何が「面白い」のか

役者の仕事、それは「人の心を動かすこと」。
音楽家もおんなじです。
思えば、いい商売です。
が、めちゃくちゃ大変でもあります。

「サードステージ」演劇ワークショップ、2日目、そして最終日。
今日は1日目でやった「おはようキャッチボール」などから始まる。
そして、また「歩く」=「行く」演技。歩く動作をスローモーションでやるって、あんなに難しかったんですねえ。いつも自分がどうやって歩いてるか、なんて普段考えないでしょ。ゆっくり動くことによって「次に右手が出るから、左足は・・・あれ?どっちだ?」なんて頭で考えちゃう。いろんな種類の「歩き」をそれぞれスローモーションにしたときに差も、なかなか出にくい。
そして、それに「声」をつける練習。
それから、A4のプリント1枚、数行のセリフが渡されて、2人1組でそれを演じるエチュード。
「おはよう」に始まるごく日常的な会話だが、そこにはシチュエーションの素になるような情報は敢えて入れていない、というもの。
1種類考えだすのは比較的易しいけど、2回、3回となるとキャラやシチュエーションの設定の引き出しがぐっと減ってきてしまう。
でも他の人の演技を見るのも、自分が演じてみるのも(演じる、なんてレベルじゃないが)非常に興味深かった。先生からのダメ出しも、目から鱗だったし。

恥ずかしながら演劇の舞台は殆ど見たことがないのだが、今まで映画やテレビドラマなんかもちろん何気なく見ていて、あ〜この俳優さん何だか上っ面だな〜、なんて生意気にも思うことがあった。今日、帰宅して久しぶりにテレビをつけたら、何かのドラマをやっていた。今こうして見てみると、その役者さんがどのくらい元のところからその演技を引き出しているのか、相手役に対してどの程度の関係性や行動の目的を意識しているのか、そんなことが透けて見えてくるようで、生意気ながらも非常に面白い。

「あ〜、お芝居っていいなあ」
「今日は劇場に来て本当によかった」
「感動したなあ」
つまり、心が動く。言い換えれば「面白い」。
「面白い」というのは「悲しくて涙が出た」「可笑しくてお腹かかえて笑った」「思い当たることにドンピシャでじ〜んとした」なんていうのが、みんな含まれる。

コントも演劇も、日本で上演されているものを考える時、それは大抵の場合日本語で話され、つまり大抵の場合万人に通じ、時に設定こそいくらか突飛ではあっても、舞台の上で行われる動き自体は大抵のお客さんには「目で見て理解できる」ものだ。

では、私(たち)が今まで何十年も勉強してきたこと、そして今、普段舞台でやっていることは何か?
日常生活ではまず着ないドレスを着て、普通に生活していたらまず目にしない楽器を使い、現代日本から遠くかけ離れた何百年も前の、異国の音楽を供給している。そしてそこで使われる言葉は日本語よりも外国語の方が圧倒的に多い。

素材もフィールドも違う、比べること自体無意味だといってしまえばそれまでだが、私が日々の仕事のなかで一番大切だと思っているのは、とにかく「お客さんが楽しいこと」。
私たちが何かをやることによって、そこにいる人の「心が動く」こと。
今に生きる「日常」からどれだけ隔たれた素材を使ったとしても、それはもちろん可能だし、実際お客さんからはいつも、そういう反応をいただいてはいる。
でも、もっと、もっと何かいい方法はないのか?
何か他のもの、異質なものに「迎合」するのではなく、今ここにある音楽そのものが、まるであたかも日常茶飯事のように、すんなり楽しいものになること。

最近、コントや演劇にちょこっとだけ嫉妬している。
考えてみると、今自分が「面白い」と思っているもの、そして世の中が「面白い」と認めているもの(大衆に組みするな、とはいっても、これは案外大切ですよ)、全てに共通していることがある。それは「何かひとつに留まっていない」ものだということ。つまり、何か「こういうものです」と定義したり、ジャンル付けしたり・・・なんてことからまるっきり離れているもの。
今日の演技のダメ出しではないけど、「自分でリミットをつくっちゃいけない」ってこと。
そういえばラーメンズの小林賢太郎さんがどこかでおっしゃってましたよね、「だれも禁止してないのに、だれもしてこなかったこと、をする」って。
「何でもあり」ってすばらしい。
「何でもあり」万歳!
(しかし、そこにセンス、というものが問われます、もちろん・・・・)

P.S.
今年もお世話になった、サードステージのワークショップ。
ほんとに参加してよかったです!!
今年教えてくださったのは、演出家の板垣恭一先生
日芸ご出身→第三舞台→フリーの演出家、として活躍されている方です。
(すみません、演劇界にはまったく疎いもので、全く存じ上げておりませんでした・・・)
ムダのない、ウソのない、演劇論。とてもわかりやすくて、いいお話がたくさん聞けました。
私のような素人が参加できたなんて、ほんとにありがたいことでした。
できるだけ頻繁に、また体験してみるつもりです。
お芝居ももっと見に行こうっと!
[PR]
by saskia1217 | 2007-07-09 01:23 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)