大事な音が終わってゆく〜エレカシ「MASTERPIECE」ツァー in Zepp Namba 大阪〜

エレファントカシマシ「MASTERPIECE」ツァー、大阪の2日間を聴く。
昔からのZepp大阪がなくなって、新しく出来たZepp Nambaで。
行ってみたら、回りは倉庫だったり大きな道路だったりであんまり街中感はない。
ちょっと不思議な雰囲気の場所に、アートスペースかギャラリーみたいなデザイナーチックな建物。
これからロックバンドのライブだ、っていうより、室内楽聴きにきたよ、みたいなエントランス。
素敵なんだけどね。

1日目。
宮本さんもお客さんも最初からものすごくノッてて楽しいコンサートだった。
アルバム曲以外は「悲しみの果て」「おはようこんにちは」。なかでも中盤での「浮雲男」「デーデ」「珍奇男」の流れは最高だったなあ。
「浮雲男」大好きなのにライブで聴いたのは初めてだったから、すごく嬉しかった。この日は他の曲もそうだったんだけど「タメ」がものすごくって、拍とか小節線なんてもう完全にとっぱらっちゃって(それが出来るのがホントのミュージシャンなんだけど)、それでもちゃんと肝心のところでバシッと合うからかっこいいのだ。宮本さん自身は自分が作った曲だからとはいえ、そしてそんなことにはもはや動じないバンドメンバーであっても、まあよく(ある意味)歌を聴かずにあとの3(4)人がきちんと舵取りをしているものだなあ、ってあらためてまた感じ入りながら気持ちよく聴いていた。

この日は「宮本さんとピアノ」の仲良し度が高く(笑)しきりにキーボードに駆け寄っては色々弾きまくってくれてた。
その弾き語り「飛べない俺」はこの日が最高に素晴らしかった。背後から客席に向かって突き刺さる真っ白な照明とシルエットが美しい。
アンコールで本当はすぐ次の曲に行きたかったところで藤井さんの楽器待ちっていうシーンがあったのだけど、その間を埋めるのに宮本さんはすかさずキーボードに歩み寄って、さっきやったばかりの「飛べない俺」の最初をメロディーを右手にして弾いた後「昔ね、これもピアノで作ったんだよ」と「遁生」の出だしを弾き語ってくれた。つくづく、あの最初のハーモニー進行はありえないよな〜、ヴァーグナーみたいだもん、と思う。席を立ちながら「オレ、またピアノ習おっかな〜・・・・ヤマハで」と嬉しそうに言ってた。
メンバー紹介で「ベース、高緑〜!」の次に「ピアノ、宮本〜!」ってのがあって、今回の宮本さんのピアノ愛が伝わってくるねえ。
あ〜、宮本さんのピアノすごく好きだから、これからもステージで弾いてほしいなあ。

ギターの弾き語りの時と同じく、ピアノのときも最初にポロポロって音出してから始まる、その何気なく弾いてるフレーズがとっても好きだ。指先から自然に流れてくるその数秒のメロディーとハーモニーに、この人のなかにある宇宙ほどの音楽の宝庫を感じることが出来るから。
そしてこの日も「七色の虹の橋」がやっぱりとっても印象に残った。
「約束」も濃い感じでとても素晴らしかった。この日は♪北風吹きすさぶ真冬の街♪の冬ヴァージョン。音源に入りきらなかった、好きな言葉だったのかなあ。

「穴があったら」での突然のターザン吠え(?)や、「ココロをノック」イントロで「もう少しなんだよ〜〜〜!」と叫んだり、「大阪からまんまで宇宙」とか、タメとか頭の文字繰り返し唱法とか、とにかくプラスのベクトルが最初から最後まで途切れなかった。
「ガストロンジャー」での新しいフレーズ♪みんな大好き落しどころ♪が何回も繰り返され、脳裏には何故か民主党が思い浮かび(笑)。

初日アンコールは「今宵の月のように」「風に吹かれて」「ガストロンジャー」「ファイティングマン」。
(「風に吹かれて」のサビでお客さんが手を振るのがすっかり定着したみたいだけど、みんな私と逆の「右→左」に振るのは大阪だからなのか?!・・・エスカレーターと関係あるのか?!・・・笑)

2日目。
東京でもそして前日も思ったのだけど、しょっぱなの「大地のシンフォニー」で声がスパーンていきにくい印象があって、そこでいつもちょこっと不安になっちゃうのだけど、そんなのバカバカしい杞憂で、コンサートが進むにつれて俄然いい声になってきて、はたまたアンコールに至っては150%くらいになるんだよね。出の直前じつは結構無言だったりして・・・。

この日は、歌詞とかタイミングとか、いろんな曲でいろんなハプニングがあったのだけど、それもまた面白くってお得に楽しんでしまった。

「ココロをノックしてくれ」はイントロでもうメンバーもお客さんも嬉しそうなのがいい。
ピンクの照明にようやく少し慣れてきた(笑)「Darling」は、そんな柔い光の中でも骨太の音づくりと力強い歌い方。音源と一番違うこの曲、このライブヴァージョンこれからも聴きたくなるに違いない。
「定め」も嬉しかったなあ。
最近なのに「脱コミュニケーション」がものすごく懐かしく感じる。イントロのギターソロのタメもかっこよかったですね。
ブルーの照明が鮮烈だった「眠れない夜」ラストで、宮本さんの命でトミが銅鑼を5発派手にぶちかましてくれたのもゴージャスでよかった。
そこからの「金でもないかと」では、ハンドマイク片手にものすっごいタメながらいつものように上下に動き回る。フェスの映像を見慣れてると、ライブハウスですんなり拍どおりセンターに戻れてしまう宮本さんを見て「狭い!」と感じてしまう(笑)。
続けて次の曲に入るところで、「彼女は買い物の帰り道」のコードらしきものをギターで鳴らしてから、急にそれを嘲笑うかのように「ぶ〜〜〜っ!」っと打ち消しながら始まった「珍奇男」。なるほどなあ。
この日の「七色の虹の橋」は今まで聴いた中で一番好きだった。少し距離のあるセンターで聴いたこともあって、全てがバランス良く直線で届いた中でもこの曲は突出してまっすぐだった気がした。♪ボ〜ド〜レ〜ルの〜・・・しま〜い〜こ〜んで〜♪の上声のコーラスを自動的に脳内で鳴らしながら、完全にこの曲に取り込まれてしまう自分。
音なんて多くなくても、人は動かせるんだ。

今回はツァー日程がズレたために、図らずもタイトな間隔で数回のコンサートを聴くことになってしまったけれど、それもまた別の感じ方ができていい思い出になった。
しかし。
この贅沢を当たり前だと思ってはいけない。
こんなことに慣れてしまってはいけない。
アンコールの「ガストロンジャー」が終わって最後の1曲「ファイティングマン」のイントロギターが始まるあの瞬間に全身を襲ってくる途方も無い寂寥感。
「行けるときがご縁」・・・ちょうどいいバランスで、自分の中でいい「落しどころ」を作るのは、結構大事だと思ったりしている。
好きすぎて感覚が麻痺してしまう前に。

それでもやっぱり、好きすぎる、んだけどね。
それもまた、受け入れるべき運命。

唯一無二、今このときに全てが相応しい音楽を、ありがとうエレカシ。
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by saskia1217 | 2012-07-13 03:34 | エレファントカシマシ | Comments(0)