テンポ

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怒濤の本番週末の最後に、楽しみにしていた「ひとときの愉しみ」。
狂言師・善竹富太郎さんが毎年自主企画しておられる狂言会「SORORI」を観に、国立能楽堂へ。
善竹さんとは2年前のセルリアンタワー能楽堂での「バロックオペラ@能楽堂」から始まって、今年あたまの海外公演をご一緒したご縁。
以後、何度か舞台を拝見して楽しませていただいている。
もともとお能と狂言は大好きでよく観に行ってはいたけど、お能なしの「狂言会」は善竹さんの舞台を見始めて初めて知った。
狂言は予習なしでもセリフや筋がわかるし、悪い人が出て来ないし(笑)、やっぱり気楽に楽しむことができるのが魅力。
そればかり3本、4本と観られるのは、素敵な時間の過ごし方だ。

この日の番組は「文相撲」「那須」「首引」の3本。
富太郎さんが全ての演目に出られるというのは初めてだったそう。
3人で演る「文相撲」から、独り語りの「那須」、最後に8人で賑やかな「首引」と、観る側も飽きないバラエティ。
「那須」はプロフィールに書けるような重要な演目だそうで、22歳以来の舞台だとか。
チェンバリストにとっての「ゴールドベルク変奏曲」みたいな感じなのかな。

以前同じシリーズを(場所はセルリアンだったか)拝見したときは、お客様も終始爆笑、舞台の雰囲気ももっと「湧く」ような印象だったのだが(演目は覚えていないのだけど、その演目の性質もあったのかもしれない)、今回はなんというか、もっと落ち着いた印象の舞台、そしてお客様の反応だった。
もちろんみんな楽しんで笑っていたのだけど、ただ「お笑い」みたいな湧き方ではなかった、というか。

久しぶりに狂言を観て。
うーん、やっぱり、物事の進行とか、セリフの繰り返しとか、全ての進み方がゆっくりなのだなあ、と。
けしてそれがもどかしいとか、イライラしちゃう、ってわけじゃないのだけど、
現代の人にとって「ゆっくり」に感じることそのものが、やはり世の中すべてがどんどん速くなってるんだよなあ、って。
お能や狂言みても思うし、例えば専門的なことはわからないけど、書道や茶道で経験するテンポ感や物事の進み方でも、ちょっとおんなじことを思ったりする。

昔の人のテンポ感て、どんなだったんだろう?
室町時代の人の話すテンポって?
ちょっと昔の映画を観ても、テレビドラマを観ても、同じ印象があるものね。
セリフの言い方、間合い、ストーリーの展開、すべてが今より遅い。
良い悪い、じゃないけど、それを楽しめるか楽しめないか、いろいろなんだろうなあ。

音楽だって、同じ曲の演奏のテンポって、指揮者の年齢にかかわらず(笑)、なーんか速くなってる気がする。
現代のオケはピッチもどんどん上がってるし、なんだか全てのテンションが上がってきているから、いつかそれが限界に達して破綻、破滅しそうでちょっとコワイ気もする。
ゆるく行こうよ、ゆるーく。

テンポが遅いことは、ただ弛緩するだけじゃない。
そこに素敵な緊張だってあるんだからね。
それを感じさせてくれるのが、お能や狂言。
また観に行きたいな。
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by saskia1217 | 2014-12-09 02:33 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217