愛してる〜〜〜っ!

・・・って、今日一日でいったい何度言ったんだろう!!
いや「言った」というより「叫んだ」に近いか・・・・??

サードステージ(劇団「第三舞台」)ワークショップ1日目。
西新宿の新宿村という、相変わらず工事現場みたいな建ち方をしている稽古場で、午後みっちり5時間。
この「演劇初心者でも参加可」のワークショップ(これがね、劇団主宰のWSでは、なかなか無いんですね)、私が初めて参加した昨年は、延々5時間ほどシアターゲーム(演劇を学ぶときに多くの人が経験する、声や身体を使った簡単なゲームのようなもの)をやり続けるというものだった。肉体的にはちょっぴりキツかったのだが、受講生10人弱、私のような本当の「ど素人」の方も多く、ほのぼのしながらめいっぱい楽しんだという感じだった。

今年は30人弱。みたところ、演劇経験者のほうがずっと多い。アーティストや役者さんにはありがちだが、年齢不詳という印象の方も多かった(笑)。10代の役者志望の若者から、私みたいな○○もいて、かなりバラエティに富んでる感じ。

・・・・で。
面白かったですねえ、じつに。
演劇のWSって、こういうことがやりたかったんですね、私。

いろんなエチュードをやったけれど。
歩くことから始まって、そういった行動に意味(目的)を持たせることによって、演技がどんどん変わっていくのが面白い。最初はその「関係性」(シチュエーション)を演出家の先生に与えてもらって演技するのだが(今どんな所に誰といて、その人とはどんな関係で・・・など)、そのうちそれを自分でどんどん作り、またすぐに別のシチュエーションに切り替えて同じセリフを言ってみる、といった練習。
ひとり、2人1組などいろいろなパターンでのシチュエーション。
ダンスのWSなどでもよく行われる「初対面の2人の距離感」を実感させるエチュードなどは、自分がどのくらい他人を受け入れやすい(にくい)人間なのか、なんてこともわかってちょっと面白い。

「愛してる」の他に今日山のように発したセリフは、どれもシンプルなもの。
「好き」「おはよう」「ありがとう」「さようなら」・・・
でも、こういう「プラス」方向の言葉よりも、「マイナス」方向の言葉のほうがずっと難しい。
それを実感したのが「死ね!!」「死ねばいいのに・・・」というセリフ。いろんな声の高さとスピードで、いろんな目線で、いろんな立ち方で、相手に面と向かって。
こわいですよ〜、これ。自分で言ってみて、また言われてみて、涙出てきちゃうんですよ。それほど言葉ってスゴイ。実際相手が自分の前に立っている状況で、その目をまっすぐ見て、本気で言ってみて下さい。両方かなり傷つきます。
でも「意外とこれが上手い人が必ずいるんだよね〜(笑)」と、先生。
この「演技」という行動にちょっと慣れてくると、こんな言葉さえもパッと切り替えて真剣に言えるようになる。そんな自分もちょっと怖いけど(苦笑)。
で、これをやった後は、ちゃんと相方と握手して笑顔で挨拶しないと、気持ちがすっきりしないんだなあ。ほんと不思議。演技ってある意味人を殺せますね、ホントに。
「死ね!!」と叫びながら私は、昨年聞きに行った蜷川幸雄さんと近藤良平さんの対談で蜷川さんがして下さった「千の目、千のナイフ」の話を思い出していた。

今日いちばん難しかったこと、2つ。(「一番」と「2つ」って矛盾??)
「かなりの近距離(50センチくらい?)にいる相手に向かって言う『好き』」
ちょっと離れて(2メーターくらい?)相手に「好き」っていう場合、結構いろんなヴァリエーションが次々浮かんでくるんだけれど、近いと自然と「大きな声」を使わなくなる分、「好き」の種類が断然減っちゃうんですよね。これは難しかった。

「恋愛感情としての『好き』を言われて、それをかなり前向きに受け止める『ありがとう』を言う」
これも両方の役をやったんですが、「好き」って言う方は比較的いろいろ出来るし、伝わりやすい。でも「受け止める側」が、どうしても「社交辞令」や「ちょっと冷たい」「興味ない」つまり「相手を受け入れる気がない」方向に行ってしまいやすい。「ありがとう」のセリフのちょっとしたニュアンスとか語尾とかで随分変わってしまうし。これはね〜、どうしても上手く出来なかった。

一番楽しかったのは・・・
「ここは断崖絶壁、その先は海。ここで『好き』と言ってその気持ちを見ている人に伝えて下さい」というエチュード。
これは1人ずつ演技をして、見ている人が採点する方式。「好き」という気持ちが伝わったなら得点。
いや〜、26人それぞれのシチュエーションが面白くって。
私?
私は自分の番が来るまでにいくつかシチュエーションを考えたのだけれど、似たものを演じた人が居たので、ちょっと自信が無かったほうの設定でやってみた。
「車で1人でこの崖に来た。海や空が広がっていて美しい。心はいっぱいいっぱい。好きな人のことが頭から離れない。小さい声で何度も『好き』と言いながら(でも声にはならない)崖っぷちに向かって歩いて行く。海に向かって『好き〜〜!!』と叫びたいと思ったが、あまりにもベタなのと恥ずかしいのとでそれをすることをやめ、断崖の上に寝転び、広い空をみて『好きぃ〜〜〜!!』と叫ぶ」
(うわっ、書いてるだけで恥ずかしい・・・演技ですよ、演技。設定ももちろん架空、いうまでもなく!!)

私の「好き」は、伝わった人とそうでなかった人がいて、シチュエーションの感じさせ方も時にはかなり必要なことも実感(見ている人はやはりそれをどこかで要求するものね)。車から降りてドアを閉める演技ひとつだって、かなり難しい。頭のどこかで常にダメ出ししながら演技するのも良くないんだけど。
先生の今日のイチオシキーワードは「目的」。
演技とはすべて「目的」に尽きるってこと。「目的」が明確じゃないと、演技がぼやける。例えば脚本を書くときは、登場人物の「目的」の設定なしには、ひとこともセリフは書けない。上手い役者さんは「目的」を創りだすのが上手いから、光る。
故黒沢監督が「『歩く』演技なんて無い、『行く』演技があるだけだ」とおっしゃったとか。
う〜ん。
役者さんの台本には、びっしりと書き込みがしてあることが多いけど、セリフの行間を読んでシチュエーションや細かいニュアンスなんかを積み上げて立体化していくって、大変な仕事だけどものすご〜く楽しいだろうなあ。(小林賢太郎さんも、その「戯曲集」のあとがきで、その作業を『平面を立体化していく』と表現されている)
私たち音楽家が、楽譜を読んでいって、あれこれシチュエーションを考えて、時にはストーリーも作って、ひとつの物語をつくりあげていくのと、その部分はちょっぴり似ているなと思う。

「面白いもの、面白いと言われているもの、を見た方がいい。
そして好きだと思うもの、好きだと思うことを追っかけて、とことん好きなことをすればいい。」
今日指導してくださった演出家の先生が役者志望の人に「何をすればいいですか」と聞かれたときにかならず答えるという言葉。
いろんなものを「観察する」こと。これって面白い。
いつか近藤良平さんが「電車になんか乗ると、周りの人が全部気になっちゃって、本なんか読んでいられないんですよ」と話してらしたことと、なんとなくリンクした。

じつは先日、ちょっとした発見をした。郵便局に行ったら思いのほか混んでいて、いつもなら私はそういう時ちょっとイライラするのだ。が、ちょうどいいことに頭のなかがすっかりラーメンズ状態だったせいで、その郵便局のその状況(窓口で無理難題を言うお客、横入りするおばさん、てんぱる局員さん、イライラと待つ若いサラリーマン・・・)が急にぐわ〜んと自分から離れていったように、あたかもひと幅のコントの舞台に見えてきて「あ〜、これコントだったら、今のこの状況からどんな話に繋がっていくかな〜」なんて楽しんでしまったのだった。自分でもちょっと狐につままれた感覚だったけど、人生こういうのも悪くないな〜、コントって素敵じゃん、と思ったのだった。(ん?)

ただでさえ長い話がまた脱線してしまった・・・凹。
面白かったこと、感心したこと、ほかにもたくさんあったけど、このWS、また2日目も残ってるので、その後またきっと書くと思う。
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WS終わって、日が暮れて・・・新宿の空から。
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Commented by 麻里瑠 at 2007-07-07 23:12 x
楽しそうですね!面白そう!!演技、とは言え、自分の感情を表現するって難しいですよねぇ。なるほど、マイナスの言葉の方が表現し難い・・言葉って、すごいエネルギーを持っていると思います。こういった経験って、生活の中でも活かされますね~。
人間観察と言えば、最近、昼間、デパートで買い物をしている50歳、60歳以上のおばさまグループの行動を何気に観察しています。皆さん、それぞれ品があって、着ている服やアクセサリーなど、チェック。中には、素敵なマダムもいらして、見惚れてしまうほど。
また、お邪魔します。
Commented by saskia1217 at 2007-07-09 00:33
麻里瑠さま
人でも物でも景色でも、「観察」するのは本当に面白いです。
でも私の場合、「この人は家でどんな格好してどんな風にしゃべってるのかなあ」とか「どんな食べ物が好きなんだろ」とか「故郷はどこかなあ」「子どもはいるかなあ、いるとしたら何人かなあ」とか、あんまり自分の役にはたたないこと(笑)ばかり考えてしまいます。
by saskia1217 | 2007-07-06 01:29 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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