本当の自由

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昨日は、一日が五日分くらいあったような、そんな満杯だった日。
たくさんのことがあったわけじゃなく、いくつかのことそれぞれ全てがみな、とんでもなく密度があったから、素晴らしくいい日だったけど夜にはグッタリだった。快いグッタリ。

午後からさいたま芸術劇場で近藤良平さんとリハ。
本番の楽器と大きな空間を使っては初めてで、決まっていなかった色々がここで一気に前進。
やっぱりどうしたってオルガンで弾かなきゃ始まらない。
みるみるうちに具体化していくにつれて、楽しくてドキドキが止まらない。

あ〜それそれ!それがやりたかったんだ〜。
ほぉ〜、そういうのもあるのか・・・(五郎さん風・・笑)。
なるほど、そうくるのかあ。

やりたかったけど、どうやればいいのかわからなかったこと。
やりたいのに出来ないこと。
出来るけどやりたくないこと、やらないほうがいいこと。
全然やったことないけど、清水の舞台的(笑)にやることにしたこと。

一秒一秒が貴重な数時間。
これから本番までにやらなければいけないことが山積みになって、この上なく幸せ。

リハ終了後、下北に移動し、北沢タウンホールで曽我部恵一さんのソロコンサートを聴く。
いつもながら、な〜んかホントいいよなぁ、曽我部さんのこのロケーションチョイス。
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完全なる「区民ホール」だもん。コンクリート打ちっぱなし(オシャレじゃない方の)だし、だいたい役所の出張所だし。開演10分前、入り口の椅子にすわって急いでおにぎりを食べていると、どんどん入って来るお客さんが言ってるのがきこえる。
「え、え〜、ホントにここでやるの?」
思わず笑っちゃった。

地元のピアノ教室の発表会、みたいな作りのホールはソールドアウト。やや後方だが「ど真中」の席で吃驚。
1ベル、2ベルともあの「ブ〜〜〜〜〜ッッ」っていう昭和っぽい開演ベル。それも唐突に鳴るあの感じ(笑)。
ステージには下手奥にグランドピアノ、中央前方にスタンドマイクとギターが2本。
定刻ちょい押しで曽我部さんが登場。白い半袖Tシャツ、足首丈のジーンズ、素足に白いスニーカー(というより「運動靴」)、以上!
ひと頃の激やせ的な雰囲気はもうなくて、あの時より少しフックリして、そして長髪。以前初めてソロを聴いた下北のライブハウスの時のガリガリよりも、ちょうどいい気がするけど・・・
上手から、いつものようにフツ〜に出て来てフツ〜にパイプ椅子に座って(立たないよ)、ギターをスウッと手にとって、その流れでもう歌い始めてた。
そうそう、ステージに本人が登場しても誰1人としてけっして席を立たない、って当たり前の光景が非常に珍しく映る(エレカシのホール公演では、指定席なのに全員もれなく冒頭から立つから・・)。

数曲歌ってからようやく短いMC。MCが少なくて淡々としてるのって、いいよね。椎名林檎さんとかもそうなんだよな。宮本さんのMCって、回数は少ないけど結果いっぱいしゃべるから(笑)。
ギターをつまびきながら客席を見渡して・・・「今日は小さい子も来てるのかな、子供の声が聞こえる」と優しく言う。
たしかに開演前、小さい子供の遠慮ない大声に、周りのお客さんたちはちょっと眉を潜めながら「開演後に叫ばれたら嫌だわ〜」みたいな空気があったのも事実。そんな心配を一瞬で吹き飛ばしてくれた一言だった。
バンドライブだと必ずみんなが手拍子する「テレフォン・ラブ」のとき、遠慮がちに小さく手をたたく人たちにギターを弾く手をとめて「手拍子、したい人はいいんだよ、しても。してもしなくても。」で、それに力を得た人たちがどんどん手拍子しているうちに、な〜んか微妙になってくると「あ、途中でやめてもいいんだよ、なんか違うなって思ったら」
こういう優しさが曽我部さんのステージが魅力的な理由のひとつなんだろうな。

「ギター」「江ノ島」「あじさい」「「トーキョー・コーリング」「きみの愛だけがぼくの♥をこわす」「魔法のバスに乗って」「キラキラ!」など、だいすきな曲がいっぱい入ってて嬉しくなる。
「さよなら!街の恋人たち」や「満員電車は走る」での激しいギターはほんとに見事。ギター1本でソロで歌うときはどうしたってバンドバージョンよりテンポがゆっくりになるんだけど、ギターがバンド、いやまるでオーケストラのような万人力だから、ひとりでパーカッション、メロディ、ハーモニー全てが網羅されちゃってる。
声のダイナミクスもいつものとおりスゴイんだけど、ギターのレンジと表現力が限りなくすごかった。音が全く違うアコースティックギター2つを使い分ける。ギター、すごい!・・・って今さら失礼だけど、ほんと〜に上手いんだもの。
「満員電車・・」のラストの演奏はもう圧巻で、fffffくらいでかき鳴らし、叫び、そして最後の最後でギターは電車の走行音まで描写。会場が息を呑んだ一瞬。
ライブハウスなら皆遠慮なく身体を動かすところ、横一列土台で繋がっている「公民館」の小さな客席では、ノリのいい曲で無意識にビートをとってる誰かの動きが、一列全員にもれなく伝わって来るのが可笑しかった。

そして相変わらず、ものすご〜く気持ち良さそうに歌ってた。いい声だったなあ、ホレボレ。
なんかね、何故曽我部さんの歌を聴きに行きたくなるんだろう、って考えてみたら、もうそれは純粋に「いい歌が聴きたい、聴ける」からなんだ。

ピアノの弾き語りもあったんだけど、その自由(に聞こえる)が限りなく美しくて。
アンコールでもピアノで1曲「こんな・・・知ってる?みんな・・・このピアノ、世界一のピアノなんだよ。(スタインウェイのグランド)こんな素人が弾いてねえ」なんて。
アンコールはまずあの名曲「STARS」でさすがに全員手拍子になって盛り上がり、その後客電がついてからも鳴り止まぬ拍手に、ピアノ弾き語りで「mellow mind」の「ありがとう、と、おやすみ」のメッセージ。

曽我部さんの歌、ギター、そして特にピアノに思った、身体からフワッと出て来てなんの衒いもなく音になって放たれてゆく「自由」。
その日の午後のリハからずっと自分の中にくすぶっていた疑問。けしてこの時、それに対しての「解答」が出たわけじゃないんだけど、な〜んとなく、ほら、これだよ、これ!っていう作り方を曽我部さんが見せてくれた気がして。
自然な自由って、躊躇や衒いがあっちゃ出来ないんだよね。自信過剰とも違うんだけど、そこに何かしら確固たるありのままの自分が居ないと。
何やったって、どうなったって「失敗」って存在しないんだよ、って。

行ってよかった、やっぱり。
バンドもいいんだけど、曽我部さんのソロが本当に好きなんだ。
極上のアーティストたちにいろんなヒントをもらいながら、ちょっとだけ前が見えてきた素敵な一日。
音楽ってやっぱり最高だ。
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Commented by あすか at 2013-07-21 22:05 x
感じまくった一日だったんですね。
麻美さんはその一つ一つを細かく覚えて分析…というか感じれていれるのがとっても素晴らしいですね。

近藤さんとのリハで受けた事その日にライブ見て落ち着くのもめぐり合わせですね。
私も曽我部さんサニーデイが好きで聞いていて、時間がたち、ソロ聞いたらことばが良くって詩が音に乗る気持ちよさ。う~ん…一流!とうなりまくりで、心地よいのでよく休日に聞きます。
Commented by saskia1217 at 2013-07-21 22:19
あすかちゃん 
コメントありがとうございます!
あ〜、サニーデイが休日、ってすっごくわかります。激しいのも優しいのも、それぞれすぐにその世界に浸れる、いや「浸される」だな、それがスゴイと思うんですよね。
ブログ書いてていつも「細かすぎてめんどくさいイメージ」だって自分で思うんですが、自分の中に残ってるものが全て逃したくないものばかりで我ながらウンザリするんですよ(苦笑)。
読んで下さる方には本当に感謝です。
このところ強烈に思うのは「全ては縁なんだな」ってこと、当たり前のことなんだけど、深く実感しています。
by saskia1217 | 2013-07-21 01:57 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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