メダル

オリンピックも後半に入り、日本がまだ1つもメダルをとっていないと、メディアはさかんに焦っている。

メダル・・・・つまり1位から3位までってことだけど、オリンピックという世界レベルの戦いでメダルをとるって、よ〜く考えてみると、とてつもなく大変なことだ。夏でも冬でも、過去のオリンピックで、日本選手が何らかのメダルをとることはそれほど珍しいことではなかったのだから、もちろん今回だって「いくつか取るだろう」くらいに、ごくごく一般的な国民は思っていただろうし、私も漠然とそんなふうに思っていた。

音楽や美術の世界と違って、スポーツというのはきっちりタイムが出るもの(もしくは何らかの「規定」が明記できるもの)だから、「勝ち負け」は誰にも文句がつけられない。勝ちは勝ち、負けは負け、金メダルは1人なのである。
私が唯一知っている「競争」は音楽のコンクールだけだが、大抵の場合それは6〜7人だかの審査員によって採点されるから、勝ったといっても「たまたまそこにいたその6〜7人がいいと思った」だけのことだとも言える。だからある意味「聴衆賞」なんかをもらうほうが、真に嬉しかったりもするのだが。(ま、でもそれも「たまたまそこにいた千人がいいと思っただけ」なんだけど・・・笑)つまりある意味、勝っても奢らず、負けてもなんとか自分を納得させられる、というところがある。

ついでながら私個人は経験上、コンクールでは「1位」を取らないと意味がない、と感じている。もちろん1位になっても一生が保証されるわけでもなく、大きな国際コンクールで優勝したってその後まったく演奏の場を失ってしまったケースも少なくないのは承知のとおりだ。
でも、2位や3位(いわゆる「由緒ある」コンクールでは「○位までは『入賞者』と名乗ってよろしい」という規定まである)と、1位に与えられるその後の仕事のチャンスは歴然と違っている。どうせ受けるなら、1位にならなきゃ損だな、と思う。

私自身は大きなコンクールでは1位をいただいたことはないが、留学してからはほぼ1年に1つの国際コンクールを受ける機会があった。チェンバロのコンクールは数がそう多くないので、開催されるものを片っ端から全部受けるという形になる。面白かったのは、世界中から集まる同年代のチェンバリストたちと、毎年必ずコンクールで会えることだった。再会も楽しいし、お互いの演奏を毎年聴けるから、彼らが1年でどう変わってきたかがよくわかる。敵対心むき出しで挨拶もしない人もいれば、本選に残ってオケと弾くコンチェルトのリハーサルを、ファイナリスト同士聴き合ってアドヴァイスを出し合ったりすることもあった。←いい話でしょ?(笑)
「プラハの春」コンクールでは、指揮者のあまりの下手さに、ファイナリスト5人団結してコンクール事務局と審査員に、指揮者を替えてくれないとボイコットするぞと抗議をしに行ったこともあった。必死だったんだな〜、あの時は・・・

他にも、コンクールのいいところは、著名な審査員に直接助言を仰げることだ。たとえ予選で落ちても、直接彼らのところに言って話を聴く事ができるのは貴重な経験だ。助言と共に「私はあなたのこんなところが好きだった」という励ましを受けるだけで、若い演奏家にとっては大きな力になる。
コンクールの思い出は星の数ほどあるが、それはまた別の機会に。

話題がそれた(・・・いつものことか〜)。
トリノで戦っている日本選手は、たしかにそれぞれが全力を尽くしていることが、画面からひしひしと伝わってくる。ここまで来るのに、いったいどれだけの道のりがあったことだろう。そして体調管理、メンタルな調整に追われながら、ただ一瞬にかけて競技に挑む。これ以上何を望めるんだろう。
「(メダルがとれないのは)たるんでるからだ」と一喝した石原都知事は本当にどうかしている。「結果がすべて」という厳しさは必要だろう、でもそんなことは選手自身がとっくにわかっていることだ。メダルがとれない、とれなかったと地団駄踏んで悔しがるのが選手自身ならばいい。メダルのことで一喜一憂するTVの向こうの国民はいただけない。

オリンピックに参加し、終わって、選手1人1人がそれぞれ思うところがあり、今後につなげ、またそれを見ている側は競技の楽しさや、数々のドラマを教えてもらったり、そんな選手の姿をみていろいろ考えさせられる、そういう収穫こそが、オリンピックの良さだろう。
メダルを期待して応援する気持ちはわかるけど、もういいよ、「メダル」っていう言葉は!
[PR]
Commented by 某閑人 at 2006-02-22 20:16 x
本当!その通り!
メダルは、誰かしらもらっている訳だし、世界のアスリートは皆がんばってる訳だし、、、
努力しない人間ほど、人に勝手な期待をして、それでいて人をねたみますよね。
そして、こういう時だけ日本国民であったりして、、、
「まえはた がんばれ まえはた がんばれ!」
あの挑戦者であった時代は、どの国でも、何時の時代でも、同じであって欲しいんですけどね!
あっ でもWカップ(サッカー)は、今でも挑戦者の国なので、日本を応援しますけどね!
Commented by saskia1217 at 2006-02-22 23:13 x
ふふふ、サッカーWMは私、やっぱりドイツと日本のどっちかが勝てば、大変満足です・・・ん〜、ありえないかな・・・えっっ??どっちが、って???
Commented by きょろ at 2006-02-23 13:20 x
久々にお邪魔しまーす。トリノオリンピック、ついつい見てしまいますね。
初めて見る競技があったり、日本人だけじゃなく各国のそれぞれ個性的な選手のプレイが見れて、毎日楽しいです。
メダルの件は同意見です。
メダル取れなくて「情けない」とか「不甲斐ない」とか言っちゃうのは、どうかと思う。頑張った結果なんだから、とにかく受け入れてあげたらいいのに・・・
開会前から「ここの競技で金メダルが何個、ここで銀メダルが何個・・・」みたいな予想してる番組見て、虫唾が走りましたよ。
みんな金メダル目指して頑張ってるんだから、こんな失礼な話はないですよね。
明日はいよいよフィギュアのフリーですね。
フィギュアは見てるだけでうっとりするので、ホント楽しみです♪
Commented by saskia1217 at 2006-02-23 19:24
きょろ様
おひさしぶり〜、そちらにも時々お邪魔しています!気の利いたコメントができそうもなくて、いつも無言でごめんなさい!同感してくださって嬉しいです・・・いやいや、オリンピックもあっと言う間に終わっちゃいますねえ。そうそう、3月からやっと仏語(プライベートグループ)再開します。もとAで習っていた会話の先生ですが、すごくよかったのに辞めてしまったので、皆で頼んで開いてもらいました。でも11月からのブランクが・・・またご一緒したいですねえ。
by saskia1217 | 2006-02-22 00:55 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(4)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217