受け継がれる力

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増上寺の三解脱門が戦後初、60年ぶりに一般公開されるとお友達から聞いてずっと気になっていたが、昨日やっと時間がとれてお昼過ぎから出かけた。
ブラタモリ「芝」の回でタモリさんたちが特別に楼門の上に案内されて、あの上、広重が見たであろうポイントから海方向(つまり現在の浜松町駅方向)に向かっての景色が紹介されてたのがとても印象的だったから、いいなあ、一般人は昇れないのか〜、と羨ましく思っていたんだよね。

そんな貴重な機会だからすっごく混むかなと思って覚悟していったら、平日のせいかそうでもなく、入場口には4〜5人の列しかできていなかった。
タモリさんたちが番組で昇っていたのはたしか本堂正面に向かって左の朱色の階段からだったと思うが、今回は反対側が入り口になっていて、こっち側はおそらく階段が常備されていないのだろう、工事現場のような金属製の階段がしつらえてあり、かなりの勾配を登る(昇る)ことになった。
階段というより「梯子」だったですね。両手で手すりを持つ感じになるので、リュックや斜めがけバッグで両手があくのが理想的。そして足元、ヒールではかなり辛いと思う。もちろんスカートなんてもってのほか(笑)。
私くらいの年齢の女性グループが「いや〜〜、ムリムリ〜、こんなとこ昇れないわ〜!」とキャーキャー大騒ぎをしていたけど、上に辿り着いてみたら杖をついたかなり年配の方もいらしてちょっとビックリ。反対側からのぼられたのかなあ?

何度も頭上に頭をぶつけながらのぼりきると、少し薄暗い屋根裏のような空間に、ズラッと像が並んでいるのが目に入る。
正面に向かって右側に出るので、まずは右半分、8人の羅漢さまをじっくり見る。
羅漢さまたちは壁の奥にズラッと並んでこちらを向いている。もちろんだが、一人一人顔かたちや仕草だけでなく、その大きさも微妙に少しずつ違っている。顔のパーツのバランスも皆違う。迫力の一言。
そしてその手前の少し低くなった段にやはりズラッと並んで腰掛けているのは、増上寺の歴代上人様たちの像。小ぶりなのだが、こちらに私はとても惹かれるものを感じた。生身の人間ぽいせいなのか・・こちらも一人一人表情が違って、でも全員がとても柔和だ。上人様は左右合わせて全部で31人。

右半分をかなりの時間をかけて見た後で、そこで初めて、中央に安置されてる釈迦三尊像が目に飛び込んできた。

ビックリした。
本当に驚いた。

中央のお釈迦様の両脇には、向かって右に文殊菩薩、左に普賢菩薩の、いつも通りの2人の脇侍。
奇しくも文殊菩薩は今年卯年の守護、普賢菩薩は来年辰年の守護を司る。
文殊菩薩は獅子に、そして普賢菩薩は白くうつくしいゾウに乗っている。

どれもけっして大きな仏像ではない。
なのに、3体の放つ力がまっすぐにこちらに向かってくる。
特に真ん中の釈迦如来、お召し物の部分の色が少し落ちていたり、その古さから儚さまでも感じられるが、全てを突き抜けて身体中から発せられてくるものがスゴイんだ。
なんだろ、意味不明なのに力だけ感じるような。
ん〜、例えば目の前で全然わからない外国語でドワ〜〜〜ッと何かを訴えられて、意味も何語かも分からないんだけど、何故か言いたいことはほぼ感じちゃう、みたいなね。
(例えが下手・・)
ちょうどお釈迦様から向かって正面の扉も、外、大門に向かってまっすぐ開けられていて、外界、下界にも何かがとんでいっている実感があった。

お参りのために設けてあるお賽銭箱と供物用の台よりも前、かなり近寄って像を見ることができたので、近くに行って斜め横から見上げていたら、何故かわからないんだけど、涙がポロポロ出てきて困った。
仏像見て泣くなんて生まれて初めてだ。
歳取ると涙脆くなる、ってことだけが原因でもあるまい。
ずっと長いことこの暗くて高い場所で全てのことを見ていらして、そしてしばらくぶりで外の空気と触れて、そしていま大勢の、平成に生きる人たちが訪れて、こうやって相対している・・・
1秒1秒積み重ねられて今も進んでいる時、歴史が流れてゆく様、昔ここで生きていた人のこと・・・多少そんな感傷的な気持ちもなくはなかったけど、何よりその長い長い時間のことを思ったら何だかたまらない気持ちになった。
今自分が生きていることが、そしてこのお釈迦様に出会えたことが、ただただありがたかった。

その後左半分の羅漢様と上人様たちを見、仏像と外の景色を交互に行ったり来たりを繰り返しながら3〜40分くらい過ごしてから下へ降りた。
地面に足をつけた時、ちょっぴり、やはり特別な時しか上にのぼる事を許されなかった江戸の庶民になったような気がした。

いつもは閉まっている徳川家の霊廟も公開しているときいて、本堂での短いお参りと安国殿でのお土産調達を済ませてから、急ぎ足で裏手へ回った。
お江人気のせいか、こちらのほうが賑わっていた気がする。
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得意顔で徳川の歴史を家族や連れに語りながら見るおじさんや、お江のお墓の前で記念撮影に並ぶ若い女性グループ。
特に徳川に興味があるわけでもない私は(笑)、それでもいつも閉まっている門しか見ていなかった立派なお墓の数々をぐるっと巡りながら、各将軍やその家族のことにちょっとだけ想いを馳せてみた。
お墓によって、石だったり青銅だったり、ちょっとずつ違う。
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三解脱門も徳川霊廟も入場料はそれぞれ500円ずつだが、一緒に記念品をいただいた。
前者は竹でできた小さい栞で、広重の名所江戸百景の芝神明増上寺の図柄がカラーでプリントされていてとっても素敵。
霊廟のほうでは、立派な絵葉書の11枚セット。戦火で失われる前の宝塔や墓塔、豪華だった霊廟などの写真も含まれている。そして明治34年の増上寺とその周辺の俯瞰図。例の松蓮社なんかも載ってて面白い。

三解脱門公開は今月30日まで、徳川霊廟は期間延長がきまって来年1月末まで。
特に前者は強くオススメ!
詳細はこちら

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日が暮れる前に行かねば、と前回行けなかった芝東照宮へ向かう。
徳川家康を祀ったこの神社、けして大きくはないが何かとても落ち着いた空気に支配されている。
ちょうど薄暗くなってきた頃に提灯が灯るのも風情があっていい。
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家康が植樹したと伝えられるこのオオイチョウでも有名。東京都の天然記念物。
まだあんまり黄色くなっていなかったな。
これだけ大きい樹だと銀杏の量も半端なさそうだね(笑)。
なんか銀杏を見るとあったかい茶碗蒸しが食べたくなる(爆)。
たしかこの境内には珍しい桜もあったんじゃなかったっけ?
春にも訪れてみたいなあ。
フラッと出かけてきただけなのに、はからずもまた、かなり歩き回ってしまった(笑)。
また今度。
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by saskia1217 | 2011-11-19 19:20 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(0)