ドラマティック

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今日は、友人の一人が趣味で学んでらっしゃる「義太夫三味線」の発表会に出かけた。
すでに4年ほど習ってらして、何度かお誘いいただいていたのが、いつも都合がつかず、今日は初めて拝聴。
新宿駅からすぐの「ほり川」という、ビルの8階にある、お稽古場?演舞場?みたいな小さな和の空間。
あんなところにあんなスペースがあるなんて。

えーと、三味線にはいくつか種類があって、使う音楽にもこんなのあんなのがあって、地方特有の楽器もあって・・・
で、歌舞伎に使う楽器にはこんなのがあって、浄瑠璃っていうのは人形とかこんな楽器とか語りとか・・
大学の「邦楽概論」とか「日本音楽史」とかでやんわり習ったけど、私の知識はそこ止まり。
お能、狂言はかなり好きなので昔からそこそこ観に行ってるけど、浄瑠璃は数回だけ、歌舞伎は全く観たことがないので、三味線は私にとっては意外と馴染みのない楽器なのだ。

今日ご出演の三味線弾きさんは、みな門下のお弟子さんたちなのだが、共演の浄瑠璃は全員プロの女流の太夫さんばかり。
演目は11あって、ピアノの発表会と同じく、後ろにゆくほど経験も深い方が難しい曲を弾く、という構図。
結局最後まで約3時間半、10演目を拝見したが、もちろん知らない曲と内容ばかり、でも全く飽きずに面白く見聴きした。

黒紋付の上に羽織る「肩衣」が美しかったり、曲に合わせた柄だったり。
語りの方がお持ちの謡本(というのかな?)が、神保町の大屋書房で見るような和綴じの筆文字のいい感じだったり、見台の房が立派だったり(あの房は義太夫ならでは、なんだって)、視覚的にもいろいろ楽しい。

三味線は、個人ごとの楽器の違いを越えて、その音質や音量やニュアンスが全員違うのが面白かった。
いっぱいさらうと右手首が疲れそうだなー、とか、ちょっと間違えちゃってそれがすぐ顔に出ちゃったりとか、竿を押さえる左手がガタガタ震えていたりとか、生徒さんならではの緊張感も伝わって来て、皆さんのガンバリに拍手。
何が「良い」のか私にはわからないけど、プロの方の弾き方は「上体は殆ど動かず、左腕、左手、右手がすべるように自由に動く。顔の表情もあまり大きく出さない」というイメージでいたのだけど、生徒さんの中にはギターを弾くように上体や右腕が揺れている方もいたり、顔の表情の作り方も少々現実味を帯びていたり・・・
そういうのも鍛錬なのかなあ。

浄瑠璃を語った方達も、もちろん一流の方ばかりなので皆さん素晴らしく、またそれぞれの魅力があって楽しかった。
どなたの語りも、それはそれはドラマティックで、ちょうど上手い落語家さんの噺に引込まれちゃうのと同じように、もう引込まれまくり。
生き別れ、とか、人殺し、とかそんな話が多いのが義太夫らしいけど、それを一人で、いま目の前で起こっているかのような臨場感をつくっちゃう。
「日本のドラマティック」ってスゴイ。
日本人は表現が下手とか小さいとか平面とか、舞台表現が苦手とか、西洋音楽やっているとずっと言われ続けてきたことが、チャンチャラ可笑しい。
そんなわけないでしょ。
そうそう、個人的には、竹本越孝さんという方の語りがものすごく好きでした。

演目は、トリの「本朝廿四孝・奥庭狐火の段」が好きだったなあ。
もう、なんか、大好きなお稲荷さんのことばっかり考えてた(笑)。
今週初午だなー、王子稲荷さんの狐穴は・・・とか(笑)。
演者さんたちがお召しになってた肩衣が白地に赤の狐火で、それはそれは鮮やかで。

あとね、今日ずっと聴いてて思ったこと。
雨にもかかわらず、本当に満員のお客さんで、しかも長時間の発表会は「出入り自由」、ペットボトルのお茶とお菓子もいただけたり、お世話する方達がひっきりなしに廊下を行ったり来たり、どんどんやって来るお客さんたちや案内の方の話し声もする。
ステージで音楽が鳴っているときに他の音がする、何かが動いている、ということがまず考えられない西洋音楽の習慣からしたら「なんだよ、これ」みたいに感じる人もいるんだろうけど、不思議なことにそういう感覚にはならないんだよね。
集中して演奏し、集中して聴いているのに。

屋内では履物を履かずに歩く。足音は最小限だ。
木と紙で出来た家と部屋、襖の開け閉ての音はごく薄いので、語りの声や三味線には何の影響もない。
金属で出来たドアではこうはいくまい。
顔を近づけてのひそひそ話より、三味線の音のほうがずっと大きい。
それから「芝居」を観るとき、「演芸」のイメージとして、飲食や移動が伴う可能性も多々ある、ということ。(これは西洋のバロックオペラだって、同じなんだけどね)
うまく出来てるなー、と思った。

新しいことやりたがり、な私もさすがに「三味線やろう」とはなってないけど(笑)、でもこれから機会があれば、もうちょっと聴いてみてもいいかなー、と思えた一日でした。
久しぶりに浄瑠璃も観たくなりました。

さ、今月はまだ「今まで観たことないものを観にゆく」よ!
たのしみ!
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by saskia1217 | 2015-02-09 02:05 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217