学ラン in グローブ座〜小林賢太郎舞台作品「うるう」〜

ネタバレしています!










久しぶりに観た、生で動く小林賢太郎さん。
その舞台作品シリーズ「KKP」初の一人舞台「うるう」。

小林さんの一人舞台といえば、NHKのテレビヴァージョンでも紹介されたソロ作品シリーズの「ポツネン」で、そこに貫かれてる世界観は、私にとっては時にはラーメンズ本公演よりも大好きなものなのだ。
一方で、KKPは今までライブでは4作しか観ていないけれど、それ以前の作品も含めて、その時々の出演者や題材によって、ものすごくよかったと感じたものと、あんまりすんなり受け入れられないものの差がとても大きかった。

で、今回の「KKP」。
当たり前だけど、小林さんが演じてたのは「ポツネン氏」ではなく、どこか童話や絵本や、言ってしまえばちょっとジブリの世界を思い起こさせるような、そんな「ありきたり」だけど「小林さんらしい」世界に生きるファンタジックなキャラクター。つぎはぎのブカブカズボンと銀色の髪の、飄々とした人物。
私世代にはちょっと「のっぽさん」的なイメージ(笑)。
もう会場に入った時から目に入るシンプルなセットも、絵本そのものの「ファンタジック」なもの。

チラシもポスターも見ず、キャッチコピーも知らないまま観たが、最初は「これはポツネンじゃなくてKKPなのだ」という気負いが少しあったものの、観すすめていくうちにそれは杞憂に終わった。
楽に見られた作品だったし、何よりも過去のKKPでいつも感じていた「グイグイ感」が無かったことが、「今」の小林さんの新境地なのかなと思った。
KKPはいつもどこかに「教訓」のような強い「メッセージ性」があって、それが良かった反面、そこばっかりが強すぎて、決められすぎていて、「それを感じなきゃいけない」みたいな、言ってしまえば「押し付けがましさ」と「道徳性」のようなものがあって、そこにこっちが「恥ずかしさ」さえ感じてしまうような印象があったんだよなあ。

でも、今回のは「メッセージ、答え」を強要しない。
それが、作り手側からはハッキリと決めつけられない。
そして「何かを決めなきゃいけない、感じ取らなきゃいけない」感がない。
でも、ちゃんとお客さんそれぞれの中で「何か」は自然に紡ぎだされてる。
重すぎず、軽すぎない「メッセージ」が。
まあ、「TAKE OFF」に象徴されるような以前の「熱血」が好きな人には、ぬるいっちゃあぬるいのかもしれないけど。
もしそれが「欠点」として映るとしたら、設定とかお話自体がわりと「普通」で「ありがち」で「どっかできいたような話」で・・・で、結局あったかいものに持って行こうとしている、っていうところなのかもしれない。
けど、そういうものを創って演るのは実際はとても難しいだろうし、観るほうはそういうものを結構求めているんじゃないかな、とも思ったり。

小林賢太郎ファンにとっては、ところどころ挟まれるコントチックなものとか、お得意のパントマイムとか影絵とか、言葉を極限に(いい意味で)こねくり回したラップや複雑な言い回しとか・・・そんな「お楽しみポイント」はいくつもあったと思う。
まあ、すごいなあって笑えるものとあんまりそうでもないもの、両方あったけど。

観終わったときの、ヘンなドキドキ感とか一時的なハイテンションが全く無かったところは、小林さんの今現在の安定感とか自信なのか、年齢的なものなのか、または様々なやりたいこと、いろんなスタイルを経てきた末の落ち着きの表れなのか・・・
主人公の年齢設定が小林さんの実年齢だった(と思うけど)のも、ちょっと興味深かったし。
「自分はこう、自分はこうあらねば」みたいなグイグイがなくなったのは、エレカシの宮本さんの最近の音楽と通じるのかも、なんて思ったり。

背景のセットに時折映し出される情報や数字は、面白いながらも、う〜ん、きっと小林さん的にはもちろん必要最小限にとどめたとは思うのだけど、ああいう「説明」が必要になっちゃうのって「舞台」としてはどうなんだろう、っていう疑問もちょっとは感じたな。

あ、それと音楽構成とチェロ生演奏を担当された徳澤青弦さん、よかったです。
録音したSEと生音の重複効果も美しかったし、おそらく綿密な打ち合わせがあってのことだろうけれど、音楽が占める部分が多すぎず少なすぎず、ステージで占める存在感も出過ぎず引っ込みすぎず。
ただの「描写」にとどまらない「空気作り」はとても上手くいってたと思う。
ラストでパッヘルベルのカノンのバスが鳴り始めたときは、正直「またこの曲か〜」って思ったのだけれど、そのガッカリ感をすぐに払拭してくれた、さりげないアレンジと演奏。
「待ちぼうけ」とこの曲の合体が意外と上手くいってたのは面白かったですね。
いつも小林さんがKKPで見せる「ほ〜ら!」みたいな種明かし的ビックリ感は、今回の音楽の場合はあんまり無かったけれど。
最後に小林さんがごくごく真剣に熱唱されてたことのほうが、ちょっと意外だった。
どっちにしても、こんな舞台にかかわれるのは、音楽家にとってものすごく幸せなことに違いない。

そうそう、小林さんがときどき学ランを着ていたのが(なんだかピッチピチだったけど)、すごく新鮮でした・・・。

ラーメンズ、KKP、ポツネン・・・見始めてから5〜6年が経つ。
これからも楽しみにしていよう。
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by saskia1217 | 2011-12-23 20:18 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)