♪このまますべてが叶うようなそんな気がしてた♪〜エレファントカシマシ大阪城野音コンサート〜

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絵に描いたような「秋」。
まだ明るい16時半、大阪城公園の上にどこまでも広がるいわし雲の空。
野外音楽堂の満員の客席に吹く清々しい風。
昨年のあの灼熱の西日、蝉とトンボの大群が嘘のようだ。

エレカシ大阪野音。
昨日、朝7時のこだまで大阪へ。
お昼に着いて街を散歩しお昼ごはんを食べ、夕方会場へ。

10分押し、SEが止んで会場が静まり緊張感がピークに達した瞬間、白シャツの宮本さんを先頭にメンバーが列になって登場。それを見て、1曲目が「歴史」ではないなと思う。
石森さんの髪が真緑だったことで客席がざわめき、メンバーが定位置につくまでの数分間の主役はすっかり彼になってしまった(笑)。

宮本さんの静かで優しいギターで幕があく。「理想の朝」。なんてこの日この時この場所のオープニングに相応しいんだろう・・・セピア色のイメージ。
続けて厚いサウンドが空気を180度変える。「脱コミュニケーション」。淡々と歌い続ける宮本さんにある種「職人的」な無意識(=当たり前な日常感と自然さ)さえ感じる。
MCもなく次々と音が移り変わってゆく。「定め」。途中のセリフ、後半がアドリブっぽく一段と「今」の宮本さんのつぶやきに聞こえた。この曲の、減音程が蛇のようにうねうね続くメロディーラインがとてつもなく好きだ。ツヤのある少し太い宮本さんの声で歌われると説得力がハンパない。音源のアルバム「風」で聴き慣れた少し繊細で感傷的でやわらかい、触ったらビリっと壊れそうな当時の声も好きなのだけど、先日の全国ツァー最終日の東京でこの曲を歌ってくれた時や昨日のような、少し荒くれてザラついた、年齢が少しいった男の人の声というカラーが、この曲を何倍も魅力的にしていたように思う。

「ふわふわ」でまた一気に場が変わる。このあっちゃこっちゃ持って行かれるようなセトリも、こっちの身体を預けるようで楽しい。
「悲しみの果て」。今年になってから本当に何回も何回も生で聴かせてもらったこの曲。いつ聴いても、声に音にそして言葉にぎっしり詰まったものがあって、その度に心に重いものが響く。こんなに短い曲なのに。
ここでのイントロだったろうか?宮本さんと石くんのギターの絡みがあったのは・・・。かっこいいベースとギターで始まる「ろくでなし」。テンポは遅めでじっくりと。ライブで聴くのは初めてだ。♪あの飛行機雲を♪・・・聴きながらつい、本当に飛行機がかすめていく頭上の空を仰いでしまう。石くんの必死のコーラス、顔はすごく歌っているのになあ(苦笑)。
特徴あるベースラインとリズムで始まる「一万回目の旅のはじまり」。このイントロが好きすぎる。これを聞くとどうしても、あのドキュメンタリー「扉の向こう」のなかの、この曲の制作過程のシーンを思い出す。ラジカセの前で何度も何度も音を聴きながら少しずつ歌詞をつけてゆく宮本さんの、鉛筆の先から、万年筆の先から魔法のように生まれてくる言葉の数々。後半から出てくるベースラインの半音階の大好きな急降下も、昨日は冴え渡ってて五臓六腑にきましたね。突然倒れるように短く鳴るドラムのエンディングも好き。
続いて、日比谷でもやった「勉強オレ」。アレンジがかなり日比谷の時と違うように思えてちょっと驚く。音源との違いを楽しめるだけじゃなく、複数のライブでの違いで吃驚させられるのも貴重な楽しみ。

「太陽の季節」で蔦谷さんと昼海さんが加わる。
珍しい「甘い夢さえ」が続く。私も生は初めて。間奏で客席のあちこちで裏打ち手拍子があがったのがなんだか嬉しかった。大阪野音は日比谷に比べて音響がデッドみたいで(反響板のせいかな?)この曲でも全員が休符で音がなくなる瞬間、吸い込まれたような静寂になってたのがキリッとしてて効果として面白かった。
そして「秋」。日比谷で聴いたときはまだ「夏」の暑い日だったが、昨日の大阪はカラッとした涼しい風が吹き抜ける秋そのものの空気。蔦谷さんのビブラートの効いたキーボードもあいまって、せつなさと憂いとちょっとの懐かしさが一層リアルに沁みてくる。丁寧にしっとりと、言葉ひとつひとつが訥々と。口笛とスキャットを混ぜてくれる間奏がとっても好き。

ここでステージには椅子にすわった宮本さん一人が残る。
ドブロギターが手渡される。
前の曲で使ってたアコギ(エレアコ)を手に「今はほらこのギターでも、こういうふうにえ〜と、コンセントをつけて電気で・・」みたいに説明をしてくれる。アコギでもコードつないで電気通せるけど、ドブロはアンプラグドの楽器だということで。
「聞こえますか、ギター?」ってお客さんに問いかけながら宮本さんはいくつかコードを弾いたのだけど、マイクが死んでて全然聞こえない。が、客席後方で一生懸命首振ってたって伝わるわけもなく(苦笑)、そのままイントロに突入。聞こえないよ〜!
ステージ脇のスタッフさんたち、特に上手の数人はすぐ気がついたみたいで動いていたけれどすぐになおらず、そのうち下手や宮本さん本人もちょっとそわそわ。でも演奏は続いていてあの短い名曲の終わり近くになってようやく代わりのマイクがギターの元に。
歌は素晴らしかったからよかったんだけど、あのギター伴奏好きだからちょっと残念。

自分のアコギに持ち替えて「サラリサラサラリ」。先日の日比谷でこの曲の希有な素晴らしさを再認識したけれど、昨日は一段と良かったなあ。ギターの安定感と声の伸びと。この曲、音源聴くと最初のサビに行くまでの部分が、ギター&ベースが左、宮本さんの声が右、と別々に録音されてて、時々どっちかのイヤホンが外れたりするとどちらかしか聞こえなくなるから非常に驚くのだ(笑)。日比谷でも昨日のも、実は音源より遅めのテンポだったのだけれど、そのほうがギターがとても映える気がする。6/8(?)の持ってる軽い感じが減ってコードの重さがグッと響いてくる。終わったような終わらないようなエレカシ特有の変則的なエンディングが、ライブだと大きな余韻を引き起こして素敵だ。
「ラスト・ゲーム」。♪俺の祖国よ♪の一言に込められた力に、この日はひと際強い気持ちを感じた。

今度11月に出る、デビューから今までのライブ映像集のDVD。たぶんその編集過程のお話だったのだろう、昔のご自分の映像を見ていて「自分がなんというか・・・面白い」「たいがい白いシャツ着てるんですけど」「基本自分が好きなんですが」「20年経って・・・芸人は儚いと思いましたね」などなど、面白いMCが続く。確かに昔の映像での宮本さんの動きって、本当に独特で(今でもなんですけど)誰にもマネできない不思議な動きなんだよね。軟体動物みたいなんだもん。
「あ〜宣伝するつもりじゃないんですけど・・ん〜、って言っても宣伝になっちゃうか、いいか」客席大爆笑。「蔦谷さんとか昼海さんもいっぱい映ってて・・・で、二人とも髪が長くなったり短くなったりとか・・面白いです」なんだそうです。

そんな「思い出話」をきいたせいなのか、次の「風に吹かれて」あたりからなんだかこう胸がじ〜んとしてきてしまって、いつものように腕あげたり叫んだりできなくなってしまった。こんなのは初めてだった。
「明日への記憶」「ハナウタ」(蔦谷さんのコーラスもっと大きく聴きたかった!)と、お客さんの多数が大好きオーラを出す人気曲が続き、会場はようやく熱を帯びてきた。
「新しい季節へキミと」のイントロが鳴りだしたら「じ〜ん」がピークになって、不覚にも目頭が熱くなって身体が全然動かなくなってしまった。いつもはサビで思いっきり腕を挙げてるのに、ただお腹の前で両手を握りしめたまま立っていただけ。林立する拳の渦のなかにぽつんと埋もれながら、目だけがステージから離せなかった。
本プロ、ラストは4人だけの「男は行く」。この日、一番強烈な印象だった一曲。もうすっかり斜めになってしまった椅子に座って始まったが、途中から宮本さんはやおら立ち上がってマイクを立て、ストラップかけてないギターをお腹に抱え込んで、それはもうすごい声で訴えかける。東京まで届くんじゃないかと思えるくらいの声。ほんとにすごかった。

アンコールにはすぐに出て来てくれ、黒シャツで歌い始めたのが「四月の風」。大阪では最近必ず歌っているから、すごく「大阪感」を感じる。途中サビ近くになって音程がふらついて声が小さくなり、しばらくそのままだったので、ああ、宮本さんたぶん気持ちが・・・と思ってドキドキしていたら、やはり泣いてらしたようだ。後ろの方の席だったので定かではないけれど。
業績、人気が低迷していた頃、大阪のFMが何度もこの曲を流してくれてありがたかった、というエピソードはよく宮本さんあちこちで話していらした。大阪でこの曲を歌うことはやはり格別な感情を生むものなのかな、なんて、もちろん涙のわけなんてご本人にしかわからないことだけど、そんなことを勝手に思いながら指を固く握りしめたままで聴き入ってたのだった。
♪このまま全てが叶うような気がしてた♪・・・エレカシを好きになった頃いちばんよく聴いていたこの曲の、魔法のようなこの歌詞。私にとっても特別な想い、情景の重なる曲なので感無量だった。
この「アンコール1曲目」というポジション、東京では「武蔵野」そして大阪では「四月の風」。はからずもこの2曲、イントロのコード進行がまったく同じだ・・・。

そんな感傷に少しとらわれていたら、間髪入れずに「生命賛歌」が始まる。宮本さんは前奏、間奏で涙をそっとぬぐいながら、信じられないような力強さで前向きな歌を聴かせてくれた。
「幸せよ、この指にとまれ」の後、小さな声で「おいっ・・」と囁かれる。何度かの「おい」がクレッシェンドしていく途中で、次の曲を知ったお客さんたちから歓声があがる。「友達がいるのさ」。昨日は2番冒頭で「大阪じゅうの」と歌われた。その度に地元のお客さんから拍手や嬉しそうなざわめきが聞こえる。もうずっといい声が続く。
勢いに乗って「笑顔の未来へ」は速めのテンポでワクワクと。このところよく見る♪背中合わせさ〜♪で上半身だけ後ろを向くポーズ、後ろを向いてるのに前方のマイクがちゃんと拾う声の力はすごい、といつも感心。
「ガストロンジャー」「ファイティングマン」のいつもの盛り上がる波。「ガスト」ではセリフも自由なところがあって生き生きとしたライブ感。蔦谷さんとの掛け合いにも拍車がかかっていて、超絶高速踊りの後、間髪入れずにステージ前方でカニみたいに横歩き、それもすごいスピードで。全てのパフォーマンスがそのまま伝わってくる吃驚。

これで終わりかなあと思っていたら、再び白いシャツに着替えながら(笑)すぐに出て来てくれて「今宵の月のように」。すごくいい声だった。たった数年だけれどいったい何度聴いているだろう、この曲。そのなかで、もしかしたら昨夜の「今宵」が最高だったかもしれない。言葉と音のひとつひとつをしっかり、ていねいに、まるで歌っている自分自身にも歌いかけるような、あったかい演奏。ギターも綺麗、バンド全体の音も満月のように丸くて。

最後まで「ありがとう、大阪〜!」と叫びつづけて閉幕。
終演時はすでに少し肌寒かったけれど、客席の熱気はそれを忘れさせてくれるくらいになっていた。

「今日は雨の予想だったのが、うまいこと晴れて、秋らしいいい天気になったな、エヴリバディ!・・・まあ、雨なら雨でもいいんだけど、ま、降らないにこしたことはないよな」みたいな軽快なMCもあり。MCは日比谷よりも少なめだった気がしたけど、宮本さんが石くんの緑色の髪にツッコンだとき「染め粉」って言ってたのが可笑しかった。昨年亡くなった大正元年生まれの私の祖母が、よく「染め粉」って言ってたからとっても懐かしかったんだけど・・・大正かっ!(笑)
でも宮本さんの口から出る言葉としては「カラーリング」よりずっとしっくりくるからいい。

印象として、お客さんが、特に前半おとなしめだったような気がして、前半は宮本さんもそれをじわじわと下から持ち上げていくようなそんな力を込めていたように感じた。いや、でも日比谷が最初っから熱すぎたのかもしれないな、あの空気はなんか特殊だったのかもしれない。
後半はもう宮本さんはいつもの縦横無尽な動きを連発していて、マイクコードを肩に背負ったいつものシーンも多発(ついでにスピーカーを律儀に元に戻すのも・・笑)、高いところに乗ったときは我々後方のお客にもさかんに声をかけてくれて、サービス満タン。富永さんの背中まで攻めて行ってたし(笑)。
「おおさか〜〜っ!」も連発してましたね。そのたびにお客さんの歓声。
他にも、富永さんが宮本さんの語りかけにニッコリ頷いたり、石くんと昼海さんが向かい合ってギター合戦してたり、ほのぼのシーンがいっぱい見られたステージ。

一言で。
「感動した」。
一番近いのはこれかな?
平凡な表現なんだけど、やっぱりそうだ。
じっくり聴いた。
熱く湧いて来たものもあったけれど、本当に深くしんみりした時間も多かった。
もしかしたら視覚も聴覚も過度に集中しすぎていたのかもしれない。
あたかも自分がスポットライトの光源になったようなそんな感覚で、2時間半弱ずっとステージを、そこで起こっていることを、鳴っている音を捕まえ続けていた。

充実の2時間半。全27曲。
私にとっては、生のエレカシ、26回目のコンサート。
こんなステージを勤め上げることが日常となっている彼らの、原動力と工夫と努力と、そして人生への喜びの、そのほんの一匙でも、後からついていくことが出来たら。
再び彼らのライブの音に会いにいけるのは来年。
それまでの力と支えを、どうか失なわずに走れますように。
そんなことを願いながら、夜遅くののぞみで帰京。
そしてまた、何度言っても言い足りない「ありがとう」を。

♪明日もがんばろう
愛する人に捧げよう
ああ 君に会えた四月の
四月の風♪




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by saskia1217 | 2011-10-02 23:11 | エレファントカシマシ | Comments(0)

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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