古とつながる瞬間

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もう1週間ほど前のことだったけど「遺跡現地見学会」っていうのに参加してきた。
大好きでよく足を運んでいる飛鳥山博物館の催しだったけど、知ったのは東京都文化財ウィークのパンフレット。(←ここから全てDLできます)
いいよお、これ。
殆どが無料、あるいはほんのちょっとの参加費で、都内のありとあらゆる面白いモノが見られる。

この日の見学会は、最初に博物館に集合し、同行して下さる学芸員の方からレジュメをもらって解説を聞く時間がある。いつものように散歩がてら歩いて博物館へ。早めに着いて、館内で開催中の秋期企画展「赤羽台古墳群に眠る人々」を約1時間見る。
もともとこの博物館が持っていて常設展でいつでも見られる資料のなかに赤羽関係のものも少なくないのだが、それとともに、関係の深い埼玉・鴻巣や千葉・市川、市原からの貴重な資料も合わせて展示されていて、展示の規模そのものはそれほど大きくなかったものの、非常に興味深い経験ができた。
埼玉・生出塚の共通の窯で作られ、活発な流通によって、その周辺のさきたま古墳群、白山古墳、赤羽台古墳から、南東に下った千葉・法皇塚古墳や山倉古墳に、同じ型、同じ顔をした埴輪が広まった経緯をメインに、他にも同じ海岸からとれる石を使った石器の流通など、見れば見るほど面白いものばっかり。

さて。
展示を見てから一度外に出て、大勢の子供たちがにぎやかに遊ぶ公園のベンチでお弁当を食べてから戻る。
出発前の解説時間に、この日の見学会は遺跡そのものがすでに地中に埋まっているので、所謂「それっぽい」ものが見られないから、せめてそこから出た本物の出土品を・・・ということで3つの実物資料を見せていただくことができた。
ひとつは上の写真にある深鉢。おそらく日常的に煮炊きに使っていた鉢だが、中に乳児の骨が入った状態で発掘されたので、たぶん埋葬に使われたのだろうとのこと。
写真も撮れたし、触ってよかったのが嬉しかった。いわゆる「縄文」模様はそんなにギザギザしていなくて、意外とすべすべした感触。
他に、アカニシで作った貝輪(腕輪)と、イタボガキで作った垂飾を見せてもらった。下の写真。
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そして出発。この日の参加者は定員の30名くらいだったかな、私以外はほぼ全員シニアな方々で、さすがの私もすっかり浮きまくっていた・・・
ほんの1キロくらいの距離をほぼ1時間かけてゾロゾロとめぐる。
ふだん散歩で「ふうん、ここって遺跡♡」と思いながらタラタラ歩くだけではわからなかった「実際の貝塚の大きさ」が実感できる。
「さっき居た○○から、今いるこの地点までが貝塚の長さです」
「あっちに見える学校からあちらの建物まで」
「この先は坂になっていますね。つまりこの下に川が流れていたわけです」
貝塚や遺跡の規模、方角などを学芸員さんの解説を聞きながら、景色を目で確かめながら確認するのは面白い。

いくつかのポイントを回ってから最後に訪れた遺跡は、あまりに貴重だったために、調査終了後に計画変更し、もともと建つ予定だったマンションの一部を公園にしたというところ。
地面にはこんな可愛い貝の目印が、遺跡の位置を示している。
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そのマンションの一角、外部からも見えるようなところに「貝塚」の一部をオブジェとして組み込むというデザインになっていた。
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今自分が生きて日々踏みしめているこの土地のこの土が、のほほんと散歩しながら「遺跡〜♪」なんてボンヤリ憧れてる自分のなかのDNAが、どれだけの時の隔たりを越えて今ここに存在するのか・・それを実感として受け止める瞬間は、素晴らしいを通り越してなんだかゾッとするような恐ろしさのほうが大きい。
自分が、他ならぬこの自分が、確かに何かを「受け継いで」今ここにいる、という、ただのちっぽけな私には担いきれないような大きな使命を急に背中に感じたり。
でもだから、命ってスゴいんだ。大事なんだ。

その数日後、実家にいったときのこと。
子供の頃から戸棚の片隅にあった貝が気になって、久しぶりに出してみた。
上記の赤羽台遺跡のパンフレットと図鑑で調べたら、赤羽で出土したのとおなじ「アカニシ」と「サトウガイ」だった。
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電力関係の会社で地中線を作る仕事をしていた父はトンネル工事の専門家だが、工事中に出てきたものをときどきこうやって持ち帰ってくることがあった。
「おんなじ貝だ〜!」とはしゃぐ私に父は「そっちのは欠片だけどこっちは完璧だから、断然こっちのほうが高額に違いない!」と冗談にしてはやけに豪快に笑う。

あのさ、父上。
これ現代普通に東京湾にいる貝だから・・じ、時代が違うから・・・笑。
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by saskia1217 | 2012-11-18 18:27 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)