A線上のアリア☆チェンバロ奏者 廣澤麻美 公式ブログ  Asami Hirosawas Blog


今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
by saskia1217
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

遠き社に想いを

e0081334_19342985.jpg

ある晴れた日、ようやく時間がとれて、楽しみにしていた「出雲展」へ。
週に2日、時には3日上野に来ているというのに、博物館、美術館、動物園にゆっくり来る機会がなかなかとれない。
見たい展覧会の看板を横目で見つつ、仕事に来る日はそんな時間は取れないから別日に来よう・・・なんて思ってるうちに期間が終わってる、そんなことの繰り返し(涙)。
でも、この日公園歩いてて思った。上野って・・・仕事じゃなくて来ると、ほんとにすっっごくのんびりしていいところなんだなあ〜、って。
いつも視界に入る範囲しか見ずに、駅から大学まで一目散に歩くし、帰りは大抵真っ暗だし(苦笑)。

国立博物館なんて特に、ホントに何年ぶりだったろう?
本館の展覧会に辿り着く以前に、もう庭園や樹々に目を奪われ、あまりの美しさに歩みが止まってしまう。
出雲大社、それは私が今、全国で一番行きたい神社。
由緒もさることながら、とにかくその佇まいが好きなのだ。鋭い角度で天に向かってそびえる千木と、無骨な力強さをたたえた鰹木、くすんだ木の色・・・私にとってドンピシャのその「神社像」に、平安貴族によって美しく飾られた朱色の社殿よりも、ずっと近しいものを感じてしまう。
出雲は、その一帯にあるいくつかの関係の深い神社も含めて、憧れの地。
今年は古事記編纂1300年、そして来年は60年に一度の大遷宮。
(しかしそうすると、来年は大変な年なんだなあ、伊勢も大遷宮ですからね。そうそう、来年の「神社検定」新設弐級のお題は「遷宮」だそうで・・・)

今回の展示物の中でお目当てだったのはやはり、2000年に大社の境内から発見された「宇豆柱」と、荒神谷・加茂岩倉の両遺跡から出土した大量の青銅器。
そして、大社の祭祀を代々担ってきた出雲国造家である千家家に伝わる諸々の品。

その品々のなかでも「宇豆柱」の存在を記した有名な「金輪御造営差図」の公開は貴重。鎌倉〜室町時代の記述。
出雲大社(もと杵築大社)の本殿が過去においてどのくらいの規模だったのかについては、宇豆柱が発見された今でも諸説あるらしいけど、今回も出品されてた大林組による復元模型はその高さを16丈(約48m)としたもので、これは上記の図に信憑性をおいたもの。
2000年の発見以来、テレビ番組や本でこの模型やCG画面、大林組による復元ドキュメンタリーなどでよく見てはいたけど、実際に目の当たりにしてみると1/10のこの模型の迫力はかなりだった。実寸だったらどんだけだろう!
そしてこの模型と向かい合って展示されていたのが、その本殿を支えていたであろう宇豆柱の現物。1本の直径が1〜1.35mの杉の木3本を一組の柱としてある。これも迫力あった。
さきほど「出雲大社の木の色が好き」と書いたけど、少なくともこの時代の柱はどうやら朱の跡もあるらしいから結構赤かったのかもしれない。
大国主大神が国を譲るのと引き換えに手にした社、このくらいのスケールがあったとしても当然なんだろうなあ。

次のコーナーの中心となっていたのは、ものすごい数の銅鐸、銅剣、銅鉾。いずれも国宝。
1984年に荒神谷遺跡から出土した358本という膨大な数の銅剣から42本が展示、ケースの中にズラッとならんだその景色は圧巻。これが互い違いに並んで出土したという写真を見ると、もっと驚愕。もとは金色に光っていたという復元模型も展示されていて、それが358本て・・・。
埋葬用にわざわざ作られた剣だが、これだけのことをされる埋葬者ってどれだけ力のあった人なのだろう?
そして翌年、そこから7mの地点で出土した銅矛16個の全てもここに。うち7本には「研ぎ分け」と呼ばれる、刃に美しい模様がつけられている。
その銅矛と一緒に出土した銅鐸6個。銅矛と銅鐸が1つの埋納坑から発掘された例はここだけという貴重な発見。いずれも高さ20㎝ほどのものだが、本物だと思うと一段とゾッとするものがあった。
それから1996年に、荒神谷から3.5キロ南東の加茂岩倉遺跡から出た39個の銅鐸からも展示。
いろんな大きさ、高さ、そして細かい模様。ひとつひとつじっくり見ると面白いんだけど、その数がすごいからクラクラしてくる。
これらの作られた場所、他の地方との流通事情など、込み入った、しかし興味深い話はいっぱいあるらしいので、これからもっと調べてみたいな。

他にも、美保神社に伝わる古筆手鑑、端正な美しさにうっとりする鰐淵寺の観音菩薩立像(台座に「出雲」の文字があり、これがおそらく現存する最古の記述)、佐太神社の平安時代の扇など、昨年のちょっとした神社の勉強で知った憧れの神社各社からの出品は、特に印象に残るものが多かった。
e0081334_20592058.jpg

それほど広くない展示会場を3度くらい行ったり来たりして思い残すところなく、建物をあとにする。
玄関を出ると、真っ青な空と明るい光に一気に現実世界に戻される。
あまりに美しいこの現世、2012年11月の東京に大きく深呼吸。
もったいなくて、大きなユリの樹の下のベンチに座って一休み。買い求めたばかりのパンフレットや絵はがきを見ながら、色々と反芻したり、覚え書きをメモしたり。
e0081334_20595856.jpg

日の当たる目の前のアスファルトを、のそりのそりとあちらへ渡ろうとする小さなコオロギが視界に入る。
大丈夫かなあ、無事に踏まれずにあっち側まで歩けるだろうか・・・そう思った矢先、勢いよく歩いてきた男性の足が真上に!
うわっ、やっぱり、と思ってもう一度見ると、コオロギはジッと動かない。
あ〜あ・・・寿命ってこんなもんか・・・と思う間にヨロヨロと歩き出したコオロギ。
生きてた!
そして反対側からやってきた別の男性が、再びフラフラ進むコオロギをじっと見ながら、ゆっくりと避けて歩き去って行った。

運命ってすごいよな。
土となり、空気となり、水となって消えていったおびただしい数の先祖たちとそのまわりにあったモノたち。
消えるのが当たり前だった筈なのに、はからずもこんなに遥かな時まで残ってしまったモノたち。
人間は、地球は、宇宙は、いったいいつまで続くんだろう。

そんな、中学生のときに毎日考えていたようなことをどうしてもまた思い巡らしてしまう午後。
ベンチから立って歩き出すまでには、けっこうな時間が必要だった。
e0081334_2111413.jpg

[PR]
by saskia1217 | 2012-11-19 20:25 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)
カテゴリ
ライフログ
お気に入り♡リンク集
最新のコメント
はるかぜたんぽぽ様 ..
by saskia1217 at 21:30
今頃のコメント、失礼いた..
by はるかぜたんぽぽ at 17:21
はるかぜたんぽぽ様 ..
by saskia1217 at 13:52
初めましてなのですがここ..
by はるかぜたんぽぽ at 00:53
船津洋子「傘松道詠集の名..
by とくまるくもん at 06:35
以前の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧