八雲たなびく〜その弐〜
2015年 05月 04日
あ!
あの岩!
稲佐の浜じゃん!
降りなきゃ降りなきゃ!
大社にお参りする際にはこの浜の砂を持っていくのがしきたり。
とは知ってたものの、まーいいか普通に行けば、なんて思ってた。
通りかかったならちゃんとやらんと(笑)。
海ってだけでテンション上がるのに、テレビや写真でしかみたことのない「あの岩」を目前に興奮。
素晴らしい陽射し、青い海、砂浜。
スニーカーに砂がはいるのもかまわず、岩へまっしぐら。
すごーい!
最近まで海の中だったこの島、昔は弁天様だったけど今は豊玉毘古命がお祀りされてるんだって。
海岸にぼーっと立って沖を眺める。
静か。波の音ばかり。海風が気持ちいい。
ここが国譲りの舞台なのかあ・・・
国引き神話もそうかあ・・・
感慨深いなあ。
しみじみした後は腹ごしらえ!
お目当ての出雲蕎麦。
お店がいっぱいあって迷ったけど、時間節約かつ老舗、という感じで、大社隣りの「八雲」さんへ。
もー正直どこでもいいのだ(笑)、細かいことはいい、ベタに体験したい。
お昼ちょい前だったこともあってそれほど混んでない。
欲張りのワタシは「三色割子」を発注。
軒先に巣をかけひっきりなしに飛び交うツバメの親子を見ながら、お蕎麦が来るのを待つ。
ツユをかけて食べるこのお蕎麦、1椀めに残ったツユを次の椀に注いで食べてゆくらしい。
蕎麦湯がいつもと逆なので(笑)、ツユの入れ過ぎには注意(薄められない・・・)。
江戸の白くて細いお蕎麦も好きだけど、一番好きなのはこういう黒い田舎蕎麦。
美味しかったし、珍しい食べ方で楽しかった!
店内に飾ってある江戸時代の蕎麦猪口なんかを眺めながら店を出る。
目の前には大きな大きな日の丸。
さあ、行こう!
横から入るのはなんなので、二の鳥居(勢溜)目指して炎天下の車道沿いを歩く。
横目に境内の末社なんかが見えたりしてドキドキ。
きたよーーー!
ついに来た!
やっと来られた。
大きく深呼吸。
ゆっくりと歩き出す。
参道を少しゆくと右手に祓社。参拝者はまずここで穢れを清める。
このあたりはかなりの下り坂でちょっと吃驚。
次に見えて来る三の鳥居は鉄製。触ってみたらちょっと熱くなってた(笑)。
ここからの松の参道は中央を避けて脇を歩く。
まわりの山々の緑が素晴らしくて、立ち止まって見とれる。
この先どこにいっても、山フジが見事に咲いてたな。
こんな朽ち果てた鳥居があったり、お馴染みの大国主命の像があったり。
いよいよお社群が近づいて来る。
左手に手水舎。意外と小さくて驚く。大きな神社だから、なんだかものすごく大きなものを想像していた。
さっき見えた日の丸は、近づくと本当に大きい。
遷宮がまだ完全に終わっていないので、このあたりからあちこち工事中の部分が多くなる。
四の鳥居のあたりから白いシートがかぶされていて、拝殿正面からは入れない。
ねじれながら歩いて、やっと拝殿が姿を現す。
うーん、立派だあ。
拝殿の注連縄もかなり大きい。
亀の形をした神紋の上のほうにちょこんとスズメが一羽、いい声でしきりに鳴きまくってる。
歩みをすすめて本殿近くへ。
もちろん八足門からのみ、本殿を透かし見る。
さっきから警備員の姿が目だつ。ここにも一人、近距離で見守る係員が。
昨今、日本国中の寺社で心ないイタズラがひどくなっているから、その影響かなあ。
「罰当たり」ってことを知らない人がいるんだな、日本人なのに。
なにか尊くて大きいもの、神様、仏様、先祖、海、山、天、自然・・・なんでもいいのだけど、それに対するちっぽけな存在としての自分が持たざるを得ない畏敬の念、恐れ、かしこまる心・・・
それこそが、日本人が誇れる美しいDNAなのに。
小さな鳥居を描いておけば立ちションしたりゴミを捨てる人が居なくなる、外国の人から絶賛され不思議がられる規律や思いやり、その全ての根っこはこのDNAなのに。
そんなことを思いながら。
伊勢の八拍手は神職だけだけど、一般参拝者もやる出雲の四拍手は何処から来てるのかなーと思ったら、やっぱりもとは八拍手らしい。十を完全数としてそのひとつ手前(日本は二を単位として考える)の八を採用した、という起源を、千家宮司の弟さんがテレビで語ってらしたっけ。
さてと。
あれを捜さなきゃ。
あったあった、宇豆柱。
昨年東京の国立博物館で開かれた「大神社展」に、出雲からそれはそれはスゴイものばかりがやって来たのだが、その中にあの巨大な宇豆柱もあった。
それが出たのがココ!
この赤い印の場所!
博物館ではガラスに収まった柱を下から見上げていたが、ここへ来ると差し渡し3メートルの実感が湧く。
順序通りに時計反対周りで、摂社めぐり。
釜社はお稲荷さんと同じく倉稲魂の神がお祀りされているけど、まだ御遷宮修復中の素鵞社の須佐之男命が今こちらに仮住まい中。
素鵞社はかなり見たかったからちょっと残念。また来よう(笑)。
ということで本来素鵞社の縁の下にある「御砂」のハコも、今はここ。
稲佐の浜から持って来た砂はここに納め、替わりにこのハコから御砂をいただいて帰る。
お守りになるそう。
瑞垣に沿ってぐるりと歩きながら、聳える本殿を見る。
日本最大級の神社建築。
今の姿でさえもこんなにダイナミックなのだから、ビル6階分ほどあった昔の姿は、現代人がみたとしてもきっとものすごいインパクトだったろうなー。
奥まったところにある渋い建物、彰古館。中は、奉納された大黒様コレクション。今回はスルー。
向かって右側は修復中だったけど、反対側にもある十九社。
これは神在月に全国から集まる神様たちの宿泊所。
長くて圧巻。
満室のときはきっと、夜な夜な賑やかなんだろうなあ。
さて、本殿の西側に来た。
大社のご神体は拝殿正面じゃなく稲佐の浜のある西側を向いているので、神様に向かって正面の西側からも参拝するのがいいらしい。
でもね、本来はこんな目印も必要ないものだそうだ(公式ガイドさんの解説を小耳に・・・笑)。
氏社のうち北側のは、宮司さん=出雲国造・千家家の祖先とされる天穂日命をお祀り。
一巡りしたあとは、白ウサギと大国主命の像をみてその優しさに想いを馳せ、最後に牛(頭がよくなる)と馬(子宝に恵まれる)を撫でて、一旦外へ。
一番有名な注連縄はここだった・・・とこの時やっと思い出した(笑)。
見ないで帰るとこだった。
さすが、1トンの存在感。
その向こう側にある千家国造館の表をチラリと拝見。
さすがに誰かのお住まいとなると、そうジロジロ見る気にはなれない。
ここの注連縄も立派。
なんだか年中お正月みたいな、凛とした感じですね。
再び境内に戻って来ると、御祈祷のためか巫女舞が始まっていて、外国人観光客のビデオと写真撮影の嵐になっていた。ドイツ人一行も・・・みなさんかなり興奮してらっしゃいましたね。
もっと広大で時間がかかるかと思ったら、割合コンパクトで見やすかった。
わりと時間に余裕があったので、ゆっくりと宝物館、歴史博物館も観られるなー。
ラッキー!
(つづく)