今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!

by saskia1217

広島への旅

この歳になるまで、じつは広島と長崎には行ったことがなかった。
灼熱の西日本だった8月5日から10日まで、お仕事でその2つの街を訪れていた。
6日に広島、そして9日に長崎、それぞれの原爆記念日に読売日本交響楽団がモーツァルトの「レクイエム」をやる演奏会、そこでオルガンを弾いていた。

西へ向かう新幹線は岡山までしか乗ったことがなかったが、広島なんてじつに近い。ちょっと本を読んだり、景色を見ながら音楽聴いたりしていたら着いてしまう。
着いた日の夜は、学生時代からの知り合いで久々の再会だった男声ソリストのお二人と、ホテル近くのお店でかる〜く乾杯。3人とも広島初上陸で土地勘もなかったが、運良くいい感じのお店に遭遇。
地元の方らしき人たちでいっぱいだった伊志井、観光客とおぼしきアメリカ人が「お通し」の習慣と中身にめちゃめちゃ興味を示してたり(笑)。
そのお通し。タコの煮物が美味しい。
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鰯がオススメらしかったので、お刺身で。ピカピカ。
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やっぱり「穴子」でしょう!この日はお寿司で。とろけて美味しすぎた。
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翌朝、目抜き通りに面したホテルの部屋には、平和式典開始の前7時台から行進していたデモ隊の「原発反対」シュプレヒコールが響く。それで目が覚めた。
こんな日にここに居ること自体が特別だ。GPは午後からだったので、夜の本番のために体力消耗しないように気をつけつつも、居てもたってもいられずにホテルを出た。平和公園はすぐそこだ。
灼熱の陽射し。すでに35℃くらいにはなっていただろう。式典はもう終わっていたものの、公園に向かう人も多く、平和大橋の上は人でごった返していた。
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入り口に着く。メディアもまだ殆どが残って取材を続けているらしく、中継車や団体バスがまだたくさん。
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式典の余韻が残り、燃え続けるお線香の匂いで満ちている会場。
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中央の通路をゆっくりと前へ歩いてゆく。献花する人が絶えない。後から後から人が入ってきて手を合わせる。祭壇の前は人でごった返していた。iPadを手に夢中で写真を撮りまくる外国人観光客。中央で順番を待ちながらカメラを構える人たちも・・・。
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祭壇を離れ、バラ園や鐘があるほうへまっすぐ歩いてゆく。
川岸に出ると原爆ドームが見えて来た。空の青さ、雲の爽快さと、まわりじゅうに充満する強烈な空気とのギャップに心のバランスが失われそうになる。
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お昼前のニュースの中継のためにスーツにネクタイ姿、前髪を直している男性アナウンサーの表情が一瞬曇る。すぐそばの橋を越えて来たデモ隊の中の何人かの男性が、角の交番の警官に向かって奇声をあげながら挑発し始めたのだ。ひとしきり小さな衝突があり、周囲の人たちが遠巻きに様子を伺っている。平和を願う署名をする人たちの横での小競り合い、空気がささくれ立つ。
毎年テレビで見ている「この日の広島」からは伺い知れない情景と感覚。
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目に入る数々の画のひとつひとつが、心に焼き付く。
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本番前には見ないほうがいいかもしれない、と言われていた原爆資料館、本当は見たかったが単に時間がなかった。ここはきっとまた来ることになるだろうと思った。
立っているだけで目眩がするほどの熱気で、そろりそろりと歩いてホテルに戻る。
帰りに水神社に立ち寄る。
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モダンな新車両に混じってレトロなのも走る市電。
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午後からGP。この日の語りを担当したのは吉川晃司さんだったが、そのポジションが私のすぐ背後で妙な緊張感・・・。朗読される詩は東京でのリハの時から手にしていて内容は知っていたのだが、実際に声に出して読まれるのが耳に入ると、あまりの強烈さに涙が溢れてしまう。女声ソリストのお二人もこのときは殆ど号泣されていた。本番は泣かないようにしよう、と思うのが精一杯。

この特別な日の広島に居て、そして鎮魂の曲が弾けるという希有な体験。指揮者、ソリスト、オケのメンバー、そして何よりも地元から参加された合唱団の皆さんと、満員のお客様・・・演奏が進むにつれて、それぞれの心がそれぞれに動くような気がして、その気持ちの流れがひとつになってのぼってゆくようだった。
今回は所々で詩が挟まれた以外にも「レクイエム」を最後まで演奏せず、最終曲の途中で同じくモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」に流れ込むという、指揮者による構成になっていた。曲がそこで変わった途端に光が差すような、そんな印象的なラスト。
その場に居られて、そしてそこに音を加える役目ができて、本当に嬉しかった(嬉しいというのはヘンな表現かもしれないけど、本当にそうだったから)。

この日の演奏会は後日、日テレ「読響シンフォニックライブ」(毎月第3水曜日深夜)で全曲放映される予定。ちょっと先になるとは思いますが。

その夜はオケの知人と、そのまたご友人と、地元の人しか知らないという感じのお店「暮丙味庵」へ。
ここがまたどれもこれも美味しいお店で、おまけにベタな名物をかなり制覇できてハッピーな時間。
どうやら最近人気の広島名物らしい「うにホーレン」。ほうれん草とウニをバター風味で炒めたもの。ここのは卵がのってないスタイル。
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絶品ステーキ。とろける。
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切望していた「広島焼き」。挟まってる麺は細いタイプでカリッとしている。意外とあっさりした味。
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ビールを呑み、美味しいものを食べているうちに、ある部分で少し沈んでいた気持ちが回復してくる。
前へ行こう、より良い前へ、という気持ちになってくる。今生かされていて、これからも生きていかにゃならん我々は、そうあらねばならないだろう。

翌日は1日フリー。
いざ、ベタな観光地、宮島へ!
(つづく)
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by saskia1217 | 2012-08-12 01:40 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)