「飛べない俺」が大空を〜エレカシ2014コンサートツァー・Zepp Diver City 第1日目〜

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エレカシ秋のツァー、セットリストに関して少しのネタバレがあります


ステージ下手にひっそり置かれた赤いキーボードの周りを、マイクを手にしたままの宮本さんがフラフラと彷徨いている。
「あれ? 今日も弾いてくれるの? 鍵盤・・・」
ふわりと鍵盤前に座ったその右手が、ハ長調主和音3つをやわらかく叩いた。
そしてゆっくりとズレてゆくバスラインから、「あの曲」の形がぼんやり見えてくる。
「飛べない俺」。
アルバム「Masterpiece」の中の小さな名曲。
私がこよなく愛する曲。
♪確かに感じる 輝く瞬間(とき)を/そうさ俺は今生きている♪
「これ、いつも蔦谷さんとかサニーさんが弾いてるやつ・・・プロの人が弾くやつなんだよな〜、うわ〜」とか言ってたけど、私はいつも、宮本さんが鍵盤の前に座る、そのことだけでもう涙が出そうになる。
滅多にないんだけど、そして宮本さんのギターやタンバリンやドラムも好きなんだけど、鍵盤はやっぱり独特なこそばゆさを感じるのかもなー。
「左手にマイク右手で鍵盤」から瞬時に「立ち上がって両手でマイク、熱唱」を繰り返す、その一生懸命な歌に、この短い曲は心の深いところまで入ってくる力が宿っていた。

2時間強、ダブルアンコールを含め全25曲。
キーボードサポートなし、ギターはミッキー・ヒラマミキオさんのみがサポートの5人体制。
ああ、なんて安定した、そして深い、濃いコンサートなのだろう。
ミュージシャンの心が安定してる、そんな充実感。
めっちゃゴリゴリ、熱、叫び、罵倒・・・いっぱいあるのに、なにか優しげな不動の力。
コンパクトな時間のなかの凝縮感。
体力や健康状態や今後のスケジュールや、そんなこともあるのかな、このところ以前のような3時間越えのライブは少なくなった。その分、無駄なMCは殆どなく「いっぱい曲あります」と冒頭で言ったとおり、ぎっしり次々と音にされてゆく曲たち。
エレカシは大人のバンドだ。
不動、不朽、いつもそこにあって、これからもそこにある。

んーと、それにしてもこの新しいゼップ。
もしかしたらちょっと音がいまひとつ?
オープニングの第一声でアレ?ってちょっと思ったのだけど。
私が後ろにいたせいばかりではなく、楽器はともかく特に「声」が、すごくキカイ的というかフィルターかけすぎみたいに聴こえる。あったかみに欠け、音(声)質の艶やかさ、生々しさ、ライブ感が消えてしまう。
会場としては交通の便もいいし、商業施設内なのでお手洗いや飲食に困ることがないのは本当に素晴らしいのにな。

「俺の道」に始まり、ほぼ年代順に近いセットリストだったのもちょっと珍しかったかな。
どれもワクワク、しんみりと聴きながら、なかでも印象的だったもの。
「これは横浜のスタジオで録ったんだったな。佐久間さんとか居てさ・・・」と懐かしげに歌い始める「さらば青春」。
やっぱりいい詞だなあと聴き入った「あなたへ」。
定番の幸福感「笑顔の未来へ」、エレカシが大好きになった時に初めて買った思い入れの残る「新しい季節へキミと」。ライブ演奏の魅力がひと味違う「ズレてるほうがいい」は、映画を観た後で訪ねた行田の景色が脳裏に蘇る。
「中央線の中で国木田独歩の『武蔵野』を読んでる人がいる。秋だなあ。」という友人のツイートをみて、急に「武蔵野」が聴きたくなった今朝。
ダイバーシティの新しいゼップで、開演前、友達に「今日一番聴きたいのは武蔵野だあ」と告白。
プログラム中盤で突然あのドラムの刻みが始まる。
「武蔵野」。
秋の始まりに、今日という日に、これを聴かせてもらって本当に嬉しかった。

このところずっと、エレカシの音楽をタイムリーに追っかけきれていない。
だから今日は、まさかの「知らない曲」があったりして、なんて我ながらあり得ない疑惑を抱きながら出かけてきた。
本プロ、ラストに最新の2曲。
「Destiny」は「こういう曲ってライブで聴くとじつは結講野性味があったりしていいんだよね」という期待とは無縁に、あのままの「いい曲」だった。
「明日を行け」は「知らない曲」に近かった(苦笑)。けっこうシャウトしまくっていたなあ。
ごめんなさい、シングル、やっぱり買うべきか(笑)。

そして、秀逸のアンコール。
いったい何度聴いたんだろう、この曲。
「今宵の月のように」
ギター弾き語りのソロで始まる「ルバートバージョン」。いつかのキムタクのように(笑)。冒頭のワンフレーズが終わると、もいちどバンドであたまから。バッハでいう「Ruf Aria」なのだ(笑)。いやいや、同じ効果なんだ、まったく!
何度聴いてもいい曲、って化け物みたいだな。
2番の♪ポケットに手を♪でポケットに手を突っ込んで、その結果ギターが首から縦につるさがったまま歌う図が、何故かとっても好き。
♪いつかの電車にのって/いつかの町まで♪で、いつも、あの日の出来事を思い出してしまうんだ・・・
 
ビロード色した赤ワインみたいな「シグナル」。
ゴッリゴリの「待つ男」。

「いつまでたっても飛べない俺」は、また大空へ戻ってきた。
そして、大きな翼を広げて悠々と旋回を繰り返す、堂々とした鷹のように、東京の空を舞っていた。
鋭い目と優しい羽根の、どちらも兼ね備えた大人の歌を持って。
だから今夜は、安らかにゆっくりと、眠りにつこう。
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オマケ
開演前のSEにこないだのコンドルズ公演「GIGANT」で使ってた曲が突然流れて(曲名とか知らない…)思わず身体が反応(笑)。

「今日のビックリ」
東京テレポート駅の発車メロディが「踊る大捜査線」なこと。フジテレビ?湾岸署?どっちでもいいんだけど、まあ、オルゴール音にとことん合わない曲ってあるんだな〜。
すっごく笑っちゃったよ!

「今日のやっちゃった」
ライブ終了後、空腹+Diver Cityレストラン街のラストオーダー時刻が迫っていた、で、飛び込んだとんかつ屋さんで「ロース&ヒレカツ定食」を頼むも、それは普通のサイズのロースカツにさらにヒレカツが3切れ付いてるというガッツリで、しかもなにか得体の知れない動力に突き動かされ、ごはんときゃべつをお替わりしてしまった。
カツが来るまえに、生ビールの中も呑んじゃってたんだった。
ええ、夜10時をとっくにまわってました。ほぼ11時でした。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
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by saskia1217 | 2014-09-13 03:53 | エレファントカシマシ | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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