八雲たなびく〜その四・御崎〜

旅先だと苦もなく早起き。
出雲2日目。
行きたいところがありすぎ。
数々の候補から泣く泣くひとつだけ決めたのは、御崎の神社。
日御碕神社。

出雲市駅前から朝8時半のバスに乗って終点まで、約45分の旅。
出雲大社を経由して、後半はずっと海岸線に沿ってドライブラインをひたすら走る。
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♪みっさっき〜、めーぐりの〜、バッスは〜、はーしる〜♪
という、懐メロ(!)が嫌でも頭に鳴り渡る。
信じられないくらいの見事な晴天。
左右をパッチンって持って上へ引き上げる、相変わらず硬くてやりにくくて、懐かしい窓。
大社を過ぎたらもう、お客さんは、私の他には初老の男性が2人だけ。

知らない土地は距離感がわからないから、帰り道は稲佐の浜まで歩いてこようか、なんて思ってたのが、いくら散歩大臣だからといってちょいと遠いのと、歩道の無い絶壁の車道や、トンネルが意外に多いことがわかり、やはりバスで戻ろうと決める。
左側に陣取った私は、もう海ばかり見ていた。
赤潮がひどく打ち寄せているゴツゴツの海岸には、きっと日の出の頃からいるのだろう、釣り人が大勢。
やがてバスは急に下り坂をくねくねと辿り始め、目線の下、こんもりした緑のなかに、目の覚めるような朱色の社殿群がいきなり目に飛び込んで来る。
あれだ!
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すり鉢の底みたいな終点に着いたバスはのんびりと停車。
降りたところにまず、一軒の土産物屋兼食堂。
そして鳥居。
ウグイスの声しかしない。
店先で焼かれているイカのいい香りをかぎながら、鳥居をくぐる。
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入ってすぐ右手には、この神社の神事のひとつ「和布刈神事」のレリーフ。
ここから少し北東にいった権現島で行われるもので、このあたりではそれが終わってからワカメ漁を始めるとか。
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正面に、この素朴な緑の山と青い海にそぐわないような、いやそのコントラストこそ目が覚めるような美しさがあるのか、朱色に輝く楼門がそびえる。
この神社もあちこち修復中で、おそらくこの門は修復が終わったばかりで余計ピカピカな感じ。
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そのまま正面には下の宮「日沈宮」が堂々と構える。この神社の現在の建物は、家光公の命により松江藩主が着手したもの。
御祭神は天照大神。
「伊勢神宮は日の本(日本)の昼の守り、出雲の日御碕清江の浜に日沈宮を建て日の本の夜を守らん」という神勅によるものだとか・・・で、天照なんだけど日沈宮。
立派〜!
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海風が開け放された拝殿をダイナミックに通り過ぎる気持ちよさ。
とにかく、朝早いせいか、社務所に控える巫女さんと、境内を黙々と掃き清める年配の男性の姿以外、だあれもいない。
そして、ウグイスの声しかしない。
周り三方を山に囲まれ擂り鉢状になっているせいか、そのウグイスの声がひと際よく響きわたっている。自分の足音さえうるさいほどだ。

右手の小高いところにはもう1つのお宮、上の宮「神の宮」。
こちらの御祭神は弟の素戔嗚尊。
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小高いところから海の方向に境内を見下ろす。
日沈宮の千木は垂直なんだね。天照でもこんなことはあるよね。
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あまりに静謐で、あまりに心地よくて、ずうっとここに居たい、って気持ち。
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上の宮の脇に小さな祠、そしてこの赤い鳥居はきっと・・・
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どんどん山のほうへ登ってみる。
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なんだかどうしても行かなきゃならない空気というか、吸い寄せられるようでちょっとコワイ。
伏見のお山で感じたような。

お。
やっぱりお稲荷さん!
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わお、神様がいっぱい(笑)!
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ひとつひとつお名前が書いてあったのだけど、聞き慣れないものもたくさんあって、たぶん地元由来の神様(または別名)なのかもしれないなあ。
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いろんな摂末社。
こちらは「綿津見大神」と書いてあった記憶が。
さすが海辺の神社だなあーとしみじみ。
東京じゃあんまり見たことないもの。
社務所の近くには舞楽殿。
入り口にちょこんと、浅沓が!
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かなりのんびり過ごし、再び楼門をくぐって外へ。
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境内の外にもいろんな摂末社があるのねー。
祖霊社。
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これは出雲教の建物。日御碕神社とおなじ神紋が。
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さてー、帰りのバスの時間まで中途半端に30分強ある。
バスの本数が少ないので、逃すわけにもいかない。
時間があったら灯台まで行ってみたいと思っていたけど、どうしたものか。
そういえば、車窓からみただけで、海を見てないな。
海のほうに行ってみよう!

神社の周りには小さな集落。
海に向かって路地に入ってみると、年配の女性が大きな樽で海藻を洗う作業をしていた。
なんだこの、「世界ふれあい街歩き」みたいのは(笑)。
「おはようございます!」と声をかけあい、いくつか角を曲がると、急に海へ出た。
海に向かって建つ鳥居は、神様が海からやって来て去る、という実感がある。
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わー、なんだこれは!
港のすぐ先に島。
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そして無数の鳥、ものすごい鳴いてる(笑)。
そうかー、これが、野生のウミネコで有名な、経島(ふみしま)。
広々とひらけた海岸に一人ぽつんと立って、島の頂上に建つ鳥居を眺めていると、ウミネコが目の前の空をかすめて縦横無尽に飛び交う。
島にはビッッッシリ、ウミネコ。
数が数だけに、声もすごい。
音を残したくてムービーなんか撮っちゃったりして(笑)。
細い道が高い崖沿いに昇っている。たぶん、灯台に行く道だな。
灯台まで徒歩15分くらいときいた。
ま、時間が危なくなったら引き返してくればいいや、と登ってみる。
登るにつれて、経島の全貌が見えてくる。
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しばらく行くと真っ白い灯台が見えてきて、民宿や食堂が数軒たちならぶ集落へ出た。
ああ、こんなところに誰にも居場所を教えず、何日か泊まってひっそりしてみたいなあ(笑)。
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店先でイカを焼くいい匂い。
小さな祠の前で、海藻やイカを天日で干すおばさんと「おはようございまーす!」と挨拶しながら。

灯台までわたしの足で5〜6分!(笑)
青空に白く輝くその姿は、近づくほどに迫力を増す。
ほんとに凛々しく美しい。
周りの遊歩道は、2時間サスペンスドラマさながらの断崖絶壁だけど、この素晴らしいお天気にはもう、こんな幸せはないってくらい美しく。
空気も、海も、風も、光も、鳥の声も。
最高!
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おもわず、両手を広げて、バンザイ!
目をつぶって、風を感じる。
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灯台は海面からの高さが日本一。
明治に設置され100歳を越えるベテランだけど、現役!
灯台の中には資料室があり、歴史や灯台のしくみなどがわかる。

おっと、そろそろバスの時間。
早足でバス停に戻ると、運転手さんはお土産物屋さんで店主と話し込んでいた(笑)。

帰り道のバスから「神宮寺」の看板も見え、あーそっちも行ってみたかったなあ、次回だな。
そう、それに!
考えてみたら、天照大御神と素戔嗚尊のお宮があって、しかも「夜を司るお宮」のはずなのに、なぜ、3人の姉弟のうち、ずばり「夜」を司る筈の「月読命」がどこにもお祀りされてないのかな?
・・・
じつは、日御碕神社のすぐそばに、ごくごく小さいながらも月読神社があったのだ!(と、あとで知る)
山のほうに分け入る遊歩道の先だったらしいのだが、結講な山の中、道無き道に近いところで、しかもほぼ誰も行かない感じの場所。一人だとちょっと怖かったかもしれない。
ま、たぶん知っていたらゼッタイに行っただろうけれど。
日御碕神社の境内案内や観光局HPなどにも一切紹介がなく…
月読命について記紀にはあまり記載がなく、詳細は明らかになっていない。
領分が領分だけに、やはり意図的にあからさまに表の世界には出されなかったのだろうか。
それでも出雲風土記や万葉集には出て来るし、多くはないけれど伊勢をはじめ各地にお祀りした神社もあるのだけど。
そんな「夜を託された神様」が、神話のことを学び出して以来、とっても気になっていた。

今度今度!(笑)
完璧に制覇してしまうと、もう来られなくなってしまいそうだもの。

さて、バスは再び出雲大社近くの町まで戻ってきました・・・
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by saskia1217 | 2015-05-07 21:24 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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