今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!

by saskia1217

軌道修正

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早稲田松竹にて二本立て。
ドイツ映画「コーヒーをめぐる冒険」とアメリカ映画「ネブラスカ」。

両方ともモノクロ。
かたや身体に染み込んだ懐かしい国、そしてもうひとつは一度も行ったことのない国の景色。
とってもいい時間だった。

よかったなあ。
いや〜、ほんとによかったなぁ〜〜〜。
ドイツ映画「コーヒーをめぐる冒険」!

モノクロのもつ「鋭さ」じゃなくて「柔らかさ」が、お話の運びをちょうどいい速さで流していたみたいだった。
うるさくも、足りなくもない音楽。
殆どはジャズが使われてたけど、ただ1ヶ所、主人公が友人に連れられていった、やさぐれたティーンのたまり場と化した家の居間で、その若者のおばあちゃんが聴いていた(のかな?)バッハのコラール「イエス・キリストよ、私はあなたを呼ぶ」の、おそらくケンプのピアノアレンジ版が静かに流れていたのが、鮮やかで、しかも強烈だったな。
ベルリンに住んだことはなかったけど、映画がスタートするや否や、アパートのドア、鍵、階段、窓、通り、車、空、カフェ、コーヒーカップ、ATM・・・すべてのビジュアルが五臓六腑に沁みてきた。
それに、Sバーンの音、駅の雑音、木の床を靴で歩く音、きしむ階段、若者の話すちょっと流れるような軽いドイツ語・・・耳慣れた音たち。
昔話をしかけてくる老人、夜の街に屯す革ジャンのごろつき兄ちゃんたち、街角に立つ女性たち、理不尽で失礼な公務員、事務的な店員・・・・
次から次へと全てがナチュラルに流れ込んできて、リアルに身を置いてるみたいだった。
あとね。
無賃乗車を取り締まる私服の係員の、あのぶっきらぼうで慇懃で、如何なるケースでもぜっっっっったいに離してくれない粘着的な態度。
よーく知ってる、それ(苦笑)。

力づくじゃなくて、とっても深くていい声の人が淡々と何かを語ってくれてるみたいな映画。
観終わるとね、ふつうの毎日をふつうに一生懸命過ごしていこうなんて、あったりまえのこと思っちゃうんだ。
リズムやスピードもちょうどいいっていうのかなあ。
ピリッとしたり、チクッとしたりする瞬間もあるのに、無駄に痛すぎない。
じつは私も気になってて、生きてるなかでひっかかってて、それを時々見ようとしたり見なかったことにしようとしたり・・・
それを、主人公が、この映画が、ちゃんと立ち止まって捕らえてくれてた。
ふつうの、ものすごくふつうのお話なのに。
そのあたりに何かデジャブ感を感じてたら・・・
そうだ、この間観た武子直樹監督の「赤い靴、」だ。
もちろんストーリーも方向も全く違うんだけど。
モノクロだから、という訳じゃなくて、人間とか、人と人との絡み合いとか、風景や音との結びつきとかの流れ方、流し方、ダイナミックスレンジがちょっと似ていた気がした。

で、またいつものことを書いてもいいですか?(苦笑)
うー、いつにも増してこの無粋きわまりない(=残念すぎる)邦訳タイトル。
言っちゃうのか、そこで「コーヒー」というコトバを!
冒険?
いやいや、あれは冒険じゃあない。
めぐる、のはコーヒーじゃない他の何かだよ。
ああ、ただただ残念!(笑)
原題は「Oh Boy」、英語だ。
私は英語は得意じゃないんだけど、でもたぶんドイツでもこの言葉、普通にこのまま使ってる?気がするし、少なくともそのニオイは通じる。
そう、この言葉にこの映画全てが込められてる感じがした。

そして続いて「ネブラスカ」。
(これもさ、副題「ふたつの心をつなぐ旅」っての、よしたほうがよかったな〜・・・商品の説明文かっ!・・苦笑)
ほぼ完徹の翌日、日中猛暑のなか出かけてちょっとばかし頭を使った後の頭と身体にはツライかな〜と思ったけど、ほどよい力の抜き具合で観ていられた。
「コーヒー」も、親子のことに思いを馳せる部分が大きかったけど(しかも、作品自体が監督の両親に献呈されてた)、こちらはそこをクローズアップした作品。
長い、と感じさせる瞬間も何回かあったけど、無意味でやかましいグイグイ感が無かったのはよかったのかな。
年代的にもちょっと身につまされるお話。
きっと誰もが自分のこととして普通に思い描くシーン。
ラストシーンになって「おー、これぞアメリカの映画!」ってつい思って笑ってしまった。
ホントにどんなジャンルの映画でも、この国のもってる根強いベクトルってすごいなー。

映画って、いいよね。
好きだったけど、最近特にそう思う。
観るとブレがなおる。
軌道修正できる。
普通に戻れる。
自分が戻ってくる。
(反省させられる、癒される、元気をもらう、とかとは違うよ。それ、ちょっと使いたくないコトバ・・・笑)

いやあ、ブレてたなあ、私!
ここんとこ特に。
大笑いしちゃうよ。

今日観た早稲田松竹でのこの2本の上映は、明後日22日(金)まで。
早稲田松竹、さすが映画好きが集まるところだけあって、特に夜の回は殆ど一人で来てる人ばかりだったせいもあって、エンドロールの途中で立つ人なんて一人もいないし、途中退席してもおやつ食べても飲み物飲んでも皆、見事に無音だし。
やっぱり、映画ってそういうところで観たい。

今日予告でみた「ブルー・ジャスミン」、すっごく観たい!
ゼッタイ観よう!
とりとめのない、鑑賞メモでした。
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by saskia1217 | 2014-08-21 00:21 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)