江戸の緑

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都会のただ中にポッカリと残る江戸はいくつかある。
そこを訪ねるのが好きだ。

先日、友人と小石川後楽園を散歩した。
蒸し暑い梅雨の、日が射すんだか小雨が降るのかよくわからない中途半端な曇り空。
噎せ返るような緑の下に見事な睡蓮がたくさん浮かぶ。
「天下の憂いに先立って憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」(范仲淹「岳陽楼記」)
その名前の由来に相応しい心静まる水戸藩の中屋敷(あとで上屋敷になった)。
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回遊式庭園のじつに巧妙な仕掛けにすっかり引き込まれ、緩やかに歩くうちに次々と違う絵が目の前に現われるのに驚かされる。
だけど、睡蓮てなんて完璧な姿をしているんだろう。
これが一面に咲いている水面がいきなり眼前に開けたとき、思わず「極楽浄土」という言葉が頭をよぎった。
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庭園の歴史とか水戸藩のあれこれを知らなくても、この庭をただ歩くだけで「その時代」の佇まいとか、ここに様々な階級、職業の人びとが生き生きと暮らしていた街の空気とかが、あっち側からやってくるようだ。
あたかもこの東京の雑踏のなかにポッカリ空いた空間が、過去と通じるいくつかのトンネルのひとつのように。
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梅、桜、藤、躑蠋、サツキ、カキツバタ、紅葉・・・咲く花々は、季節毎に巡ってゆく。
特に何も想いを馳せずに訪ねた私たちが奥まった一角にゆっくりと歩みを進めると、そこには予期せぬもうひとつの「極楽浄土」がひらけた。
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白、紫、紺、無地、絞り・・・少しずつどこかが違うたくさんの花菖蒲の海。
どれも、好きな色。
うっとり。
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池には生き物もたくさん。
苔むした大木の下で、ゆっくりと頭を伸ばし、またゆっくりと引っ込ませながら、彼は一体何に思いを馳せていたのだろう。
この広い庭の中でそのちっぽけな姿がまるで自分のように思えて、おもわず頬が緩んだ。
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by saskia1217 | 2011-06-22 23:15 | 感じろ、考えろ、思え!

今日もまた日が昇る・・出かけてゆこう!
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