生と死の間を行き交うココロ〜エレカシ新春コンサート in 渋公 その2〜

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♪多分幾世代にも亘る長い人の歴史の
そのまた果てに佇むぼくら
・・・
もうぼくらは扉を叩いてしまった
鋭き真冬の風感じながら
生と死の間を行き交うココロ
ふさわしい傷だらけの夜明けに♪

原宿駅から代々木競技場を過ぎて渋公とNHKのとこの交差点まで歩く道は、いつ行ってもだだっ広く飄々とした風が吹いて、少し殺風景でササクレだった景色。
でも、それがいい。
冷たい風が刺すこの冬のまっ只中は格別にいい。
駅前の歩道橋の上にのぼると、空にのぼりたての白い月と薄紫の空。
ああ、本当にいいなあ、この冬の空気。
否が応にも「生きていることと死んでゆくこと」を考えさせられる冷たい空気。
「あ〜、今日が終わってしまうんだ」とぼんやり思いながら、シャッフル設定のiPodからは「寒き夜」が流れていた。

エレカシ新春コンサート、幸運な巡り合わせに恵まれて再び足を運ぶ。
昨夜28曲歌い続けたようには、ステージ上では到底見えない宮本さんは、ピカピカピチピチしながら1曲目の「今はここが真ん中さ」を歌い始めたけれど、ほんとにすこ〜しだけ、ほんの少しだけ声が疲れてるかなあ・・っと思わせた・・のも一瞬だけで、あとはもうズンズンといつもの迫力で歌い進めていった。
前日のステージと差し替えられた曲は全部で8曲。私が経験したかぎりでは、2日公演でこんなにプログラムを替えてきたのは始めてだ。
「おかみさん」「精神暗黒街」(これはライブ初聴き)「寒き夜」「季節はずれの男」「sky is blue」「ハナウタ」「桜の花、舞い上がる道を」「so many people」が差し替え曲。
アンコール、ダブルとトリプルアンコールも含めて、全29曲。3時間近かった。
サポメン10人を含めてのタイトなスケジュールの中で、いったいどれだけリハしたんだろう、なんて余計な感嘆までしてしまう。

「もうずっと長いこと使ってるから、この椅子・・こんなになっちゃって・・」と宮本さんが苦笑いしながら示した例の「男椅子」は本当に完全に斜めっていて、弾き語りでがっつり座ると1階席では宮本さんの姿がすっかり見えなくなる(笑)。その低〜い姿勢で身体じゅうが口になったみたいに歌ってくれた「寒き夜」。この曲を初めて聴いた動画サイトの映像は泣きながら声を振り絞ってた演奏だったけど、今日の「寒き夜」はもっともっと深いところに居ながら、どこか他から自分を見ているような落ち着いたものが付け加えられていた気がする。
同じく弾き語りで始まる「風」のギターイントロのコードが、この曲の調から随分遠いところから流れ出してちょっとビックリ。それがブロックごとにひとつずつ歌いだしに近く近く導かれてゆくのが素敵だった。
「寒き夜」と「風」という弾き語り2大金字塔が一晩で聴けるなんて、あまりにも贅沢すぎて目玉が溶けてしまいそうだ。
ラップみたいな語りの部分が「月、火、水、木・・」と一週間がぐるぐるめぐっていく言葉になっていた「明日への記憶」。PVのその場面の、宮本さんを中心に渦巻くカメラワークを彷彿とさせた。
「笑顔の未来へ」は今日は一段と高い盛り上がり。この曲の持つ絶大な幸福感は、この世の中のありとあらゆる(言ってみれば)「ラブソング」の頂点に立つ。それも「空虚な愛の言葉」がひとつも使われていないラブソングだ。
「みんな、生まれたときから不器用なんだよ」というMCで始まった「俺たちの明日」では、♪いつかどでかい、どでかい虹をかけようよ♪で、今日はその虹を右手を伸ばして客席に向かってかけてくれた。
そのラストのサビ、♪オマエがいつかくれた優しさが今でも宝物♪を受けて、「第1部」(笑)ラストの「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」へと、「やさしさ」のリレー。
音楽も、言葉も、歓声も、拍手も、熱い空気も、汗も、そしてステージと客席、そこにいる人間全員の笑顔も、これ以上の高揚は経験したことがないといっていいくらい、息が止まるんじゃないかと思ったくらい高く高く幸福に包まれた「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」。

なのに、ここからがなんと「第2部」開始なのだ。
もはや以前のような「本プロ」と「アンコール」みたいなウエイトじゃない。
そこから一気に8曲が続いた。
「sky in blue」で久々の宮本さんの「スライドブリージャー」が聴けた。気持ち良さそうだなあ。
昨日「絆」で披露してくれた、のびのびと広がってゆく声と言葉の魔法は、今日は「ハナウタ」に委ねられた。「笑顔の未来」同様に、この曲が始まると客席の空気がパッと花が咲いたようになる。宮本さんはよほど気分が良かったのか、やおら成ちゃんの帽子を取って、何故かそれをかぶるでもなく石くんにかぶせるわけでもなく、コロンと置いてた(笑)。
「お正月らしい歌を」と「桜の花、舞い上がる道を」が続く。まさか聴けると思っていなかったから本当に嬉しかったな。
「パワー・イン・ザ・ワールド」と「so many people」を一晩で両方聴けるなんて、もうこっちの許容量がパンパンて感じ。後者は「これ実はやるの忘れてて・・・(会場爆笑)。(saxの)山本さんが『今日これやらないの?』って言ってて気がつきました。」って・・・思い出してくれてよかったあ。
「あなたのやさしさ」で、そしていつもの「ガストロンジャー」「ファイティングマン」のセットであれだけ全開だったのに、最後の最後でまた「so many」はあり得ない熱量。

なのに。
トリプルアンコール。
「待つ男」
富士と太陽、これはやっぱり正月にはかかせないや。
まったく、このアンコールに至っては宮本さんが身体ごと溶けてなくなっちゃうかと思いました。
いやいや〜。
この人は本当に人間なのか、と思ったですね、初めて。

7日はお客さんのテンションは最初からかなり高く、妙なヤジも多かったけど、宮本さんは大人の対応でうまくいなしてくれて、こちらはちょっとホッとしたりする場面も。
なので、MCはずっとずっと上機嫌で嬉しそうな印象だったですね。
「漂う人の性」の前に「みんなは『夢から醒めし人』なんだろ?オレはいつも夢の中なんだけどさ」って言っていたのがなんだか心に残ったな。
「みんな、あけましておめでとう〜〜〜!!」と始まり、終わろうとする度に何度もアンコールに出、その度に「サンキュー、渋公!サンキュー、エヴリバディ!!」と投げキッス、そして最後に「今年もよろしく〜〜〜っ!!」
年賀状を書かないという宮本さんですが、これがまさに「年賀状」。
私たちには一番嬉しい年賀状。

華やかで濃厚で豊かで明るい、幸福感に満ちあふれた2日間のステージ。
影も悲しみも涙もたしかにそこにはあったけれど、暗い瞬間はひとつもなく。
「未来の生命体」「今をかきならせ」「風」「漂う人の性」「傷だらけの夜明け」「普通の日々」「旅」「笑顔の未来へ」「俺たちの明日」「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」「ワインディングロード」「新しい季節へキミと」「絆」「悲しみの果て」「ハナウタ」「パワー・イン・ザ・ワールド」「so many people」・・・このメッセージ。
ただ、「生きること」と「死ぬこと」についてずっとずっと歌い続けられてた。
いまここに「命」があって、連綿と続いてきた歴史の上に時が流れ続けていて、今この瞬間から前へ前へと零れ落ち崩れ落ち、一時も止まることなく押し流され、でもちゃんとそこには存在と意味があって・・・
だから、それでいいんだ、と。
大丈夫なんだ、と。

まったく、こちらこそ「今年もよろしく〜!」だ。
まっさらに身体じゅうでその幸福と力を受け止めさせてもらったと同時に、自分が音楽を職業としていることをあらためて誇りに思った、今年の新春コンサート。
今年もきっと、直接そして間接に、私はまたいろんな人に助けてもらいながら、たくさんの人に出会い、そして音楽を続けてゆくのだろう。

命を大切に。
そして、少しでもたくさんの音楽を。
ありがとう、エレカシ。

♪もう二度と泣かなくていいように・・・♪


♪あと五分しか生きられぬのなら♪


♪死んじゃダメだ〜〜〜っ!♪

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Commented by mako at 2012-01-08 21:31 x
初めまして

いつもブログ楽しみに読ませて頂いてます

宮本さんの魅力を本当に素敵な言葉で表現されていて読むと思わず共感して頷きながら泣きそうになる事があります

エレファントカシマシの新春ライヴ本当に素敵でしたね

一体あの細い身体の何処からあんな物凄いpowerが出るのでしょうね


こんなに聞きたかった曲盛り沢山なライブ最初で最後なのではないかと思えるセットリストで大満足でした

soul rescueってあんなにカッコいい曲だったんだと再確認

死ぬまでにもう一度聞きたいなぁ

これからも応援してますのでブログ頑張って続けてください

突然に失礼しました。
Commented by saskia1217 at 2012-01-09 14:37
makoさま

コメントいただき、またいつも読んでくださってありがとうございます。
本当に貴重な一夜でした。
soul rescueはライブだと特にいいですね。
カラオケで歌うと爽快な曲のひとつです。
特に好きな曲は「あ〜死ぬまでにこれをライブで聴けるかなあ」とついつい思ってしまいますね。

ブログは気ままに書いていますが、よかったらどうぞまたお立ち寄りください。
by saskia1217 | 2012-01-08 20:05 | エレファントカシマシ | Comments(2)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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