すごいな道元

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またか・・・と言われそうなのだけど(笑)
10月に永平寺での4日間の参禅修行から帰ってからおよそ1ヶ月くらいの間に、気がついたら結構な数の本が手元に増えていた。
どうしても欲しいものだけをしかも古本中心に集めたのだが、「正法眼蔵」に至ってはあと7巻もあるので(苦笑)まだまだこれから増えそうだなあ・・
(お経本は実家から発掘したもの・・・笑)

「食う寝る坐る 永平寺修行記」だけは、東京に帰ってすぐに注文し、届いて2日間で一気に読んでしまった。
この本のことはまた後日書きたいと思っている。

どれも面白いのでどれから読み始めていいか困った。
ちょうど折しもNHK・Eテレ「100分de名著」が始まったのでそれは番組と共に読んだ。
それもあって、やっぱり道元禅師に向かうなら、まず真っ正面から「正法眼蔵」だろう、と。
聖書みたいな超大作だから、きっと時間はかかる。
いくつかある版のうち迷った挙げ句チョイスした原語と注釈と現代語訳が併記してある、講談社学術文庫のもの。
昼間、移動中や待ち時間空き時間、家にいる時間などにはこれをちまちま読んでいくことにした。
そして、おんなじくらいすぐに読みたかった「正法眼蔵随聞記」(道元の弟子である孤雲懐奘禅師が、師の道元禅師からの教えを書き留めたもの)を、夜寝る前に読むことにした。これはエッセイみたいに、ひとつひとつの話が比較的短く、おまけにちくま学芸文庫の水野弥穂子さんの訳が素晴らしく明解で分かり易いので、寝る前にウンウンうなる必要もない。

昨夜読んでいた章が、短いのにあまりにもハッとしたのだ。
「法談の次に示して云ク、直饒我レ道理を以て道ふに、人僻事を言フを、理を攻めて言ヒ勝ツは悪しきなり。
次に、我れは現に道理と思へども、「我が非にこそ。」と言ツて負けてのくもあしばやなると言フなり。
ただ人をも言ヒ折らず、我が僻事にも謂ヒおほせず、無為にして止めるが好キなり。耳に聴キ入レぬやうにて忘るれば、人も忘れて怒らざるなり。第一の用心なり。」

(訳)
「法の話をなさったおりに、教えて言われた。
よしんば自分は道理にかなったことを言っているのに、相手が間違ったことを言っても、理屈で攻めて相手を言いまかすのはよくない。
また次に、自分では、たしかに自分の方が道理に合っていると思っても、「わたしが間違っているのでしょう。」と言って、敗けて引きさがるのも、あきらめが早すぎてよくない。
ただ、相手もへこませず、自分の間違いにもしてしまわず、何事もなく、そのままにしておくのがよいのである。相手の議論も、聞こえないようにして、気にかけないと、相手も同様に忘れて、怒りもしないのである。何より大切な心得である。」

すごいなあ!
まるで目の前に道元が現れて諭されてるみたいに電撃的だった。
今はもうずいぶん治ったと思っているけれど、ドイツから帰ってきてから暫く、私は話し相手を「こちらの道理を出来るだけ強烈に示して打ち負かす」という所謂欧米風の会話を、平気でしていた(ようだった)。
家族からさんざん注意され、悲しまれ(時に母には泣かれ)、さすがに直接は言わなかった友人知人もきっと同じ不快感を持っていたに違いない。
良い悪いという意識はなく、自然にそうなっていたのだと思うけれど、厄介なのは自分でそれが「相手を不愉快にさせている」ということに全く気づかなかったことだ。

なるほど、この道元の言葉、冒頭は「ほう、そうか。言い負かすというのはやはり良くないのだな。日本の美徳でもあろう」なんて感心するのだが、それよりも面白いと思ったのはその次。
「自分が違っている、と引き下がるのもよくない。どちらでもなく、決着をつけることなく、そのまま流す」のが良い、というところ。
うやむやにする、ぼかしておく・・・それはついつい、日本の「悪いところ」と思われる事が多いけれど(特に西洋に近い意識を持った人には)、いやいややっぱりね、これってすごく大事なことかもしれない。

目の前にあることをそのまま受け止め、肯定も否定もせず取り込んで、自分がまるで金網かフィルターになったようにそれを通してやる。
「坐禅の途中に何かが頭のなかに浮かんでくる、そのこと自体は悪い事ではないが、それを膨らませないでそのまま流してゆかせる」という曹洞宗の坐禅の心得を思い出した。
対話、対人に於いても、相手を無視してそのまま「聞かない」のではなく、ちゃんと聞いて受け止めた後でそれを流す、ということなんだろう。
対人関係のノウハウ、ということ以上に、真剣に向き合いながらも怒りや衝突を避けることが出来る術。
いつも相手をまっすぐに見つめ、凛としている僧侶の姿のような、そんなイメージを持った。

道元。
意外と頑固だったとも聞くけれど、そんな人間味も含めて、ホントに恐るべし方である。
何年かかるかわからないけど、「正法眼蔵」どんどん分け入っていこう。




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by saskia1217 | 2016-12-29 01:42 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


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