やさしさ〜エレファントカシマシ・デビュー25周年スペシャルライブ in さいたまスーパーアリーナ〜

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耳がシャ〜ッていってる、まだ。
ハッピーなコンサートを聴いて帰ってきて翌日まで耳に残る耳鳴りなら幸せなことだ。
耳鳴りが止まらないという苦しい状況を想像して、宮本さんの復帰を日々願っていた頃から、もう1年以上が経ったんだなあ。

今日、さいたまスーパーアリーナで、元気にそして幸せそうに、大きなステージを所狭しと駆け回りながら歌う宮本さんを見ながら、目の前でそれが現実になったことをあらためてかみしめて、嬉しくて、そして本当に幸せに思った。

そして、そんな同じ思いを持ったぎっしり1万4千人のお客さんの熱い思いに囲まれて、エレカシ・デビュー25周年記念のコンサートは、4時間全37曲という贅沢な時間をかけて実現した。
バンド史上最大キャパの会場と動員数。
数なんてどうでもいいことだけど、でもいつでも「今現在」が頂点、ということはいかにもこのバンドに相応しい。

ステージ後方の巨大スクリーンに映し出された赤々とした日の出の映像を背に「Sky is blue」で始まり、2曲目の「奴隷天国」では小気味良く毒づくアップテンポに乗って、色とりどりのポップな風船が天井から無数に降って来た。スタンド席の後ろからは大玉までが転がり落ち来て、私の頭上を滑り降りていく。清志郎さんのポップなステージが脳裏をよぎった。ゾウさんのイラストの入ったその風船は、手にした多くのお客さんによってその後ずっとフリフリされたり、アンコールを待つ間アリーナ後方から前方へとひっきりなしに空中を送られたりして、なんだか愛らしいというかみんなの気持ちを代弁しているというか、見ていてとてもやさしかった。

好きな曲、聴きたかった曲。
大好きなのにライブでは一度も聴いた事がなかった「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」は嬉しかった。何故か人気の少ないアルバム「愛と夢」に入っている本当に叙情的で素敵な曲。PVも印象的。若い頃の音源とも違う、歌い回しも少しなめらかな、しっとりした魅力があった。

「ドライブだ〜!」と叫ぶ宮本さんの背後で、スクリーンは首都高(?)をひた走る車目線の映像。晴れた空、快適なスピード。「ココロをノックしてくれ」も大好きな曲。そして、これまた大好きな「達者であれよ」が続く。
宮本さんがベースの高緑さんに「あれ、いくつだったっけね?成治さんが入ったのは何歳だった?」「19、でした」「じゃ、その時やった曲だ、これ。でも作ったのは16だったな」
そんな会話から流れた「やさしさ」。これは無条件に「歌、うまいっっっっ!」の代表曲。16歳で作ったのも凄いけど、それを47歳の今、同じ切れ味で、そしてより豊かな声で歌う宮本さんは凄い。

「珍奇男」で久しぶりにローディー丹下さんの鮮やかなギターチェンジを目にしてなんだかホッとする。「男餓鬼道空っ風」でノリノリのあとは、しっとりと蔦谷さんとヒラマさんと3人きりでの「風に吹かれて」ピアノヴァージョン。このヴァージョンだと不思議とサビで「手を左右に振る」あの定番アクションがお客さんのなかに一切起こらない。同じ曲なのに、音楽の持つニュアンスの魔法。

最初はちょっと声が疲れているのかな、リハで全力出したのかな、なんて思ってたのが、このあたりになって安定して声が潤ってきてた。下手スタンド席前方で聴いていたら、音(特にヴォーカル)が中央席奥に跳ね返って二重に聴こえることも多かったのがちょっと残念だったのだけど、そんなことも気にならなくなって来て。

「風」繋がりなのか、そのほぼ暗転のなか微かに聴こえる「ひゅ〜っ」という風の音のなか、静かに静かにギターのアルペジオが優しく聴こえてくる。
ああ、これは。
これはもしかしたら。
「傷だらけの夜明け」・・・冬に聴くには最高に素晴らしい「扉」からの一曲。最愛の曲のひとつ。

中央に波止場のように設けられた長い長い花道を、宮本さんがひとりで嬉しそうに前進してゆく。「我慢してたんですよ!」って。お客さんの渦の真ん中で歌ったのは新曲「あなたへ」。けして大きくはない宮本さんがステージで多くの人を従えてあたかも指揮者のように歌っていると全く感じないのだけれど、一人でポツンと花道に立つといくらか小柄に見える。でもあのいつもの、両手を広げ、頭をグッと上に上げて歌い上げるその姿は、本当に輝かしかった。歌うことが、お客さんに音楽を手渡すことが本当に幸せそうに見えた。

カラフルな照明と、お客さんが振るカラフルな風船でハッピー感いっぱいの「ハナウタ」から、ライブでそのかっこよさが100倍になる「ズレてるほうがいい」。
もはや「第一部ラスト」が定番となった「俺たちの明日」で照明全開+お客さんのコブシ全開で最初の盛り上がりとなるも、まだまだコンサートはここからだ。

白シャツに着替えて始まった第二部。
「これは・・・32、3だったかなあ。佐久間(正英)さんと一緒に作った曲で、なかなか名曲だと思うんだ。」と紹介された2曲目の「さらば青春」。6拍子に淡々とした郷愁と切なさが宿る本当の名曲に聴き入った。
続いての「昔の侍」はいつかの武道館のときと同じく壮大なストリングスアレンジ。私はこのアレンジ、好きだなあ。ひとしきり大きく曲を終えた後、宮本さんは一人ギターを手にとって、周りが次の曲のスタンバイを始める中、なかばつぶやくようにその最後のワンフレーズだけを突然歌った。
♪さらば、友よ♪
「昔の侍」もやはり佐久間さんと共に作った曲。
宮本さんの、佐久間さんへの気持ち、とても近しくそしてあたたかく、強く、やさしい気持ちをみたように感じた。

再び花道を使った「桜の花、舞い上がる道を」。
エレカシはデビュー25周年。だが私は彼らのデビューも、「不愉快で奇怪な大型新人」時代も、「売れっ子スター」時代も、その後の挫折時代も知らない。この「桜」が世の中に聞かれ始めた頃にようやく彼らを認識した。だから、この曲を聴くと私はやっぱり胸が痛くなるのだ、その歌詞と共に。
宮本さんが花道に出てゆく前すでにステージ際の上、下二手の床から桜色の紙吹雪が大量に吹き出されて、あたりはすっかり桜の花が「舞い上がって」いた。けして「降らせなかった」ところにこだわりを感じる(笑)。そして花道先端からも花びら吹雪が噴出し、文字通りの「花道」に。その窒息しそうな紙吹雪を全身に受けて、ひとことひとこと丁寧に歌う宮本さん。これはさすがに涙が滲んできた。
ファンが勝手に想い描く、そのバンド、その歌手と自分との「歴史」。1万4千人がそれぞれに想い描く歴史。短い歴史しか持たない私にも、忘れられない出来事、事件、瞬間はいくつかある。脳裏に映るいくつものシーンを背景に、ただただ彼らがこうして自分の目の前で演奏してくれていることに感謝するほかなかった。

第二部の盛り上がりの最初は「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」。共演者を紹介してゆく定番もこの曲の素晴らしいところだけど
♪敗北と死に至る道が生活ならば あなたのやさしさをオレは何にたとえよう♪
というせつなくあたたかい現実と共に
♪愛する力を求め続ける勇気を 本当の姿を 見つける旅へ行こう♪
という希望を一緒に歌ってくれるところに、生きていこうと思える力が潜んでいる。
今日も宮本さんは言ってた、「人間生きてりゃいろいろあるよね」。
そう、誰だって病気や怪我や悲しい事や辛い事、同じだよ。でもね、みんなの前に立ってそれを歌ってくれる人を見るとき、その実感を感じるだけに、今の宮本さんからこの歌詞を歌われると「やさしさ」の実在とそれを信じてみようという勇気が湧くんだ。

昔だけを懐かしむのでもなく、新しいことだけをするでもなく、今日会場に来た人どの一人一人にも喜んでもらえるように、と考えられたプログラムだったことを思った。
コンサート中何回も、メンバーに向かって「あれはいつだったっけね?」「あの時俺たちいくつだった?」「あれはたしか○○の時だったよね」と懐かしそうに話しかけ、そして歌いながらも「成ちゃん、あの頃のように、あの頃のように!」と叫ぶ宮本さん。そしてそれに答えるように真摯に演奏する3人。「振り返る」昔話はなくても、そんな些細な懐かしげな言葉の端々に彼らの歴史がにじみ出ていた。相変わらずのいじられキャラ石森さんは、最終アンコールに至ってまで「マグマ大使みたいだな、おまえ」と好き勝手言われ、高緑さんはまたハットを取られ、富永さんは挑発的なインプロを挑まれ・・・いつもの光景に皆楽しませてもらった。

「昔、野音で突然やってみんながゾッとしながらやってくれた」という(私は録音でしか知らない)「みんなで合唱コーナー」を「男餓鬼道」で再現し始めたときは吃驚。あれ、録音で聴いてるだけで何かこっぱずかしくて私は飛ばしちゃう(笑)のに、今日はしっかり楽しく歌っちゃった。(あ、フィンガー5の「学園天国」のアレね。♪ヘーイヘイヘイ、へ〜イヘイ♪)
「あ〜、素晴らしい!これが合唱ってやつだ!森のくまさんみたいだ」と感動する宮本さん(笑)。ホーン隊が付けてくれてたのを「よ〜し、みんなが音痴かどうか確かめてみよう、今度はオレとみんなだけでやるからな」とアカペラでやったりして(笑)。
なにこのお楽しみコーナー・・・

35曲を「ファイティングマン」で終え、ラストの本当の「アンコール」を4人だけの「男は行く」と「待つ男」で終えたエレカシ。
「お正月だ〜〜〜!!」と、もはやお正月気分も無かった私のココロを一気にお正月に引き戻し。
「また会おう!」といういつもの挨拶も、今日は確信を持ってきけたことも嬉しかった。

涙あり、爆笑あり。
こんな「楽しめる」コンサートがあっただろうか。

宮本さんが花道の先端でふと言った言葉が忘れられない。
何の脈絡もなく、曲を歌い始めようとして何気なく言ったのだけど。

「なんか...なんかさ・・・可愛がられてた時の気持ち、可愛がってもらった時の感じ・・とか、思い出すよね」

宮本さんが生涯で受け取って来たやさしさ。
宮本さんのメンバーへのやさしさ。
メンバー4人のなかのやさしさ。
ステージにいた出演者全員のなかに宿るやさしさ。
お客さんのエレカシへのやさしさ。
宮本さんのお客さんへのやさしさ。

そこにいる誰もが知っているやさしさ。
柔らかくも、強くも、激しくもあるやさしさ。

「音楽って・・・素晴らしい〜〜〜っっ!!」
その叫びと共に、今日のコンサートはなにより、なによりもあたたかく、やさしかった。

エレカシに、また会える幸せをおもいつつ。
そういつも、いつだって、いつまでもエレカシと共に。
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帰りに友人たちと食事をした赤羽の「塚田農場」。我々のほかにも数組エレカシ帰りが居た模様だが、私たちが入店してすぐ後から店内BGMが全てエレカシとなった。しかも渋い曲ばかり。きけばお客さんの様子をみて検索してかけてくれたという。2時間近く、お店を後にするまでずっとエレカシだった。しかも最後に出してくれたサービスデザートのプレートは、急遽ネットで調べて見てチョコレートで描いてくれたというエレカシの新しいグッズロゴ。このサプライズには思わず絶叫してしまった。見事としか言い様が無い。ただのサービスというだけではない、ここにもまた、そんな「やさしさ」がある。あたたかい感謝の気持ちで「いい一日だった」と店を出ると、赤羽駅の上には綺麗な月が出ていた。
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Commented by EKDB管理人です at 2014-01-13 12:51 x
こんにちは。最後の写真が素敵すぎるので、うちの日記のページで紹介してしまいました。不都合であれば教えて下さい。
Commented by saskia1217 at 2014-01-13 16:20
EKDB管理人様
わざわざコメント頂戴し恐縮です。
時々そちらのページにお邪魔しデータを拝見したりしてとても助かっております。感謝申し上げます。
写真お使いいただいて全く差し支えありません。
お役にたてば嬉しいです。

by saskia1217 | 2014-01-12 05:37 | エレファントカシマシ | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!


by saskia1217