折れた月

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今年が暮れてゆく。
晴れていた。ちょっとだけ時間が出来た。
上着を着てマフラーを巻いて手袋をはめてブーツを履いて、家を出た。
どんどん歩いていった。
なんにも考えずに。
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身体がやけに重くて、頭の中がグダンと濁ってる気がした。
空気が足りない、目に飛び込んでくる色が断然足らない。
何度も何度も歩いた道が、いつ行っても美しいってすごい。
一時も止まってないって、世界はすごい。
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時間はたっぷりあるのに、あまりにもたくさんのものが目に耳に飛び込んできて、そのすべてを片っ端から確かめようと早足になってしまう。
お陰で今日も汗だくになった、この寒いのに(笑)。
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くるんと丸まって枯れかけた紅い葉でさえも、なんでこんなに美しいんだろう。
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樹が一番見事なのは、その幹を見せるときだと思う。
ソメイヨシノも、そしてこのプラタナスの白には息を呑む。
この同じ白い幹を見上げて同じことを思ったあの日から、もう1年経ったのか・・・。
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階段や坂にひそむ煙のような冷気。
坂を昇る一歩一歩、踏みしめるたびに足の裏に感じる熱。
その先にある稲荷にも、あと3日で今年が暮れるという表面張力と、がらんとした温かい空虚感が満ちている。
いつもと、何かが違う。
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大晦日、一度でいいからここで狐になって踊りの列に加わりたい・・・。
今年もまた、リビングの壁に掛けてある広重の狐たちで我慢するか。

以前、マンドリン&チェンバロライブのために「折れた月」という曲を書いたことがあった。
歩き疲れてコーヒーを飲んだお店から出て歩道橋の上にのぼると、駅の上にひらけた広い空に「その月」が出ていた。

痛い月。
そして、そのそばにはいつもきらりと宵の明星。
この一瞬もすぐに過ぎ去る。
だいじに、だいじに・・・。
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by saskia1217 | 2011-12-27 23:33 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)