「阿修羅のごとく」

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昨日、トルコのウスパルタというところから来日した「オスマン軍楽隊」のコンサートを聴いてきた。
会場は早稲田大学大隈講堂。

特にトルコ音楽が好きとか興味があったわけじゃなかったけど、たまたまフェイスブックで見かけて、そういやちゃんと生を聴いたことないし、「阿修羅のごとく」しか知らないし(笑)、だいたいトルコの軍楽隊が何なのかもよく知らず・・・なので、面白そうだな〜、って気軽に申し込む。

知ってることといえば、音楽史でボンヤリ習ったことくらい。
ウィーンに侵攻したときに軍楽隊の影響が強く、その後ベートーヴェンやモーツァルトに見られるような「影響」をもたらした・・・
(ついでに言えば、当時トルコからきたものでヨーロッパに絶大なる影響をもたらした「もうひとつのもの」はコーヒー!・・とかね。まあ、それだって詳しくはよく知らない。)

仕事終わりで早めに早稲田に着いて、時間があったので緑のなかでゆっくりカフェタイム。
そういえばチラシにも当日の立て看にも、申し込みしたときの返信メールにも「開場時間」が全く書いてない。「たぶん開演30分くらい前なんだろうな〜」とアバウトに思っていたら、大隈講堂前には開演1時間前くらいからずいぶん人が集まりだした。
中に入れてもらってるのは関係者のみで、お客さんたちはどんどん増えて講堂の前にたまってゆく。係の人がやっと一人出て来て何やらアナウンスしている模様だが、カフェから遠巻きにそれを見ていた私にはよく状況がわからない。そのうちに何やら列が出来だして、係の人が何か配り始めた。
そこでようやく腰をあげて近くに行ってみると、整理券が配布されている。
なぁんだ、そうなの・・・(笑)。
そんなに焦って入場する必要もないし入れさえすればいいとノンビリしていたのだが、なかには早く入場したくてかなり前に来ていたのにちゃんとアナウンスがなかったと怒りだすお客さんもいたり・・・。
予約が必要だったわりには、点呼も、何かしらのリストとの照合も名前の申告も必要なく(笑)、とにかくもう開場時には狭い入り口に人が殺到してかなり混乱してました・・・。
ん〜、トルコって行った事ないしトルコ人の友達もごく数人くらいしか知らないし、だけどたぶんこのくらいの感じなんだろうなあ、って漠然と思っていたのだけど。
じつは開演後の演奏中でも、アバウトというかおおらかというか、一応注意のアナウンスはあったものの、お客さんだけでなく公式カメラマンもフラッシュ全開撮影だし(苦笑)、シャッター音やらセッティング音がチャランチャランひっきりなしに響く会場・・・
演奏中にも、遅刻者を案内する大使館文化部の係の人や公式カメラマンが堂々と通路を行き交ってるし・・
いやいや、軍楽隊じゃなかったらとてもじゃないが怒り心頭だろう。いや軍楽隊だってねえ・・。
入り口に申込者リストが置かれ人数までもきっちりチェックがあり、開演30分前にはきっかり開場して、人々はきちんと2列で入場する・・・みたいなのが当たり前だと思ってるとね。日本でのイベントやドイツ文化センターあたりの催しだったら「良くも悪くも」違ってるだろうな〜、なんて思いながら人の波にのまれてました・・・。
日本国内で行われる、いろんな国主催の催し物の仕切り方も、こうしてみるといろいろと興味深いです。

さて、協賛された早稲田大学の先生のご挨拶や、トルコ軍楽隊についての専門家による20分程度の解説の後、いよいよ軍楽隊が客席後方から行進しながら登場。
衣装の鮮やかさと音量のデカさに、お客さんのテンションは一気にあがる。
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ステージを一周したところで整列。この三日月の形状に並ぶのも「イスラム」の象徴であるとか。
旗を持つだけの人、30キロもある甲冑を来て立つだけの人、軍楽隊長、指揮者・・・を含めて16名。
衣装がとにかくきれい。その色は軍楽隊内での階級も表すという(赤を着るのは上の位の人)。
3人が持つ旗の色にも、例えば、緑=イスラム、赤=オスマンみたいな象徴があるらしい。
帽子も面白くて、隊長さんのこれはヤギの角を模したものだとか。
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指揮者。色とりどりのリボンの付いた長めの指揮棒を上下に動かして指揮。あれがもっと長かったらリュリの指揮棒みたいになる。この指揮棒が横になると、曲が終わる合図みたい。
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プログラムというものがなかったので曲目は口頭でアナウンスされたけど、各曲のあたまで指揮者が号令をかけるときに、まず曲目、そしておそらく「用意・・・さん、はいっ!」みたいな先導があって演奏が始まるのが面白かった。
まず2曲ほど演奏して、あとは楽器の説明や曲の解説などを挟みながらプログラムが進む。
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乏しい経験から、軍楽隊の音楽は2拍子か4拍子ばっかだと思ってたら、9拍子(2+2+2+3)の曲があったり。
歴史上、2回の廃止と2回の復活を経て来たトルコの軍楽隊(メフテルハーネ)は、その音楽が基本的に記譜されず口述伝承のみだったため、現在演奏されているレパートリーは殆どが20世紀以降に作られたものだという。
今日演奏されたうち数曲は「その中でも最も古い」ものだそう。
本プロ最後から2番目に、私を含めたおそらく殆どのお客さんが期待してきた「ジェッディン・デデン(祖父も父も)」が演奏された。
やった〜、「阿修羅のごとく」!(笑)。
しかし今でも「トルコ軍楽隊」といえばこの曲、って、テレビの力ってスゴいよね。
この日演奏された「ゲンチ・オスマン(若きオスマン)」も、ポピュラーなナンバーらしい。

ダウル(大太鼓、左と右のバチが違う。右はごく普通の太いバチ、左はもともと枝のようなものだったのが現代では殆どプラスチックになった・・・らしい。なので左はバチンバチンとすごい破裂音)とズィル(シンバル)のコンビネーションが叩くリズム、その音量のインパクトがとにかくすごい。
そして一番有名なズルナ(オーボエみたいなリード楽器)の、何ものにも負けない音。軍楽隊が野外で演奏することや、敵を威嚇するため、味方を鼓舞するため、という目的はわかってるけど、いやいやそんなことだけじゃあないだろう、なにこの快感、というレベルの音。
たしかに何かを威圧できる音だから、壁の向こうでこれをきかされたウィーンの人はけっこう怖かっただろう。スルタンの持っていた最大級のメフテルハーネは総勢80名くらいだったらしいから、割合からいえばズルナが10人くらい居たことになるんだけど(笑)。何デシベルなんだよ〜っっ!!
しかし現代の東京で鳴り響くトルコ軍楽隊の音は、もはや素晴らしい興奮、爽快感でしかない。
「軍楽隊」なのになんできいてて楽しいんだろ。
そして、この音楽に生理的にどこかしら惹き付けられてしまう日本人はやっぱり、「旋法」と「2、4拍子」がつくづくすきなんだと思う。
だけど、彼らが戦時や軍の儀式だけでなく、イスラム教の礼拝でも演奏していたという話は意外だったなあ。イスラム教の礼拝を見た事はないけれど、どのタイミングでどんな曲を、そしてどの「音量」で弾いたのかな。
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一旦客席を通ってハケたメンバーは、今度は早稲田大学吹奏楽部の学生さんたちと一緒に整列して再び入場。「ジェッディン・デデン」をふくむ2曲を共演。
黒いスーツを着た華奢なお嬢さんたちが、ひげをたくわえて民族衣装をどっぷり着たオジサンたちに混じって吹くのはおもしろい。
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スーザフォンを持ってしても太刀打ちできない軍楽隊の音量、2本のズルナのパートにはトランペットが2本加わったけれど、トランペットの音は残念ながら全く聴こえてこなかった(苦笑)。
けれど、西洋楽器にはない微分音の音程や、変拍子のものを果敢に共演した学生さんたちは素敵だったし、とても微笑ましかった。
「ジェッディン・デデン」を2回も聴いて、帰りの都電の中で頭のなかはすっかり「阿修羅のごとく」・・・いや、トルコから抜け出せない感じにグルグルしていた。

やっぱりいろんな音楽きくと、面白いな。
ものすごく楽しい夜だった。
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by saskia1217 | 2013-05-18 00:48 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)

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