♪生きてる幸せ 忘れたか♪〜エレカシ復活の野音〜

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「これからも・・エレファントカシマシを、よろしくお願いしますっ!」
2013年9月15日。
「エレカシ復活の野音」2日目のラストで、こう深々と頭を下げ、いつものように大きな大きな投げキッスで退場していったヴォーカル宮本さん。
昨年10月に、この同じ日比谷野音のステージで「また会おう!」と見た目は元気そうに投げキッスをして、でも辛そうな声と背中を残して姿を消したその同じ人とは思えないくらい、あの時より何もかもがずっと・・・「潤って」いるような気がした。

今発売中の雑誌のインタビューで宮本さんは「病気になった時ほんとうにたくさんのファンの人から手紙を貰って、それがとても嬉しかった」という話をされていたけど、「でも最初は『私たちは何十年も待ってますから、必ず元気になって戻って来て下さい』とかなんだけど、それは最初だけでだんだん減ってくるんだよね。でもそういうものだよね。」(正確じゃないですが)とも語っていて。
いやいや、宮本さん。
もうちょっと、信じてもらってもいいかなあ・・・(苦笑)。
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宮本さんの病気によるエレカシのライブ活動休止から1年弱で迎えた、この「復活」の日。
いかにもエレカシらしく、CD発売でも、メディア登場でもなく、その同じステージでのライブからの再出発。
活動再開が発表され、野音のチケット抽選があった頃、もうおそらく外れるだろうし、それでも、それでも嬉しいから、行けなくてもいいや。外聴き?いや、いいよ、家で想いを馳せてるので十分、と思っていたのはまぎれもない事実。
それでも幸運なことに聴きにいけた。
そして聴き終わったとき「なぜあの時、聴かなくても・・外聴きさえしなくていいや、なんて思ったんだろう」と何故かとても反省した。
そう、やっぱり何よりその「音」を聴かなくては、伝えてもらうことはできないから。
この日、宮本さんはこう言ってた。

「えっと・・・えっと・・・言いたいことはいっぱいあるんですけど・・。歌を歌うんで、それで、それでいいですか?」

メンバー4人だけでの「優しい川」という渋い、これぞ野音、という曲で始まった初日。
ネットや新聞の記事にあったような「ちょっとしたお祭り騒ぎ」や「おかえりなさいコール」などは実際は微塵も無くて(少なくとも私は目撃しなかった)、開演前の日比谷公園に集まった大勢のファンは、立っている人も座っている人も、思い思いに静かにただ「開演」だけを待っていた。
期待感と、ちょっとした不安感と、それに勝る緊張感がみなぎっていた。
ステージにメンバーが登場した時も、何かを叫ぶというよりもただ大きな大きな拍手と、言葉にならない歓声、それもいつもより控えめな。
♪明日もがんばろう、愛する人に捧げよう♪・・・「四月の風」の歌詞が、何故かいつもより沁みる。
♪心の鐘を鳴らして…いわば勇敢な愚か者♪・・・会場に向かうとき、地下鉄の駅からのぼってくる階段で、リハの音が耳に飛び込んで来て心が震えた「大地のシンフォニー」。生で聴く宮本さんの声が、本当にとても懐かしかった。

コンサート中盤までは、野音のすり鉢を満杯にした3000人のお客さんもとても固くなっていたと思う。かけ声や拍手は熱がこもっていたけれど、「今日はな〜んかいっぱいカメラがあってね・・・なんか嫌だよねえ」という宮本さん自身の緊張感を、皆がまともにひっかぶっていたのかもしれない。
9曲目、「ほしむすめ〜!」の叫びで始まった「星の砂」あたりから、会場全体が徐々に温まって、自然にノってきたように思う。

アンコール、ダブルアンコールをふくめ、全27曲。
甘ったるい曲はひとつも入れてない。
誰にとっても丁度良く、どれも全てが「聴きたかった曲」で、文句無しの完璧なセットリスト。
「自分の歌だから、どれもスキなんだけど」と。
野音でこれやったらもう・・・ダメでしょ、反則でしょ、そりゃ「いつもの野音」だけど、って曲もやっちゃった(笑)。
「普遍の名曲なので・・・」と紹介した「翳りゆく部屋」。蔦谷さんの前奏が懐かしい。
これを今日歌われたら射抜かれる、と密かに思っていた「シグナル」もホントにやっちゃって。
♪どの道俺は道半ばに命燃やし尽くす/その日まで咲きつづける花となれ♪
蒸し暑かったけど夜空は見えて、虫の音もして、風も吹いて。

新曲を4曲披露。
公式MVで既に公開されていた「めんどくせえ」は、正直歌詞の全部を聞き取れなかったのだけど、憂鬱感とかガナリとかグルーヴ感とか、いろんなものが渦巻いていて、非常に力がこもっている曲だってことはわかった。
♪はてさて このオレは かれこれ何十年♪とアコギで始まるオジサンの歌(笑)は、平成の植木等みたいだったけど、後半バンドサウンドが激しくなっていく印象的な曲。長いことやってきたけど、財産も名誉も手に入れてない、でもいいんだっていう歌。ずっと耳に残る。
そして「これは詞がとても大事で、大切に歌うので聴いて下さい」という心のこもったMCから歌われた「あなたへ」。11月20日にシングルが出ると後で知って、やっぱり思い入れと完成度がダントツに違ってた。
「あなたの運命」と「わたしの運命」、そして「それをつなぐもの」について歌われていた。
♪あなたを愛して わたしを愛して♪
ここへ来てやっと、宮本さん、今まで受けて来たたくさんの愛と、自分が与えてきたたくさんの愛と、今自分の目の前に見ている大きな愛を、きちんとした言葉にして歌ったんだなあ、と思った。
しっとりしたバラードのように始まり、バンドが入って来て激しくなるのだけど、その中でもあくまでも歌い上げる。
とても、とても豊かな曲。

そして「ズレてるほうがいい」が、ライブであんなに、あんなにいい曲だったとは!
行田の町と、丸い古墳の姿が目の前に浮かんで聴いていた。
「涙を流す男」もライブでものすごく栄える曲。
そして本編ラストは定番の「俺たちの明日」。ライティングすべてオンで。
(そういえば、エレカシのライブにしてはライティングが非常に細かくなったなあ、と思った今回。惜しむらくは、チェンジがもっとドンピシャだといいなあ、なんて。ま、本番好き勝手にやってるアーティストに付けるのは難しいでしょうけど)
そして、高緑さんの帽子を取って勝手にかぶるのはいつものことながら、無理矢理ベースを取り上げてブンブン弾き始めたときは「お〜、もっと弾いて弾いて!」という興奮と共に、いきなり商売道具を奪われて手持ち無沙汰でずっと立ってた高緑さんの姿が・・・ちょっと(苦笑)。
宮本さんが休養して、大きな声で歌ったりタバコを吸ったりしなかった間、メンバーは全員「完全に休んで」「タバコも吸わない」って取り決めがあったみたいだけど、「休みにしたら成ちゃんなんて1週間ベース置いちゃったんだって。いや、俺がそう言ったかもしれないんだけど・・・あんた、1週間て」(客席苦笑)

アンコールの「今宵」「ガストロンジャー」「ファイティングマン」の定番に加え、これまた野音でこれやられちゃ〜、の代表「友達がいるのさ」で、胸があつくなる。この曲はイントロでみんなが必ずため息をつき、そして声にならない叫び声をあげるのだ。
「今宵」を歌い終わったあとにいきなり「おそらく、みんな・・・!」と言い放ったまま、長い沈黙のあと、何事もなかったように次の曲へ移行していったのも、ああ、いつもこんな感じだったっけ、と逆に懐かしく感じたり。

「so many people」で跳ねまくり、ほんとのラスト「花男」で♪生きてる幸せ忘れたか♪
既にハケてしまっていたサポートの蔦谷さんと昼海さんを「あとのふたりも弾くんだよ〜!」って叫んでステージに呼び戻して。お二人がちょっと嬉しそうに、肩を並べて再登場して。
「みんな、ほんとに・・・ありがとうございました!」
15日のMCだったか「生きてる、みんなも同じように生きてるから・・・通じるっていうか、わかるっていうかね。」そう訥々と単語を発する宮本さんの、言いたいことはわかった気がするよ。
生きててよかった。結局はそういうことだろうと。

タバコをやめてたから声が良くなったのかもしれないけど、休止前より「良くなった」というよりも、何か全く質が違う声になってたように感じた。
ツヤツヤということでもなく、かすれたりしゃがれたりもするのだけど、太く出しても弱々しくならない、2時間半歌ってもけしてセーブしてる感じもない。ド〜ンとストレートに思いっきり歌ってた。
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台風直撃と言われたのに、コンサートのあいだじゅう、お月様がずっと一緒に見てくれていた2日目。
冒頭に「平成理想主義」・・・♪ヘイヘイ、行こう、月の浜辺へ/夜中星空の下 歩こうよ二人で・・・♪
前日とは打って変わってリラックスした感じ、楽そうな、ノリノリな空気。
「すごいな、晴れたよ。みんなの中に、すっごい晴れ男、晴れ女がいるんじゃない?」と宮本さん。
いやいや、あなたじゃないですか?(笑)
「このままみんなで宇宙へいっちまおう!」と「東京からまんまで宇宙」。
超速の「ゴクロウサン」から「星の砂」「涙を流す男」までの流れが軽快。
「子供ってさ、夢。大人も夢。俺は子供の頃なりたかったのは電車の運転手とか、トラックとかさ・・『運転系』なんだ。みんなそうじゃなかった?男性は・・・」と客席に語りかけながら「なぜだか、俺は祷ってゐた。」が始まる。
この曲と「シグナル」を一晩で聴くなんて、言い様の無い濃さ。
考えてみたら、この一番好きな曲のうちのひとつに入る曲、ライブで聴けたのは初めてだった。

アンコールで野音定番「武蔵野」。ギターであのリズムをちょこっとかき鳴らしたところで背筋がゾクゾク。
「オ〜!」と客席との「コールアンドレスポンス」からすべり込んだ「コール アンド レスポンス」。
これ実はあんまりワンマンライブでやらない曲かもしれない。
♪全員死刑です♪と生で言われたのは久しぶりだったかも。うん、いいな、やっぱり!
ここから続けて「ガストロンジャー」「ファイティングマン」の流れも、今まで無かった気がする。なんというエネルギー全開のセトリ。しかも2日目のアンコールで。
東京、ラストのラストは「待つ男」。
♪富士に太陽、ちゃんとある♪でビシッと締める。お客さんの熱狂。

当たり前が当たり前でなくなって、そしてまた現実になったとき、不思議とまた「当たり前」の錯覚が襲って来る。
というよりも、半分夢の中のような、無意識の出来事のような。
でも、たしかに、何かが違ってたはずだ。
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エレカシの野音はもうここ数年、ファンクラブの会員でも殆どチケットが取れない。だから「外聴き」する人も多いのだけど、北海道や九州からそこに参加する人もいる。
そして会場の外でも、コンサートが始まるとみんな立ったまま、無言で、直立不動で聴く。
そうさせる何かが、エレカシにはいつでも、今でも、いつまでもあるのだ。
そしてそれはたぶん、彼ら自身も知っている。
だから、彼らも歌い続け、私たちも聴き続ける。
野音は90周年、エレカシは25周年。
誰しもその道はどうせ半ばまでだけれど、「どこまでゆけるか」が大切なんだ。
世の中の、東京の、日比谷の、彼らの、私たちの、そして私の「歴史」を想った2日間だった。
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by saskia1217 | 2013-09-17 08:00 | エレファントカシマシ | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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