年月

汗ばむくらい陽気のよかった今日。
こんな日にお誕生日、それも還暦を迎えられた方。やはり普段のお心がけが違う、またはそもそものご人徳のなせる技でしょうか(笑)。

20年来のお知り合いで、大変お世話になっている音楽学者I教授の「還暦をよろこぶ会」が、都内で開かれ、私もパーティーに出席させていただきました。パーティーに先立つコンサートで少し弾くお役目をいただいたのですが、「親しい集まり」と伺っていたのですっかり安心していたところ、じつは160名という大変に大きな集まり、それも各界からいろんな方が出席されておりました。さすがです。

どなたかがおっしゃっていたとおり「還暦をお祝いする会」というのはよく聞きますが、「還暦をよろこぶ会」というのは確かにあまり例を見ません。とてもいいネーミングだと思います。つまり皆が「よかったですね〜、本当におめでとうございます!」と笑顔で言っている光景が目に浮かぶタイトルです。
そのタイトル通り、コンサートの部では私が参加したチェンバロを含むアンサンブルに始まり、声楽、ピアノ、弦楽器、そして新曲献呈、最後は長唄人間国宝の方をまじえた邦楽の方々の現代ものの曲、とバラエティーに富んだ「よってたかっておめでとう」攻勢。後半は客席で聴いていたのですが、どの演奏も心がこもっていて、晴れやかで、とても楽しかった。それを受けられる主役のI教授のみならず、他のお客様も大変楽しまれているご様子でした。

しかし、こういう「お祝い事」には、どうしても洋楽より邦楽がしっくりくるように思います。今回「お祝いの席」にふさわしい曲を見つけるのが実はとても大変でした。バッハ研究で著名なI教授ですから、まずバッハの作品から捜したのですが、結婚祝い、教授就任祝いなどの音楽はあっても、まあ編成の制約もあったりして「これだ!」というものにはなかなか出くわさないのですね。そこへいくと、邦楽には松とか亀とか鶴とか、よくわかりませんが(笑)とにかく「おめでたい」とされている内容の曲がたくさんあります。おまけに金屏風、緋もうせん、紋付袴と見た目もゴージャスかつ折り目正しく、とても「おめでたい」感じがします。やはり「還暦祝い」などという概念は、日本のものと折り合うのでしょうかね・・・

続くパーティー部門では、来賓の祝辞や海外からの祝電などに続き、ゲームも行われ、参加者どうし初対面の方とも打ち解けて、多くの方とお話することが出来ました。主賓I教授とゆっくりお話するのはさすがに無理でしたが、先生はひしめくお客様の間をこまめに縫って歩かれ、1人1人に声をかけて下さっていました。

思えば20年前、バッハのカンタータに出会ってチェンバロ科に進むことを決めた時、「バッハの演奏、理解に果たして『信仰』は必要か」などという、今考えると何だか力の入りすぎている難題に信じられないくらい悩みとおしていた私にとって、おまけにそんなことを初対面の先生にぶしつけに投げかけた一大学生にじつに真摯にご自身のお考えをお話くださり励ましてくださったI教授は、やはり大変大きな影響を受けたお一人だといえるでしょう。
気がつけば、今私はあの時の先生の年齢にすでに達してしまっています。この20年間の先生の勢力的なお仕事を思う時、私は一体何がして来れたのかなあとしばし反省。
これからの20年、I教授自らおっしゃった「一番充実していたのは50代」というセリフに少しでもあやかれるよう、そしてその「お仕事の密度」を見習って、いい仕事をしていきたいものです。

I教授の御健康と、益々のご活躍を、心よりお祈りしたいと思います。
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by saskia1217 | 2006-05-01 01:41 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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