
「あの、林檎とかが浮いてるやつ・・・あれなんてもう、わざとだからね!!」「何かを浮かせてりゃ〜、不思議っぽい絵になってさ」(KKP「Good Day House」)とかってさんざんなことを言われようと・・・好きなことには変わりない!)

シュヴァンクマウエルの作品は「きもちわるい」「グロイ」「こわい」と感じるのが、大方のイメージらしい。
でも「すてき」「うつくしい」「かっこいい」「すごい」・・・もしかしたらそんな風に感じるものがあるのかも、という期待感を少しだけ持って会場を歩きまわった。
そう、面白い、と思った。なるほどね〜、くすっ(笑)、というのもいくつか。
本当に「いや〜、これいいなあ〜」と思ったのは、2つか3つだったか。
私は彼の映像作品もまだ見ていないし、殆ど何の予備知識もなく見たのだが、ポジティフな興味を感じたのは、人形劇の人形と、「人間椅子」のたくさんのコラージュとパラパラ漫画、「触覚」を使ったゲームの発想など。中学の時の美術の授業で、毎回課題で作っていた「コラージュ」を思い出して、またやりたくなった。
そして一番面白かったのは錬金術や妖術を描いた17世紀のエッチングにインスピレーションを得たエヴァの作品の数々。こういう古い版画はヨーロッパの古本屋とかを漁っているとよくお目にかかったりするのだが、考えてみるとああいう一見おどろおどろしい世界とか発想は、16〜17世紀とシュールレアリスムと、何にも変わんないな〜ってこと。
実際、今日シュヴァンクマウエルを見ている間中、私の脳裏に出現してほかならなかったのは、ルネサンス、ネーデルランドの画家ヒエロニムス・ボスのこと。彼の作品も「大好き」というわけじゃないのに、無性に惹き付けられる何かがある。その点ではシュヴァンクマウエルもそうかもしれない。
いずれにしても、行ってよかった。
近いうちに映像作品を見ようと思う。
(あ、今度渋谷でオールナイトで13作品上映、というのがあるらしいけど。ん〜、正直朝までもつのか、という気も)

再び喧噪の通りへ。
何故か1ヶ月程前から無性に食べたかったものがある。
クレープ。
そんな時に原宿にきたのも何かの運命だ(笑)。
ここまで来たんだから最後までベタでいこう、と王道中の王道「Cafe Crepe」で、アイス・ストロベリー・チョコ・生クリームを。
うふっっ、王道ベタベタ!!
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そしてベタの締めは・・・表参道ヒルズ。
生まれて初めて行きましたよ(苦笑)。想像していたよりずっと小振りのスペース。あのスロープはたしかに素敵だしバリアフリーだし美しいのだが、うねうねと歩いていると何故か損している(ものすごく歩かされている)気がするのは私だけか??
館内の照明のちょっとした薄暗さや、鳥の声や水の音でできたBGMなんかも面白い。
が、まあ、私にとっては「お買い物に」っていうお店もなく、完全に「ふぅん」ランク。
勉強になった。

かくて、バブル懐かしい原宿ツァー終了。
じつは今日いちばん「シュール」だったのは、
「ラ・フォーレ前でクレープを食べる私」
だったのかも・・・・・
寒。
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Commented by 馬酔木 at 2007-09-05 21:50 x
2日、さる展覧会のために、銕仙会能楽研修所に行きました。東京在住ウン十年、かつてご近所に通勤した経験がありながら、表参道ヒルズにも行ったことがない。日曜日は、目の前のプラダだのカルティエだののビルを「ほぇ~」と見上げ、ヨックモックの珈琲の値段に目が点になりました。私にとっては異空間でしたが、人出は多し、こういう街を堪能する人もいるわけですね。
Commented by saskia1217 at 2007-09-06 00:49 x
馬酔木さま
そうなんですよね。
この日も、オシャレにトリミングされたプードルを連れたサングラス姿の女性なんかを随分見ましたが、彼らにとっては「日常の街」なんでしょうか・・・
銕仙会、なつかしいです。能にハマっていた(なんにでもハマる私・・・)大学生の頃、日本音楽史を習っていた先生が銕仙会と親しくしていらした関係で、お能のなかでもいちばんよく通った団体です。たしか講義にも、会からゲストに来ていただいた覚えが。
私もこんな調子で、六本木ヒルズ、丸ビル、新丸ビル、東京DLおよびDS・・・と名所を一度も訪れずに終わりそうな気もしてます(苦笑)。
by saskia1217 | 2007-09-04 23:08 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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