ラテンの匂い

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1年の半分が終わりました。
これは2日前、木曜日の夜明け。
こう毎日朝から蒸し暑いと、もうこれはそういうものなんだ、と思うしかない。
そうすれば受け入れられるよね、どんなことでも。

なんて思いつつ、その日にふと借りてきたビデオ3本。
ウォン・カーウァイ監督「ブエノスアイレス」(97年、香港)と、「空飛ぶモンティ・パイソン」の1~2巻。

先週の水曜WANTEDで最後に流れたCaetano Velosoの「Cucurucucu Paloma」にいたく心を動かされ、全く知らなかったこのミュージシャンをさっそくリサーチ。
なんだ、ものすごい巨匠だったんですね。おまけにこの5月末に来日していた!(聴き損なって残念だったな)
番組でこの曲をリクエストしていたコンドルズの青田さんは「夏の朝にぴったりの曲」と解説されていたが、空も少し灰色で蒸し暑い空気が淀んでるような、そんな朝に合うように思う。で「何かの映画に使われていたのを聴いてヤラれてしまったんです」ということだったので、それが何の映画なのか調べてみたら、「ブエノスアイレス」だった。なんだ、これって以前から「いつかレンタルしようと思ってるビデオ」リストに入ってたよ〜。
普段アジアの映画は全く見ないが、これはあちこちでいろんな評価も聞いたし、遅ればせながらレンタル。

ん〜、美しい映画だった。絵がいいですね。
私は香港もブエノスアイレスの街も知らないのだけど、もしかしたらこの2つの街には、何かとても似ている、いや同じような色の空気が流れているのかもしれない、なんて思った。
(香港はドイツに留学する時、生まれて初めて飛行機にのって乗り換えをしたところなので、「空港」のみ知っているが、あの殆ど99%かと思えるほどの湿気と、そのせいか空港の人々の茹だった感じの働きぶりがかなり印象的だった。飛行機がまだ夜景のビルの間をすり抜けて着陸してた頃です・・・ブエノスアイレスはもしかして、もっと空気は乾いてるのかしらね?)
女性があんまり出てこないところが、なんか風通しがよくって好き。それなのに、そこにいろんな人の気持ちの流れが感じられて、それが南米独特の風景とか食べ物とかと相まって、心の奥深くに染み入ってくる感じ。

例の「Cucurucucu Paloma」は、映画冒頭近くのイグアスの滝のシーンのバックに流れてました。この滝は、ストーリー上重要なキーワードなのですが、映画の最後近くに再び出て来る同じ滝のシーンには今後はピアソラが使われていて、同じ風景なのにそれがこのストーリーの最初と最後だという意味が込められているような気がして、うまいなあ、と感心。

しかし、ポルトガル語の響きって、ほんとにいいなあと思う。スペイン語ともちょっと違う、あのなんとも中途半端な感じが好き。(ちょうど、オランダ語の中途半端な可愛い響きが好きなのとおんなじ感覚、かな)
もちろんブラジルのポルトガル語は、ポルトガルで話されているポルトガル語とは違うらしいけど、Velosoについて調べているうちに、どこかの音楽評論家が書いていた「もし、最初にアメリカを支配したのがイギリスでなくて、スペインだったとしたら、世界の、特に音楽シーンの中心になる言語は英語でなくてスペイン語を始めとしたラテン系の言葉だっただろう。そうしたら今の世界の音楽はまったく違った傾向になっていただろう」という、歴史には禁句の「もしも話」を見つけて、あ〜面白いなあと思ったのだった。たしかにね、ポップスの世界ではやっぱり英語が絶対的なマスを占めているものなあ。

そういえば今週のWANTEDの最後に流されたのは、Isabelle Antenaの「Le Poisson des Mers du Sud」だった。これは何年か前のNHKのテレビフランス語講座のテーマになっていた時に私もとっても気に入って、CD見つけてきた大好きな曲。
夏にはこんなボサノバ系の、やっぱりラテン系の言葉がのっかった曲がいい、という当たり前のことをも再認識。

Velosoの優しいポルトガル語を聴いているうちに、やはり思い出して引っ張りだし聴いてみたMadredeusのアルバム。何年か前に日本でもCMをきっかけにヒットした、アコギに女性ボーカルという実にしっとりしたポルトガルのグループ。

湿気に包まれ音の波に揺られながら、昨年事故で急逝した、親友のご主人のことが想い出されてならない。彼はポルトガルの人で、私やその親友と同じ奨学金でドイツで勉強し、その後ハレの大学で働いていた研究者だった。小柄で優しそうで、でも時々人懐っこそうな表情でとんでもない冗談を言ったりする人だった。私のコンサートにも、よく親友と一緒に聴きにきてくれたし、彼らの結婚が決まってからも東京にも私を訪ねてくれた。私たちはいつもドイツ語で話していたので、彼が母国語で話すのを聞くことがあまりなかったのを、今とても残念に思っている。
彼は今、天国でどんな音楽を聴いているのだろうか・・・・
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by saskia1217 | 2006-07-01 15:07 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217