完璧な本番とは?〜エレカシ新春コンサート in 渋公〜

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エレファントカシマシ、2012年の新春コンサートの1日目。
レモンが取り払われてスッキリした(笑)「渋公」にて。
武道館の新春を聴いてから、もう1年も経つんだなあ、なんて黄昏れながら。

「完璧な本番」て何だろう?
今まで、この歳まで音楽をやってきて、どんな分野のどんな音楽家も、とにかく「本番で技術的ミスをする」ということにおいては、なんであろう、その人それぞれの中でギリギリまで厳しくなければいけないものだと信じてきた。もちろん、そんなこと言ったってミスはするし、人間だから当たり前なんだってことは重々わかってる。コンサートの本質はそんなとこにはないよ、ってこともわかってる。
問題は「ミスすること」そのものじゃなくて「ミスしてはいけないという前提でいる」ってこと。
今までいろんなジャンルのアーティストと一緒に仕事をしてきて、概してクラシックの世界のほうがそういう「ミス」について厳しいような傾向があるけど(悪い伝統ではあるけどね、特に教育上)、無論どの分野のミュージシャンだって同じ気持ちでステージに立っているんだと思う。
でも「ミスも個性のうち」とか「ミスを忘れさせてくれるくらい素晴らしかった」という言葉をもうしょっちゅう聞くわけで、特にプロの音楽家が平気で口にするのはどうなんだ?!、とずっと腹立たしく思ってきた。そんなのがまかり通るなんておかしい。

でもさ。
違った。
ようやく認める。

昨日のコンサート終わって、ズ〜ンとその重みがきた。
もちろん、昨日のコンサートでミスが多かったというわけじゃない。それに宮本さんもよく、間違えたりやり直したりするときに「スミマセン、プロとしてあるまじきことで・・・」と言うこともあるし、自分を厳しく律して仕事に向かってらっしゃることはみんな知っている。
なんて言ったらいいのかなあ、昨日はギターのコードがいくつか違ったり、やり直したりしてたのに、何だろう、「なんだ、今日は完璧なコンサートだ」って思ったんだ。
今まで生きてきて、今の今まで、私にそう思わせてくれるミュージシャン、アーティストは誰ひとりとしていなかった。

私にとって27回目のエレカシのライブ。今までずっと毎回いろんな色合いの「嬉しさ」や「感動」や「楽しみ」や「涙」を味わったけど、昨日みたいなのは初めて。
濃厚、密度が濃いのに、スッキリと消化がよくて、爽快感と充足感、幸せが残る。
ステージに立っている側の人たちがきっとそうなのだろう。それがそのままこっちにきた。
その、不動の岩みたいな堂々ぶりに、「この人怖い!」とさえ思った。
すごいなあ。

一番嬉しかった曲。
一昨日の記事にも書いた「あなたのやさしさをオレは何にたとえよう」が、本プロラストに歌われたこと。
開演したときにホーンセクションが並んでいるのをみて、じつはちょっと期待してドキドキしちゃったんだけど、本当にやってくれて何ともいえなく嬉しかったな。
大好きなのにライブで聴いたことなかったから。
ライブで聴くのが初めてだったのは「soul rescue」「ふたりの冬」「漂う人の性」そして新曲の2曲。
前半は特に「冬」がテーマの曲が集められていて、その世界にリアルにぎゅ〜っと溶け込まされていって。
選曲もだけど、プログラムの並びかたが絶妙だった。
しかし「アーティスト側がやりたい曲」と「今自分が聴きたい曲」が現場で一致する嬉しさってのも、クラシックじゃまず滅多に味わえない喜びですよね。

個人的にすごく印象的だった曲もいくつか。
今回もフルな声とギターで響かせてくれた「風」。今このとき、この曲は必要だ。しかも昨日は声がすごく伸びやかで大きくて、最後まで枯れることなくてインパクトがいつもより大きかった。
私の冬にはもう欠かせないナンバーワン名曲「傷だらけの夜明け」。ラストだけ♪もう二度と泣かなくていいように/夜空の星を『ぜんぶ』君にあげよう♪と歌っていたのが何故かズシッと来た。
今、この時に聴かなきゃいつ聴くのか、ってくらいドンピシャな「普通の日々」。ステージにのる宮本さん、そしてエレカシが歌うからこそのリアリティの重さがある。間奏のアドリブで声を振り絞るようなメロディーが生み出されていた。
「笑顔の未来へ」はいつもより飛び跳ねてるお客さんが少なかったけど(笑)すごい名演だったなあ。とにかくこれもとってもリアルだった。
「あなたのやさしさを・・」はホーンとストリングスでとってもお正月っぽいし豪華なんだけど、なんといっても歌詞がいいから、ウキウキだけではない何かがちゃんと残る。
途中でメンバー紹介が入った後、またサビに戻るのがとにかくかっこいい。
これが聴けて本当によかった。

アンコールで新曲「ワインディングロード」と「東京からまんまで宇宙」が続けて歌われた。
特にそういうMCもなく、す〜っと始まったのだけど、やっぱり音源とは違う魅力がある。「ワインディング・・」のCメロ♪遠い空の青さに鳥が泣いて♪は本当にホレボレしちゃう。
♪わかるかい?わからない?立ち止まり見てみろよ♪では、最初ささやくような優しい音色で歌い始めるのに「立ち止まり」から急激に男性的な太さのある声に変わるのが魔法のようだった。
「新しい季節へ君と」はやっぱりいつ聴いてもワクワクする。エレカシを集中して聴くようになった頃のリリース曲だったから、思い出がいっぱいある。
そして今まで何度も聴いた中で最高だった「絆」。「バラードをやります」とぽつんとMCして淡々と歌い始めた宮本さんは、イナバウアー張りに全身で「声」に変身していた。なんだか全てが「詰まって」いたなあ。会場中がその余韻に浸っていたとき、宮本さんは突然「そういえば、新党『絆』ってのができましたねえ、知ってますか?あの、民主党でさ・・・しかも『つ』に点々でさ・・・オレ時流にのってるか?」って・・・いやいや、あなたが先でしたから(笑)。

照明がとても綺麗だったのも印象に残ってる。
言葉や音符の細かいタイミングで変化していたのが素敵だった。
けして色をたくさん使っているわけではなかったのだけど、角度とか工夫が凝っていた。
ただ、今回は「いつも以上に」宮本さん以外のメンバーがちょっと暗すぎてあんまり見えなかったのが残念だったけど、効果としては綺麗でした。
MCもいろいろ面白かったけど、最後の最後で「素敵な・・・真剣勝負のお客さん!・・みんな、ありがとう〜〜!」と叫んでくれたのが、なんかちょっと嬉しかったな。

アンコール8曲とダブルアンコール2曲を含め全28曲。
「完璧なコンサート」をありがとう。
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by saskia1217 | 2012-01-07 15:13 | エレファントカシマシ | Comments(0)

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